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ミステリマガジン1994年7月号
ダシール・ハメット生誕100年記念特集
雑誌、年間ベスト、定期刊行物 出版月: 不明 平均: 5.00点 書評数: 1件

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No.1 5点 弾十六 2020/04/15 20:57
HAYAKAWA’S MYSTERY MAGAZINE 1994年7月号 <459>
特集:ダシール・ハメット生誕100年記念。234ページ。定価780円。
表紙・扉・目次構成は島津 義晴、表紙は砂浜と海を上空から撮った遠景か。裏表紙の広告はAsahi スーパードライ。
ハメットは忘れられた古典作家で読まず嫌いの若者に紹介する、という趣旨らしい。1994年、私はミステリ界(というか小説界)から全く離れており、毎月購入もしばらく前から辞めていて、書店で手に取ることすら無かったころ。今回、ハメット・マイブームに乗って1年分を一気に某オクで購入しました。エッセイ陣には全然思い入れが無く、読む気が全く起きません…
ハメット作品を(なるべく)初出順に読む試みの一環です。雑誌全体の暫定評価は5点として、収録短篇を読んだら追記してゆきます。
小説は8篇。以下、初出はFictionMags Index調べ。カッコ付き数字は雑誌収録順。
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⑴ The Green Elephant by Dashiell Hammett (初出The Smart Set 1923-10)「緑色の悪夢」ダシール・ハメット 稲葉 明雄 訳(挿絵 山野辺 進): 評価5点
ハメット第13番目の短篇小説。意図はわかるけど、あまり工夫のない話。翻訳は削除の多いダネイ版ではなく、初出雑誌のテキストによるもののようだ。(Don Herron主宰のWebサイト “Up and Down These Mean Streets”のHammett: “The Green Elephant”参照)
p20 五十ドル: 米国消費者物価指数基準1923/2020(15.13倍)、$1=1662円で換算して83100円。
p21 小口径の拳銃(a small-caliber pistol): 何となくオートマチックのような感じ(ただの個人的な印象で根拠なし)。小口径はこの場面なら32口径。25口径では小さすぎる。
p22 千ドル札のほか、色々な紙幣が登場するが、当時の紙幣サイズは額面にかかわらず187×79mm。なおFederal Reserve Noteの場合、裏面は全券種で緑色だった。(Gold Certificateはオレンジ)
p23 全請求書を前払いできる(all bills are payable in advance): 「できる」ではなくて、「先払いする決まりの」ではないかと思う。そーゆー仕組みの風来坊向けの安宿で、その日に出立するつもりで支払いを済ませていた、と解釈すれば、前後がつながる。
(2020-4-15記載)
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⑵ Zigzags of Treachery by Dashiell Hammett (初出The Black Mask 1924-3-1) 「裏切りの迷路」 ダシール・ハメット 小鷹 信光 訳(挿絵 佐伯 嘉隆): 評価7点
オプもの第8作、ハメット第25番目の短篇小説。書評は『チューリップ』参照。傑作。(訳文は『チューリップ』収録のものが、この時点よりさらにブラッシュアップされてるので、単行本で読むのがお薦め)。
(2020-4-15記載)
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⑶ Any Small Measure of Justice by Terry Courtney (初出AHMM 1991-8)「ささやかな正義」 テリイ・コートニー 西田 佳子 訳(挿絵 畑農 照雄)
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⑷ About Time by Linda Evans (初出AHMM 1990Mid-December号)「サマータイム殺人事件」リンダ・エヴァンズ 山内 三枝子 訳(挿絵 楢 喜八)
ヒッチコック・マガジンは1990年12月は2冊発売。普通の160ページの12月号が発売された他、34th Anniversary Special Double Issueとして288ページの増刊号がMid-December号として刊行された。
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⑸ Checking Out by Nick O'Donohoe (初出AHMM 1990-9)「チェックが肝心」ニック・オドナヒュー 夏来 健次 訳(挿絵 浅賀 行雄)
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⑹ Accounts Payable by D. H. Reddall (初出AHMM 1991-6)「支払勘定」 D・H・レドール 小西 恵里 訳(挿絵 桜井 一)
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⑺ The Maggody Files: Spiced Rhubarb by Joan Hess (初出AHMM 1991-6)「ルバーブ・ジャム事件」ジョーン・ヘス 近藤 麻里子 訳(挿絵 大鹿 智子)
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⑻「恵美子の手袋」 山崎 秀雄(挿絵 成田 一徹)
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特集の読み物は
『ダシール・ハメットの生涯(編集部 編)』年表と写真。ダイアン・ジョンスンの伝記から再構成。
『映画『赤い収穫』架空キャスティング(野崎 六助)』なんかズレてる。ほとんど知らないメンツだし…
『映像で観るハメット作品(筈見 有弘)』写真が良い。
ハメットへのオマージュとして短文がいくつか
『廉潔の人(稲葉 明雄)』本号掲載の「緑色の悪夢」を陳腐とばっさり。『冒険者としてのハメット(逢坂 剛)』『一度だけ読んだハメット(片岡 義男)』相変わらずのズルい手口が心地良い。『マイルズ・アーチャーが死んだ場所(田中 小実昌)』『ワールド・ジャンク(楢山 芙二夫)』『ポイズンヴィル発…(船戸 与一)』
漫画『彼ら(いしかわじゅん)』スペード、ニック、オプが登場する四コマx3作。本質を突いている。
作品論『註解『マルタの鷹』(小鷹 信光)』写真が良い。『赤い暴力の現代小説(野崎 六助)』『三人称一視点という錯誤(池上 冬樹)』『シン・マン症候群(木村 仁良)』ディックとドラの掛け合い。
『ダシール・ハメット長篇小説解題』あらすじと短評。
『ダシール・ハメット長短篇作品リスト』単行本『チューリップ』(2015)所載の小鷹リストの元。
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その他の読み物は
『ミステリ漫画(梅田 英俊)』『ミステリアス・プレス ニュース(O)』『海外ミステリ風土記(直井 明)13 ルーマニアIII』『チャイナ・ファンタジー(南 伸坊)16 窓から手』『木村 二郎インタヴュー』二郎さんの顔、見たのは多分初めて…かな?『眺めたり触ったり。(青山 南)28』『読ホリデイ(都筑 道夫)65 伊賀とイタリア』『20世紀を冒険小説で読む(井家上 隆幸)35 核の<聖戦>』『サイコドラマ・サイコパシー(野崎 六助)19 人造のサイコII』『殺しの時間(若島 正)42 本を殺す』『カメレオン日記(香山 二三郎)19 勝負服の研究』『ビデオの冒険者(柳生 すみまろ)65 新ポリス・ストーリー』『午後3時半のウェイブ(吉村 浩二)4』『ミルクが先よ(浅羽 莢子)4 穿鑿は権利?』英国では遺言も公の文書なんだ…『読者登場(浅沼 幾美さん)』『響きと怒り』『編集後記(T、K)』
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クライム・ファイルと銘打って各種情報コーナー
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