皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 水上都市の冒険 御手洗潔シリーズ |
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| 島田荘司 | 出版月: 2026年07月 | 平均: 6.33点 | 書評数: 3件 |
![]() 講談社 2026年07月 |
| No.3 | 6点 | kanamori | 2026/08/24 11:54 |
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| 運河に繋留されたダルマ船に住み込み、クラスで誰からも相手にされなかった「ぼく」江口富雄に、ただひとりアメリカ帰りの御手洗くんが話しかけてくれて友達同士になる。そして、沖仲仕のぼくの父親が画家殺しの容疑で逮捕された事件に対し、名探偵のごとく真相を突き止めたのも彼・御手洗くんだった。別クラスの鈴木えり子を加えた中学生3人組は、街で起きる事件に次々と出くわす。(第1話「汐汲坂の殺人」等より)
水上生活者、”アイノコ”、ヒロポン、街頭テレビ……… 昭和30年代の港町・横浜を舞台に、中学生の御手洗くんが、各話で快刀乱麻の謎解きを発揮するジュブナイル・ミステリの連作短編集です。 御手洗の子供時代の事件簿だと「Pの密室」がありますが、幼稚園児の御手洗が警察を差し置き殺人事件を解決したリ、ピタゴラスの定理を使って密室殺人を謎解く小学校2年生といった、天才ぶりを披露したいがあまり、特殊設定のミステリか!とツッコミが入る作品集になっていましたが、本作は年齢相応の真っ当なジュブナイル・ミステリになっています。以下、2話目以降の話の寸評を挙げておきます。 2話目の「踊る人形」は、なんか最近同じ様なネタの作品を読んだような気がするw 「火事マニア」は、”八百屋お七”のエピソードをホワイダニット・ミステリに取り入れた某短編とは別の真相を用意した作品で、編中の個人的ベスト。 「マジシャン御手洗くん」は、メイントリックがクロフツ先生の某長編が由来ではないかと。 最後の「歯磨きチューブ」は、第1話に出てきたホステスの同僚が殺された話で、展開に冗長さを感じるも、独自性がある動機が印象的。 全体的に探偵役が小学校の高学年ぐらいでも成立しそうですが、たぶん作者が書きたかったのはエモーショナルな青春ミステリなので、小学生ではなく中学生探偵団になったのかもしれない。 |
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| No.2 | 7点 | 虫暮部 | 2026/08/12 15:08 |
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| これはなかなか素敵な作品集。
物凄いトリックがあるわけではない。が、“ストーリー” でも “文体” でもなく、言ってみれば “エピソードを構成する個々のパーツ” のリズムが心地良い。 御手洗くんはやはり見ているもの摑んでいることが他の人とは違うけど、その微妙なズレが生み出すグルーヴが感じられた。受け手である記述者少年の反応がまた優しく絶妙で、決して御手洗くんの独り舞台にはなっていない点も良かった。 “何を” ではなく “どのように” 書くかで生まれる価値。少年時代を舞台に据えたせいで偶然生じたのかも知れないが、島田荘司が今になってそんなものを手にしたとは吃驚&感激。 |
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| No.1 | 6点 | メルカトル | 2026/08/08 22:21 |
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| 惜しい。6点か7点で迷いましたが、最後の書下ろしが謎がやや強引だったのが気になり、評価が落ちました。しかし、御手洗潔ファンは必読の書だと思います。御手洗くん中学生の時の事件簿で、謎の規模は小さいものの全体的にまずまずの好篇が続き、昭和30年代の横浜の雰囲気が肌で感じられます。又少年少女の個性が際立っており、特に鈴木えり子の別れ際の「さみしいよー」の台詞がジーンと来ます。
私の一番のお気に入りは『火事マニア』。他は江口くんの一人称で語られますが、これに限ってはえり子目線で描かれています。途中で事件の大筋は見えて来ますが、容疑者の野本君が頑なに口を閉ざす気持ちが分かり過ぎて、うーんそうだよなと同情を禁じ得ません。他は正直どれも平均的な出来で、事件の規模が小さいので、あまりドラマティックとは言えません。が、少年少女達の揺れ動く心情が切なく描かれており、本格ミステリでありながら青春ミステリの一面も見逃せません。それにしても、この頃から御手洗潔は警察を信用していなかったんですね。いや、それは幼稚園の頃からか。 |
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