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[ 短編集(分類不能) ] 空蝉処女 |
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横溝正史 | 出版月: 1983年12月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
角川書店 1983年12月 |
No.1 | 6点 | 空 | 2022/09/15 20:23 |
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表題作等9編の短編を収めています。
最初の表題作と次の『玩具店の殺人』は戦後間もなくの作品ですが、表題作は1980年台になって原稿が発見された、それまで未発表だった作品です。耽美的な冒頭に人情的なオチをつけた雰囲気のいい作品で、巻末解説で中島河太郎は『鬼火』『かいやぐら物語』と比較しています。『玩具店の殺人』は殺人が起こるまでのユーモラスなところの方が楽しめます。 その後、宇津木俊助が登場する『菊花殺人事件』、由利・三津木の『三行広告事件』は戦時中の作品で、時局に合わせたスパイものです。『三行広告』の方がよくできています。 残り5編は『鬼火』などより前に発表された作品ばかりで、ほとんどは軽妙さが売り物という感じです。『帰れるお類』はミステリとは言いがたい作品。『路傍の人』はシリーズもの第1作めいた文で締めくくっていますが、続編はあるのでしょうか。 |