皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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2016本格ミステリ・ベスト10 |
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雑誌、年間ベスト、定期刊行物 | 出版月: 2015年12月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
原書房 2015年12月 |
No.1 | 7点 | Tetchy | 2016/02/06 18:45 |
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意外なことに1位は深水黎一郎の『ミステリー・アリーナ』だった。これは歌野晶午氏の『密室殺人ゲーム』シリーズに匹敵する、本格ミステリに淫した作品ゆえに、まさにこのランキングに相応しい作品と云えるかもしれない。
2位は久々の倉知淳氏の『片桐大三郎とXYZの悲劇』、3位は米澤穂信の『王とサーカス』、4位には北山猛邦『オルゴーリェンヌ』、5位はランキングの有力候補として名高かった井上真偽の『その可能性はすでに考えた』が揃った。 倉知氏の2位は本当に驚いた。ランキングには入るかと思ったがまさか2位とは。やはり本格ミステリファンにとってエラリイ・クイーンのパロディは根強い人気があるということか。 さて6位以下では有栖川有栖、鳥飼否宇らが10位までにランクイン。11位以下は前年『○○○○○○○○殺人事件』で話題をさらった早坂吝氏の『虹の歯ブラシ』、島田荘司の久々のホームズ・パロディ『新しい十五匹のネズミのフライ』、麻耶雄高氏の『化石少女』らがランクインしたが、個人的に注目したいのは12位の『戦場のコックたち』でランクインした深緑野分氏。この誰もが思いもつかない独特の設定で本格ミステリを紡いだこの作品はぜひとも読みたい。また早坂吝氏もフロックではないことを証明した。 一方、いまだに扱いが国内編と等しくならない海外本格ミステリに目を向けるともはや出せば1位の感があるD・M・ディヴァインが『そして医師も死す』でランキングを制した。2位はこれもまた再評価で今やセイヤーズやクリスティを凌ぐミステリの女王としての趣があるヘレン・マクロイの『あなたは誰?』がランクインし、3位はこれまた新訳が嬉しいブランドの『薔薇の輪』、ジャック・カーリイの『髑髏の檻』が4位、そして今年紹介され、いきなり5位にランクインしたハリー・カーマイケルの『リモート・コントロール』と定番と訳出復活と新紹介作品が混在するにぎやかなランキング。 6位以下はクェンティン、ルメートル、ロラック、クリーヴス、そしてエラリイ・クイーンと全く今はいつの時代なのか解らないような面白いランキング。ホント我々は今未紹介で埋もれた傑作と、フランスで生まれた新しい本格ミステリがいちどきに読める実に幸せな時代に生きているのだと実感させられるランキングとなった。 1年の本格ミステリシーンを振り返るコラムの方はいつも通りで、昨年は独自企画がなかったことが寂しい。コラムはいつもながら思うのだが、4ページの分量にとにかく多くの作品を紹介しようと各筆者が作品の乱れ撃ちをしている内容が単なる作品名と作者名の羅列にしか思えないため、もっとこの書き方はどうにかならないものかと思うのだが。 企画物は昨年はしょうがないとして今年の2006-2015年のディケイドベスト10企画が行われることを期待しよう。 |