海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ クライム/倒叙 ]
赤い指
加賀恭一郎シリーズ
東野圭吾 出版月: 2006年07月 平均: 6.89点 書評数: 45件

書評を見る採点するジャンル投票


講談社
2006年07月

講談社
2009年08月

No.25 6点 ミステリー三昧 2011/04/05 20:50
<講談社文庫>加賀恭一郎シリーズの7作目(長編)です。
素人が考える犯罪計画ともあって、ボロを見せすぎ故に加賀恭一郎にとっては簡単な事件だったと言えます。犯人視点で描かれる倒叙ミステリの面白みは、犯人の抱える弱みと強みが窺い知れること、そして、探偵といざ対峙した時にそれら要素がどう機能し、どう物語が転がりみせるのかという部分だと思っています。本作でいう弱みは、死体隠蔽の際に多く手掛かりを残してしまったこと。芝生、靴ひも、タイヤ跡の始末、手袋など、いかにも素人くさい凡ミスの数々。気付いた頃にはもう遅い。いつの間にか、しつこい問い攻めに逃げ場がないといった状況。相変らず、気付きレベルが半端ない。犯人の持つ強みとして挙げられる現状を打開する為の秘策に関しても、いざ真っ向勝負してみたら冷静にいなされ、泳ぎに泳がされ敗北宣言するといった有様。そして、ますます貫禄を増す加賀恭一郎。犯人すら知らない真実が明かされたときは「そんなバカな」という感じでした。私的には嬉しい不意打ちを食らわされた感じ。間違いなく、加賀ブランドは存分に味わえる作品です。本格ミステリとしてはまずまずです。

No.24 4点 じゃすう 2011/03/08 23:13
現実に似たような事件が起きたばかりということもあり、そこへきて犯人(側)視点の倒叙という、不愉快な話だった。
まず母親と息子にひどくイライラさせられた。さらに父親も情けない。早く読み終わりたいと思いつつページを繰った。

こうした倒叙形式のものは、うっかり犯人の方に感情移入してしまい応援したくなる、というのが優れた倒叙ものの条件のひとつのように感じていたが、その意味ではマイナスだった。
被害者遺族の憎しみ、悲しみについてはほとんど触れられておらず、不愉快な犯人の逮捕後の落ちぶれる様もさして描写されておらず、最後まで言い訳を言っており、そうしたカタルシス面でもあまり期待はできない。

『レイクサイド』でも感じたが、子が重大な罪を犯したとき、親は必死で子の罪を隠したいと思うのが自然だと作者は感じているのだろうか? それは子を持つ親としてもあまり納得がいかないとも思ったが、最後の最後でどうやらそういう単純なものではなかったと気づかされた。

家族のありように関しては考えさせられるものがあったのは確かである。

No.23 8点 2011/01/13 15:39
親子、家族(特に介護問題)をテーマとした社会派・倒叙ミステリです。
さすが東野さん。読ませるストーリー展開には感心します。テーマがテーマだけに、もう少し重く読みにくくしてもよかったのでは、と思うぐらいです。
メインストーリーのラストにはもちろん気持ちよく驚かされましたが、加賀親子について同一テーマで並行してサブストーリーを展開させ、オチまで付けたのは、心憎いほどのテクニックです。
正月のテレビドラマもなかなかの秀作。父親役の杉本哲太が好演していました。

No.22 8点 北浦透 2011/01/01 20:13
東野圭吾の描く「家族の物語」。
この分量で、テーマがしっかりしており、加賀刑事をはじめ人物の魅力が揺るがない。
家族の価値観を見直す意味でも、現代において必要とされる一冊だと思います。

No.21 9点 ムラ 2010/12/11 18:36
東野さんの作品の中でも加賀刑事シリーズは大好きですが、今回はさらに楽しめました。
相変わらず人間の心理を描きながらトリックを進めて行くのが上手いです。
赤い指というタイトルもバッチリ心に嵌る感じです
ただ、両親がボケるとか死ぬのは卑怯です。涙が止まらないじゃないですか

No.20 7点 ウィン 2010/09/25 12:18
東野さんのデビュー当時はまだ若々しかった加賀恭一郎も本作では結構年をとり腕のいい刑事になっている、もはやベテラン格といってもいいだろう。
月日の経つのは早いものだ。
さて、この「赤い指」で描かれるテーマは「幼児殺害事件」と「未成年による犯罪」が混ざったものだと思う。さらに、その犯罪の親による隠蔽工作も描かれる。
「幼児殺害事件」、「未成年による犯罪」のいずれもここ何年かで頻発している。「幼児殺害事件」は抵抗できない相手を殺害するという卑劣極まりない行為だし、「未成年による犯罪」は近年の犯罪事件の低年齢化を示している。
毎日のように新聞に少年犯罪の記事が掲載されるのを見ると馬鹿らしくなってくる。
ちなみにこの「赤い指」というタイトルが何を示すのかは読んでから分かるのだが、非常に重要なキーワードとなっている。

No.19 7点 seiryuu 2010/07/16 18:41
悲しい家族の物語
最初から最後まで暗かった。
親子 夫婦 といろいろあるけれど
信頼関係を築くことは簡単じゃないね。

No.18 7点 まさむね 2010/04/10 21:42
ミステリ要素云々は置いておきまして,純粋に良作。
教育・介護・家族…考えさせられますね。本当に東野さんは,うまい。
加賀恭一郎もピタリはまってますしね。いとこの松宮も良い。
後半はページをめくる手が止まりませんでしたが,ミステリ性を期待していた人はどうなんだろう?人間ドラマとして読んだほうが楽しめるかもしれません。
しかし,馬鹿餓鬼とその母には相当ムカムカしますよ。ご覚悟を。

No.17 6点 STAR 2010/03/05 10:15
ミステリーかと思って読んでしまったので、ちょっとがっかり。ミステリーではなく、親子の愛をテーマにした人間ドラマだと思います。
テンポは他の作品同様いいです。

うるさい妻・ダメな子供・介護が必要な親など・・・現実感あふれる設定のの中で、重いテーマを扱っています。

No.16 6点 simo10 2010/03/01 21:41
加賀シリーズ長編モノです。
多くの家庭が抱える社会問題をテーマにした、倒叙形式となっています。
犯行の動機から方法まで全て稚拙なのですが、その分妙にリアリティがあり、恐怖すら感じました。
実は加賀シリーズなので本格モノを期待していたのですが、ミステリ的には目新しい所もなくイマイチでした。
しかし、ラストのくだりはなかなか圧巻です。
重めの作品だけど、好きな人にはたまらないかも。

No.15 7点 江守森江 2010/02/09 04:06
変則的な倒叙形式で事件を描くのに平行して加賀刑事の親子関係を描き、現代社会の抱える家族関係の重いテーマを炙り出している。
相変わらずの細かな気付き、しつこい捜査、落としの技は加賀刑事らしさに溢れる。
重いテーマすら捨て駒にする「赤い指」のロジックと最後の捻りは秀逸。
この作品で加賀恭一郎は更に器がデカくなったと思える。

No.14 9点 ある 2010/01/27 00:53
重いテーマから始まったので,ちょっと暗い感じなのかな…?と思ったがそこは東野作品。
途中からページをめくるスピードが速くなり面白かった。

この頃の作品はやはり好きだ。

こんな風に子供が育ったらどうしよう…。

No.13 7点 spam-musubi 2010/01/07 17:47
現代の家族事情を鋭く抉る、ってとこでしょうか。

なんの予備知識もなく読み始め、どうにも欝な話しだな~
と思いながら読み進めましたが、
最後、共犯者が自供してからの流れは圧巻でしたね。

親の愛とは、親の介護とは…同年代の子を持つ父親として
考えさせられました。
推理小説が読みたいだけだったのに…

No.12 8点 りんちゃみ先輩 2009/10/12 14:55
考えさせられるテーマだったが、さすがに東野圭吾氏は読ませてくれる。悲しく胸につまされもするが感動もあじわうことが出来る。現代社会への警鐘とも取れる。

No.11 7点 だい様 2009/09/24 09:31
加賀恭一郎シリーズ第7弾

様々な親と子の形があるのだと感じた。
相変わらず加賀刑事の慧眼ぶりは凄いですね。
今作は特にテンポ良く感じました。
非常にリアリティのある話で今作も読まされました。

No.10 6点 あびびび 2009/09/16 22:19
現社会の抱える家庭内の問題がテーマ。

馬鹿息子がほとんど表面に出ないことで、逆に読み手の怒りと
賛同を分かち合える。

小粒だが、山椒のようにピリッと(死語か?)読者を刺激する。
佳作だと思う。

No.9 7点 いけお 2009/05/10 01:16
きれいにまとまっている作品。ミステリ的な要素はあまりないがそれでも楽しめた。

No.8 7点 itokin 2009/01/12 12:29
犯罪を犯した家族の恐怖がありありと表現されており読み手を引きつけます。ただ、終盤での政恵と加賀の心理をもう少し表現されていたらもっと盛り上がるのでは思いました。

No.7 10点 さとりん 2008/08/13 20:10
涙しました。
もうラストは号泣。
「母」「祖母」という言葉に弱いヒトには、絶対心に響くと思う。

No.6 7点 COBRA 2008/06/13 13:54
加賀刑事がいい。シリーズの醍醐味。


キーワードから探す
東野圭吾
2024年01月
ブラック・ショーマンと覚醒する女たち
平均:4.50 / 書評数:2
2023年09月
あなたが誰かを殺した
平均:6.60 / 書評数:5
2022年04月
マスカレード・ゲーム
平均:6.50 / 書評数:2
2021年09月
透明な螺旋
平均:4.33 / 書評数:3
2021年04月
白鳥とコウモリ
平均:7.29 / 書評数:7
2020年11月
ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人
平均:6.40 / 書評数:5
2020年03月
クスノキの番人
平均:6.25 / 書評数:4
2019年07月
希望の糸
平均:6.67 / 書評数:6
2018年10月
沈黙のパレード
平均:6.67 / 書評数:9
2017年09月
マスカレード・ナイト
平均:6.00 / 書評数:4
2017年03月
素敵な日本人
平均:6.67 / 書評数:3
2016年11月
雪煙チェイス
平均:6.00 / 書評数:2
恋のゴンドラ
平均:6.75 / 書評数:4
2016年08月
危険なビーナス
平均:5.50 / 書評数:4
2015年11月
人魚の眠る家
平均:6.88 / 書評数:8
2015年05月
ラプラスの魔女
平均:5.44 / 書評数:9
2014年08月
マスカレード・イブ
平均:6.00 / 書評数:11
2014年05月
虚ろな十字架
平均:6.50 / 書評数:6
2013年11月
疾風ロンド
平均:6.17 / 書評数:6
2013年09月
祈りの幕が下りる時
平均:6.56 / 書評数:16
2013年04月
夢幻花
平均:6.69 / 書評数:13
2012年10月
禁断の魔術
平均:5.73 / 書評数:11
2012年08月
虚像の道化師
平均:5.44 / 書評数:9
2012年03月
ナミヤ雑貨店の奇蹟
平均:7.00 / 書評数:15
2012年01月
歪笑小説
平均:5.29 / 書評数:7
2011年09月
マスカレード・ホテル
平均:6.30 / 書評数:27
2011年06月
真夏の方程式
平均:6.19 / 書評数:27
2011年03月
麒麟の翼
平均:6.08 / 書評数:24
2011年01月
あの頃の誰か
平均:4.22 / 書評数:9
2010年10月
白銀ジャック
平均:6.13 / 書評数:15
2010年07月
プラチナデータ
平均:5.14 / 書評数:14
2010年01月
カッコウの卵は誰のもの
平均:5.21 / 書評数:14
2009年09月
新参者
平均:6.70 / 書評数:33
2009年04月
パラドックス13
平均:5.77 / 書評数:13
2008年10月
ガリレオの苦悩
平均:5.71 / 書評数:17
聖女の救済
平均:6.85 / 書評数:47
2008年03月
流星の絆
平均:6.50 / 書評数:18
2007年11月
ダイイング・アイ
平均:5.62 / 書評数:16
2007年07月
夜明けの街で
平均:5.00 / 書評数:21
2006年12月
使命と魂のリミット
平均:6.43 / 書評数:14
2006年07月
赤い指
平均:6.89 / 書評数:45
2005年08月
容疑者Xの献身
平均:7.90 / 書評数:105
2005年04月
黒笑小説
平均:5.88 / 書評数:8
2004年12月
さまよう刃
平均:6.54 / 書評数:24
2004年01月
幻夜
平均:6.62 / 書評数:16
2003年08月
殺人の門
平均:4.43 / 書評数:14
2003年05月
おれは非情勤
平均:5.80 / 書評数:5
2003年03月
手紙
平均:6.61 / 書評数:38
2002年11月
ゲームの名は誘拐
平均:6.23 / 書評数:31
2002年07月
トキオ
平均:6.94 / 書評数:33
2002年03月
レイクサイド
平均:6.09 / 書評数:34
2001年06月
超・殺人事件―推理作家の苦悩
平均:6.31 / 書評数:26
2001年03月
片想い
平均:5.91 / 書評数:22
2000年06月
予知夢
平均:5.39 / 書評数:31
2000年04月
嘘をもうひとつだけ
平均:6.09 / 書評数:32
1999年08月
白夜行
平均:7.92 / 書評数:119
1999年02月
私が彼を殺した
平均:6.25 / 書評数:48
1998年09月
秘密
平均:7.14 / 書評数:78
1998年05月
探偵ガリレオ
平均:5.24 / 書評数:58
1997年02月
パラレルワールド・ラブストーリー
平均:6.89 / 書評数:36
1996年10月
名探偵の呪縛
平均:5.17 / 書評数:24
1996年09月
悪意
平均:7.79 / 書評数:110
1996年07月
毒笑小説
平均:6.12 / 書評数:8
1996年06月
どちらかが彼女を殺した
平均:5.56 / 書評数:71
1996年02月
名探偵の掟
平均:6.52 / 書評数:56
1995年11月
天空の蜂
平均:6.88 / 書評数:32
1995年10月
怪笑小説
平均:6.07 / 書評数:14
1994年08月
虹を操る少年
平均:4.94 / 書評数:18
1994年05月
むかし僕が死んだ家
平均:6.91 / 書評数:56
1994年02月
怪しい人びと
平均:6.00 / 書評数:16
1993年12月
浪花少年探偵団2
平均:6.33 / 書評数:9
1993年09月
分身
平均:6.50 / 書評数:26
1993年02月
同級生
平均:6.20 / 書評数:20
1992年10月
美しき凶器
平均:5.69 / 書評数:16
1992年03月
ある閉ざされた雪の山荘で
平均:7.07 / 書評数:88
1991年12月
天使の耳
平均:6.33 / 書評数:21
1991年07月
回廊亭の殺人
平均:5.52 / 書評数:27
1991年01月
変身
平均:6.10 / 書評数:40
1990年12月
仮面山荘殺人事件
平均:7.09 / 書評数:94
1990年07月
犯人のいない殺人の夜
平均:6.76 / 書評数:29
1990年06月
宿命
平均:6.73 / 書評数:33
1990年04月
依頼人の娘
平均:4.46 / 書評数:13
1989年10月
ブルータスの心臓−完全犯罪殺人リレー
平均:6.31 / 書評数:16
1989年07月
殺人現場は雲の上
平均:3.36 / 書評数:14
1989年05月
鳥人計画
平均:5.85 / 書評数:20
眠りの森
平均:5.88 / 書評数:32
1989年01月
十字屋敷のピエロ
平均:5.88 / 書評数:32
1988年12月
浪花少年探偵団
平均:6.00 / 書評数:10
1988年10月
香子の夢−コンパニオン殺人事件
平均:5.11 / 書評数:9
1988年07月
魔球
平均:6.52 / 書評数:40
1987年12月
11文字の殺人
平均:5.05 / 書評数:20
1987年06月
学生街の殺人
平均:6.43 / 書評数:23
1986年08月
白馬山荘殺人事件
平均:5.46 / 書評数:26
1986年05月
卒業−雪月花殺人ゲーム
平均:5.29 / 書評数:38
1985年09月
放課後
平均:5.52 / 書評数:67
不明
たぶん最後の御挨拶