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[ 本格/新本格 ]
仮面舞踏会
金田一耕助シリーズ
横溝正史 出版月: 1974年01月 平均: 6.22点 書評数: 9件

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講談社
1974年01月

講談社
1976年01月

角川書店
1986年09月

KADOKAWA
2002年02月

出版芸術社
2007年06月

No.9 5点 虫暮部 2024/06/14 12:55
 横溝マナーを排して “普通の” ミステリを書こうとしたような作品。強烈な個性はマンネリズムと紙一重なわけで、違うことをやりたい気持は判る。分厚くて展開が地味、なのにスイスイ読めたのは流石の筆力。
 しかし、“これもまた良し” とならないのが表現の残酷なところ。本作を読んで、やはり横溝はおどろおどろの表層こそが本質(変な言い方だけど)なのだと改めて思った。読者を怖がらせようと言う意志が無いと、ここまで半平みたいにフヤフヤした歯応えになるなんて。

No.8 4点 レッドキング 2018/10/17 11:19
人物描写からして 犯人これしかないだろうなあって思ってたのが犯人で こんな風に豹変するんだろうなあって思ってた通りに豹変した

No.7 6点 ボナンザ 2014/04/08 15:47
後期代表作。とはいえやはりインパクトも説得力も全盛期にはおとる。とはいえ10年以上を構成に費やしただけあって一定のレベルには達しているし、読んでおもしろかったのは事実。

No.6 7点 大泉耕作 2012/03/04 23:04
 試験もようやく終わりを告げ、ようやく安定した時間が持てるようになってふと思い出す。最後に読んだ小説から一カ月もの間、まともに本なぞ読んでいなかったじゃないか。
 久しぶりに読むものとして選んだのが、やっぱり自分がファンである横溝正史。
 中絶時の発想を加え、実に十四年の時を経て完成させた長編。書き下ろしなだけに、いつにも増して横溝らしい作品。
 割合流れのおだやか前半からゴルフ場面までの証拠提示や伏線、後半から最後のページまでにわたる一種異様な展開、マッチの配列や血筋の真相、金田一耕助の語る真相には『夜歩く』以来の憎悪を感じさせる。横溝ワールドを堪能するに十分な要素が取り入れられています。
 『犬神家の一族』や『獄門島』と同様、戦時中の混乱期が招いた悲劇が描かれている点も特筆すべき。金田一耕助の言動にも注目すべき。
「運動神経音痴、これ即ちウンチでさあ」
・・・・・・。
 それにしても金田一氏の語る真相は説得力に乏しかった気がして否めない。その点に関して、しっかりした発想があったため多少の不満がこみ上げて来て仕様がない。
 首斬り、怪奇、狂気云々の横溝作品の中でも個人的におっかない最も事件。”マニア”さん同様に、犯人もさることながら、あの人は・・・。映像化したら大変なホラーになりそう。
 やはりこの作家の文体やロジックなどが性に合っているようです。

(ネタバレ注意)
 他にいくつか不満を述べるなら、☐☐はどうして〇〇の場所で~~を殺したのか。また、どうして殺さねばならなかったのか。詳細を知りたかったです。

No.5 7点 りゅう 2011/10/05 19:38
 再読です。マッチ棒のメッセージや真相のごく一部を覚えていたくらいで、犯人や細かい事件の内容は覚えていませんでした。昭和35年の舞台設定ですが、事件の真相には戦時中の混乱が影響しており、入り組んだ人間関係がもたらした悲劇と言えます。昭和35年8月に起こった事件と、1年前の事件とがクロスしながら記述されており、どちらの話だったかなとゴチャゴチャになってわかりにくく感じました。衣服に付いていた蛾の鱗粉、鍵束から外された鍵、盆踊りの拡声器の音が聞こえていたかどうかなど、物証等から論理的に推理を推し進めている点は好感が持てます。真相はかなり意外で面白いものですが、若干無理があると感じる箇所もあります。金田一耕助の真相説明は、自ら「多分に臆説的なところがある」と言っているように、ちょっと飛躍的な推理です。マッチ棒のメッセージに関しては、その意味するところを読者が解読するのは困難ですが、そのメッセージがなぜ残されていたのかという理由の説明には納得できました。

(完全にネタバレをしています。要注意!)
 赤緑色盲を扱ったミステリはいくつか読んだことがありますが、本作品ではマッチ棒のメッセージやゴルフ場のグリーンでの露見など見せ方が巧みで、全体の真相を推理する重要な鍵にもなっており、うまく活かされていると思います。
 真相で無理があると感じたのは、田代が津村の死体を隠し戸棚に隠したり、衣服を奪って津村が生きているように見せかけたところ。また、篤子が戦時中に美沙の身代わりとして替え玉を連れてきているのですが、伏線不足で読者がそれを推理するのは難しいと思います。 

No.4 6点 江守森江 2011/01/03 00:01
かなり以前に原作を読みドラマ版(古谷・小野寺版の両方)も観たが、マッチ棒の論理の穴のみ(書かれた当時の色盲と色弱や遺伝に関する認識不足は如何ともしがたい)が強く印象に残っていた。
「ファミ劇」で古谷版ドラマをオンタイム再放送中で、図書館で借りた文庫本と同時進行おさらいをしている(どちらもおさらいなので新手法を試す)
事件を未然に防げず大事件に発展してから解決し名探偵として名声を得るのは、探偵小説の宿命なのだろうか!金田一や神津作品を読むとその思いが強くなる。
原作での伏線の妙とラストでの対決場面はさすが大横溝だが、棚ボタと自白による真相開示が主体の探偵小説は総じて好きではないので微妙に評価が下がる(ドラマ等での自白までの‘落とし’が主眼な作品は別物)
因習漂うおどろおどろしい雰囲気の作品ではなく、昼ドラ系のドロドロ劇で(人間の本質の醜さにかわりないのだが)横溝作品なら前記の方が好きだと再認識した。
※補記
原作をなぶりモノにしたドラマも多々あるが、本作の古谷版ドラマはスッキリと纏まりデキが良いので、家の嫁みたくドラマ視聴のみで済ませても何ら問題ない(嫁には、草笛光子の「悪魔が来たりて〜」でも主演だったのに同一シリーズで再度の主演は反則技らしい)

No.3 7点 spam-musubi 2009/01/30 18:07
作者特有のおどろおどろしい世界とはまた違った雰囲気で…
と思っていたら、グリーン上の出来事に心底驚いた。

晩年の作だが、最終盤のスピード感はさすが。一気に読まされた。

No.2 8点 マニア 2008/12/30 01:43
ミステリとして、また1つの力強い物語として十二分に楽しめた!

横溝作品としては、身も凍るような猟奇殺人も、目も背けたくなるようなエログロも、おどろおどろしい雰囲気も無く、いやにあっさり事件が進んでいくなぁ・・・と思っていたら・・・。物語も佳境に入ってくる辺りから、畳み掛けるように胸くそ悪くなるような戦慄の真相の数々が暴露され、結末に雪崩れ込んでいく迫力には正直圧倒された!
少々解決に強引な憶測のような箇所も見られるが、流石に構想10年!無駄なく良くできている。ただ、物語が長すぎて、途中でダレてしまうのが惜しい。

犯人も恐ろしいけど、最も恐ろしいのはやはりあの人物でしょう・・・。

No.1 6点 白い風 2008/06/17 19:47
ポイントの一つが千代子を巡る男たち(4人の夫と現恋人)ですね。
動機の点でも重要でした。もう一つは朱色と緑の21本のマッチ棒・・・。
どうなんでしょう、これから推理するのは至難の業のようにおもうんですけど。
プールで水死した最初の夫の事件で女性の存在を匂わせて犯人が・・・、そこは意外性はありました。


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