海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 本格/新本格 ]
ローズマリーのあまき香り
御手洗潔シリーズ
島田荘司 出版月: 2023年04月 平均: 5.83点 書評数: 6件

書評を見る | 採点するジャンル投票


講談社
2023年04月

No.6 6点 測量ボ-イ 2023/12/02 15:36
久々の御手洗ものですね。
長らく氏の作品を読んでる人間からすれば、
また格別の感慨があります。
密室殺人で謎の設定は魅力的ですが、解決は…
まあいいでしょう 笑
ミステリとしてはともかく、読み物として評価
したい作品。

採点は7点(基礎点)-1点(さすがにこのトリック
は減点せざるを得ない)

No.5 5点 HORNET 2023/08/14 20:45
 1977年10月、世界中で人気を博す、生きる伝説のバレリーナ・クレスパンが密室で殺された。しかも殺されたのはニューヨークで行われていた講演の2幕と3幕の間、それなのに殺されたはずのクレスパンは最終幕まで舞台で踊っていたと、観客みんなが証言した。「クレスパンだからこそ、死後も最後まで踊り続けたのだ」―まことしやかな伝説と化しながら事件の真相が分からないまま時は過ぎ、20年後。世紀の謎は、名探偵・御手洗潔の手に委ねられた―

 7年ぶりの御手洗シリーズ、そりゃとりあえず読む。謎の不可能度は高く、謎解きへの期待はかなり高まるが、一方で不要な挿話が多く、御手洗登場までも長い。つまり不必要に長い。
 作風は同氏「摩天楼の怪人」を彷彿とさせる。ただ「この不可能にしか見えない状況がどんな『驚愕の』仕掛けによって解き明かされるのか?」という膨らむ期待に応えるものとしては、真相はイマイチだったかもしれない。
 とはいえ、氏の代名詞ともいえる「御手洗シリーズ」の長編を書き続けていることにはうれしさを感じる。可能な限り続けてほしい。どのみち絶対読む。

No.4 6点 メルカトル 2023/07/12 22:40
世界中で人気を博す、生きる伝説のバレリーナ・クレスパンが密室で殺された。
1977年10月、ニューヨークのバレエシアターで上演された「スカボロゥの祭り」で主役を務めたクレスパン。
警察の調べによると、彼女は2幕と3幕の間の休憩時間の最中に、専用の控室で撲殺されたという。
しかし3幕以降も舞台は続行された。
さらに観客たちは、最後までクレスパンの踊りを見ていた、と言っていてーー?
Amazon内容紹介より。

『暗闇坂の人喰いの木』以降の、年一回ペースで刊行されたいた頃のシリーズ作品と比べると、やはり随分見劣りしてしまう感は否めません。ただその構成は相変わらず読み応えがあり、長いけれど冗長とは感じませんでした。
冒頭の謎の提示は強烈で、文句なく読書欲を掻き立て、難なく惹き込まれます。一体何が起こって、どうすればこの様な不可解な謎を合理的に解決できるのか、いやでも期待は高まります。

しかし、真相は余りに貧弱でそれはないんじゃないの?と思わずにはいられませんでした。それに解決編があまりにあっさりし過ぎでしょう。何だかフィンランドの教授とかになって偉くなった御手洗はそれに見合った人格者で、かつての変人ではなくなってしまって往年の作品のファンからするとちょっと淋しいかなと思います。
まあ、Amazonの評価はあまり参考にしない方が賢明ですね。彼らは懐かしさのあまり過剰評価している気がします。いずれにせよ、定価で買って読む程の作品ではなかったです。ミステリとしては残念でしたが、それ以外の所での読み物、社会派の一面やメルヘンの世界に飛び込んだような記述、ユダヤ人と日本人のくだりは面白く読めました。

No.3 6点 虫暮部 2023/07/07 12:21
 ネタバレしつつ文句を色々:
 プリマドンナの唯一性について、“誰も代わりにはなりえない” と神格化せんばかりに前半で述べておいて、結局あの真相。二重基準ではないか。私の心情的には限りなくアンフェアに近い。
 トリックの目的はアリバイ工作だけれど、死亡時刻(=犯行時刻)を誤魔化せていないのだから意図通りに機能はしていないよね。あのまま放置して逃げても、密室状況は成立し、セキュリティの彼が疑われる成り行きは変わらない。単に、“死後も踊った” 伝説を図らずも作っただけだ。
 摩天楼のこういう感じの仕掛け、タイトルは忘れたけど以前にも読んだ気がする。
 休憩時間と言っても出演者にしてみれば本番の一部であって、そのタイミングであんな話を携えて訪れるなんて、犯人側はそもそも舞台表現を全然尊重していないんだな~。それはそれでリアルか。
 ところでキヨシ、事実が告白の通りなら、罪状はマンスローターに該当するのでは。

 でも面白かった。と言うか面白さとつまらなさが幾重にも重なり合ったミルフィーユ。そしてそれこそまさに島田荘司の作風である。

No.2 6点 人並由真 2023/06/23 08:21
(ネタバレなし)
 1977年のニューヨーク。世界的に有名な美人バレリーナ、35歳のフランチェスカ・クレスパンの公演が行われるその夜、彼女の死体が地上50階の高層フロアの密室で見つかる。だが死亡推定時刻のその後も、彼女はプリマドンナとして舞台に立っていた!?

 魅力的な謎の設定だが、600ページ以上という本の厚さにウエ~となる。 
 しかし島田作品だから何となくそうなるんじゃないかと思っていたら、予想通りにスラスラ読めて二日で読了した(笑)。

 謎解きミステリとしての結末は、もしこの真相を新人作家が真顔で書いていたら、全国のミステリファンから総叩きに遭い、お前は才能ない、ミステリ作家やめて田舎に帰れ、と罵られそうなもの。あまりに豪快なので、一種の裏ギャグ的な冗談なのかとも、今でも半ば思っている。
(いや、実際にそうかもしれない?)

 ただしアレな謎解きパズラーである一方、とにかく読み物ミステリとしてのある種のダイナミズムは感じるのも確か。質的なベクトルは違うんだけど、乱歩の通俗長編に似た、読者を喰いつかせる独特のパワーを見やるというか。

 90~00年代の島田歴代作品にはほとんど縁がない、まったく島田ファンでない現在の評者には、現在に至るこの人の長編ってこーゆーのもアリなのかな、とも思ったりする(それでも10年代の半ば以降の新作長編は、一応、全部読んではいるんだよ・汗)。
 
 なお、この新刊の長編、帯には「「メフィスト」連載時から絶大な反響を受けた~」と謳われてるが、奥付手前のページには「本書は書き下ろしです」とある。どっちじゃい? ファンの方、教えてください。

No.1 6点 ことは 2023/06/18 22:31
まあ、解決はだめですね。反則です。
でもね、そこまでは読ませるんですよね。謎の盛り上げはいいし、関係なさそうなエピソードも盛り込み、ファンタジー小説が挟まり、世界近代史から世界情勢まで取り込んで、解決になだれ込む。解決シーンも、映像を思い浮かべれば、実に映える。「アトポス」頃の大作を思い起こさせる、豪快な作品。
さすが豪腕、島田荘司です。70歳を超えて、いまだパワフル。それだけで、期待は満たされたかな。
でも、解決は期待しないでねー。


キーワードから探す
島田荘司
2023年04月
ローズマリーのあまき香り
平均:5.83 / 書評数:6
2019年08月
盲剣楼奇譚
平均:6.33 / 書評数:3
2018年08月
鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース
平均:6.14 / 書評数:7
2016年05月
御手洗潔の追憶
平均:5.00 / 書評数:2
2016年04月
屋上の道化たち
平均:5.80 / 書評数:10
2015年09月
新しい十五匹のネズミのフライ
平均:5.67 / 書評数:6
2014年08月
幻肢
平均:5.00 / 書評数:3
2013年10月
星籠の海
平均:5.69 / 書評数:13
2012年09月
アルカトラズ幻想
平均:6.00 / 書評数:5
2011年10月
ゴーグル男の怪
平均:4.67 / 書評数:3
2011年04月
追憶のカシュガル
平均:5.14 / 書評数:7
2010年06月
写楽 閉じた国の幻
平均:7.00 / 書評数:12
2007年10月
リベルタスの寓話
平均:5.75 / 書評数:8
2006年11月
最後の一球
平均:6.00 / 書評数:10
2006年10月
犬坊里美の冒険
平均:5.25 / 書評数:12
2006年09月
光る鶴
平均:5.00 / 書評数:5
UFO大通り
平均:5.47 / 書評数:15
2006年06月
溺れる人魚
平均:4.33 / 書評数:9
2006年05月
帝都衛星軌道
平均:5.75 / 書評数:4
2005年11月
エデンの命題
平均:5.29 / 書評数:7
2005年10月
摩天楼の怪人
平均:6.07 / 書評数:15
2004年10月
龍臥亭幻想
平均:6.64 / 書評数:11
2003年10月
ネジ式ザゼツキー
平均:6.00 / 書評数:22
2003年07月
透明人間の納屋
平均:6.25 / 書評数:12
2003年03月
上高地の切り裂きジャック
平均:5.77 / 書評数:13
2002年12月
セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴
平均:5.94 / 書評数:18
2002年11月
吉敷竹史の肖像
平均:5.50 / 書評数:2
2002年08月
魔神の遊戯
平均:5.86 / 書評数:22
2001年10月
ロシア幽霊軍艦事件
平均:6.22 / 書評数:27
2001年08月
ハリウッド・サーティフィケイト
平均:6.27 / 書評数:11
パロサイ・ホテル
平均:6.00 / 書評数:2
パロサイ・ホテル 御手洗パロディサイト事件
平均:4.11 / 書評数:9
2000年06月
聖林輪舞-セルロイドのアメリカ近代史
平均:7.50 / 書評数:2
1999年11月
最後のディナー
平均:5.05 / 書評数:20
1999年10月
Pの密室
平均:6.23 / 書評数:31
1999年06月
涙流れるままに
平均:7.55 / 書評数:22
1998年10月
御手洗潔のメロディ
平均:5.25 / 書評数:32
1997年11月
三浦和義事件
平均:7.00 / 書評数:2
1996年01月
龍臥亭事件
平均:6.22 / 書評数:40
1994年10月
天に昇った男
平均:6.70 / 書評数:10
1993年11月
アトポス
平均:6.43 / 書評数:35
1992年12月
天国からの銃弾
平均:6.88 / 書評数:8
1992年10月
眩暈
平均:6.86 / 書評数:44
1991年12月
飛鳥のガラスの靴
平均:5.23 / 書評数:13
1991年10月
水晶のピラミッド
平均:5.54 / 書評数:46
1991年02月
ら抜き言葉殺人事件
平均:5.07 / 書評数:15
1990年11月
暗闇坂の人喰いの木
平均:7.20 / 書評数:75
1990年09月
都市のトパーズ
平均:3.00 / 書評数:3
1990年08月
踊る手なが猿
平均:6.50 / 書評数:6
1990年07月
御手洗潔のダンス
平均:6.37 / 書評数:30
1990年02月
羽衣伝説の記憶
平均:5.71 / 書評数:14
1989年11月
御手洗潔の挨拶
平均:6.35 / 書評数:49
1989年09月
見えない女
平均:5.80 / 書評数:5
奇想、天を動かす
平均:7.88 / 書評数:67
1989年05月
幽体離脱殺人事件
平均:4.85 / 書評数:13
1988年11月
嘘でもいいから誘拐事件
平均:4.60 / 書評数:5
夜は千の鈴を鳴らす
平均:5.71 / 書評数:14
1988年08月
切り裂きジャック・百年の孤独
平均:6.96 / 書評数:26
1988年04月
異邦の騎士
平均:7.75 / 書評数:133
1988年03月
毒を売る女
平均:7.00 / 書評数:15
1987年12月
灰の迷宮
平均:5.93 / 書評数:15
1987年11月
ひらけ!勝鬨橋
平均:6.14 / 書評数:7
1987年08月
展望塔の殺人
平均:6.00 / 書評数:12
1987年05月
死者が飲む水
平均:7.06 / 書評数:17
1987年04月
網走発遙かなり
平均:6.36 / 書評数:11
1986年12月
Yの構図
平均:5.94 / 書評数:16
1986年04月
火刑都市
平均:6.62 / 書評数:13
消える上海レディ
平均:3.25 / 書評数:4
1985年10月
夏、19歳の肖像
平均:6.14 / 書評数:7
1985年09月
サテンのマーメイド
平均:6.60 / 書評数:5
確率2/2の死
平均:4.95 / 書評数:20
1985年06月
消える「水晶特急」
平均:5.44 / 書評数:16
1985年04月
殺人ダイヤルを捜せ
平均:5.91 / 書評数:11
1985年03月
高山殺人行1/2の女
平均:5.55 / 書評数:11
1985年01月
北の夕鶴2/3の殺人
平均:7.19 / 書評数:48
1984年09月
漱石と倫敦ミイラ殺人事件
平均:7.18 / 書評数:40
1984年06月
出雲伝説7/8の殺人
平均:6.27 / 書評数:26
1984年04月
嘘でもいいから殺人事件
平均:5.50 / 書評数:10
1984年02月
寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁
平均:6.12 / 書評数:34
1982年02月
斜め屋敷の犯罪
平均:6.98 / 書評数:130
1981年12月
占星術殺人事件
平均:8.21 / 書評数:201
不明
御手洗潔と進々堂珈琲