皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格 ] 引き潮の魔女 |
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ジョン・ディクスン・カー | 出版月: 1963年01月 | 平均: 4.67点 | 書評数: 6件 |
![]() 早川書房 1963年01月 |
![]() 早川書房 1980年11月 |
No.6 | 7点 | レッドキング | 2021/11/21 07:23 |
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ディヴァインやデクスターばかりを読んでると、ディクスンの有難みが良く解る。やはり、本格ミステリには「密室」出てこないと・・・しかも、二つも出て来て嬉しくなっちゃう。特に二つ目のやつ、「白い僧院の殺人」より好きだ。不可能幻影よりも、カーの場合、そのタネ明かしが大好物。 |
No.5 | 5点 | 人並由真 | 2020/05/07 02:01 |
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(ネタバレなし)
評者の場合、十数年前に一度、半分くらいだけ読んだところで、その段階で本を紛失。このたび蔵書の山の中から見つかったその読みかけのHM文庫版を、改めて初めから通読・完読した。 ちなみに『黄色い部屋の秘密』がほぼ完全にネタバレされていることと、ちっとも時代ミステリらしくないことは、すでに先のレビュアーの方々がさんざおっしゃっている通りです(笑)。 家の中にとびこんできて暴行を為したのち、閉ざされた空間に逃げ込んで姿を消した賊の謎、さらに物語のメインとなる海岸での密室状況での殺人の謎……と、カーらしい不可能犯罪そのものはまあまあ読者の興味を惹く。 しかし前者の方は割と早々と尻つぼみな形で説明がなされ、後者の方は真相そのものは実は存外にシンプルなのだが、その組み立て方と説明がややこしく面倒くさい。部分的に二回読んで、ようやくなんとか理解できたと思うが、いまだにこっちの勝手な解釈で補っているような箇所もある。 本当の真犯人の設定はいくつかの意味でこの作品のポイントだと思うけれど、英国の1960年代においてコレってやっぱり……(中略)。別のイギリス系ミステリ作家たちが諸作で扱った、複数の類例的な文芸を思い出した。 推敲を重ねれば、もっとずっと面白くなる可能性もあったような気もするけれど、実際にできたものは、色々と中途半端な惜しい作品。そんな感じである。 |
No.4 | 5点 | nukkam | 2016/07/21 15:30 |
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(ネタバレなしです) 1961年発表の本書はシリーズ探偵の登場しない歴史本格派推理小説ですが、空さんのご講評で指摘されているように1907年という作中時代は歴史を感じさせるのには中途半端で、現代を舞台にしたミステリーと大差ないように感じました。そしてこれも空さんのご講評の通りですが、出てくる人物がそろいもそろって筋が見えにくい話ばかりするので特に序盤は非常に読みにくかったです。探偵競争的な要素を織り込んだ後半はサスペンスがそこそこありますが。カーが得意とする不可能犯罪(足跡のない犯罪)を本書でも扱っていますが現場見取り図はできれば付けてほしかったです。なおTetchyさんのご講評にあるように、作中にガストン・ルルーの「黄色い部屋の謎」(1907年)の露骨なまでのネタバレがあり、本書に手を出すような読者ならこの有名な古典的作品を既読でもおかしくないとはいえちょっとマナー違反行為ではないかなと思います。密室トリックから犯人の名前までばらしていますので。 |
No.3 | 4点 | 空 | 2015/07/24 23:53 |
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歴史ミステリと言っても、これくらい新しい時代(1907年)になると、それらしい雰囲気はほとんど感じられません。カー自身が生まれた直後の時代設定ですからね。タイトルからも窺える足跡トリックがメインです。その前に地下室からの人間消失の謎もありますが、こっちはがっかりな真相でした。その地下室の方に対する、不可能に見せかける理由の欠如という問題点は、足跡トリックの方にもある程度当てはまります。
不満点は他にもあります。登場人物たちが好き勝手なことを言い合って話がうまく噛み合わず、それでわけがわからなくなっているようなところがあるのです。3人のうち誰が名探偵役なのかはっきりさせない構成も成功していると思えません。また最後の推理は、その人物に殺人動機があったことの論理的な指摘にとどまっていて、犯人であることを示す明確な手がかりが不足しています。犯人の設定自体はいいと思うのですが。 |
No.2 | 3点 | Tetchy | 2013/12/08 00:15 |
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1961年に発表された本書の舞台は1907年のイギリス。しかもHM卿やフェル博士と云ったシリーズ探偵が登場しないノンシリーズのミステリ。
物語の主人公、つまり探偵役はデイヴィッド・ガースと云う最近売り出し中の精神科医。さらに副業で覆面作家「ファントム」を名乗り、ミステリをシリーズで出版している。 そして彼と張り合うように捜査を担当するのはトウィッグ警部。ネチッこい尋問と勿体ぶったやり口が鼻につく嫌な警官だ。 物語の中心となる謎は2つ。1つはセルビー大佐の家政婦であるモンタギュー夫人の首を絞めていた女性は地下室に逃げ込み、いかにしてそこから脱出したのか? もう1つは砂浜に囲まれた脱衣小屋で起きた殺人、しかし周囲には犯人と思しき足跡がなかったという物。 この2つの謎に関わる女性が本書のヒロインであるベティ・コールダーの姉であり、数ある男と浮名を流しては財産を略奪する悪女グリニス・スチュークリーだ。 まず引き潮の只中で周囲が濡れた砂浜に覆われた家の中で女性を殺した犯人は周囲に足跡を残さずにいかにして犯行を実行したのかという謎は『白い僧院の殺人』の変奏曲のように感じる。 しかしその期待は悪い意味で裏切られる。 犯人だけを見れば実にシンプルな事件だが、ただこの真相は実に複雑すぎる。 また未読の方は本書でガストン・ルルーの『黄色い部屋の謎』の真相が詳らかに明かされているので気を付けていただきたい。 |
No.1 | 4点 | kanamori | 2011/02/12 14:34 |
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首都警察シリーズ三部作の3作目。最初の「火よ燃えろ!」はスコットランド・ヤード創設まもないヴィクトリア朝時代が舞台背景でしたが、本書は20世紀初頭で、あまり歴史ミステリという感じを受けなかった。
カーの歴史ミステリの定番である活劇&ロマンスの要素はなく、海水浴場の砂浜に囲まれた脱衣場内の死体という”足跡のない殺人”を扱った不可能トリックもので、フェル博士登場でも違和感がないが、トリックは残念レベルです、探偵役のトウィッグ警部は個性に乏しく、これは平凡な作品と言わざるを得ません。 |