皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] ヴードゥーの悪魔 ニュー・オーリンズ三部作 |
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ジョン・ディクスン・カー | 出版月: 2006年02月 | 平均: 4.50点 | 書評数: 4件 |
原書房 2006年02月 |
No.4 | 6点 | レッドキング | 2022/01/27 07:34 |
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米国南部・・黒人奴隷、ラテン混血、カトリック+呪術のヴードゥー信仰・・非WASP光景に彩られる世界、エドガー・アラン・ポー没後にしてリンカーン南北戦争前という不思議な時代が舞台。フォークナーや映画「エンゼル・ハート」の匂いたつ南部臭はないが、消失トリックと墜落殺人トリックと呪術幻影が・・両トリックに関連性なく幻影効果も薄味なのが残念だが・・付いている。 |
No.3 | 4点 | 雪 | 2019/12/26 11:30 |
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一八五八年四月十四日、アメリカ南部・ニューオーリンズの街がミシシッピーのほとりでまどろんでいる黄昏時、英国領事リチャード・マクレイは領事館に知人イザベル・ド・サンセールの訪問を受けた。彼女の娘マーゴの様子がおかしいのだという。二十四年前、奴隷虐待の濡れ衣を着せられ暴徒の襲撃を受けた社交界の花形マダム・デルフィン・ラローリーと、彼女に私淑していた〈ヴードゥー・クイーン〉マリー・ラヴォーに魅せられ、夢中になっているらしい。会話の途中イザベルは窓の外に注意を促すが、マクレイは一笑に付す。だがその直後、ガラスが割れて飛び散る音が響く。中庭のまんなかから投げられた陶器の瓶が、部屋の窓をぶち破ったのだ。
その翌晩《ワシントン・アンド・アメリカン舞踏場》で催されたクワドルーン舞踏会の席上、マクレイの友人トム・クレイトンは偶然仮面を付けて参加していたマーゴ・ド・サンセールの変装を見破る。仮面を奪われ激怒した彼女はそのまま黒い馬車に乗って走り去った。マクレイ達は車中のマーゴを見張りながら二台の無蓋馬車で追跡を試みる。だが、ド・サンセール家に帰りついた馬車の中には彼女の影も形もなかった。 彼らはサンセール夫妻に愛娘の消失を伝えるが、マーゴはまだ家に帰ってはいないという。そして階下のホールで話し合っていたまさにその時、事件は起こった。階段のいちばん上でふらふらしていた来客の一人ラザフォード判事が、突然頭から前につんのめって転落死したのだ。まるで誰かにつき飛ばされたように。だが一部始終を目撃していたホールの面々は、判事以外誰の姿も見ていなかった。 こうしてデルフィン・ラローリー事件の煽動者、ホレス・ラザフォードは謎の死を遂げた。二十四年前の四月十五日、ラローリー一家がニューオーリンズを逃げ出したのと同じ日に・・・ 『月明かりの闇』に続き1968年に発表された、ニューオーリンズ三部作の一作目。三部構成ですが導入部では〈誰かに見張られている〉〈娘がどっかヘン〉といったあやふやな展開。 が、第二部で復讐に燃えるマダム・ラローリーの義理の息子スティーヴ・ホワイトが犯人と目された後、ヴードゥー教の悪魔「パパ・ラ=バ」を名乗るカードが警察や事件関係者に送りつけられ、また探偵役ベンジャミン上院議員の手によって馬車からの消失の謎が解かれるに到りやっと面白くなってきます。 とはいえノリは歴史物というより通俗物、もっと言えば少年探偵団のソレに近い。消失トリックも残念気味の殺害方法も明らかにソッチ系。第三部で明かされる一連の〈ヴードゥーの流儀〉の反転は確かに意外ですが、これも特殊な知識がないと厳しい。いずれの要素もかなり長めの物語を支えるには足りません。三部作の内では最も良いとのことですが、個別の作品としてあまり高くは評価出来ないでしょう。 |
No.2 | 5点 | nukkam | 2015/03/05 19:43 |
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(ネタバレなしです) 晩年のカーは米国のニューオーリンズを舞台にした歴史本格派推理小説を立て続けに3冊発表しており、1968年発表の本書はその第1作です(ちなみに3作の相互関連性はないので、どれから読んでも構いません)。導入部で描写されているのが娘の行状を心配する親だとか、誰かに見られているのではと気にしている主人公のマクレイだとか、不安なのはわかりますが事件性があまりないためミステリーとしては前半部が盛り上がりません。また得意の不可能犯罪もトリックがあまりよろしくないです。しかしフーダニットとしては謎解き伏線を豊富に用意にしていてまとまっており、ニューオーリンズ3部作の中では一番出来がいいという評価には私も賛成します。原書房版はなぜか登場人物リストが付いていないのが残念です。 |
No.1 | 3点 | kanamori | 2010/06/24 20:28 |
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ニューオリンズを舞台にした歴史ミステリ3部作の第1作。
最後の未訳長編ではありますが、よほどのカーマニアでないと面白く読めないでしょう。 作者らしいミステリの趣向は馬車からの女性消失ぐらいですが、不可能性を強調するための「検め」不足で、真相はごく常識的なものでした。 |