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[ 警察小説 ]
動機
横山秀夫 出版月: 2000年10月 平均: 7.08点 書評数: 24件

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文藝春秋
2000年10月

文藝春秋
2002年11月

No.24 6点 ALFA 2023/09/05 08:22
切れ味鋭い「第三の時効」は連城を思わせたが、この「動機」は清張風味。
重く暑苦しい人物造形はまさに昭和。携帯電話が出てこなければ清張短編に紛れても違和感はない。
読み応えはやはり表題作「動機」と「逆転の夏」。

No.23 7点 パメル 2020/10/12 08:52
警察官・殺人の前科者・新聞記者・裁判官が主人公で組織の中で悪戦苦闘し、胸が苦しくなるような仕上がりの4編からなる短編集。表題作の「動機」はもちろんのこと、その他の作品もそれぞれ動機がポイントになっている。その中で気に入った2作品の感想を。
「動機」推理作家協会賞受賞作。警察内部の事件を捜査する管理部門の人間が主人公。警察手帳が盗まれ、責任者として名誉を挽回するために内偵に奔走する。警察内部の軋轢や人間関係がリアルで、展開もめまぐるしいので飽きさせない。最後のオチは少し気に入らない点もあるが...。
「逆転の夏」女子高生殺しで前科のある男が、電話で見知らぬ相手から殺人を委託される。自分が一寸先は加害者または被害者になるかもしれない、そんな意識が克明に描かれており心理描写が丁寧で好印象。先が読めないスリリングな展開にプロットも捻りが効いており、どんでん返しもお見事。犯罪者の社会復帰問題についても考えさせられた。ミステリとしても人間ドラマとしても濃厚で満足。長編として、じっくり読んでみたかったと思った作品。

No.22 7点 バード 2020/08/30 11:50
横山さんの短編は初めてだったが、短くとも各話で作者の良さが発揮されている良短編集と感じた。

<各話の書評>
・動機(7点)
警務対刑事あり、予想を外す事件の真相あり、と『64(ロクヨン)』のプロトタイプのような内容。本短編が十分面白い事を考慮すると、『64(ロクヨン)』は少々長すぎ?

・逆転の夏(8点)
横山さん、こういう本格色の強い話も書くんだ、と少々驚いた。裏で暗躍する者達の仕掛けはシンプルで上手。また、話の根幹は暗いが、読後感がそれほど悪くないのもgood。ラストに静江が出てくるのはご都合な気もするが、そこをつっこむのは野暮ってもんだ。

・ネタ元(5点)
記者出身の横山さんの良さが出る題材とは思うが、記者の話はどうも好かん。とはいっても水準並みには面白かったです。

・密室の人(7点)
居眠りというやや抜けたミスから始まるにもかかわらず、終わる頃には重苦しい雰囲気の本話。後味は決して良くないが、程よい謎と余韻が楽しめる佳作。

No.21 6点 いいちこ 2015/12/25 16:56
4作とも水準を超えるデキであることは間違いない。
無駄のない硬質な文体ながら、各登場人物の心理を抉り出すような描写が冴えている。
ただ各話における反転の構図にやや一本調子さも感じてこの評価

No.20 6点 simo10 2013/06/05 22:38
D県警シリーズ第二弾。以下の四話で構成されます。

①「動機」:一種の「木を隠すなら森」のパターンですが、なるほど巧い。個人的には好戦的な刑事の描写がしびれる。
②「逆転の夏」:警察官ではなく、刑期を終えた前科を持つ人のお話。非常に暗いジメジメとした雰囲気だったのですが、ラストのカサイの独白(?)以降で一気に内容が深まりました。
③「ネタ元」:元記者の著者ならではの、記者視点のお話。やっぱ男稼業で女性が働くのは厳しいよなあ。
④「密室の人」:裁判官のお話。裁判所の世界は独特ですね。しかし茶を入れる人の心を分かれと言われてもそれは厳しいかな。

D県警シリーズとのことですが、D県警絡みの話は①だけでした。個人的には②がベスト、次点に①でした。

No.19 7点 haruka 2011/05/29 12:02
意外な動機に焦点をあてた表題作も良いが、ベストはやはり「逆転の夏」だろう。殺人依頼の電話に始まる特異な導入部から最後のどんでん返しまで緊迫感たっぷりのサスペンスに仕上がっている。

No.18 8点 つよ 2011/05/01 22:55
警察組織もの。

No.17 8点 HORNET 2011/01/16 13:12
 短編集を多く出している著者ですが,その中でもこれは秀逸な一冊です。表題作は,警察手帳が持ち去られ,内部犯の犯行と概ね分かりながらも,その動機が見当たらない,いわばホワイダニット。ラストの「密室の人」は裁判官を主人公にした,法廷の裏側,家族関係を描いた一風換わった作品。私はこのラストが気に入りました。

No.16 7点 E-BANKER 2010/04/08 20:12
いかにも作者らしい短編集。
全4作とも水準以上の出来映えだと思います。
①「動機」:警察手帳大量盗難事件の動機は何か? 主人公の苦悩と、対峙する一人のベテラン警官の静かな対決が心に残ります。
②「逆転の夏」:秀作。最後のオチが効いています。人間の弱さが憐みを誘います。
③「ネタ元」:作者らしくマスコミが舞台。ミステリーとは呼べませんが・・・
④「密室の人」:途中でオチに気付いた点がやや割引。
他にも秀作が多いので、こんな評点になりました。

No.15 7点 2010/03/30 12:57
組織の中の人を描いた作品、4編が収録されています。
こういうミステリーを書かせれば、この作家の右に出るものはいないのではないでしょうか。「逆転の夏」は抜群にうまいですね。でも平均すれば点数はこんなところです。「短編の名手」にとっては並の短編集なのかもしれませんね。

No.14 7点 まさむね 2010/03/05 21:41
さすが短編の名手。内面の葛藤を描く巧みさには脱帽です。
よかった順に,逆転の夏⇒動機⇒密室の人⇒ネタ元 でした。
特に「逆転の夏」は,横山氏にしては珍しく(?),「職業人」モノとは異なった視点で深みのある作品。
逆に「ネタ元」は標準レベルかな?ということで,総合的にこの採点となりました。

No.13 6点 白い風 2008/09/22 22:34
本題になった”動機”は面白かったです。
”ネタ元””密室の人”は平凡な作品だと思う。
秀作ぞろいだった「第三の時効」とは差が大きかったです。

No.12 8点 おしょわ 2008/09/21 09:23
どれもコンパクトにまとまってて良かったです。無駄がない感じが好感が持てます。

No.11 7点 マニア 2008/09/10 21:15
この作家の短編は本当に質が高い。鬼気迫る迫力ある心理描写は読み手を惹きつけて決して退屈させない。

特にみなさんと同じように、表題作「動機」と「逆転の夏」が素晴らしいと感じた。
「動機」は、「誰が手帳を盗んだか?」と「なぜ30冊もの手帳が盗まれたか?」をメインテーマに、主人公が悪戦苦闘するというストーリーが、警察内部の闇も交えながら語られ面白い。「逆転の夏」も、元服役囚の主人公が序盤から抱く疑惑、苦悩、焦燥感などの負の感情が、衝撃のラストに向かって一気に雪崩れ込んでいく迫力は凄まじい!!

後半の2作品は見劣りするかな?残念。

No.10 7点 ルカ 2008/08/28 02:20
表題作の動機と逆転の夏が9点で、残りの2作品が4点ですね。

皆さんが書かれてる通り、最初の2作品はかなり楽しめました。

No.9 7点 teddhiri 2008/08/11 16:47
 「ネタ元」と「密室の人」はひっくり返しはあるもののインパクトは弱い。しかし残りの二作は桁違いによい。
 「動機」は最後のひっくり返しと題名どおりの動機が印象深くいい話だった。少ししんみりした。
 「逆転の夏」は圧倒的な緊張感と最後に明かされる構図が素晴らしく、この作品だけなら10点を付けてもいい傑作だった。

No.8 8点 深夜 2008/01/21 23:06
「動機」7点。真相解明までをもうちょっと長くしてくれたら、もっと面白かったと思う。
「逆転の夏」9点。被害者加害者問題を考えさせる一編。ミステリーとしても意外なラストで、感心した。
「ネタ元」7点。女性新聞記者の苦悩を描いた作品。
「密室の人」7点。居眠りした裁判官の話だが、最後は違う方向へ。

全編、私のあまり知らない世界を濃厚に描いているなという印象を受けた。平均7.5点だが、四捨五入して8点。

No.7 7点 テツロー 2005/03/01 23:59
 表題作「動機」のトリック、知ってたのに、あんなに有名なのに、読み終わるまで気付けなかった。読み終わったとき「あれか!!」と叫んでしまった。でも、こういうのは好みです。こういうので騙されるのは、心地良いですね。

 他3作は、トリック面で特にどうこうは無い、心理ミステリという感じか。事態に対して逡巡する心理などの描き方は、全体的に高いレベルでたいしたものだと思うが、収録順に後の作ほど、無理が多いようにも感じた。

No.6 8点 shige-tee 2004/08/14 11:57
 一つ一つの短編に関しては、陰の季節の方が良かったように感じました。
 ただ、逆転の夏は読み応えがありました。本格物としてはそれほど評価できないかもしれないが、重いテーマを中心として、登場人物が実にうまく描かれており、ぐいぐいとストーリーに引き込まれました。
 今までは短編しか読んだことがありませんが今度は是非とも重厚なストーリーの長編が読んでみたいです。

No.5 7点 しゃんテン 2004/07/05 16:59
 収められている短編の中で特に気に入ったのが、「逆転の夏」。元服役囚の主人公は愚か。見返りなんてあるはずがないのは分かりそうなものなのに、それでも延々と別れた妻にお金を送り続ける…。ばか…その馬鹿さ加減は、読んでいて心が痛くなるものがある。
 どの短編もどんでん返しがあり、また、心が沈んでいく…。さくさくと楽しく読めたが、読み終えて暗い気持ちになった一冊


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