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ミステリマガジン2025年10月号 特集:九龍城砦に集え! |
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雑誌、年間ベスト、定期刊行物 | 出版月: 2025年08月 | 平均: 2.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 早川書房 2025年08月 |
No.1 | 2点 | おっさん | 2025/08/28 15:23 |
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ええい、腹が立つ!
(大きく一回、深呼吸) ふーっ。 季刊になって4号目の本誌は、目玉の[特集]が、「九龍城砦(きゅうりゅうじょうさい)に集え!」。巻頭言によると、香港映画に「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」というのがあって、日本でもこれがヒットしたと(知らなかった……)。で、その原作シリーズを早川書房が出すことになったと。要は、その販促ですね……。 「九龍城砦」ファンの皆様には申し訳ありませんが、年4回のうち、1回は「年間ベスト・ミステリ」特集で企画が固定化されている、専門誌の現状で、貴重なメインの特集が、今回のコレはない。 仮に、この号だけ、新規読者を取り込んで売り上げが良かったとしても、結果として、HMMのコアな支持層を幻滅させてしまったら、遥かにデメリットのほうが大きいですよ。 申し訳のように、巻頭には「2025年エドガー賞晩餐会レポート」のグラビア記事があり、巻末に、当該年度の最優秀短編賞受賞作、エリカ・クラウス「ムースを食べてくれ」が置かれています。 この短編は、良かった。良かったのですが……非合法の安楽死ビジネスに従事する、退役軍人の男女のバディもので、まことにエモーシャルな内容の、 ”一般文芸” の傑作です。これをミステリとして顕彰するMWAは度量が広い。同賞の各部門の候補作リストは次号掲載でしょうが、短編部門は、参考まで、ここに載せておいて欲しかったな。 業界人向けの、各種連載の合間に、「追悼」の小特集がふたつ――ピーター・ラヴゼイ、関口苑生――ありますが…… ええい、腹が立つ! (大きく一回、深呼吸) ふーっ。 ピーター・ラヴゼイの扱いが、軽すぎる! シリーズ・キャラクターが自身の過去を語る、という趣向の短編「ダイヤモンド警視、語る」を掲載し、訳者の山本やよい氏のエッセイ「ピーター・ラヴゼイを偲んで」を添えていますが、それだけ。著者の略歴も無ければ、著作リストも無い。 いや、版元としてもう売る気の無い、昔かかわりのあっただけの作家を、形だけでも誌面で悼んでくれたことに、感謝すべきでしょうか。 往年のHMMなら、「追悼 ピーター・ラヴゼイ」が特集の柱だったろう、などと言い出すおっさんは、ただの老害なのでしょう。 あらためて。 ピーター・ラヴゼイ。長篇も短編も高い水準でこなし、黄金時代を継承する、 ”現代” 最高の英国ミステリ作家でした。合掌。 |