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このミステリーがすごい!2011年版
「このミステリーがすごい!」編集部
雑誌、年間ベスト、定期刊行物 出版月: 2010年12月 平均: 4.33点 書評数: 3件

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宝島社
2010年12月

No.3 3点 Tetchy 2011/04/30 21:36
国内はもはやベテラン作家となった貴志祐介氏が『悪の教典』で2010年のミステリシーンを制した。角川ホラー大賞受賞作家でありながら、ジャンルを問わずに常に新たな挑戦を続ける作家の成果がようやく認められるようになったことは嬉しい。最近感じていた、過去の業績を含めての評価ではなく、純粋に作品に対しての評価のようで嬉しい。
そして御大島田荘司が2位に食い込んだのが望外の結果だ。しかも歴史ミステリである『写楽 閉じた国の幻』でのランクインというのがすごい。御手洗物、吉敷物での評価が高く、その他のノンシリーズ物ではさほど注目もされないような傾向であっただけに、この結果は素晴らしい。御年60を超えてなおその創作意欲と新たなるジャンルに挑戦する意気込みの盛んなところは新本格作家を筆頭に後続の本格ミステリ作家達は襟を正して手本とすべきだろう。
もはや常連となった伊坂幸太郎、三津田信三、宮部みゆき、芦辺拓、京極夏彦もランクイン。さらには麻耶雄嵩、倉知淳、馳星周、貫井徳郎も久々にランクイン。しかも寡作家麻耶氏は2作がランクインと恐らく今後はないであろうという記憶すべきランキングとなった。
そして世のミステリファンが口を揃えて絶賛する大型新人梓崎優氏もそれを裏付けるかの如く3位にランクイン。彼を筆頭に初ランクイン作家が円居挽、須賀しのぶ、深町秋生、桜木紫乃と5人もランクインした。今後の活躍に注目していこう。

海外に目を向けると出せば好評をもって迎えられる感のあるキャロル・オコンネルがとうとう『愛おしい骨』で1位を獲得した。サプライズに加え、読ませる丹念なストーリー作りをする作家のようで、今後読みたい作家だ。
2位には久々のボストン・テランがランクイン。国内紹介2作目がコケたのでもう訳出されないと思っていたが、見事復活。前年のウィンズロウのように今後も訳出が加速されるかもしれない。
そしてその我がウィンズロウは『フランキー・マシーンの冬』(好きだ!)で4位にランクイン。基本的には重苦しい『犬の力』よりもこちらのオフビートな作風が好きなので、評価されたのは嬉しい。これで今後もウィンズロウが読める(笑)。
他にはランキング常連作家マイクル・コナリー、ジェフリー・ディーヴァー、サラ・ウォーターズ、ヘニング・マンケル、トマス・H・クックも順当にランクイン。また常連となりつつあるジョン・ハートも評価が高い。クックのランキングが下がりつつあるのが気になるが。
マイケル・バー=ゾウハーの『ベルリン・コンスピラシー』のベスト20圏外は個人的には哀しかった。非常に読ませる作品です。ぜひ多くの読者に読んでほしい。

とまあ、ランキングは個性的でしかも数年に一度の豊作の年でもあったわけだが、面白いところはこれと座談会だけ。今年もその年のミステリシーンの傾向と注目すべき新人作家を紹介するような熱のこもったコラムがなく、単に水増しに過ぎない『このミス』大賞作家の書き下ろし短編が収録されている。こんなものでページが厚くなるなら寧ろ要らない。今後は自炊してこの短編部分を全て破棄して電子化しようかとまで思っている。
早く編集方針を変えてほしいものだ。明らかに商業主義の匂いがプンプン漂う。なんか紙質も以前より薄くてペラペラではないか?こんな『このミス』はイヤだ!

No.2 5点 kanamori 2010/12/16 18:41
今年もこの時期がきましたか。
最近は、ネットで情報が氾濫しているので、ランキングに関しては以前と比べて興味が薄れてきましたが、それでも未読で読んでみたい作品が見つかるのでありがたいです。正月休みは、とりあえずジョン・ハートを遡って3冊かな。

しかし、今年の話題作よりも、興味の中心は来年の「我が社の隠し玉」ですね。
miniさんの丁寧なレヴューとダブりますが、やはりウィンズロウが大注目。「シブミ」の前日譚を書いたことも驚きですが、サーファー探偵の新シリーズが楽しみ。
あと、忘れたころのデニス・レヘイン。パトリック&アンジー・シリーズの最終?第6作が今頃出るとは思わなかった。
クラシック・マニア部門だと、チェスタトンの連作短編集(ブラウン神父付き)、クリスピンのフェン教授ものの短編集、パトリック・クェンティンなどに期待したい。

それにしても今年の裏表紙はいやに分厚いですね。100ページ分ぐらいの分量があります(笑)。

No.1 5点 mini 2010/12/16 11:19
文春ベストでも書かれていたが、今年度の翻訳ミステリーは例年にない豊作だそうだ
まぁ今回は常連作家の力作が揃ったのも一因かも、例年に比べて新人作家が上位にあまり入ってこなかったしね

このミスで楽しみにしているのが例年の如く『我が社の隠し玉』
昨年一昨年と隠し玉コーナーは魅力に欠けたが、今回は『隠し玉』だけで攻めよう、順番は掲載順で

集英社: アイスランドにスウェーデンと今年は北欧ブームを各社画策しているのだろうか、おいおい
ビョークだけがアイスランドじゃないんだな

国書刊行会: MWA評論賞受賞のヴァン・ダインの評伝が目玉か、小説の方はちょっと食指が動くのはないなぁ

新潮社: ジェフリー・アーチャーの新作一本勝負かいな、話題にはなるだろうけど

小学館: ここは地味でも意外と隠れて良い仕事するんだけど、今年はう~んちょっと魅力に乏しいな

武田RHジャパン: ランダムハウス講談社から名称変更、でもコージー系に強いのは相変わらず
昨年は上位ランキングには入って無くても11位以下では何作も入って結構健闘してるよね、コージーだけがRHじゃない感じだし

東京創元社: ここもアイスランドか、おいおい
しかし一番創元らしいと思ったのがロマンス作家ジョーゼット・へイヤーのミステリー作品本邦初紹介で、こういう作家に目を付けるのが創元の良さだわな
マクロイ「暗い鏡の中に」新訳は未読の人には朗報か

扶桑社: S・ハンターは年内刊行らしいが、来年はS・マルティニか、久し振りかも
それより気になったのはトンプスン「おれの中の殺し屋」が映画化されるのか

ヴィレッジブックス: ヴィレッジって殆ど読んでないんだよなぁ

講談社: 突出した話題作は無くても毎年安定している講談社
毎度御馴染コーンウェルにコナリーと今年も手堅いぞ講談社
それにノルウェーの作家って、おいおいお前もか講談社

論創社: 昨年は地味だったが今年はチェスタトンに四十面相クリークと動き出す予定か
あとはN・ブレイクにクェンティン、たしかに両者にはまだ未訳作があるんだよな
クェンティンは多分パズルシリーズの未訳分だろうな、ジョナサン・スタッグ名義のは原書房の方が手を出しそうだしね

文藝春秋: 昨年は予告倒れに終わった文春、きっとファンは怒ってるぞ、
で満を持して今年はS・キングにJ・エルロイ、さらにはディーヴァーのライムものと非シリーズの2冊、う~ん大物路線だな、文春恐るべし

原書房: 今やすっかり不可能犯罪系古典本格マニアの御用達出版社と化した感のある原書房
クリストファー・セント・ジョン・スプリッグにノーマン・ベロウ、いかにもこの手のマニアのリクエストにお応えしましたって感じだな
でもベロウは中後期作ではなく最初期の作なのが良心的だ、逆に邪推するとベロウ作品を順次出していく方針なのだろうか

早川書房: スウェーデンにデンマークとまた北欧か、おいおい
驚いたのはあのトレヴェニアン「シブミ」の前日譚『サトリ』をあのウィンズロウが書いたんだってぇ
創元に比べて早川書房は埋もれた名品の発掘は苦手だが、こういう話題作を持ってくるのは名人級だな、いや決して皮肉じゃなくて誉め言葉でして

角川書店: ここも最近は地味だが頑張っているな、レへインのP&Aシリーズの新作だって、最近はノンシリーズしか書いてないのかと思ってた、このシリーズは未読なので旧作をいずれ読まねば
あと早川でも話が出たウィンズロウの新シリーズにクイーンの新訳と、しばらく地味だった角川だが「犬の力」で力が出たか動きが活発に

以上、総じて北欧に手を出す出版社が目立った、1~2社だけじゃないから北欧ブームを狙っているんだろうか
ちょっと余談だけど、隠し玉コーナーの最後に、国産ミステリーの海外への翻訳事情のミニコラムがある
「新宿鮫」「姑獲鳥」「容疑者X」あたりは直訳だけど
宮部「火車」=For All She Was Worth
伊坂「ゴールデンスランバー」=REMOTE CONTROL
などは私は全て未読だから分からんけど既読の人から見たら妥当なんかしらね?


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