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本格ミステリ・ベスト10 2009 探偵小説研究会編・著 |
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雑誌、年間ベスト、定期刊行物 | 出版月: 2008年12月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
原書房 2008年12月 |
No.2 | 8点 | Tetchy | 2010/07/03 22:51 |
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この年とうとう『このミス』の追随書であった本書がその出来映えで本家を超えた、そう確信した内容だった。
新企画として「ミステリ作家オススメ映画アンケート」なるものが登場したのが大きい。こういう新しい企画こそ、マンネリになりがちなムックの梃入れとして必要なのだ。 だがこの企画、やはりミステリ作家の方々は通というか捻くれ者が多く、アンケートに挙げられた作品は一般的な物が少なく、逆に一般的な物が挙がると、非常に浅薄に見えるからまた不思議だ。成功したかどうかはもとよりも、内容云々ではなく、そのアイデアを買う。 ランキングは三津田信三、道尾秀介、有栖川有栖の三方の活躍が目立つ。特に三津田はようやく初首位に立ち、これで名実共に今の本格ミステリを代表する作家になった。妖怪シリーズを思わせる刀城言耶シリーズは本家からの世代交代を示すほどのクオリティと人気を誇り、京極夏彦のシリーズ新作がなかなか刊行されない渇きを潤す絶好のピンチヒッターとなった。 中身は相変わらずディープでオタクの薫りが漂うのは否めない物の、本当に本格ミステリが好きなのだという愛情に満ちている。本家『このミス』が単なる商業雑誌に堕ちてしまったのに対し、こちらの純化は非常に対照的である。 しかし今年も海外本格ミステリの扱いが日本本格ミステリに比べると少ないのはやはり合点が行かない。海外本格あっての日本本格である。海外本格の裾野はまだ広く、懐はまだまだ深いのだ。綾辻行人氏の新本格以降の本格ミステリファンが多い中、海外本格ミステリファンを増やす事はこのムックの大きな役割の1つと云えよう。 虚しい叫びかも知れないが、まだ私は声高に苦言を呈し続けよう。それだけ期待する価値がこのムックにはあるのだから。 |
No.1 | 4点 | 江守森江 | 2010/06/20 04:38 |
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本来なら年刊雑誌なので採点は一律の3点だが、この年度の特集「ミステリ映画マニアックス」が個人的にツボだったので1点加点する。
海外翻訳ランキングは相変わらず興味なし。 マニアックな雑誌自体の構成は安定してきて良い。 その一方で「早ミス」の発売も継続され、どちらもミステリー普及と宣伝効果は「このミス」に到底かなわないのだから「本ミス」は国内「早ミス」は海外と完全住み分けして生き残りを模索するべきだと個人的には思えた。 ランキング自体はネットでの雑談ネタでしかなく、わざわざ雑誌を見る時代ではなくなった。 しかし、ミステリ映像作品には今でこそ観たい作品がゴロゴロあり嬉しい反面で脅迫観念すら感じる。 |