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ミステリマガジン1984年5月号
サスペンスフルな夜
雑誌、年間ベスト、定期刊行物 出版月: 不明 平均: 5.00点 書評数: 1件

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No.1 5点 弾十六 2020/04/30 01:02
HAYAKAWA’S MYSTERY MAGAZINE 1984年5月号 <337>
短篇特集は「サスペンスフルな夜」と題して4篇。他に「クライム組曲」(意図不明)と題して7篇を収録。234ページ。定価580円。
表紙イラストは岡本 信治郎、表紙・扉・目次構成は島津 義晴と野々村 晴男。表紙にはMECHANICALの文字とゼンマイのネジ、今号のメインは男女が乗った手漕ぎボート、渦に飲み込まれ中。裏表紙の広告は大塚製薬 カロリーメイトとポカリスエット。
ダイアン・ジョンスンの『ハメット伝』は連載4回目、長篇時代(1927〜1928)が載ってる。やっとオプもの全てのBlack Maskヴァージョンを収録(長篇2作の雑誌掲載版を含む)した原書が届いたので、そのネタを絡めて下でコメントするつもり。青山『ハメットダッシュ』は低調。今回の目玉、都筑『出来るまで』に重大事件が記載されており、しばらく色々資料を漁ってみて、やっと謎が解けた。結構興味深いと思うので今回は問題篇として下に書き、次の6月号で解答篇を発表します。他、瀬戸川『睡魔/名作篇』はやはり見逃せない。リレー小説はセイヤーズが前号のお返しにシェリンガムで登場。
雑誌全体の暫定評価は5点として、収録短篇を読んだら追記してゆきます。
小説は14篇。以下、初出はFictionMags Index調べ。カッコ付き数字は雑誌収録順。
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⑴ Wild Mustard by Marcia Muller (初出HMM1984-5書き下ろし)「野生のからし菜」マーシャ・ミュラー 竹本 祐子 訳(挿絵 天野 嘉孝)
海外作家書き下ろしシリーズ第11回。シャロン・マコーンもの。
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⑵ Simple question d'humanite par Catherine Arley (初出Ellery Queen Mystère magazine 1974-12)「心優しい女」 カトリーヌ・アルレー 長島 良三 訳(挿絵 じょあな・じょい)
アルレーの短篇は非常に珍しい、とのコメント付き。仏Wikiには全部で11作がリストアップされている。ebayで見つけた仏EQMMの掲載号(no322)表紙はジェーン ・バーキンか? 同号にはCécile Lacrique, Michel Grisolia, Catherine Arley, Robert Twohy, Alfred Haïk, William Bankier, Vivran, Edward D. Hochの小説が載ってるようだ。残念ながらフランス小説のFictionMags Index風データベースをまだ見つけていない。
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⑶ Waltz by Cornell Woolrich (初出Double Detective 1937-11)「ワルツ」 コーネル・ウールリッチ 田口 俊樹 訳(挿絵 山野辺 進)
掲載誌がなぜDoubleなのか、と言うと長篇一冊分+雑誌一号分の小説が載ってるから、らしい。雑誌表紙にウールリッチの名前無し。
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⑷ The Fantastic Horror of the Cat in the Bag by Dorothy L. Sayers (初出The 20-Story Magazine 1925-5 as “The Adventure of the Cat in the Bag”)「鞄の中の猫」 ドロシイ・L・セイヤーズ 関 桂子 訳(挿絵 畑農 照雄)
20篇の小説が載ってるので20-Story誌。
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⑸ Lonely Place by Jack Webb (初出AHMM 1960-2, as by Douglas Farr)「桃の収穫の季節」 ジャック・ウェッブ 山本 俊子 訳(挿絵 金森 達)
AHMMのクレジットDouglas FarrはC. B. Gilfordのペンネームらしい。つまり俳優ジャック・ウェッブの名義貸しなのだろう。
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⑹ 「黒いレストラン 第2話 RはろくでなしのR」東 理夫 (挿絵 河原まり子)
連載ショートショート。今月の料理(レシピ付き)は生ガキ。
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⑺ Bon Voyage by Dan J. Marlowe (初出AHMM 1969-3, as by Jaime Sandaval)「よい旅を!」ダン・J・マーロウ 望月 和彦 訳(挿絵 つのだ さとし)
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⑻ Aftermath of Death by Talmage Powell (初出AHMM 1963-7)「死後の影響」タルメージ・パウエル 沢川 進 訳(挿絵 細田 雅亮)
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⑼ Here Lies Another Blackmailer by Bill Pronzini (初出AHMM 1974-6)「脅迫者がもう一人」ビル・プロンジーニ 山本 やよい 訳(挿絵 山野辺 進)
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⑽ Children at Play by Angus Greenlaw (初出AHMM 1966-7)「子供たちが遊んでいる」アンガス・グリーンロー 松下 祥子 訳(挿絵 畑農 照雄)
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(11) Object All Sublime by Helen W. Kasson (初出AHMM 1964-12)「崇高な目的」 ヘレン・カッスン 延原 泰子 訳(挿絵 楢 喜八)
本誌に英語タイトルの記載が無いが、FictionMags Indexでそれらしいのは上記だけ。
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(12) Intruder in the Maze by Joan Richter (初出EQMM 1967-7)「トウモロコシ畑の侵入者」ジョーン・リクター 秋津 知子 訳(挿絵 佐治 嘉隆)
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(13) Death of the Kelly Blue by Henry Slesar (初出AHMM 1968-11)「愛犬の死」 ヘンリー・スレッサー 橘 雅子 訳(挿絵 金森 達)
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(14) Ask a Policeman (単行本1933) リレー小説『警察官に聞け』連載第4回 「解答篇4 シュリンガム氏の結論」ドロシイ・L・セイヤーズ(Dorothy L. Sayers) 宇野 利泰 訳(挿絵 浅賀 行雄)
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アームチェア・ディテクティヴ特約の評論
エッセイ・オン・ハードボイルド「伝統は死なず」マイクル・サイドマン 竹本 祐子 訳
モーリス・A・ネヴィルのジョナサン・ラティマー追悼文とともに。近年のハードボイルドについての小文。
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HMM OPENING FORUMとして
『春はかなしいのだ(乾 信一郎)』バードウォッチングの話。
『表情のある機械たち(日暮 修一)』古いカメラと模型の車の話。
『サラリーマンの乱調読書戦術(結城 信孝)』新聞社勤務のミステリ読書の一日の記録。
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Dashiell Hammett: A Life by Dian Johnson (1983)「ダシール・ハメット伝: ある人生」ダイアン・ジョンスン 小鷹 信光 訳 連載第4回「四つの長篇小説(1927〜1928)」以下の日本円換算は当時の米国消費者物価指数を2020年と比較して算出したもの。
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読み物は
『続・桜井一のミステリマップ: スペンサーのボストン』もーちょっと書き込めそうだが… まー全然読んだことないし、興味も無い。
『共犯関係(青木 雨彦)2 銀行員について』ご存知ディック・フランシス『名門』についていつもの雨彦節。
『フットノート・メロディ(馬場 啓一)17 ミステリに於ける食事について』
『ハメットにダッシュ!(青山 南)5 ヴァイタリティ』年代別作品数(1923-1926)の分析。コディ編集長との関係を理解しておらず、見当違いなことを書いている。1925年の作品は「なんか、どこか違う」という感じを受けてるのはスルドいのだが。
『推理作家の出来るまで(都筑 道夫)97 むずかしい仕事』ポケミスのセレクションも任されていた都筑は古い感覚の翻訳者に、注をつけて良いから飛ばさないで完訳して欲しいと依頼するのだが、その翻訳者は「全部ホン訳するとかえってわからなくなる」とうそぶいて全然反省せず、細かいところを抜いた翻訳を続ける。そのため3、4冊は福島正実が初校にびっしり赤入れをして本にした。次の仕事を依頼されなくなったその翻訳者は乱歩に泣きついたが、都筑が赤入りだらけのゲラを見せると流石に乱歩も了解した。さて、問題です。その古い感覚の翻訳者とは誰か? ヒント。新青年時代から翻訳している。乱歩や横溝と親しい。都筑編集時代の前に、ある作家の翻訳を依頼されていたらしく、次はこの作品、などと次々と言ってきた。(都筑は、その作品は既に別の人に依頼していまして…とことごとく断っていたようだ。)
『連載対談 田村隆一のクリスティー・サロン5 オリエント急行の魅力(小池 滋)』
『ペイパーバックの旅(小鷹 信光)17 クラーク・ハワードのThe Arm』
『アメリカン・スラング(木村 二郎)5 ヒット・パレイド』
『フィルム・レビュー(河原 畑寧)ヒッチコック・リヴァイヴァル』
『新・夜明けの睡魔/名作巡礼(瀬戸川 猛資)5』『赤毛のレドメイン』について。前半中盤は色あせていたが、最後のモノローグが素晴らしいという。前回の『僧正』でも似たようなことを言っている。強烈な犯人像がお好きらしい。
『名探偵登場(二上 洋一)17 探偵小説のからくり仕掛人:亜 愛一郎』
『愛さずにはいられない(関口 苑生)5 “性”少女は尊いか?』
『ミステリ漫画(梅田 英俊) 通行人『内面はわからんもんだなあ…』』
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Crime Fileとして海外ミステリ情報を
『Crime Column(オットー・ペンズラー)29 マイク・ハマー、TVに登場』『Mystery Mine(木村 二郎)名無しの作品ファイル』『Key Suspects(西村 月一)デクスターの新作に触るゾ』『ペイパーバック散歩(宮脇 孝雄)ロス・トーマスの「モーディダの男」』『製作中・上映中(竜 弓人)』
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HMM Book Review(書評コーナー)
『最近愉しんだ本(小泉 喜美子) 栄耀の餅の皮』『新刊評(芳野 昌之/香山 二三郎)』『みすてり長屋(都筑 道夫/瀬戸川 猛資/関口 苑生)』『ノンフィクション(高田 正純)』『日本ミステリ(新保 博久)』『チェックリスト&レビュー(山下 泰彦)』
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最後に
『響きと怒り』『編集後記(S/N/K)』


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EQMM日本語版 1956年10月号 <4>
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