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夜歩く
アンリ・バンコランシリーズ
ジョン・ディクスン・カー 出版月: 1954年12月 平均: 5.83点 書評数: 23件

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早川書房
1954年12月

東京創元社
1959年01月

早川書房
1976年06月

東京創元社
1976年07月

東京創元社
2013年11月

No.23 10点 持ち 2021/04/26 11:37
ひたすらに大人の世界だ。1920年代パリ。狼伝説。

No.22 7点 レッドキング 2020/01/14 08:47
わがジョン・ディクスン・カーの記念すべき長編デビュー。当然に点数にはオマケが付く。
「真の恐怖は~滑稽とは無縁でなく・・」カーの方法論は既にこの作で確立していた。

No.21 5点 弾十六 2019/06/02 11:53
JDC/CDファン評価★★★☆☆
バンコラン第1作。1930年出版。創元文庫の新訳(2013)で読みました。新訳はセリフの感覚がちょっと… 持っていないので比べてませんが、多分私は創元旧版(井上 一夫)と合いそうな予感。
もちろん40年ほど前に早川文庫で読んでいますが、あらゆる場面が新鮮でした。
どうやらHarper初版はSealed Mysteryシリーズとして出版されたようで、初版は第13章以降が封印されています。(袋とじを破らなかったら返金するやつ) シリーズの他の作品がダストカバー(Webに写真あり)に載ってるのですがどれも知らない作家(Austen Allen, Mary Plum, Milton Propper, Lynn Brock)の知らない作品。
不可能状況の説明に手間取ってるのが残念。インパクトが弱まっています。それに不気味さを盛り上げるのが下手です。まーいつものオカルトの扱いが雑なJDCですね。大ネタはうっすらと記憶に残っていて驚けませんでした。そして、せっかくのダブル美女なのに書き分け出来てません。世紀末風の耽美溢れる(ちょいエロ風味の)ネタはとても良いのですが充分生かせてないんです。一番生き生きと描けているキャラはゴルトンかなあ。
もとになった中篇グランギニョール(初出: 学生誌Haverfordian 1929年3〜4月号)も読んでみたいと思いました。
ところで今更気づいたのですが、黄金時代の作品群は、探偵小説を読みすぎた者のためのメタ探偵小説なんですね。探偵小説趣味が蔓延していることが前提になっています。「小説みたいな事件が起こった」という小説です。
以下、トリビア。原文が入手出来ていないので調べは行き届いていません。
作中時間は1927年4月23日から始まる事件(p13)と明記。
現在価値への換算はフランス消費者物価指数基準1927/2019で417.81倍、417.81旧フラン=0.64ユーロで計算。
p66 ポオいうところの「対戦相手の力量を図る」: The Purloined Letter ”And the identification,” I said, “of the reasoner's intellect with that of his opponent.”
p66『不思議の国のアリス』: 作者の好み全開です。あまり筋に絡まないのが残念。
p106 “春の犬や冬を狩りたて(…)”: 英語の詩らしい。教養がないので知らず。(訳注なしは常識だよね、ということか) 直前にボードレール『悪の華』が言及されている。
p108「消えておしまい、いやなしみ!(…)」: ここも訳注なし。マクベスだと思いますが…
p125 ワインの正しい区別: なんか怒って主張しています。にわかワイン通って嫌ですねえ。
p136 故ルーズヴェルト氏: 勇敢な狩猟家として有名な… セオドア ローズベルト大統領(1919没)のことですね。(私は清水俊二派です)
p138 二千フラン札: 現在価値15万5千円。Standard Catalog of World Paper Moneyで調べましたが、1930年に流通してる最高額面は1000フラン札のようです。過去に2000フラン札は発行されたことがない?5000フラン札は直近では1918年に発行されていますが…
p140 雨が降るよ(…): Il pleut, il pleut bergere/Rentre tes blancs moutons フランス民謡。
p141 愛しマドロンよ(…): Quand Madelon vient nous servir à boire 作詞Louis Bousquet、作曲Camille Robert。コメディアンBach (Charles-Joseph Pasquier)が1914-3-19にcafé-concert l'Eldoradoで歌ったのが最初。(wiki)
p165『コレラ讃』を引用(…)“先に逝く者へ手向け… あとに続く死者へ万歳!”: 調べていませんが、なんかあるのでしょう。
p165 グラスをこなごなに: ロシア流の乾杯作法ですが、先生が出してくれたグラスでやってるんですよ。いいんでしょうか。
p173 ガストン ルルーの小説を読んだんだな!: 警察の科学捜査をなめるな、とバンコランは言うのですが、後年JDCは結構、警察の無能に寄りかかった小説を書いてます…
p174 アメリカでは密告と拷問: 比べてフランスでは科学捜査が… と言うバンコラン。このフランス警察優位説はどこらへんから来てるのだろう。
p180 いきなり客席に向き直って: 作中人物が直接読者に呼びかけるネタの胚芽がここにあった!
p183 探偵: 語り手のジェフ マールは「自分が探偵だ」と言う。えっ?どう言う意味?
p184 サックス ローマー: プレッツェル蛇のネタ。どこか別なところでも読んだ気がする…
p184 エルクス慈善組織: Benevolent and Protective Order of Elksですね。私はクール&ラムで知りました。
p202 五百フラン: 緊急時の医者への謝礼。現在価値15500円。
p204 バルベー ドールヴィイの「虎の血と蜜」: Jules Barbey d'Aurevilly、作品名ではなく引用句か。
p208 ジョン ゴールズワージー: 有名作家John Galsworthy(1867-1933)のこと?バンコランの友人にされている。
p209 ユージーン オニール: 確かオニールの劇が上演されなかったシーズンにおきた(小説上の)事件がありましたよね…
p212 門番(コンシエルジュ)族特有の棒読みのきんきん声: コンシエルジュはすっかり日本語になった感じです。でもこのような印象は無かったなあ。
p224 サタデー イヴニング ポストの挿絵画家ブラウン: Arthur William Brown(1881-1966) 1903-1941までポスト紙に掲載記録あり。(FictionMags Index)
p280 オーケストラが“ハレルヤ”の最終音符をばんと打つ: ミュージカルHit the Deck!(1927)の挿入歌Hallelujah(作曲Youmans、作詞Robin+Grey)のことだと思います。もちろんハレルヤの歌詞を持つ曲は沢山ありますが… ところでこの作品にはジャズオーケストラの演奏がバックグラウンドに騒がしく流れてるのですが、曲調はルイ アームストロング初期(Hot Five&Hot Seven)のやつをイメージすれば良いと思います。エリントンやベイシーはまだ先ですから… Billy Cotton楽団やRay Ventura楽団が年代的にはぴったりかな。

最後の文章は意味がちょっとわかりません。(いや大体わかるんですが、折角のキメ文句なのにスパッとしてない感じを受けたんです) 早川文庫(文村潤)の方は多分誤訳。原文はどうなってるのかな。

No.20 5点 虫暮部 2018/08/10 10:09
 バーナビー・ロスは本書を読んで、13~14章、架空の殺人計画(戯曲)が他者の手に渡って云々のくだりを、拡大解釈して、換骨奪胎して、あの作品を書いた、のかもしれない。

No.19 5点 クリスティ再読 2016/09/25 19:00
創元の新訳で読んだ。和爾桃子って人の訳だ。この人Wikipedia の経歴で見ると21世紀になってから活躍しだした人だから、若い人なんだろうけど...

ときに、あの英国令嬢とのきわめて耳目をひくご高話なら勝手に拝聴したよ。言わせてもらえば、君の態度は慎重でじつに見上げたものだった。さてさて―

で、この英国令嬢は「遊ばせ」なんて言い方をしちゃうのである!すごいな。まあ、こういう擬古的な訳文が似合う作品であることは言うまでもない。今回読み直して本作って、何かキラキラ感があって少女ホラー漫画にうってつけの原作のように思うよ。JETあたり漫画にしないかしら? 古き佳きベルエポックのパリに跳梁する人狼...というゴシックな世界観が本作のウリなので、この訳はそういう用途をちゃんと満たしたイイ訳だと思うね(ググるとイマの優秀翻訳家で結構名が出る人のようだ...要注目)。
まあ作品としてはクラシックなネタなので、イマドキのスレた読者が真相にびっくりするのはちょっとムリと思う。それよりも、カーの処女作ということで、カーがそれまで好きだったいろいろなもの(ポーとかマクベスとかアリスとか)を「とにかく詰め込みました!」というノリで繰り出して見せる小ネタが楽しい。そういう意味ではアマチュアとプロの境界線にあるような作品かもしれないが、それゆえの勢いはあるよ。
あと本作のトリックって本作だとうまくいくのが不思議なくらいの危ない橋だ....犯人像ももう少し突っ込むといいんじゃないかしら。このネタだと心理サスペンスくらいの方がいいような思う。
というわけで、本作はミステリで読むよりも、ホラー系キャラ小説くらいで読んだほうが楽しいと思う。期待せずにノンキに読んでくれ。

No.18 6点 nukkam 2016/08/17 14:26
(ネタバレなしです) 米国のジョン・ディクスン・カー(1906-1977)は不可能犯罪トリック、オカルト趣味、強烈なユーモア、歴史ロマンなど沢山の引き出しを持っていて今なお本格派推理小説家に強い影響を与えている巨匠中の巨匠です。米国人といってもヨーロッパに長く滞在し、ヨーロッパを舞台にした作品が多いためか同時代のヴァン・ダインやエラリー・クイーンの(当時としては)モダンなスタイルとは対照的に古きロマンのようなものを感じさせます。1920年代に限定出版された中短編もありますが1930年に発表された本書が実質的にはデビュー作にあたります。早速密室殺人事件が扱われており、トリックは偶然に頼ったようなところがありますが暗い幻想性に満ち溢れた独特な雰囲気がなかなか個性的です。多くの方々が粗削りだけどカーらしさは十分に発揮されているとご講評されていますが私も賛同します。

No.17 6点 ロマン 2015/10/21 07:21
ジョン・ディクスン・カーの処女作品。精神異常者のローランは妻のルイーズを殺そうとするも未遂に終わり、収容されるも妻が再婚することを聞き脱走する。その執念は恐ろしいものでローランは整形をしてその整形を施した医者を殺害し闇にまぎれる。ルイーズの新しい夫でスポーツマンのサリニーは脅迫状まがいな物を送られ、その影に恐怖し、身の安全のため警察に身辺警護される中、殺害される…地の部分に恐怖感を漂わせすぎているわりに、事件のトリックは拍子抜けだが、確かに拙いながらもディクスンらしさが凝縮されてる一冊だった。

No.16 5点 蟷螂の斧 2015/10/14 19:38
密室・○○○○○トリックは、それほど感心するものではなかった。しかし、サイコキラー系は割と好きなので、最後の一行(犯人の言葉)は結構気に入りました。

No.15 5点 ボナンザ 2014/09/18 20:30
処女作だけあってカーの特徴がよく出ている佳作。
でもメインの密室トリックって前提条件アンフェアぎりぎりじゃない・・・?

No.14 6点 makomako 2014/05/28 18:48
 カーの作品はあまり多く読んだわけではないですが、以前は変な登場人物といかにも作り物と思われるようなシチュエーションさらにこなれない翻訳にかなり違和感を感じていました。最近は日本の作品でもへんてこな登場人物がよく出てくるのでだいぶん慣れたせいかこの作品ではさほど違和感がなく読めました。
 密室のなぞは全然解けなかったけど、こんな程度でよいのかなあ。
 本格推理が好きな方には面白いと思いますが、そうでなければ読んでいくのも苦痛かもしれない。

No.13 5点 あびびび 2014/03/22 19:36
(ネタばれの可能性あり)、首切り、整形、密室殺人と、題材はそろっている。怪しげな雰囲気はデビュー作から満載だった。密室の種明かしは「はあ?」と言う感じで肩透かしを食ったが、しかしあの犯人が一気に首を切り落とすなんて…と追求したくなるのはカーがどれだけ好きかによる。

題名と内容がぴんとこないけど、この題名は想像力をかきたてる。

No.12 6点 TON2 2013/03/21 18:43
創元推理文庫
 アンリ・バンコランを探偵とするカーの処女長編で、20世紀初頭のパリでの密室トリックを扱っています。
 犯人とおぼしき者が整形し、狙われている公爵はしゃべれないはずの英語をしゃべり最近使用人に暇を出したとくれば、〇〇トリックには気づきます。
 また密室トリックも偶然が左右し、それほどキレのいいものとはいえません。
 作中2人が殺され、消去法で犯人も目星がつきます。
 

No.11 6点 メルカトル 2013/03/08 22:21
カーはデビュー作から怪奇色溢れる密室ものを書いていたんだねえ。その心意気は見事なものであり、一貫して本格ミステリを書き続けた姿勢は素晴らしい。
本作は、ややあっさりしすぎている感もあるが、密室とアリバイを組み合わせたトリックはなかなかよく考えられていると思う。
探偵役のバンコランはアクの強さはないものの、それだけに逆に好感が持てる気がする。
処女作としては十分合格点じゃないのかな。

No.10 5点 E-BANKER 2012/07/14 22:40
ミステリー黄金世代を彩る大作家・J.Dカーの処女長編作品。
パリ警視庁の大立者アンリ・バンコランが登場し、作者らしい怪奇趣味溢れる作品。

~数年前、愛した女性ルイーズを殺害しようとして精神病院に収容されてしまったローラン。彼はルイーズがサリニー公爵と結婚するという噂を聞き、脱走をくわだてた。まんまと成功した彼は、整形手術で顔を変え、公爵の命を狙い始めた。夜な夜な快楽の都パリを徘徊する「人狼」と化し、狂暴化していく。そして衆人環視のなかで戦慄すべき殺人事件が起こる! 名探偵バンコランが颯爽と登場~

実にカーらしい雰囲気を持っているが、反面アラの目立つ作品という読後感。
紹介文にもあるが、とにかく怪奇的雰囲気を出すための道具立てには事欠かない。多分、江戸川乱歩がフランスを舞台にミステリーを書いたらこんな風になるのではないかという気さえする。
衆人環視のなかの「準密室」や首切り殺人なども、処女作品からカーらしさ全開という感じがしてむしろ微笑ましい。

ただ、トリックは相当強引っていうか、ムリだろ!というレベルなのが気になった。
特に、例の『○れ○○り』。
これを多用するあたり、乱歩と被るのだが、これが成立するというプロット自体感心できない。
それに「密室」とアリバイの複合トリックなのだが、これも相当リスクの高い仕掛けで、アリバイについては真面目に論じるレベルではないとさえ思える。

巻末解説でも触れているが、これはやはり「習作」というレベルであり、とにかくカーらしい雰囲気を味わうための作品なのだろう。
ただし、人物造形はこの頃から巧みで、真犯人などは実に魅力的人物として書かれている。
まぁ、カー好きなら外せない作品でしょう。
(ハヤカワ文庫版で読了。訳が古くて少し読みにくい。)

No.9 6点 文生 2012/04/06 10:08
カーのデビュー作。
往年の作品と比べるとミステリとしては色々と物足りない作品だが、強烈な怪奇性をはじめとしてストリーテラーとしての才は垣間見ることができる。
荒削りではあるが捨てがたい味のある佳品。

No.8 5点 mini 2012/03/22 09:59
本日22日に創元文庫からカーのバンコランものの初期作品「蝋人形館の殺人」が発売となる
あぁ新訳復刊ね、と単純に思った貴方は早とちり、と言うのも創元としては”復刊”では無いからだ
そこでバンコラン登場全5作品を整理してみよう

「夜歩く」(1930)舞台はパリ、創元、早川etc
「絞首台の謎」(1931)舞台はロンドン、創元etc
「髑髏城」(1931)舞台はライン河畔、創元
「蝋人形館の殺人」(1932)舞台はパリ、早川PM
「四つの凶器」(1937)舞台はパリ、早川PM

以上の5作しか無いが面白い事に気付く
まず最後の「四つの凶器」は刊行年が間が開いており、既にフェル博士が軌道に乗ってきてからの作だ
さらにバンコランはフランス人探偵なのに舞台は意外と国際的
そして「夜歩く」だけは創元と早川の両社版が有るが、2作目と3作目は創元版は有っても早川版が無く(2社以外の版は除いて)、逆に4作目と5作目はポケミス版は有っても創元版がこれまで存在しなかった
そう、つまり創元文庫が「蝋人形館」を手掛けるのは実は初めての事なんである
まぁポケミス版「蝋人形館」は以前に復刊はされたものの訳が古かったからね、この調子で入手難の初期ノンシリーズ作「毒のたわむれ」なんかも新訳頼むよ

2作目3作目と舞台が転々とした後、「蝋人形館」では「夜歩く」以来再びパリに舞台は戻った
その「夜歩く」だが作者のデビュー作で、文章などにも作者の意気込みは伝わる
ただ語り手ジェフ・マールの存在感が希薄だったりフランス人探偵だったり怪しい雰囲気といい、何となくポーのデュパンをイメージしてしまって形式の古さを感じた
探偵役バンコランは悪魔的な風貌と性格は雰囲気出てるんだけど、結構饒舌な奴だよな、とにかく喋る喋る、案外と口調は軽いんだ(笑)
これがどうにもミスマッチで、謎解きがどうのなんて事よりも気になってしまう
フェル博士だとさ饒舌でも気にならないんだ(再笑)、作者がバンコランを見捨ててフェル博士に移行したのも分かるなぁ
「三つの棺」も当初はバンコランを想定してたという説も有るし、1937年になってから「四つの凶器」で復活させたのもどういう意図だったのだろうね

No.7 6点 toyotama 2010/11/11 07:24
デジタル時計の無い時代に、12秒に全てを賭ける、ってのもよく考えたというか、危なっかしいというか。。
しかしながら、この時代のトリックとしてはよく考えられていると思いました。
むしろ、入れ替わりの方が、メイントリックですかね。

No.6 6点 kanamori 2010/07/01 18:44
パリの予審判事アンリ・バンコランを探偵役に据えたシリーズ第1作で、作者のデヴュー長編。(中編「グラン・ギニョール」の長編化作品)
怪奇趣味に密室殺人、さらに冒険ロマン風のテイストに関係者の嘘の証言まで、後の作品で書かれるカーの特徴が色々入っていて楽しめました。

No.5 5点 2010/06/24 21:21
ケレン味たっぷりな展開は、みなさん認めるとおり最初からいかにもカーです。というより、本作や次作『絞首台の謎』のこけおどし的猟奇性は、後の作品ではむしろ薄まり、正統的な怪奇性に変わってきます。
全体的な構造はおもしろかったのですが、偶然の使い方が説得力に欠けるのが難点です。メインの密室トリックにしても偶然うまくいったというところがあるのです。運が少し悪ければ致命的目撃者があったはずで、殺人計画と偶然との組み合わせ方としては『白い僧院の殺人』等の巧みさにはほど遠いと思います。また、ある出来事が起こるために必要な偶発的条件を考えれば、密室殺人が起こる前から犯人の見当はついてしまうとも言えます。
ところで、最終章「勝利のとき」とは、誰の勝利なのでしょうか。バンコラン? それとも真犯人?

No.4 6点 ミステリー三昧 2009/08/26 12:04
<創元推理文庫>ディクスン・カーのデビュー作(長編/1930)です。
「ローランがいつ・どこで・誰に姿を変えたか?」は丹念に読まずとも変化がはっきり窺えるほど大量かつ大胆に伏線が張られていたにもかかわらず、分かりませんでした(笑)。意外に盲点を突いた真相です。密室トリックも種を明かせば実に簡単なトリックでした。ただし、ある点を考慮に入れる必要があるため、それがアンフェアの種になる恐れがあります・・・がそれを匂わせる伏線も結構大胆に張っていたので、特にミステリマニアならわかりやすい部分なのかもしれません。う~ん・・・でも、やはりこの手のトリックはどうしても好きになれない。ズルイと感じてしまう。
小粒ながらフーダニット・ハウダニット両方を兼ね揃えた本格推理小説となっていました。特に密室トリックは勉強になります。このシチュエーションなら「ここを疑え!」みたいな教訓が、いやでも身に付きそうです。読み始めは古くて堅苦しい文章に馴染めず、パリの街や人物の容姿がイメージしにくいアウェーな雰囲気に萎えが生じました。でも我慢すれば二度読みも楽しめる作品であり「流し読み」を許さぬプロットの妙・伏線の数々を堪能できる作品でした。


ジョン・ディクスン・カー
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