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[ 本格 ]
死者はよみがえる
ギデオン・フェル博士シリーズ/別題『死人を起す』
ジョン・ディクスン・カー 出版月: 1955年06月 平均: 5.68点 書評数: 19件

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早川書房
1955年06月

東京創元社
1972年05月

東京創元社
2020年10月

No.19 5点 ことは 2023/07/22 23:44
カーの1つの嗜好である「ナンセンスな状況に説明をつける」系統の作品。
終盤で、フェル博士が12の質問を投げかけていて、ここで本事件の状況のポイントが整理されているが、やっぱり好みから外れているんですよね。熱心に考えようと感じる質問がない。
この質問に「説明をつけたい」と色々考える人が、本作のよい読者なのだと思う。
ストーリー展開もどこかオフビート。
主人公が死体の第一発見者で、「容疑者扱いされるのか?」とサスペンス展開を期待させるのに、すぐ容疑者から外れてしまう。奇妙な状況が見えてくるが、まもなく状況説明されてしまう。意外な事件が起きるが、その犯人もまもなく判明してしまう。
都度、肩すかしされているようで、微妙にのれなかった。ただ、そうした中に、真相を知って読むと伏線とわかるデータを散りばめているのは見事。そこは、さすが、カー。
そして、最後は反則級(いや、反則か?)の大技が炸裂。この大技が楽しめる人は、本作のよい読者だ。私は残念ながら、よい読者ではなかった。よい読者の代表は、「カー問答」で本作を最上位においている、江戸川乱歩でしょう。
いずれにしろ、カーの1つの傾向を代表する作なので、(カーの最初の作品には不可能犯罪がいいとは思うが)カーをもっと読んでみようかと考えている人には、おすすめ。これが楽しめれば、同傾向の作品も楽しめるはずだし、また、この味わいは、ちょっとカー以外ではお目にかからないので、味わってみるのもよいでしょう。

No.18 6点 E-BANKER 2022/09/11 14:28
フェル博士を探偵役とするシリーズ第八作目の作品。
他の方の評価を見てますと、なかなかのバラバラぶり・・・。「あり」か「なし」かで二分されてるようですね。
1938年の発表。

~南アフリカからロンドンへ無銭旅行ができるか? 友人と賭けをした作家のケントは大冒険の末にロンドンに辿り着いた。しかし、空腹に苦しむ彼は些細なきっかけでホテルでの無銭飲食に及ぶ。食べ終えた彼に近づいてくるスタッフ。だが、観念した彼に告げられたのは予想外の言葉だった。残虐な殺人、殺人現場で目撃された青い制服の男・・・名探偵フェル博士が指摘した12の謎がすべて解かれるとき、途方もない真相が明らかになる~

確かに・・・。この真相、特に真犯人は想像の右斜め45度から来るようなもの・・・だった。
「無理筋ではないか?」と主張する読者の声も分かる気がする。特に真犯人のアリバイ。このアリバイが提示されるなら、普通はもう真犯人ではないと同義だろ!って思う。(いったいどんな建物なんだ・・・)

ただ、そんな無理筋を認めても魅力のある作品には違いない。
特に冒頭。無銭飲食場面を読んでると、一体どんな話が始まるんだ?っと思わされるけど、これが見事に連続殺人事件につながっていく。
ただ、フェル博士の言動を読んでると、最初からある程度真相に気づいていたような振る舞いのように思える。
ホテル内の準密室、なんていうと実に魅力的な謎のはず。それを物理的だとか、心理的などというような堅苦しい解法ではなく、よもやの偶然の連続で片付けていくとは・・・
かの有名な「12の謎の提示」についても、あまり評価されてないようですね・・・
うーん。それもむべなるかな。
でもまぁ、この「謎」こそが本作のプロットそのもの。「大量のタオル」や「青いホテル制服の男」など、読者を惹きつける謎には事欠かないし、それぞれの謎に対して一応の解答が用意されている。

評価としては、うーん。迷うなぁ。
こういう場合は仕方ないので、間をとってということになってしまう。でも、面白いと感じる人も絶対多いはず。逆に玄人筋にはウケが悪いのかもね。

No.17 5点 ミステリ初心者 2022/08/22 22:47
ネタバレをしております。

 新訳版を買いました。新訳にもかかわらず、やや読みづらさを感じてしまいました(笑)。訳が悪いというよりかは、場面の移り変わりが急だったり、本の始まりの時点ですでに2つの殺人が終わっているためかもしれません。

 推理小説部分について。
 かなり意外な犯人でした(笑)。これは当てようがないと思います(笑)。フェアかアンフェアか言われれば…まあアンフェアなのかもしれませんね(笑)。
 被害者の首にタオルが巻かれていたり、ジェニーが特殊な方法で絞殺(?)されているのを見て、逆に両手が使えない人間が犯人ではないかと一瞬だけおもいました…。が、すぐに犯人候補から外してしまいました。ロドニー殺しの際に使ったベッドのくぼみは、ヒントがありましたかね…?
 また、非常階段からリネン室の窓へ行けるなど、思いもよりませんでした。かなり大きなミスリードであり、私もまた7階に居た人々の中に犯人がいると錯覚しました。たしかに、リネン室には誰も入られませんから、犯人が入ったとするならば外から…なのでしょうが、あの図から外から入られるなどとても想像できませんでした(笑)。これもなにかヒントがあったらよいのですが、ありましたかね?
 極めつけは、留置所に隠し抜け道がある点(笑)。ここの部分はカーも困ったでしょうね(笑)。強引さを感じました。

 既読の方に少しヒントをもらいつつ読みなおしましたが、ロドニー殺しにおけるベロウズの犯人の証言から、「証言の犯人の容姿が警察に似ているな?」と思い、警察官と勘違いしたのではというところまで考えました。画像検索すると、なるほどベロウズの証言と警察の容姿が似ております。ただ、登場人物に載っている警察はハドリー警視だけですし、到底犯人とは思えない…。私の思考はそこで止まりました(笑)。

 総じて、読者が犯人を当てるにはかなり難しい…アンフェアに近い小説でした。しかし、カーらしいドンデン返しや意外な犯人が存分に楽しめる作品でもあります。私の好みは本格推理小説ですので、5点としておきましたが、もっと高い点でも納得できる本です。

No.16 5点 測量ボ-イ 2021/03/28 12:30
巨匠カ-の作品を久々に拝読。
この作品、世間ではバカミスの位置づけにされてますね。
もし小生がミステリを読み始めて間もない時期なら、「
なんだこれは!」を本を投げているかも。
しかし、ミステリの関するいろんな経験をして、カ-と
いう作家がどういう人なのかを知ってこの作品を読めば
・・・まあこれもありかな 笑

新訳版で読みましたが、やっぱり読みづらいかな?

No.15 6点 クリスティ再読 2021/03/28 11:08
アンフェアと言えばその通り。犯人分かるわけないじゃんと言えばその通り。けどね、本作はミスディレクションの妙味みたいなものが、強く感じられる作品だから、いろいろ目をつぶって、こういう評価にした。まあ、相当に無理のある真相なんだけど、ミスディレクションという面では、なかなか放胆なアイデアがあって、何か「憎めない」。
で、本作怪奇趣味も薄くて、「上機嫌なカー」といった雰囲気が何か妙に素敵。今回読んだのは昔からの旧訳なんだけど、新訳が出てるね。たぶん新訳で読んだら印象が随分違うのでは...なんて感じる。まあでも創元の邦題は意図しない妙な怪奇色がついちゃうので、「死人を起こす(ような大きな音)」とか、そういう原題のニュアンスと逆方向だから、考慮した方が良かったのかな。
あと本作17章の「なぜに」講義は、「三つの棺」の「密室講義」、「緑のカプセル」の「毒殺講義」と併せて、フェル博士三大講義、なのかも(苦笑)。いや意外にミステリの本質、突いてると思う。

No.14 4点 makomako 2021/02/21 13:48
この作品はサイトの書評でも評価がかなり分かれています。私にはあまりあわなかった。
登場人物がそれほど多くなく、どう考えてもその中の誰かが犯人でないとおかしいのですが、全く怪しい人がいないなあ--、と思っていたら色々後付けのエピソードが出てきて、犯人がいそうな感じともなってきます。さらに最後は絶対無理そうな展開となり、博士の長々とした講釈が始まります。
 こんなのあり?
 このお話のテンポももう一つだったが、我慢して読んできたのにこれはちょっとねえ。
 これじゃあそりゃあ犯人がわかるわけないでしょう。
 この作品に高い評価を与えている方もあるので、やっぱり好みの問題なのでしょうね。

No.13 4点 蟷螂の斧 2019/11/03 08:13
あらすじだけを捉えればバカミスですね。カーという名前と書かれた時代を考慮すれば、まあ許容範囲内か?(苦笑)。主人公は死体の第一発見者ですが、すぐ容疑者から外れてしまいます。これには驚き!。主人公に関する前書きが長かっただけに、物語の興味や面白みを失ってしまいました。本作は意外な犯人がメインですけれど、もし、主人公が犯人であったら満点!?。

No.12 3点 レッドキング 2019/10/26 15:37
思いもよらない真犯人、見返せば意味のある見取り図、登場人物全てが互いに互いを疑い合う状況・・「こういう状況を何と言ったらいいのか」「わしなら推理小説と呼ぶね」・・・この「落とし」だけのためにこれ書いたんだろな、カーさん。

No.11 6点 弾十六 2018/11/04 09:36
JDC/CDファン評価★★★★☆
フェル博士第8作。1938年出版。創元文庫(1972)で読了。 HPBちょっと参照。
美食に飽きた金持ちが何か変わったものない?と注文して偏屈なシェフ出が出してくるようゲテモノ料理、それがJDCの諸作品なんだと思います。
結末までは本当に素晴らしいのですが、最後は唖然とさせられました。フェル博士のみっともない言い訳(p344)が作者の後ろめたさを物語っています。
主人公はJDCの分身(南アフリカ=北アメリカ)で、人生の苦労なんて無意味と主張したり、「彼は前から人間を観察していないといわれてきた男だった」とか作家にあるまじき人物像を暴露されています。名言が一つ: beware of people who make you laugh, because they’re usually up to no good.(p140) 橋本訳ではハドリー(ぼく)とフェル(きみ)の関係が近すぎる感じですが、二人の関係性を思えば、これくらいが本当は妥当なのかも。(最初、HPBで読み始めたのですが、何か読みづらくて、創元文庫に切り替え。延原信仰がちょっと揺らぎました。)
フェル博士のお気に入り事件は「うつろな男」「ドリスコル殺人」「ヴィクトリア女王号」と自白。
ところでH.M.第3作「赤後家」(1935)に出てくる「ロイヤル スカーレット事件」は本作と関係あり?「ピカデリイのロイヤル スカーレット ホテルで起こった、アメリカの富豪リチャード モーリス ブランドン殺害事件…〇〇(伏字)というトリック…公刊予定…」H.M.が手こずったと明言されています。(ゆるく解釈すれば、〇〇は本作と合致します)
さて恒例の歌とトリヴィアのコーナーです。
p10 パターソン夫人「いったいなんの役に立つのよ?」(Mrs. Patterson: ‘What’s the use? It’s all a pack of lies.’): 何かの引用?それとも架空のパターソン夫人?
p121 「進め! 牧童」という新しい歌を披露(introduced the novel note of ‘Ride ‘em, cowboy!’): 同名の西部劇映画(1936)あり。
p122 夢中でバラッドを歌っている…(singing a ballad whose drift I need not repeat.): 口をはばかる内容らしいのですが題名が書かれていません。
p262 ジェニーはぼくにキスをした(Jenny kissed me when we met): a poem by the English essayist Leigh Hunt (1838) JDC作かと思ったら丸ごと実在の詩の引用でした。
銃器関係ではp154、12口径の散弾銃(a twelve-bore shotgun): 口径の前の数字は直径の意味となってしまうので12番・12ゲージと訳すのが正解。boreは英国表現で米国のgauge。(延原訳では12番の猟銃)

No.10 7点 青い車 2016/10/09 01:36
 何と言っても「意外な犯人・意外な真相」に尽きます。そのために無理が生じているのも確かで、いくらなんでもあの状況下で犯行に及べた、というのはアンフェアと批判されても仕方ないようにも思えます。
 しかし、それはなりふり構わず読者を驚かそう、楽しまそう、というカーの魅力とも取れるのもまた確かです。たとえば、代表作の『三つの棺』のトリックを成立させた超絶のご都合主義と通じるものがあります。ひとつの大きな発想からいくつもの謎が解けていく快感はまさに推理小説の醍醐味そのものであり、面白さの追求の結果生まれた歪さ、という点で最高にカーらしい作品です。

No.9 6点 りゅうぐうのつかい 2016/06/27 17:20
掟破りの真相、この作品を一言でいえば、そうなるのだろう。
無銭旅行後の無銭飲食、その後の死体発見と逃亡、という冒頭のエピソードから読者を作品世界へと引き込み、次々と不可解な謎が提示され、事件に関する捜査と議論が繰り返され、事件を巡る人間関係が明るみになっていく構成は、満点と言えよう。
しかしながら、「え?そんなことが可能なの?」と思わざるをえない真相は、事前の説明が不足で、故意の隠ぺいとしか思えず、本格的視点から見ると零点だろう。
ホテルの事件での犯人の侵入経路に関しても、図は示されているものの、意図的に議論が伏せられている。
また、途中で示された「12個の不可解な謎」の内で、鍵が鍵穴に差し込んであった謎について、十分な説明がなされていない点も不満。
作中で、ニセの手掛かりをばら撒いている可能性があることや、犯人が必ずしも合理的な思考をするとは限らないこと、こういったことを登場人物に語らせている点に興味を引いた。
タイトルの意味、死者とは誰なのか、真相を知るとわかる仕組みになっているのが面白い。

No.8 8点 斎藤警部 2015/10/23 12:49
これは相当に好きだ。出だしも中盤も驚きの結末も文句なし。 あまりに意外な犯人は、、本気(マジ)で分からなかったから、真実(マジ)驚いたな!! でも結末だけの作品じゃないからね、最初にも書いた通りのっけから乗せられてずーっと面白いお話なの。それでいて最後にアレでしょ、こりゃひっくり返りますよ。。 「火刑法廷」なんかよりずーーっといいね。

No.7 8点 ボナンザ 2015/02/03 23:13
横溝正史がカーの最高傑作に推したと言うのもわかる気がする反則技の問題作。
当然賛否両論でしょうが個人的には好き。

No.6 9点 nukkam 2010/12/21 12:42
(ネタバレなしです) 1938年発表のフェル博士シリーズ第8作の本書は典型的な「巻き込まれ型」サスペンス小説のような出だしで始まりますが、死体を発見する羽目になったケントが警察に追い詰められることもなくあっさりフェル博士のもとに辿り着いているのはちょっと物足りなかった(笑)。怪奇趣味もなく不可能犯罪でもなくユーモアやロマンスも控え目で終盤まではとても地味な展開ですが、結末で待ちかまえていたのは驚愕の大仕掛けでした。この仕掛けは反則だという感想も少なくないし、その気持ちもよくわかります。ただ反則であってもこれほどの劇的効果をあげていることはやはり評価に値すると思います。そして最後の最後に明かされる、皮肉に満ち溢れた人間関係が何ともいえない後味を残します。

No.5 5点 kanamori 2010/07/01 23:09
フェル博士ものの第8作。
どんな手を使ってでも読者を欺いてやろうというカーの稚気が目いっぱい出ていて、怪奇趣向のないフーダニットに特化した作品です。ちょっと評価に迷うのですが、まあこんな点数にしておきます。

No.4 7点 文生 2010/01/19 14:20
本格ミステリとしてはアンフェアもいいところなんですけどこの堂々としたアンフェアっぷりが逆に面白かったですね。
まあ、それもカーに愛着があればこそで、もしこれがこの作品ひとつしか書いていない作家のものなら壁に本を投げつけていたかもしれませんけど。

No.3 6点 ミステリー三昧 2009/12/17 19:54
※ネタばれあり<創元推理文庫>フェル博士シリーズの8作目(長編)です。
この作品は怪奇趣味・不可能興味を一切排除した分、フーダニットに特化した作品となっています。カーの作風を考えると異色作ともいえそうです。
前の方も書かれている通り、いくつかの真相に対して良い意味でも悪い意味でも「ええっ!?」となったことは認めます。でも、私の中ではバカミスの域には届いていない中途半端な作品に思え高評価ができない。(まだバカミスに対する見極めができていないかもしれませんが・・・)
許容範囲を超えたずっとずっと遥か彼方に(バカミスと称された珍品だけが集える)特別な聖域が存在するわけですが、そこを本職とするミステリ作家はもっとえげつないことをやってくれる気がします。
また、作中には「12個の不可解な謎」が提示されるわけですが、それらに対して要領の得ない解答があったことも評価を下げた原因です。







(ここからネタばれ感想)
ホテルでの殺人事件が「外部からの犯行だった」という真相には驚きました。しかも「4章の見取り図」をヒントにフェアな論理展開がなされていた。そもそも外部からの犯行が事前に否定されていたので、疑いもしなかったです。この抜け道にはやられました。
ただフーダニットに対する意外性の演出が根本にあるため、かなり無理が生じてしまっている。「留置場の秘密の抜け道」は伏線を張っているとはいえ、許せません。
「左腕に麻痺がある」ため凶器としてタオルを使ったこと、トランクを利用したことには納得できましたが、ロドニー殺害の方法はイメージに苦労した。今でも、理解できていない。
犯人の行動が気まぐれ過ぎる。札に「女の死体」と書き残したことも「ドアノブに鍵を差し込んだまま」にしたこともゲイ邸での「狂言」も特に必然性が感じられない。
「ホテルの制服」と「警察の服装」が似ていた点も指摘されていましたが、納得できなかった。
その他いろいろありますが、長くなりそうなのでやめます。

No.2 1点 Tetchy 2009/01/06 23:14
この作品を手に取る人はミステリに対してかなりの寛容さを持ち、なおかつカーの稚気が解るほどに精読しておかなければならない。
私はこの作品はカーを読むに当たり、かなり初期の段階だったので、「何じゃあ、こりゃ~!!!」と憤ったクチです。

いやあ、ほとんど反則の連続なんですよ、コレ。
「えっ?」、「ええっ!?」、「えええっ!!?」となること、請け合いです。

No.1 7点 2008/11/30 19:35
カーのバカミスといえば『魔女が笑う夜』が有名ですが、個人的にはなんといってもこの作品。
真相のとんでもない掟破りには、もう笑って拍手するしかありません。出方のいんちきは当然ですが、入り方もたまたま痕跡を残さずに済んだだけですし、フェル博士の推理は循環論法に陥ってしまってるし、もうムチャクチャです。
乱歩先生が『皇帝のかぎ煙草入れ』や『帽子収集狂事件』と並べてベストの1つに挙げていたというのが信じられない珍品です。
なお、この創元版タイトルはゾンビをも連想させますが、原題の "To Wake the Dead" は「死人を目覚めさせるほど大きな音」のような場合に使う表現であり、ホラー・テイストはありません。


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