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[ 本格/新本格 ]
死者が飲む水
島田荘司 出版月: 1987年05月 平均: 7.06点 書評数: 17件

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光文社
1987年05月

講談社
1992年03月

(株)南雲堂
2006年09月

講談社
2008年03月

(株)南雲堂
2008年04月

No.17 7点 take5 2024/01/08 21:09
この作品で江戸川乱歩賞三度目のノミネート
しかし無冠の帝王、受賞ならず、、、

南雲堂文庫353ページにある
「適度の怠惰と、そして保身のための計算とで、
日常の正義は、そして平和は、守られている。」
牛越刑事のこの台詞は、
自嘲や犯人へのリスペクトを感じるもので
わざと言わせる島荘らしさ。
私にはここがクライマックスです。

時刻表トリックの第二弾の方は、
、、、ちょっとやり過ぎでした。
しかし事件の背景は
島荘らしい社会派で
私には好ましかったです。

飢餓海峡じゃないですが
青函連絡船の転覆事件が
伏線となっているのも感慨深いです。

No.16 7点 虫暮部 2020/06/18 12:20
 この動機は単なる八つ当たりでしょう。但し、それゆえの“殺人者になどなりたくはなかった、運命にあやつられているような気がした”と言う心情は、さほど緻密ではない計画をその場の流れで決行したような犯人に見合っている気がした。
 “実の子だから”との理由で容疑者から外すのは作者の手抜きだな~。きちんとロジックを考えるのが面倒だった?

No.15 5点 蟷螂の斧 2020/03/27 16:28
「樽」「蝶々殺人事件」「黒いトランク」の流れを汲む一冊。本作が一番わかりやすいトリックで、その点は高評価です。しかし犯人以外の容疑者については、もっと早めに開放して欲しかった(ページをカットして欲しかった)。謎の一時間で中盤まで引っ張られて、蓋を開けたら???。かなり萎えました(苦笑)。

No.14 8点 あびびび 2019/10/17 13:40
三分の一くらいで犯人に気づき、他の人への捜査がもどかしかったが、メイントリックは見事だった。そこまでは思い浮かばなかった。だいたいが、相性の悪い作家だけど、初期の作品は好みです。

「黒いトランク」以上に楽しめた気がする。

No.13 7点 ボナンザ 2018/11/18 09:53
社会派よりの作風ながらトランク詰めの死体という推理小説好きならピンとくる設定を使い、見事に新たな道を切り開いている傑作。

No.12 6点 いいちこ 2016/12/06 18:55
犯行プロセスのあざとさや偶然性の介入、人物造形の弱さ等に難を感じるところだが、メイントリックが相応のサプライズを演出しているのは確かでこの評価

No.11 7点 斎藤警部 2015/06/02 18:40
手堅い中にも荘司さんらしい華がある、社会派寄りアリバイ崩しの秀作。
記憶しているのはそれだけ。トリックから何から忘れてしまった。いつか再読したい。

No.10 8点 バード 2013/11/07 00:38
御手洗シリーズを含む2つのシリーズに出てくる普段はわき役の男が奮闘したアリバイトリック、鮎川さんの「黒いトランク」がモデルなのは明らかだがこちらを先に読んだ。
自信満々の推理をするも犯人に論破されかけるあたりが御手洗のような超人キャラとの差で言葉につまりながらもなんとか解決に近づいていく様子は読者も探偵役と一体感を覚えられた。探偵役のキャラが凡人タイプなので雰囲気は渋いがそういった味以外にも実はアリバイトリックが堅実でかつ島田さんのオリジナル要素も組み込まれていてアリバイものとしてはかなりの良作といった印象。

No.9 6点 まさむね 2011/06/12 19:17
 札幌在住の両親の結婚記念日に合わせて,2人の娘が送付したトランク。中にはプレゼントが入っているはずだったが,開けてみたら父親のバラバラ遺体が。死因は「海に非常に近い川」での溺死。
 トランクの動きと被害者の動きを組み合わせることで,確かに魅力的な謎に仕上げています。でもなぁ…私は正直,解決までのプロセスが無駄っぽく感じましたね。特に「指紋」のくだりはちょっと疑問。トリックを見極める証拠の提示もフェアとは言い難いような・・・。
 うーん,牛越刑事への懐古的親近感でプラス1点。

No.8 6点 HORNET 2011/01/10 20:23
 一介の刑事・牛越が,トランクで贈られてきたバラバラ死体殺人事件の謎に挑む。ご丁寧に,捜査が空回りしている段階も全て描かれていて,退屈といえば退屈でしたが,現実味があるといえばそうともいえます。またそれにより,牛越刑事の愚直さが描かれていると考えれば,物語として無駄な部分とは感じませんでした。

No.7 7点 spam-musubi 2010/06/04 11:50
御手洗の対極にあるような、牛越刑事の地道な地道な
捜査活動にひきこかれるものがあった。

この手の派手なトリックは、ともすると理由が薄く
「トリックのためのトリック」になりがちだが、
犯人がこのトリックを弄した理由も納得性が高く、
すっきりと腑に落ちる。

No.6 9点 りんちゃみ先輩 2009/11/01 20:37
島田荘司ミステリ第三弾とのこと、さすがに初期の作品は時間に追われずジックリ考え込まれた重厚な物語に仕上がっていると思う。御手洗とも吉敷とも関わりをもつ(持っている)牛越刑事だがこのキャラクターが私は大好きである、牛越シリーズがあったならと思う。素晴らしい作品だ!

No.5 8点 E-BANKER 2009/08/09 22:51
御手洗シリーズ、吉敷シリーズの双方に登場する名脇役、北海道警の牛越刑事が唯一主役を張る作品。
個人的には、初めて読んだ島田作品になります。(珍しいかも)
~札幌の実業家・赤渡雄造の自宅に届いた2つのトランク。その中に入っていたのは、バラバラ死体となった赤渡本人だった。鑑識の結果、死因は溺死と判明する。だが、札幌署・牛越刑事の必死の捜査にも関わらず、関係者全員に鉄壁のアリバイが! 死者の飲んだ水に秘められた悲しき事件の真相とは?~

2つの大型トランクの中に詰め込まれた男のバラバラ死体が、被害者の自宅に届けられるところから事件の幕が開き、やがて、札幌~水戸~東京の3地点を運ばれた「トランク」の動きが「鍵」に・・・
ここまで書くと、本作が鮎川哲也の名作「黒いトランク」へのオマージュ作品なのがよく分かります。(もちろん、F.Wロフツ「樽」や横溝正史「蝶々殺人事件」とも共通のプロットを含んではいますが・・・)
ラスト、牛越と真犯人の対決シーンはなかなか読み応えがあります。
真犯人が仕掛けた「強力なアリバイトリック」が牛越の粘り腰で崩される瞬間が感動的!
ただ、「現場」の位置に関する箇所は、土地勘でもない限り、読者が解明できる材料が薄いのがちょっとアンフェアと言えるかもしれません。
とにかく、普段の島田作品とは一味も二味も違うテイストを楽しめる佳作という評価ですし、作者の懐の深さを感じさせてくれます。
(初期作品の名バイプレイヤー・牛越刑事が唯一主役を張るのが本作。フレンチ警部など過去のあまたの凡人探偵を超える「凡人」ぶりが本作のポイント。でも、その凡人さが最後になって生きてくる・・・)

No.4 7点 測量ボ-イ 2009/05/24 09:44
島田氏初期の作品。まだ3作めくらいでしょうか?
内容自体は「占星術」や「斜め屋敷」と比べると地味で平凡
ですが、僕好みの話しの展開(元々トラベルもの好き)です
し、牛越刑事も何となく好感もてるキャラなので、7点評価
です。

No.3 7点 白い風 2008/11/11 23:15
二つのトランクに詰め込められたバラバラ遺体事件。
遺体移動によるアリバイトリックがメインですね。
鮎川「黒いトランク」や横溝「蝶々殺人事件」を彷彿させます。
トリック的には及第点だと思うが、作品的にはちょっと地味かな。

No.2 7点 Tetchy 2008/10/29 14:21
御手洗シリーズ『斜め屋敷の犯罪』で登場した牛越刑事が主役を務めるスピンオフ作品。
北国の叙情が滲み出てくるようだ。
でも時刻表トリックはやっぱり苦手。

No.1 8点 なおゆう 2003/05/11 11:01
牛越刑事の地味〜な捜査ぶりが、退屈さを感じさせるどころか、読後妙に好印象として残るから不思議。奇抜すぎるトリックも、意外な真犯人像もないけれど、静かな良質の社会派推理小説を読んだという感じです。


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