皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
しゃんテンさん |
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平均点: 5.77点 | 書評数: 13件 |
No.13 | 5点 | 暗黒館の殺人- 綾辻行人 | 2004/10/02 13:54 |
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とりあえず、疲れました。本を持つ手も頭も。 頭が疲れたのは分量もさることながら、登場人物の多さ、事態の複雑さに、私の頭が付いていかなかったからだろう。真相もどの程度理解できたか自信がないのだけれども、私が理解出来た範囲では、凄いとは思う。思うのだけれども、読んでいるときには付かれきっていたためもあって余り感動したり心揺さぶられたりはしなかった。 私の読解力・理解力の無さが残念。 |
No.12 | 7点 | キマイラの新しい城- 殊能将之 | 2004/09/28 18:34 |
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現代の会社社長の体に宿った中世騎士の語りや、また彼の活躍が面白い。現代の事柄に関しての騎士ならではの解釈が素敵。思わずにやりとできる場面も。奇想天外の真相らしきものもそれなりに良い味を出しているのではないか。 |
No.11 | 7点 | 動機- 横山秀夫 | 2004/07/05 16:59 |
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収められている短編の中で特に気に入ったのが、「逆転の夏」。元服役囚の主人公は愚か。見返りなんてあるはずがないのは分かりそうなものなのに、それでも延々と別れた妻にお金を送り続ける…。ばか…その馬鹿さ加減は、読んでいて心が痛くなるものがある。 どの短編もどんでん返しがあり、また、心が沈んでいく…。さくさくと楽しく読めたが、読み終えて暗い気持ちになった一冊 |
No.10 | 6点 | 焦茶色のパステル- 岡嶋二人 | 2004/07/05 16:57 |
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中盤は退屈な印象を私は受けた。どうにも、殺人事件にも競馬にも関心をもてない。また、登場人物に感情移入できないのも大きかった。私の感受性の問題かもしれない。 ラストの展開は見事。明らかに成る真相、犯人、それらにはうならされた。終わり間際のシーンはどきりとさせられた。 |
No.9 | 5点 | 支那そば館の謎- 北森鴻 | 2004/07/05 16:53 |
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全体的には余り好きにはなれない。 短い中に登場人物が多く、事件は複雑でかなり入り組んでいる。その構造にはさすが北森さん!と唸らされてしまう。しかし、私の頭では今ひとつするするっと入ってこない。 短編の中では「居酒屋十兵衛」がすき。事件自体、真相自体は単純かもしれないけど、しんみり。 |
No.8 | 6点 | 新宿鮫- 大沢在昌 | 2004/07/05 16:51 |
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大沢さんの作品を読むのは実がこれがはじめてだが…期待していたパワーをそれほど感じなかった代わりに、恐れていたような読みにくさは感じなかった。 というか、10年以上も昔の作品なのに凄く読みやすく、登場人物の描き方にも古さを感じさせない。 警察内部事情についても難しさを感じずすらすらと読める。 読みやすく、適度に興奮し、人物に共感でき…。良質のサスペンスという感じ。 しかし、期待していたような圧倒的な力というのは感じなかった。だが、逆に其処がいいのかもしれないとも思う。 |
No.7 | 7点 | 透明人間の納屋- 島田荘司 | 2004/07/05 16:49 |
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導入部ではかなりの読みづらさを感じた。一人称の語り口調が現在は大人だけど、子どものときを思い出して書いているのだが…その語り口調も会話文の中で出る主人公の台詞も「こどもっぽくない」ように感じた。もっともわたしの考える「こどもっぽさ」と合わない。ただそれだけなのかもしれない。ただ、大人としても考えても小難しい言葉が多すぎて読みづらい。 でも、良く考えるとこの小難しさも背伸びしよう背伸びしようとするある種の「子どもっぽさ」なのかも知れない。私の子どものころには確かに難しい言葉を使う子もたくさんいたし。
前半の入り込みづらさはともかくとして…。全体的に言えば面白かった。 事件の説明について等非常に分かりやすかったし… 父のいない少年と彼に対する唯一の理解者・真鍋さんとの少し変った心の交流。そして、事件が落とす影。さらに少年が真鍋さんにした酷いこと。 また、少年自身は気づいていない大人の事情も垣間見えて、その点も面白いというか、位面白さがある。 少年が真鍋さんにした酷いことの件では、前半あれほど話しに入りづらかったことも忘れて思わずなきそうになってしまった。 本格ミステリとしてどうなのかなんて私には分からない。 でも、ある種の暗い青春?小説としては楽しめた。 |
No.6 | 5点 | マスグレイヴ館の島- 柄刀一 | 2004/07/05 16:47 |
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文章が硬いように感じた。特に会話文が硬い印象を受ける。
会話文が硬いためだろうか、キャラクターも今ひとつ冴えない気がした。 けれど、ところどころに面白いやり取りもある。特に主人公のお目付け役とイギリス人少女のきついやり取りなどはみていて、面白い。「うちの母〜〜」「お母さんは優秀な娘さんならたくさん知っていますよ」といった感じで。 謎は壮大。何故、彼はあのような場所であのように死んでいたのか? といった不可能ちっくな犯罪の場面も読み応えがあった。 謎が解けていく有様も、オオと感心して読めた。 あと、あのトリックに関しては…本当に必要だったんだろうか、そんな気がする。 |
No.5 | 3点 | ネジ式ザゼツキー- 島田荘司 | 2004/07/05 16:46 |
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「Aの台詞」「Bの台詞」「Aの台詞」…こんな調子で対話が延々と続く。最初のほうは多少の描写があるのだけれど、途中からは台詞しか存在しないページが延々と続く。
そのためだろうか私には語り手の考えや感情も、そのほかの登場人物の表情も見えてはこない気がした。 探偵役やワトソン役、記憶を失ったキーマンなどの登場人物にちっとも関心がもてないせいか、事件にも関心がもてなかった。 また、御手洗の推理は薀蓄を自慢するだけのものにみえて、推理を構成する論理は凄く適当で厳密とはいえない気がした。 『占星術殺人事件』などの作品では御手洗潔が、毒舌を吐きまくりで、性格が悪く、けれど、謎めいていて、天才で。そういった凄い人間といった雰囲気を持っていたが…この作品では御手洗潔がただの物知り的秀才といった感じがする。謎めいた感じも凄さも漂っていない気が私にはした。その点でもこの話は楽しめなかった。 |
No.4 | 5点 | 鳥類学者のファンタジア- 奥泉光 | 2004/07/05 16:45 |
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余りも壮大なファンタジーである。
かつてドイツに渡って戦争終結間際行方不明になった彼女の祖母や謎の音楽や猫や神霊音楽協会という怪しげな団体やロンギヌスの石、ベート-ベンが登場する謎の小説…諸々のものを巡って展開する。とにかく圧倒的なのだ。 文章は結構砕けていて、お遊びめいた部分もあって愉しく読める。 しかし、あんまり話が壮大すぎ、長すぎ、疲れてしまったのも事実。 しかし、最後までくじけず読めたのは文章の柔らかさと物語の魅力であるのだろう。 何処か、読者を置き去りにしてそうな、読者と関係なくたって存在できそうな力強さを感じた。 読後感は悪くない。 |
No.3 | 7点 | レイン・レインボウ- 加納朋子 | 2004/07/05 16:43 |
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「サマー・オレンジ・ピール」では、主婦をしていることの引け目、あるいは現状に満足していないわけではないのだけれど専業主婦をしていることへの後悔のような者が過去への疑惑とつながったり。
他の短編にも、例えば微妙な恋心のようなものであったり、ひぃめられた憎しみのようなものであったり…。 くっきりとしたものではない、大人になれば体験する諸々のものと心の動きとが上手く描かれているように感じた。 ただ、連作としての謎解きのぶぶんは私には余り面白くなかった。 でも、ここの短編が面白かったので楽しめた。 お勧めは、社員食堂で働く新米管理栄養士の女性が主人公の「雨上がりの藍の色」…その主人公の性格が素敵。 |
No.2 | 6点 | コッペリア- 加納朋子 | 2004/07/05 16:42 |
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淡々とした口調。女性の父親が出て行ったこと、あるいは男性が幼児期に虐待を受けよくクローゼットに閉じ込められていたこと。それらの事柄があくまで淡々と何処までも淡々と語られている様に感じた。その淡々さに引き込まれ、引きずり込まれるような錯覚を覚える。
その淡々さは物語が進み、女性の前に悪意?らしきものが現れても、男性が狂的に人形にのめりこんでいっても、あくまで淡々としている。怖い。 トリックそのものは「だからどうしたの?」とも思う。作者なのだからそんな手段をつかえば、読者を騙せても当然ではないか? とそんな風に思う。騙されたという快楽はなかった。(騙されたという感動を味わえる作品もあるとは思うけども。) しかし、トリックそのものはどうでもいい。全体に流れる不思議な感じ。痛さ、重さ。そしてラストの救い。 |
No.1 | 6点 | 黄金色の祈り- 西澤保彦 | 2004/07/05 16:40 |
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全編を覆うものは、後悔。 「過去の僕は傲慢で思いやりがなく人に迷惑ばかりかけていておまけにそのことに気づかず格好をつけて、人を恨み妬み…。そういった傾向が歳をエルにつれてますます強くなっていく…」 という内容のことが延々と語られる。嫌悪感を感じさせる。そして、読み進みにつれて嫌悪感が増していく。 痛々しさを感じるが故に、嫌悪感を感じる。中学生のパート辺りでは「何だこんな程度なら誰にでもあるよな」という笑って澄ますことが出来るレベルで描かれているのだが、ページを読み進むにつれ、主人公が成長していくにつれ、語り手が自分自身を見る目がさらに厳しくなっているように感じられる。嫌悪感を感じるのに、読みすすめてしまう。 今まで読んできた西沢さんの作風とは大分違うな、と。でも、たまにはこんなのもいいかな、と思う。 |