皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
マニアさん |
|
---|---|
平均点: 6.04点 | 書評数: 169件 |
No.169 | 6点 | 奇面館の殺人- 綾辻行人 | 2012/01/25 00:54 |
---|---|---|---|
十角館から数えて九館目の館。今度は東京都の山奥、季節外れの大雪に閉ざされた「奇面館」が舞台。
事件の様々な「なぜ?」が大きなテーマになっており、それらの謎が一つの真相にまとまる結末はよく練られていると思う。 もう一人の自分を探す館主・・・。鍵のかかる仮面の装着を強制された背格好や生年月日などが酷似した招待客たち・・・。舞台を襲った10年ぶりの大雪・・・など、様々な特殊状況がミスリードも含め真相の解決に一役買っているので満足。 ただ、「館」シリーズ最新作としてはややパンチに欠けるかな。十分面白かったがもっとおどろおどろしい大作を期待した・・・。 |
No.168 | 4点 | 生霊の如き重るもの- 三津田信三 | 2011/11/19 20:53 |
---|---|---|---|
刀城言耶、学生時代の事件簿。独特の民俗ホラーテイストは長編に比べるとややパワーダウンか?
『死霊の如き歩くもの』・・・最も魅力的なひとりでに歩く下駄の謎に対する解決が微妙だったので残念。 『天魔の如き跳ぶもの』・・・1話目のように屋敷の図面が欲しかったかな。真相にもがっかり。 『屍蠟の如き滴るもの』・・・お得意の一人多重解決にはやはり迫力を感じた。真相も前2話と比べ納得のいくものだったかな。 『生霊の如き重るもの』・・・旧家の跡継ぎ争いにドッペルゲンガーが絡んでいくという魅力的な物語。登場人物も自分好みの濃い人物が多数登場して楽しめた。 『顔無の如き攫うもの』・・・真相はかなり強引で苦しいところがあったと感じる。 |
No.167 | 5点 | 七人の鬼ごっこ- 三津田信三 | 2011/11/19 20:27 |
---|---|---|---|
ホラー的な雰囲気も良かったし、物語の設定も面白いと感じた。
テンポも悪くなく、最後まで飽きずに読めた。 一人ずつ不審な死を遂げてゆく小学校時代の旧友達。その死者達に共通する電話の怪・・・。姿なき殺人者は誰なのか? そして、主人公の少年時代の思い出の中で蠢く悪意・・・ と非常にワクワクしながら読み進むことができた。 ただし、その魅力的なストーリーとは裏腹に、結末は納得のできるものではなかったかな。 消化不良な感じがかなり残った・・・。 |
No.166 | 6点 | 天使の囀り- 貴志祐介 | 2011/02/10 10:41 |
---|---|---|---|
良くできたバイオホラーという感じはするし、読み物としての力強さは十分で、長いが読んでいて大きな飽きは来なかったかな。
事件の核心部分である「天使の囀り」をもたらすあの生物のおぞましさには、背筋が凍る気がした。また、サイドストーリーが本筋に合流し、事件の切なさを盛り上げているのは面白かった。良くできていると思う。 ホラーとしての恐さがさほど感じられなかったのと、色々な専門知識の講義が多すぎて辟易した部分もあり、テンポが悪く冗長になっているという印象を受けた。 一番恐かったのは・・・と言うかグロかったのは、信一君があの昆虫を食すところ。読んでて気分が悪くなった・・・。 |
No.165 | 6点 | 人形はライブハウスで推理する- 我孫子武丸 | 2011/02/06 08:57 |
---|---|---|---|
今回もキャラクターの魅力満載で、シリーズファンにとっては納得の作品でしょう。睦月の弟などの登場もあり、ファンには楽しく読めると思います。
やはり、人形探偵シリーズは短編の方がキレがあっていいですね。個人的には「腹話術師志願」がトリックも含めて一番本格っぽくて好き。次に「ゲーム好きの死体」も話題が自分と世代的にドンピシャで、その真相に「なるほど!」と思えたので、面白かった。 |
No.164 | 5点 | 人形は眠れない- 我孫子武丸 | 2011/02/04 09:05 |
---|---|---|---|
<癒し系ミステリ>人形探偵シリーズの第3弾!
鞠夫、嘉夫、睦月のトリオが連続放火事件に挑む。鞠夫誕生秘話や嘉夫と睦月の恋の展開など、シリーズファンにとっては魅力たっぷりな内容。 ただ、どうしてもミステリ的には特に見るべきところがないので、この採点。 |
No.163 | 6点 | ふたたび赤い悪夢- 法月綸太郎 | 2011/02/02 10:16 |
---|---|---|---|
生き馬の目を抜く芸能界を舞台に、過去の事件(『雪密室』)で知り合ったアイドルを殺人罪の嫌疑から救うために悩める探偵・法月綸太郎が奮闘する。
前半はスピーディーかつスリリングで楽しめたが、中盤あたりで綸太郎が極度に悩み出す(前作『頼子のために』の傷心による)とペースダウン・・・。肝心のトリックも特に驚くべきものじゃなかったかな。 それでも、物語として非常によく練られているしボリュームもあり、読み応えは十分。結末も珍しくハッピーエンドの範疇に入るもので良かったと思う!最後に葛西隆氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 |
No.162 | 6点 | 作者不詳 ミステリ作家の読む本- 三津田信三 | 2011/01/26 15:54 |
---|---|---|---|
非常に評価の難しい作品だと感じた。
読んだものに厄災をもたらす『迷宮草紙』という同人誌の謎を作家・三津田信三とその親友飛鳥真一郎が追うというストーリー。 2人が様々な怪異に見舞われながら、一週間というタイムリミットのある中で、『迷宮草紙』の一作一作を解決していくというミステリ&ホラー&サスペンス。 作中作設定の短編7つはどれもホラー、幻想系、本格ミステリとバラエティに富んでおり楽しめた。メタ要素の強い結末は自分好みではないが、かなり手の込んだ作品なので一読の価値ありだと思う。 |
No.161 | 6点 | 密室の如き籠るもの- 三津田信三 | 2010/01/13 23:34 |
---|---|---|---|
刀城言耶シリーズ初の中短編集。密室あり、アリバイ崩しあり、凶器消失ありとバラエティに富んでおり、もちろんその全てに怪異な現象が絡むという、シリーズファンならそれだけでも納得の一作!
「首切の如き裂くもの」・・・凶器消失がテーマ、伏線張りは面白いと思ったが真相はイマイチ・・・。 「迷家の如き動くもの」・・・山の中で現れたり消えたりする不可解な家のなぞを解く。ストーリーは面白いがインパクトはそれ程でも。 「隙魔の如き覗くもの」・・・これが一番好きかな!!特殊な怪異体験を前提とした鮮やかなアリバイ崩しに満足! 「密室の如き籠もるもの」・・・密室がテーマ。途中の密室講義には辟易したが、二転三転するラストでのひっくり返り度では長編作に匹敵する。 |
No.160 | 6点 | 水魑の如き沈むもの- 三津田信三 | 2010/01/08 23:39 |
---|---|---|---|
民俗ホラーとミステリの融合を謳う「刀城言耶シリーズ」の最新作!独特の世界観は健在でその面では楽しめた。一癖ある登場人物達もとても魅力的でみんないい味出してる!
水の神「水魑」を祀る、奈良の山中の村を舞台にした不可解な連続殺人がテーマ。雨乞いの儀式中、密室となった湖で殺された「神男」!次々に殺されていく儀式関係者。登場人物達の思惑も交錯し、謎が謎を呼ぶ・・・。そして、お決まりの2転3転するラストへ!! と、確かにストーリーとしては面白いと感じたが、肝心の密室トリックに関しては見るべきところは特に無く、過去の長編に比べパワーダウンした感じに思える。シリーズものとしてのマンネリ感も多少伺えるかな(その点では、祖父江偲の登場機会増加は良かった!今後にも期待!!)。 |
No.159 | 7点 | Another- 綾辻行人 | 2009/12/25 20:51 |
---|---|---|---|
お久しぶりです(笑)しばらくミステリから離れていました・・・
地方の学園を舞台にした学園ホラー&ミステリ。でも、ホラー分がかなり高いかな。真相も含めて全体的には、良くも悪くも綾辻らしい内容。それでも、ラストは手に汗握る展開で、緊迫!驚愕!!の連続。綾辻ワールドが好きな自分にとってはとても楽しめた。 ただ、呪われた3年3組を舞台にするなら、メインの登場人物だけではなく、もう少し生徒一人ひとりを詳しく描写してほしかった。 |
No.158 | 6点 | 白と黒- 横溝正史 | 2009/02/03 23:27 |
---|---|---|---|
設定は1960年、舞台は高度経済成長期の集合住宅と、当時の時勢が窺えて面白い。特に、そこで暮らす少年少女の心の葛藤の描写は面白かった。
物語はかなり緻密に構成されていて感心できるのだが、細かすぎてテンポが悪くなってしまっている感じがする。特に、最初の事件から2番目の事件が発覚するまで長すぎて、少し退屈だった・・・。 それでも、複雑に絡み合う関係者の人間関係と思惑。そして、それらを紐解いていった結果、明らかになった意外とシンプルな真相。 やはり、楽しめた! |
No.157 | 5点 | 人形は遠足で推理する- 我孫子武丸 | 2009/01/27 20:14 |
---|---|---|---|
魅力的なキャラクターは健在!その点では非常に楽しめた。
ただ、ミステリとしては普通というか微妙。バスジャックの場面もこのシリーズの特性上、犠牲者が出ないのが予想できてしまうのでスリリングさに欠ける。キャラ萌えで少し甘めの採点。 確かに、人形探偵シリーズには長編は向いてないような感じもする。 |
No.156 | 9点 | 幽霊人命救助隊- 高野和明 | 2009/01/24 17:20 |
---|---|---|---|
拍手喝采!!久しぶりに一級品のエンターテイメントを楽しめた。
自ら命を絶ちこの世を去った4人の幽霊たちの前に、ある日突如現れた神様。4幽霊は、その神様から天国行きの条件として「49日間で100人の自殺志願者の命を助けろ」という、無茶苦茶な試練を突き付けられる!ともあれ、浪人生・老やくざ・冴えない中年サラリーマン・ヒステリック美女、生前生きていた時代も環境も、自殺した動機も様々な「救助隊」の破天荒な「人命救助」劇が始まる!! シリアスな中にもコメディあり、ホロリとくる場面もあればスカッとする勧善懲悪劇もある。なにより、多くの自殺志願者と向き合い、必死で救助していくなかで自分たちの自殺を後悔していく4幽霊たちの姿には心を打たれた。 序盤の強引すぎるところと、ご都合主義すぎるところが気になったが、読み進めていくうちにグイグイ嵌まっていった。ミステリではなく、SFの範疇に入るのだろうが久しぶりに胸を熱くさせてくれる小説に出逢えた。 |
No.155 | 6点 | 人形はこたつで推理する- 我孫子武丸 | 2009/01/17 22:11 |
---|---|---|---|
事件はどれも小粒な短編集だったけれども、1人1人の登場人物が非常に魅力的で、読み物としてはとても楽しめた。嘉夫と睦月の関係も楽しいし、鞠男もユーモアがあっていい!
睦月は今まで読んだミステリのヒロインの中で一番好きですね(笑) ミステリとしては全体的に大したことはないけど、個人的には「人形は劇場で推理する」の夢分析が面白かった。 しかし、速水三兄弟シリーズといい、この作者が『殺戮に至る病』と同作者というのが何とも信じられん・・・。 |
No.154 | 6点 | 毒を売る女- 島田荘司 | 2009/01/14 00:31 |
---|---|---|---|
佳作ぞろいの短編集といった印象。
前半の2作「毒を売る女」と「乾いた都市」はキレのいいサスペンス。特に「毒を売る女」の大道寺靖子の狂気には戦慄させられた。 名作の誉れ高い「糸ノコとジグザグ」はラジオ番組のDJとスタッフ、リスナーが一丸となって自殺阻止に奮闘する様子がスリリング。ただ、真相は東京の地理や交通事情に詳しくないとイメージしにくいのが残念。でも、最後に明かされる「糸ノコとジグザグ」という題名に隠された思いには素直に感心出来た。 後半のショートショートでは、「ダイエット・コーラ」が奇妙で好き。「土の殺意」はバブルの時代を反映するような真相を鮮やかに描くのは流石だと思った。他は普通。 |
No.153 | 7点 | 日曜の夜は出たくない- 倉知淳 | 2009/01/10 00:44 |
---|---|---|---|
皮肉たっぷりで小憎たらしくもり、どこか愛らしく優しくもある猫丸先輩の魅力溢れる作品集。バリエーション豊富な短編集で、倉知さんの引出しの多さが窺える。
一番お気に入りなのは「海に棲む河童」。どこにでもあるような昔話にあのような解釈を与えるのは脱帽!でも、真相は猫丸先輩シリーズにしてはかなり猟奇的・・・。 全編に渡ってユーモアのセンスがほどよく効いていて飽きずに楽しめる。表題作「日曜の夜は出たくない」は結構シリアスだったけど・・・それにしても八木沢がかわいそう(笑) |
No.152 | 8点 | 人形はなぜ殺される- 高木彬光 | 2009/01/04 15:01 |
---|---|---|---|
題名は勿論、冒頭からしつこいくらいに繰り返される「人形はなぜ殺される?」という命題に答えが与えられ、犯人の悪魔的トリックが突き崩されるクライマックスは衝撃的だった。なぜか人形が殺されるという奇天烈な状況に、現実的なロジックで解答を与えて事件を解決に導いていく面白さは確かに傑作!
ただ、個人的には4度目の殺人で行われた、冷酷非情な犯人の悪魔的思考が一番ゾーッとした。 トリックは別として、犯人自体は不自然な行動が多いため分かりやすいかも。 |
No.151 | 8点 | 仮面舞踏会- 横溝正史 | 2008/12/30 01:43 |
---|---|---|---|
ミステリとして、また1つの力強い物語として十二分に楽しめた!
横溝作品としては、身も凍るような猟奇殺人も、目も背けたくなるようなエログロも、おどろおどろしい雰囲気も無く、いやにあっさり事件が進んでいくなぁ・・・と思っていたら・・・。物語も佳境に入ってくる辺りから、畳み掛けるように胸くそ悪くなるような戦慄の真相の数々が暴露され、結末に雪崩れ込んでいく迫力には正直圧倒された! 少々解決に強引な憶測のような箇所も見られるが、流石に構想10年!無駄なく良くできている。ただ、物語が長すぎて、途中でダレてしまうのが惜しい。 犯人も恐ろしいけど、最も恐ろしいのはやはりあの人物でしょう・・・。 |
No.150 | 2点 | 鴉- 麻耶雄嵩 | 2008/12/25 18:52 |
---|---|---|---|
「自分には推理小説は向いてないんじゃないか?」
それが、本作を読んでの正直な感想だった。理解能力がついていけない・・・。 あの有名な身体的特徴をこのスケールで利用する奇想には驚かされたが、あまりのリアリティのなさにいまいちピンとこなかった(この村自体がリアリティないが・・・)。兄弟トリックに関してはかなり不満が残る。カイン・アベル、橘花・櫻花などの名前の問題もそうだし、カインと櫻花・庚・アベルの関係も説明不足で苦しい。まぁ、全体的に説明不足で評価できない。 とにかく、皆さんが感じるカタストロフィを自分は全く感じることが出来なかった。あぁ・・・自分の頭が悪いのかなぁ(;;)どこが、どう面白いのかさっぱり分からない。 ラストの態度といい、メルカトルだけはよかったかな! |