皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 透明人間の納屋 |
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島田荘司 | 出版月: 2003年07月 | 平均: 6.25点 | 書評数: 12件 |
講談社 2003年07月 |
講談社 2009年02月 |
講談社 2012年08月 |
No.12 | 6点 | ことは | 2024/01/03 15:01 |
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さすが島田荘司。謎の盛り上げは実によい。不可能興味が半端じゃない。しかし、解決はあっけないもので、すこし物足りない。
全体の語りも、視点人物の終盤の感慨はよい感じだが、色々な要素を詰め込んでいて、すこしゴタゴタしている。まあ、そのゴタゴタ感も、島田荘司の味なのだけれど。 「ミステリーランド」叢書としては、(このシリーズには多いけど)あまり子供向けではないよね。 |
No.11 | 6点 | いいちこ | 2021/11/16 20:16 |
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これはテーマの選定と、プロットの構築力の勝利だろう。
本格ミステリとしては至ってチープであるにもかかわらず、サプライズを演出している。 こども向けミステリーとして執筆していること自体が、一種のレッドへリングとして機能している点に至っては、見事と言わざるを得ない。 これだけ内角高めのストレートを投げられると、外角低めに切れるスライダーを打つのは難しい。 小品であるがゆえに、これ以上の評価は難しいが、著者の類まれな力量が光る、一読の価値がある佳作 |
No.10 | 6点 | まさむね | 2015/08/22 23:53 |
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島荘による「ミステリーランド」作品。いやー、この時点で既に興味津々ですよねぇ。(私だけか?)
で、魅力的な謎と人物描写、そして何より真相の規模と結末…この構想自体がまさに島荘。読中、様々な感情を抱かせてくれました。流石であります。 一方で、密室トリック自体は、ちょっと拍子抜け。まぁ、このトリックは「おまけのおまけ」みたいなものですがね。 ちなみに、イラストも含め、少年・少女にはちょっとキビシイ感じがするなぁ。 |
No.9 | 6点 | メルカトル | 2013/12/30 22:39 |
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再読です。
いかにも島荘らしい、本格と社会派を上手く合成させたような作品。一連の流れとしては、まず主人公の「ぼく」の視点から、唯一とも言える信頼でき親しみを感じている大人の真鍋との友情を暖かく描き、その後透明人間の仕業としか考えられない不可思議な現象と事件を持ってきている。そして最後にはその謎解きと共に社会派の一面を覗かせるという、島荘の本領発揮といった感のある、本格ミステリと言っていいだろう。 ただ、その結末は悲惨なものであり、とても子供向けとは思えないところがやや気にはなるが、問題提起としてはさすがに考えさせられる。 読後、思えば冒頭の「ぼく」と真鍋とのやり取りが実に長閑で、その辺りを読んでいたのが至福の時だった気がする。特に自分の視点から地平線までの距離を示された時には、そうなのかと心底驚いた。 |
No.8 | 6点 | E-BANKER | 2013/02/23 16:00 |
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2003年、「講談社ミステリーランド」シリーズとして配本されたなかの一つ。
子供向けの作品でも「島荘はやはり島荘」だった! ~昭和52年の夏、一人の女性が密室から消え失せた。母子家庭の孤独な少年・ヨウイチの隣人で、女性の知人でもある男性は「透明人間は存在する」とささやき、納屋にある機械で透明人間になる薬を作っていると告白する。混乱するヨウイチ・・・。やがてその男は海を渡り、26年後、一通の手紙がヨウイチに届く。そこには驚愕の真実が記されていた!~ これは本当に子供向けというのを意識して書かれたのだろうか? 主人公は一人の少年(小学校低~中学年くらいか?)だし、ボリュームは抑えられているなど、作品の体裁としてはそれっぽいのだが、書かれている内容は実にシビアでハードな内容・・・。 これを小学生や中学生が読んで、理解できたのだろうか? まぁそれはともかく、本作のプロット・筋立てはいつもの「豪腕・島荘」のままだ。 殺人現場から死体が消失し、その理由が「透明人間」なんて、奇想と言わずして何と言うのか。 密室からの消失トリック自体は、さすがにそれ程のレベルではない。 ただ、そんなことは二の次、二の次・・・。 物語としての、この「壮大さ」はどうだ! 子供向けのストーリーの背景にあの「歴史的&社会的事件」が使われるなんて・・・ これは子供向けの名を借りた社会派ミステリーなのかもしれない。 ミステリーとしての完成度も水準も全く異なるが、名作「奇想!天を動かす」をなぜだか思い出してしまった。 やはり、稀代のミステリー作家なんだよなぁ・・・。 (最後の一行は相当切ない) |
No.7 | 8点 | 蟷螂の斧 | 2012/09/15 14:30 |
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(ミステリーランド)もはや子供向けではないと思います。ミステリーランドの主だった作品の11冊目ですが、さすが島荘という感じですね。抜きん出ています。透明人間のオチをどうつけてくれるのか?一応、子供向けなのでSFチックで終了?と思いきや、キッチリと処理されています。アメリカを批判している意味もラストで解明。スッキリした読後感です。 |
No.6 | 8点 | Tetchy | 2012/08/20 22:18 |
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講談社が打ち立てた児童文学ミステリの叢書「ミステリーランド」シリーズの1冊として書かれたのが本書だが、子供向けというにはなかなかハードな内容だ。
透明人間になってしまったとしか思えない殺人事件の内容はもとより、事件の背景となる主人公ヨウちゃんの家庭環境や隣人真鍋さんとの関係など、およそ子供の読み物とは思えない内容に眉を潜めてしまう。 大人の卑しい部分を若干オブラートに包んではいるが、はっきりと描いている。 重ねて表紙も含めて物語に挿入される石塚桜子氏のイラストは抽象的で観念的で禍々しくておどろおどろしく、怖さを助長させ、読者の子供諸氏はトラウマになるのではないだろうか。 とまあ、いきなりネガティヴな感想を羅列してしまったが、やはり島田、他のミステリ作家の一つ上を行く完成度だ。 まさか透明人間の話が世間をにぎわせたあの事件に繋がるとは! さらに密室のトリックはカーの某作を彷彿させ、原典を改善して説得力を増している。 21世紀本格を目指しながら古典ミステリにも材を得る、島田のミステリマインドの幅広さに感服してしまった。 |
No.5 | 7点 | 臣 | 2012/03/17 15:23 |
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①ナイーブな少年の視点、②社会的、歴史的な背景と真相、③密室トリック この3本柱の超豪華?本格ミステリーです。
キャッチフレーズが「かつて子どもだったあなたと少年少女のための・・・」とのことなので、①はしかるべしです。そしてその出来は想像以上のものでした。 ②は踏み込みすぎの感あり。でも島田氏はどうしてもこれを骨子にして書きたかったのでしょう。物語の年代や書かれた年代を頭に浮かべながら真相を推理しましたが、まったくダメでした。 ③はちょっと無理があるものの、②を前提にすればなんとか許容できます。 中でもいちばん気に入ったのがヨウイチ少年の真鍋さんとの交流話。 宮本輝の「泥の河」なんかもそうだけど、子どもの視点で書かれた切ない少年物語には郷愁を覚えます。また、おじさん(島田氏)がどうしてあれほどに子どもらしい子どもの心を描けるのか、と感心もさせられます。 「Pの密室」の御手洗潔よりも少年らしい少年が描かれているところもよかったです(笑)。 |
No.4 | 5点 | 白い風 | 2011/11/02 23:28 |
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『ミステリーランド』2冊目だったけど、完全な大人向きな気がしました。
(文章は子供向けだけどね) アメリカに対する批判や、北朝鮮の問題など、ちょっと社会性が強かったね。 トリック的にはビミョウだったけど、そこに突飛も無い”透明人間”の話を加えたところが子供向きなのかもね。 個人的には読書疲れた大人に読んでもらいたいかも?(笑) |
No.3 | 5点 | seiryuu | 2010/07/16 17:26 |
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子供向けと思ってたからラストはビックリ。 |
No.2 | 7点 | しゃんテン | 2004/07/05 16:49 |
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導入部ではかなりの読みづらさを感じた。一人称の語り口調が現在は大人だけど、子どものときを思い出して書いているのだが…その語り口調も会話文の中で出る主人公の台詞も「こどもっぽくない」ように感じた。もっともわたしの考える「こどもっぽさ」と合わない。ただそれだけなのかもしれない。ただ、大人としても考えても小難しい言葉が多すぎて読みづらい。 でも、良く考えるとこの小難しさも背伸びしよう背伸びしようとするある種の「子どもっぽさ」なのかも知れない。私の子どものころには確かに難しい言葉を使う子もたくさんいたし。
前半の入り込みづらさはともかくとして…。全体的に言えば面白かった。 事件の説明について等非常に分かりやすかったし… 父のいない少年と彼に対する唯一の理解者・真鍋さんとの少し変った心の交流。そして、事件が落とす影。さらに少年が真鍋さんにした酷いこと。 また、少年自身は気づいていない大人の事情も垣間見えて、その点も面白いというか、位面白さがある。 少年が真鍋さんにした酷いことの件では、前半あれほど話しに入りづらかったことも忘れて思わずなきそうになってしまった。 本格ミステリとしてどうなのかなんて私には分からない。 でも、ある種の暗い青春?小説としては楽しめた。 |
No.1 | 5点 | りえ | 2004/01/22 22:48 |
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初めて読んだ島田作品がコレ。強引な展開だなーと思った。 |