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[ 本格 ]
皇帝のかぎ煙草入れ
ジョン・ディクスン・カー 出版月: 1954年12月 平均: 7.92点 書評数: 49件

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早川書房
1954年12月

中央公論社
1960年01月

東京創元社
1960年01月

東京創元社
1961年08月

角川書店
1963年01月

東京創元社
1981年01月

早川書房
1983年01月

嶋中書店
2004年11月

東京創元社
2012年05月

No.49 9点 ひとこと 2023/06/13 23:45
三つの棺よりこちらの方が評価が高いのは意外です。

No.48 7点 ALFA 2023/01/21 14:19
数十年ぶりに再読。すっかり忘れていて楽しめるかと思ったけど、けっこう覚えていて残念!

シンプルなプロット、整理された登場人物、小粒だがキレのいいトリック。まさに優等生のような本格ミステリー。
ただ十代の頃とは違い、スレッカラシ読者の今となってはもう少しコクというかアクというか個性、さらに言えば独特の世界観が欲しくなる。ここではカーの個性は強く出ていない。

そういう意味では、同じ動機とトリックからなるクリスティの某作品のほうが好みではある。
どちらも名探偵と名犯人が登場するが、あちらにはさらに名被害者と濃い人間ドラマがあるぶん楽しい。

No.47 9点 YMY 2021/05/28 22:36
完全にネタバレ




証人が暗示に弱いことを知悉している犯人が、先に自分が殺しておいた被害者がまだ生きている光景を窓から見たと証人に語ってこれを信じさせ、証人自身が目撃したかのごとく思い込ませてアリバイを成立させる。
目撃証人の記憶力の確実性という本格ミステリの不文律を逆手に取った作品。

No.46 7点 じきる 2020/09/28 18:47
シンプルだけど見事なトリックだ。
読みやすいのもいいですね。

No.45 7点 弾十六 2019/10/16 00:20
JDC/CDファン評価★★★★☆
1942年出版。創元文庫の新訳で読了。読みやすい訳で文句なしです。(井上一夫さんの旧創元文庫をチラ見したら、こっちも負けてないですね。さすが井上先生。)
四十数年前に読んでて、全く内容は忘れてた筈(傑作という印象も特に無かったのですが、ここの評価点が高いので期待してました。)…なんですが、途中で解決の見当がついちゃったんですよ。無意識に憶えてたんでしょうかね。印象的な手口ですから。なので驚きは半減。JDCのアクロバットをニヤニヤして見てました。
でもやっぱりJDCって盛り上げベタです。話の展開はこの上なく上質で「これどーなっちゃうの?」と何度もドキドキさせるのに、女の心理戦の見せ場が、ことごとくあっさり流れて不発に近いじゃないですか。いやこれ作家が惚れるわけだなあ、と思った次第。(俺ならもっと上手く描ける!このプロット俺にくれよ!と言いたくなりますよね。)
私には異常人物と異常状況が薄いのでJDCの作としては物足りません。探偵小説としては素晴らしいプロット。p290で明かされる証拠を「誰かが故意にやった」風に装える状況を作っておいたら完璧だったと思います。貴重な「かぎ煙草入れ」をぶっ壊した理由についても、ちょっと不満ですが良い赤鰊と思えば…
以下トリビア。
作中時間は問題ありです。
事件の「ちょうど1週間後が9月1日月曜日」と明記されてるので簡単、と思ったら、出版直近の該当年が1941年。でも、戦時中な感じが全然しないし、フランス北部は1940年6月からドイツの支配下なので1941 年は有り得ない。となるとそれ以前の直近で該当する1930年?は遠いなあ。1月か2月ならば1941年と1936年の日付と曜日は一致。(JDCは1月のカレンダーを見て曜日を確認したのか?) 1936年ならまだ戦争の影は遠かった。従って作者が執筆時に思い描いていた日は1936年9月1日(実際は火曜日)、事件発生は8月25日と考えて良さそうです。(作者は『猫と鼠の殺人』(1941)でも同じような間違いをしてますね。)
現在価値は仏国消費者物価指数基準(1936/2019)で490.9倍、当時の1フラン=0.75ユーロ=89円。
p7 ラ・バンドレット(La Bandelette): 架空地名。「戦前の平和な時代には(in those days of peace)」フランスでも有数のにぎやかな避暑地(fashionable watering-place in France)。英国人や米国人がよく来る観光地で、カジノがあるという設定。ピカルディー海岸にある。マーチ大佐ものの短篇『銀色のカーテン』(1939-8)の舞台。ゴロン警察署長はこの短篇にも登場。短篇をラジオドラマ化した『死の四方位』(1944)にもゴロン署長は登場し、その時は自ら事件を解決します。
ピカルディー近くで海に面しててカジノがあって…という条件で探したらメール=レ=バン(Mers-les-Bains, 「海水浴場の海」というような意味か。)という町が見つかりました。仏wikiに戦前の写真あり。町が作った紹介ビデオも見つけました。www.merslesbains.fr/video-de-presentation アールヌーボー風建物が数多く残る町です。これがモデル?
p8 ヴァンドーム広場でルベックが扮した妖婦キルケー(a figure which Lebec of the Place Vendôme tricked out into that of Circe): 調べつかず。
p19 ソーン・スミスのユーモア小説(Thorne Smith): 本名James Thorne Smith, Jr. (1892-1934) He is best known today for the two Topper novels, comic fantasy fiction involving sex, much drinking and supernatural transformations.(wiki)
p41 ジョージ・バーナード・ショーの劇って、けっこうお茶目なのね(I think Shaw is rather sweet): 劇のタイトルは後で出てきますが、この場面ではぼかされてるので読んでのお楽しみ。謎ありの話なので「ミステリの祭典」に登録しようかな…
p55 火かき棒(poker):『まだらの紐』でロイロット博士とシャーロックが力比べするアレですね。
p70 スプリング錠(spring lock): ドアを閉めると鍵がかかる構造らしい。a type of lock having a spring-loaded bolt, a key being required only to unlock it.
p82 黒っぽい目… 目と同じ色の髪…(dark eyes. There was still no gray in the thick dark hair): キンロス博士の描写。目の色の記述が髪の色より先に来てますね。
p83 まわりからトビイと呼ばれているホレイショー・ローズ(they call him Tobee[Toby], but his name is Horatio): なぜTobyなのか説明無し。あだ名?
p95 一軒の鍵があればほかの家のドアも全部開けられる(The keys of one will fit the doors of all the others): 同じ業者が建てた四軒の家の鍵が同一… のんびりした時代ですなぁ。
p97 五フラン硬貨をテーブルに放って(threw a five-franc piece on the table): 447円。カフェテラスでのカクテル代。1933年発行の6gニッケル貨(直径23.7mm、顔右向き)か1933年以降の12gニッケル貨(31mm、顔左向き)か。
p148 血液型(blood-group): 「O型」は原文ではGroup Four。この時代、血液型はわかるが血液から個人を特定出来なかったのか?Forensic Science blood identity historyでざっと調べるとDevelopment of the absorption-inhibition ABO blood typing technique in 1931.という記載(New York StateのPolice Laboのページ)がありました。詳しく掘ってませんが、調べると面白そうですね。(まだ硝煙反応の宿題が残ってるぞ!という声が聞こえるような…)
p159『ジョン・ブラウンの死体』(John Brown’s Body): 米国南北戦争時に北軍で流行った曲。曲は「ヨドバシカメラ」でお馴染み。(wiki「リパブリック賛歌」参照。)
p162 メリーランド煙草(yellow Maryland cigarettes): 架空ブランド。1944年発売のルクセンブルクの煙草ブランドはありましたが…
p179 前に一度、パリで殺人事件の裁判を傍聴(attended a trial for murder once, at Paris): フランスの裁判は怒号が激しく飛び交い、判事たちが被告を怒鳴りつけるらしい。
p183 メーター・ランプの弱い光(the dim glow of the meter-lamp): vintage taxi meter-lampで画像あり。どーゆー仕組みなんだろう。
p184 八フラン四十サンチーム(eight francs forty): 751円。タクシー代。
p190 七十五万フラン(seven hundred and fifty thousand francs): 6703万円。貴重なかぎ煙草入れの値段。
p197 いんちき男!(Blaah!): blah(くだらない)かblaa(羊のメー)か。又は明確な意味のないブーイングの親戚みたいな音か? 井上訳では「ペテン師!」
p197 ユーライア・ヒープ顔負けね!(you canting Uriah Heep!): Charles Dickens作David Copperfield(1850)の主要登場人物。
p215 小説に出てくる名探偵を気取って(like the great detective): 黄金時代の特徴。
p241 ラ・バンドレットの市庁舎(The town hall at La Bandelette): 「黄色っぽい石で造られた背高のっぽの建物… 時計台をそなえ…」残念ながらここに書かれてる特徴は上述のMers-les-Bainsの現存する市庁舎(1904年から)とは一致しないようです。でも隣町Treportの灯台が市庁舎まで距離約2km。市庁舎の南西側にあるので最上階西側の窓から灯台は見えるはず。(強烈な光は無理かなあ。) Google MapでMayor of Mers-les-BainsとLe Tréport Lighthouseの位置関係などを確認できます。便利な世の中ですね。
p267 十万フランの価値(worth a hundred thousand francs): 894万円。ネックレスの値段。
p280 ウィリアム・ラッセル卿(the case of Lord William Russell, at London in 1840): 本文の通り。wiki参照。
p284 パトリック・マホーンみたいなやつ(A Patrick-Mahon sort of fellow): 訳注の通り。wiki“Crumbles murders”参照。
p299 ジャンピング・ジャック(jumping-jack): jumping jack toyで検索すると見られます。Rolling StonesのJumpin‘ Jack Flashはこれのことではないらしい。
p308 目もあやな大輪の花(zizipompom): p147でゴロン署長が二度言う「危険」も原文ではzizipompom。井上訳ではいずれも「打ち上げ花火(みたいな女)」。こっちの方が原意に近いのかな? 仏語辞書をちょっと探してみるとziziはありましたがpompomは該当なし。
(2019-10-16追記)
ベルギーでも1915年から採用されていたポンポン砲(37mm Vickers-Maxim pom-pom 1903/13)のことをすっかり忘れてました。とすると「ziziがポンポンするような」美女、という意味か?(下品ですみません。)

No.44 7点 ことは 2019/02/15 00:58
新訳で再読。
うん、やっばりこれはよくできている。だれることもなく一気読み。誰にでもお勧めしやすい。
でもね、この平均点はできすぎでしょ。ミステリ史に残る傑作のような点数だけと、そこまでではないよなぁ。
カーにはもっと面白い作品がいくつもある。これは一発ネタという感じで、インパクトが薄い。
カーの傑作はいろいろアイディアをてんこ盛りして、サービス満点なのがいいんでしょ!(そのかわり整理ができてないところがあるけど、それはお愛嬌)
ということでこの点数。私の好みでは、カーの中では中の上。

No.43 6点 レッドキング 2019/02/04 12:19
トリックもオカルトもなしのカー流「幻の女」風サスペンス。目と頭が認識した「個物」と「一般名詞」のずれと操作。タイプの違う二人の「ろくでなし」男と印象操作されやすい女。探偵とヒロインのラブロマンスのオマケ付き。

No.42 8点 バード 2019/01/17 14:32
犯人当てられなくて悔しいです。
奴は最初から容疑者圏外にして考えてしまった。だから作者にしてやられたの一言。
(言い訳): ネッドが遠目で見ているにもかかわらず、モーリス教の持っているものをかぎ煙草入れといった箇所が怪しいとは思ったのだが、そこを私はモーリス教が他のかぎ煙草入れを見ていたと解釈。だから、ナポレオンのかぎ煙草入れがどの段階で事件に関わったのかを考えてしまった。目の付けどころは悪くなかったのよ~。(これ英語だったら冠詞がつくからこういう読み間違いは起こらないのだが)

物語がシンプルで読みやすく、メインのしかけも良い切れ味をはなつ秀作。考えてミステリを読む人にぜひ勧めたい。

No.41 7点 ミステリ初心者 2019/01/13 13:09
 ネタバレをしています。

 ベンが犯人かと思っていました。今回も見事に外れました(笑) 意外な犯人が楽しめる作品でした。
 書斎のドアと絨毯の様子から、トビイが嘘をついているという博士の推理は見事でした。
 145pの、トビイに対しての博士の言葉は、論理と感情が合わさっていて、カッコイイですね。

 以下、いちゃもん点。
 意外な犯人を演出したいがために、犯人に有利な嘘や証言者、偶然の類が多すぎでした・・・。ネッドの"かぎ煙草が見えた"との発言は、鈍い私も流石におかしいと思いましたが、茶色い手袋の人物が犯人と思ってネッドを犯人候補からはずしてしまいました。
 オルゴールの件がちょっとよくわかりませんでした。ベンジャミンの証言から、かなり長時間鳴ったはずでは? 警察が誤って鳴らしてしまった際の、駆けつけたトビイの様子から、トビイがどの辺にいたかの記載が無かったので、音の大きさがよくわかりませんでした。
 イヴが起きている状態で犯行を行うのはリスキー→トビイは犯人ではないと推理したのですが(実際みられてるし)、結局窃盗はしたのね・・・。殺人よりはバレ辛いかもしれませんが。
 
 ジャンル分けするとしたら、何でしょうかね? ワットダニット・・・?

No.40 9点 ねここねこ男爵 2017/10/19 12:27
シンプルかつ効果的な心理トリック。前例もあるようですが、世に知らしめたのはこの作品ではなかろうか。

あとタイトルも何気によいと思う。

No.39 8点 いいちこ 2016/05/17 18:33
ご都合主義的な展開が散見されるのは事実。
しかし、後世の叙述トリックにも通ずる前半部分の綱渡り的な叙述・伏線、些細な手掛かりから犯人特定に至る真相解明プロセス、明かされた真相の衝撃度が際立っている

No.38 6点 nukkam 2016/05/12 12:58
(ネタバレなしです) 1942年に発表されたシリーズ探偵の登場しない本格派推理小説で、使われたトリックをアガサ・クリスティーが絶賛したことでも有名な作品です。ネタバレになるのでどういう種類のトリックかは紹介しませんが、このトリックは別にカーが最初に考案したわけではありません。私が知っているだけでも3人の作家が本書よりも以前にこのトリックを使っていますが、不思議なことにその1人が他ならぬクリスティー自身。まさか自分でそのことを忘れてしまったのでしょうか?とはいえトリックの使い方とそれによる意外性の演出ではカーが断然優れており、クリスティーが感心したのもその辺かもしれません。ロマンスの行方も思わぬ方向へと流れていきますが、こちらはいささか唐突過ぎて私には理解できませんでした。男女の関係ばかりは論理的に解けないミステリーですね(笑)。

No.37 7点 青い車 2016/02/13 18:22
 密室の王者カーが生み出した心理トリックものの傑作として名高い作品。トリックは新鮮で、初読のときは確かに感心しました。しかし、変な言い方ですが本作は「すっきりし過ぎ」な印象で、いい意味でのカーらしい装飾過多が影を潜めているのは少し寂しくも感じます。あくまで個人の意見ですが、カー(ディクスン名義含む)の代表作には『三つの棺』『ユダの窓』『曲がった蝶番』などを推したいです。

No.36 9点 ロマン 2015/10/20 11:00
表題の通り「かぎ煙草入れ」が重要な殺人事件。これは巧い。ごく単純な事件を心理的な仕掛けで巧妙に騙してくる。短いながら、どんでん返しもあり楽しめた。カーと言えば不可能犯罪という印象だったので、どんな超絶技巧なトリックが仕掛けられているのかと期待していたところを良い意味で裏切られた。犯人は予想通りで驚きはないけれどトリックは予想外で別の意味で意外な展開だった。なるほど確かにクリスティが好みそうな推理小説。物語としても読みやすく冒頭から引きこまれた。特に男女の確執が迫真。ヒロインの男運の悪さには同情するしかない。

No.35 8点 tider-tiger 2015/09/11 20:23
「このトリックには、さすがのわたしも脱帽する」
アガサ・クリスティ女史がこのように言っていたそうですが、このトリックを活かすための繊細で巧妙な筆致に女史は驚いたのではないでしょうか。
彼女は操られ易い人間だとかなんだとか言っておきながら、実は操られていたのは読者だった。
思いついてしまえば、多少書き方がまずくとも読者を驚かすことが可能なトリックもあれば、思いついたその先に、うまく書かなくてはならないという新たな課題を要求するトリックもあります。本作のトリックは完全に後者です。そして、自分はそのうまさに感心しました。読者に読み違いをさせるように仕向けた場面、会話が自然でうまい。故に埋伏の毒が成立する。
小粒感ある作品ですが、技巧的にはかなりのもの。再読必須。
けれん味たっぷり、大掛かりなトリックで読者を驚かす作家というのがカーのイメージだったので、良くも悪くも期待を裏切られました。

No.34 8点 クリスティ再読 2015/08/16 21:15
これはやはりクリスティの「死との約束」のオマージュとして書かれた作品なのではなかろうか。

ネタ以外にもいろいろとトリビアルな共通点が多すぎるので、おそらく間違っていないと思う(精神科医が関係者と結婚END。刑務所とか、情けない夫/婚約者が失敗するとか)。まあ、これだけあれば「わざと」だよね。表現者って「他人の作品に関心のない人」と「他人の作品が大好きな人」と二通りあると思うが、カーって明白に「他人の作品が大好きな」マニアタイプの作家だと思う。だからこそ、気に入ったクリスティの「死との約束」をベースにいろいろオリジナリティを追加して、より純化したかたちでこれを書いたのではなかろうか。でお遊び&クリスティに対する通信としてトリビアルな共通点を盛り込んだわけで、それに対するクリスティの反応はというと、どうも「脱帽」の件は資料的な確認ができないらしいんだが、まあこれ伝説でも「ありえた伝説」だからいいじゃないかと思う。

後発の強みもあってその試みは成功していると思う。みんな触れないけど、この作品のストーリー的に一番うまくできているのは、探偵役とヒロインとの恋愛感情が嫌みなく書けている点(ここらへんクリスティのロマンス志向をうまく取り入れているかもね。どうも他のカーの恋愛描写は取ってつけたみたいで嫌いだ)で、カーの個性(笑)ともいうべき中盤の弱さがカバーできている。

読みやすく、良くできており、シンプル...と良い点ばかりが目につく佳作なのでケナす気は毛頭ないのだが、本作がカーの一番人気とは、ちょっとファン気質も変ったのかな。

No.33 7点 了然和尚 2015/07/03 15:18
手がかりもよく示されて、無駄な登場人物もない、よくできた作品なのですが、私には物足りませんでした。クリスティーの「そして誰もいなくなった」、クイーンの「Yの悲劇」、クロフツの「樽」(これはちょっとこじつけ)カーの本作や「火刑法廷」と作家のベストと言われる作品にレギュラー探偵が出てこないのは偶然でしょうか? それぞれにでてこない理由が存在するのですが、本作ではフェル博士でも問題なさそう。フェル博士は「そうか 私はとんだ思い違いをしていたんだ」とは絶対に言わないので、探偵役が最初に「ロウズ家内部の犯行」と言わせたいための探偵変更か?

No.32 9点 斎藤警部 2015/06/02 18:47
セイガク(中学生)の時、その表題の異様な物々しさに惹かれ、ある種怖いもの見たさで手に取った一冊。
中身は決しておどろおどろしいものではありませんでしたが。。 見事に最後まで騙されました。クリスティ女史が脱帽したのも頷けます。 こりゃ自分が書きたかったでしょうなあ。
メイントリックは日常生活でチョイチョイ使わせてもらいました(えっ??)

No.31 8点 STAR 2014/09/02 20:22
裏表紙「このトリックには、さすがのわたしも脱帽する」とアガサ・クリスティを驚嘆せしめた…とありました。
このあたりから予想できそうなのにまんまとひっかかりました。

これだけたくさんの推理小説が出ている現在においても、そこまで古くは感じないですね。

No.30 8点 sophia 2014/05/22 19:05
サスペンス的な面白さがあった。
「火刑法廷」よりこっちの方が好き。
もうちょっとイヴを絶体絶命に追い込んでもよかったかも。


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