皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格/新本格 ] 真珠郎 由利麟太郎 |
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横溝正史 | 出版月: 1950年01月 | 平均: 6.47点 | 書評数: 15件 |
春陽堂 1950年01月 |
東方社 1954年08月 |
講談社 1970年01月 |
講談社 1975年01月 |
扶桑社 2000年10月 |
KADOKAWA 2018年05月 |
No.15 | 6点 | ミステリ初心者 | 2024/04/04 19:13 |
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ネタバレをしております。また、同時に収録されていた孔雀屏風についてもネタバレをしております。
真珠郎はどこにいる、で始まりますが、かなり真珠郎という殺人鬼がメインの小説でした。美しく、残酷に教育された真珠郎は魅力たっぷりですねw 前半は真珠郎と鵜藤の狂気さで、サスペンスホラー(?)のような趣でしたし、テンポもよくてページが進むのが速かったです。ただ、やや古い小説なので、異体字や今ではめずらしい言い回しなどを辞書で調べながら読んだため、そこだけ少し読みづらかったですw これは私の国語能力の低さもありますが;; 後半になり由利先生が登場しだしてから、一気に推理小説の色が濃くなります。ただ、推理小説が好きな人や、横溝作品を数作読んでいる人ならば、全体的なトリックは細かいところがわからなくても大筋は予想できるものだと思いますw 乙骨君と由美さんはやはり怪しいですしねw あまり無駄な部分がなく、テンポ良く楽しめる推理小説でした。高評価なのもうなずけますね。 同時収録されていた孔雀屏風は、推理小説というよりも悲しいロマンス作品でしたね。悲しいですが読後感も悪くなく、良い短編だと思いました。 |
No.14 | 6点 | メルカトル | 2022/05/18 22:32 |
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鬼気せまるような美少年「真珠郎」の持つ鋭い刃物がひらめいた!浅間山麓に謎が霧のように渦巻く。無気味な迫力で描く、怪奇ミステリーの最高傑作。他1編収録。
Amazon内容紹介より。 短めのページ数の中に色々詰め込み過ぎて、あまりスッキリしない読後感と置いてけぼりを喰らった様な孤独感が後に残りました。やや説明不足の感が否めないと思うのは私だけでしょうか。それでも金田一耕助シリーズには見られない幻想味には見るべきものがありそうです。所謂首なし死体ものとはちょっと違う趣向が凝らされており、その意味でも意外性を感じました。 探偵由利麟太郎が登場して初めて、あっと思いました。ノンシリーズだと疑わず読んでいましたので。しかし、折角の名探偵が一向に活躍しないのは如何にも残念です。ラストの真相判明の手法は個人的にあまり好みではありませんし、正直カタルシスも得られませんでした。勝手にハードルを上げてしまい期待外れに終わったのは悔やまれます。横溝の傑作群と比較してしまった私のせいでもありますが。 しかし、思ったよりも本格ミステリ度が高かったのは間違いありません。 |
No.13 | 7点 | じきる | 2021/10/24 23:57 |
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中々にトリッキーな謎解きの骨格を、怪奇と耽美で存分に彩った秀作です。面白かった。 |
No.12 | 7点 | 斎藤警部 | 2021/09/22 21:14 |
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告白書の書かれたタイミングに妙味あり! 犯人意外性より、真相意外性とその騙し絵の奥深さ。首無し屍体を取り囲むミスディレクションは秀逸。前半は、天変地異のさなか敢行された残虐殺人を巡るパニック冒険譚。ゆりりんも登場する後半は、主人公の周囲でばかり起きる連続殺人を巡るサスペンスフルな推理劇。この構成もコントラスト鮮やか。探偵役の比重が妙に軽いのも味のうち。戦後の本格横溝黄金期にそれぞれの作品内へと巣立って行く諸要素が詰まった、戦前横溝の力作と言えましょう。
角川文庫併録の「孔雀屛風」 悲恋と◯◯◯◯心、この一見合い馴染まない様な二つの心理が百年以上の時を超えて。。、。日常の謎めいたスタートから、あっと言う間に犯罪の暗雲が立ち込める。古文書や文語調手紙の緊張感も巧みにはまり、締まり良くもロマンスに心温まる好短篇。「真珠郎」の後には良い清涼剤。 しかし、罪な恋人たちだ。。 |
No.11 | 6点 | 文生 | 2021/08/30 11:45 |
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顔のない死体ものの新機軸に挑戦した意欲作ですが、いまとなってはさほど驚くような仕掛けではありません。それでもよく考えられていることには違いありませんし、著者ならではのおどろおどろしい物語は読み応えありです。やはり、戦前の横溝正史を代表する作品というだけのことはあります。 |
No.10 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2021/08/14 08:07 |
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裏表紙より~『私、椎名耕助は、大学の同僚・乙骨三四郎とともに避暑を兼ねて信州へ旅行することになった。だが、N湖畔に立つ鵜藤家の一室を借りた私たちが、そこで恐るべき殺人事件に巻き込まれることになろうとは!「悪」そのものを結晶化したような美少年・真珠郎。「血の雨が降る」と不気味な予言を口にする謎の老婆。巨匠・横溝正史が耽美的作風の頂点を極めた戦前の代表長篇『真珠郎』登場!』~
この作品の後に発表される数々の長編に係るモチーフやプロットがちりばめられており、その点は高評価です。ただ探偵小説としては物足りなさを感じます。それは探偵による解決がないからですね。伏線の回収やハウダニットなど、かなり説明不足のように思います。怪奇ロマンとして読むのがいいのかも。 |
No.9 | 7点 | mediocrity | 2021/07/17 20:23 |
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<ネタバレあり>
昭和11~12年作。著者の戦後の傑作軍の原型のような作品であり、プロットも謎解きも戦前からレベルが高かったのが確認できる。読んでいる最中は大満足の1冊だった。 ただ読み終わってから考えると、真珠郎(仮)があまりにも完璧に動きすぎのような感じがした。途中、椎名が幻を見ているオチじゃないかと心配するくらい。 ところで、角川の表紙ネタバレしてるのね。 『孔雀屏風』も印象に残る感動的な短編。 |
No.8 | 6点 | HORNET | 2020/05/05 17:06 |
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由利麟太郎を探偵役とした初期作品。
だが、「謎の老婆」「妖艶な美男美女」「由緒ある旧家」「洞窟」…などなど、のちに爆発的人気となった金田一シリーズのテンプレートのような作りである。 後半に突如、隠されていた係累が明らかになるのも氏の作品ではよく見られるパターン。それを予期せずとも、真珠郎の正体は中盤以降で分かった。物語から読み解いたの半分、あと半分は横溝作品をいくらか読んでいることによる推察。 とはいえ、時代を感じさせる持って回った登場人物の言動や妖しさのあふれる筆致、凄惨な事件の様相など、分かっていはいてもやはり楽しませてくれた。 併せて収録されている短編の「孔雀屏風」も小粒ながら非常に秀逸で、報われぬ恋に落ちた女性の切ないまでの企みには唸るものがあった。 金田一シリーズほどの量感がなく、だからこそ横溝正史の世界をまず味わうには非常に適している作品ではないかと思った。 |
No.7 | 5点 | レッドキング | 2018/11/16 07:56 |
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これ絶対「首無しの如き祟るもの」の源流だよな |
No.6 | 9点 | りゅうぐうのつかい | 2016/01/25 21:01 |
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横溝作品を数多く読んできたが、個人的には作者のベスト5に入る優れたミステリーだと感じた。
最後の方で、由利先生が椎名に対して「あなたは絶対に、御自分の眼で見られたこと以外には、信用してはならない」と語る場面がある。そのとおりで、真相を知ると、事件の様相ががらりと変わり、驚かされる。 この真相に持ち込むためのストーリーの組み立て方に作者の力量を感じた。 悪魔の心を持った美少年、真珠郎の存在が、幻想的で幻惑的な雰囲気を醸し出している。 短編の「孔雀屏風」は、二つに分け隔てられた屏風をめぐる美しくも悲しい物語で、こちらもすばらしい。 (真珠郎のネタバレ) 複雑な構図を持つ犯罪計画であり、犯人の告白を読むまでは、真相の全貌がわからなかった。 見事な首なしトリックで、それを実現させるための人物配置が巧妙。 第二の殺人事件以降に、乙骨が真珠郎の翳におびえる場面があるが、乙骨は真珠郎の正体を知っているわけであり、おびえる必要はなく、不自然ではないだろうか。 |
No.5 | 7点 | 谷山 | 2014/08/14 23:17 |
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横溝作品は結構読みましたが戦前物は初挑戦です。
犯人については想像通りだったのですが、一番気になっていた真珠郎の正体に関しては由利先生に教えられるまで分かりませんでした。まあ後出しのような気もするけど一応推理できないことも無かったような気がするし。 それにしてもネタバレなので詳しくは書きませんが、最後の一文がやたらと印象に残りました。 |
No.4 | 6点 | 臣 | 2010/07/30 21:55 |
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既読の横溝作品の中では、金田一が出ていないせいもあって、おどろおどろしさと悲しさを多く感じ、逆に笑えるところがほとんどなかった作品だった。こういう作品ばかりだと、おそらくなんどもブームにはならなかっただろうが、当時はこういうのも悪くないなと思ったものだ。
同じ由利麟太郎モノでも、最近読んだ「夜光虫」よりも作風としては明らかに自分に向いている。 |
No.3 | 7点 | kanamori | 2010/03/05 22:58 |
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「真珠郎はどこにいる。」
戦前の耽美探偵小説の傑作、名探偵・由利麟太郎登場。 信州の湖畔に建つ屋敷(「犬神家の一族」)、主人公が現地に到着する寸前に出会う謎の老婆(「悪魔の手毬唄」)、洞窟内の追跡劇(「八つ墓村」)等々、戦後の金田一耕助シリーズに出てくるガシェットが多々出てきて横溝ミステリの原点といえる作品。 おまけに主人公(探偵役ではないが)の名前が椎名耕助である。 (以下ネタバレ) 鍵となる人物の登場が後出しで不満な点もあるが、顔のない死体を連続して作ることによって、トリックの新バージョンを案出しているのは評価できる。乱歩も指摘しているが、「赤毛のレドメイン家」風の香りがある。 扶桑社文庫版には由利先生ものの短編4作と顔のない死体トリックを論考した「私の探偵小説論」が併録されていてお得感がある。再読してみてさらに評価が上がった。 |
No.2 | 5点 | 江守森江 | 2009/08/21 16:05 |
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初読当時、横溝作品=金田一シリーズだったので金田一が登場せずガッカリした。
その後に金田一シリーズで制作されたドラマを観て、この作品に金田一は要らないと思った。 それでも金田一の居ない横溝作品は何か物足りない。 |
No.1 | 7点 | 白い風 | 2008/12/29 22:04 |
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日記による叙述トリックの一種かな。
横溝作品らしい耽美的で悲しい過去も印象的です。 それでいて、”真珠郎”と云う名前に似合わないおどろおどろしい内容もよかったです。 |