皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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YMYさん |
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| 平均点: 5.98点 | 書評数: 420件 |
| No.420 | 7点 | 生者と死者に告ぐ- ネレ・ノイハウス | 2026/06/22 21:35 |
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| 罪のない市民が次々に狙撃され、仕置き人を名乗る犯人から声明文が届く。犠牲者を結ぶ環は比較的簡単に発見され、その後で犯人捜しが始まる。
捜査陣は容疑者が多くて絞り切れず、最後まで引っ掻き回される。最後の最後まで誰が犯人か分からない面白さが味わえる。 |
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| No.419 | 7点 | 警部ヴィスティング カタリーナ・コード- ヨルン・リーエル・ホルスト | 2026/06/22 21:31 |
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| 主人公のヴィスティング警部は、二十四年間にわたって、失踪したカタリーナの夫と親交を持ち続けてきた。ある種の友情にも似た思いを抱いてきた相手を被疑者とし、真意を隠したまま真相を探らなくてはならなくなった。
静かでありながら徐々に緊迫感を増す展開。タイトルにもなっている失踪当時にカタリーナが残していった暗号を解明するためのさり気なくも大胆な伏線の張り方が見事。 |
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| No.418 | 8点 | 身代りの女- シャロン・ボルトン | 2026/06/08 21:42 |
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| 大学入学間近の若者六人が自動車事故を起こして、親子三人の命を奪ってしまう。その中の一人、メーガンが自分だけしかいなかったと罪を被って自首すると申し出る。刑期を終えたら借りを返してもらうことを五人に約束させた彼女は、全員がサインした念書を作成した。それから二十年、出所したメーガンが、社会的に成功した五人の前に現れた。
保身のためにメーガンだけに罪を負わせた五人に共感できないが、彼らがメーガンの出現に戸惑い、振り回される過程はスリリング。メーガンはなぜ一人で罪を背負ったのか、彼女はどんな要求を突きつけてくるのか、それに対して五人はどう応えるのか。思わぬ展開に興味をそそられ、ぐいぐい読まされた。 |
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| No.417 | 8点 | 耳をすます壁- マーガレット・ミラー | 2026/06/08 21:37 |
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| メキシコ旅行に出掛けた二人のアメリカ人女性の一人がホテルのバルコニーから墜落死する事件が起きる。墜死の場に居合わせたもう一人の女性が帰国後に失踪し、私立探偵がその身辺を探るうち、タイトルに絡む一件が重要な意味を帯びて立ち現れる。
追跡劇のサスペンス、二重三重のプロットの捻り、それを彩る豊かなユーモアが満喫できる。 |
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| No.416 | 5点 | 闇に問いかける男- トマス・H・クック | 2026/05/23 20:32 |
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| ニューヨークの公園で、首を絞められ殺害された少女の遺体が発見される。状況証拠によりホームレスの青年アルバート・スモールズが逮捕されるが、彼は頑なに事件への関与を否定する。
主筋は、容疑を認めないホームレスに対する二人の刑事の追求にあるが、その脇にはごみ収集人のエディ・ランブラスコを筆頭に、果たして少女殺しの一件とどう絡んでくるのか判然としない多様な登場人物たちの人生の一夜が同時並行的に進行している。そして二人の刑事たちの事件捜査が一応終結を見た後、静謐な雰囲気から湧き上がる興奮を抑えられない驚きの結末が待っている。 感動を誘う幕切れであることは疑いないが、この解決はあまりにも偶然に頼りすぎていて出来すぎの感は否めない。 |
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| No.415 | 6点 | キリング・ヒル- クリス・オフット | 2026/05/23 20:24 |
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| 雄大な自然が広がるケンタッキー州の田舎町で女性の遺体が発見される。郡保安官のリンダ・ハーディングは、兄で陸軍犯罪捜査官のミック・ハーディングに事件の捜査の協力を依頼する。
筋立てはシンプルで、閉塞的で小さな共同体における犯人探しが軸となっている。だがプロット以上に胸に深く刻まれるのは、自然の細やかな描写とそれに呼応するかのように描かれる登場人物たちの心理。 視点の切り替えも巧みで、主要人物以外の内面にも入り込んでいく部分には、確かな描写力を感じさせる。 |
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| No.414 | 5点 | 修道女の薔薇- キャロル・オコンネル | 2026/05/11 20:31 |
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| 他人と心を通わせることを拒む孤高の天才、キャシー・マロリーが活躍するシリーズ。
行方不明の修道女を捜すマロリーは、四重殺人事件に引き寄せられる。同じ頃、修道女の甥である盲目の少年・ジョーナは、何者かに監禁されていた。無関係に見える二つの出来事を結び付ける作者の手際は見事。多少無理は感じるものの、必死に生きようとする少年が魅力的だし、ラストは感動的。 |
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| No.413 | 7点 | 明日訪ねてくるがいい- マーガレット・ミラー | 2026/05/11 20:27 |
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| トムは老婦人から元夫を探してほしいと依頼を受ける。トムは殺人事件に巻き込まれながらメキシコで捜索を続けるが、なかなか本人のもとへ行き着かない。しかもその探索行自体がある成果をもたらしていた。
捻りの効いたプロットと、ウィットとユーモアに富む筋運びが小気味いい。 |
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| No.412 | 7点 | 死はあまりにも早く- ヘンリー・ウエイド | 2026/04/29 20:41 |
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| ブラックトン屋敷の当主のジョン・ジュロッド大佐は、巨額の相続税を回避するため既に財産の大半を息子のグラントに移管していたが、課税を免れるためには贈与から五年が経過する一九五〇年九月二十五日までは生存していなければならなかった。ところが大佐は主治医から肝臓癌で余命六カ月との宣告を受けた。一族の財産を守るため、大佐が亡くなっても弟のフィリップが大佐に変装して必要な生存期間を経過したと見せかける計画を立てる。
倒叙形式で語られる作品で、犯人側、捜査側双方の動静が逐一詳細に記述される。サプライズを呼ぶミステリ的な仕掛けは特にないが、悲劇的な犯罪小説として十分に読ませる。社会性も色濃く、社会的諸条件の変化が相続税という形をとって世襲財産を解体し、特権階級を没落させる。その時代のうねりの中に発生した一つの悲劇が哀惜をこめて描かれている。 |
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| No.411 | 6点 | 巡洋艦アルテミス- セシル・スコット・フォレスター | 2026/04/29 20:31 |
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| 枢軸国軍の攻撃により物資不足となっていたマルタ。補給品を運ぶ輸送船団を護送するために英国海軍が派遣できたのは軽巡洋艦と駆逐艦のみ。一方イタリアは超弩級戦艦を含む虎の子の艦隊で襲い来る。
迫力ある戦闘シーンの中に、過酷な戦争の実態と男たちの矜持を、冷徹されど情感豊かに描き出す精緻な筆遣いに胸が熱くなる。 |
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| No.410 | 7点 | 夜の闇の中へ- コーネル・ウールリッチ | 2026/04/14 21:19 |
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| ウールリッチの遺作を、欠落していた冒頭と結末部分をローレンス・ブロックが補筆し完成させた。
人生に絶望した孤独な女・マデリンは自殺を企てるが、暴発した拳銃の弾丸は歩道を歩いていた見ず知らずの女に当たってしまう。良心の呵責を感じた彼女は死んだ女の身元を探るのだが、女が愛憎トラブルに巻き込まれていたことを知る。死んだ女の代わりにマデリンは、女が果たせなかった復讐を引き継ごうとするのだが。 ヒロインを駆り立てる動機付けの中に、喪の悲しみが薄く、前半は感情移入がしづらい。しかし後半はウールリッチ節が随所にあふれ、衝撃の結末まで一気に読ませる。 |
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| No.409 | 7点 | 狂った宴- ロス・トーマス | 2026/04/14 21:10 |
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| 広告代理店に勤めるアップショーは、あるプロジェクトに勧誘するため、腕利きの選挙コンサルタント・シャルテルを訪れる。英国支配から独立することになったアフリカの国アルバーティア。その首相を選ぶ選挙にシャルテルの腕を活かして、ある候補者を当選させようというのだ。
主人公たちの肖像を描き出す序盤こそスローペースに感じられるものの、選挙戦が動き出す中盤以降は、様々な策謀も動き始めてテンポよく読ませる。その中で思惑を抱えた者たちが動き始め、策略同士が絡み合う。入念な人物描写に支えられた企みに満ちた作品。 |
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| No.408 | 9点 | ビロードの悪魔- ジョン・ディクスン・カー | 2026/03/30 21:17 |
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| 全編に渡り謎と陰謀、恋と冒険、騎士道と義侠、そして華麗なまでの剣戟の乱舞など伝奇小説に欠かせない要素が渾然一体となって波乱万丈のプロットを織り成し、巧みな語り口で酔わせる。特に剣戟場面は迫力満点。
本書中で意外なトリックが仕掛けられているが、それが伝奇小説のプロットや主人公の過去転送というSF的趣向と有機的に結びついているのは見事というほかない。 |
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| No.407 | 6点 | 心憑かれて- マーガレット・ミラー | 2026/03/30 21:12 |
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| 主人公のチャーリーは、少女相手の性犯罪の前科があり保護観察中の身だが、小学校の校庭で見かけた少女ジェシーが気になって仕方がない。だが本書は彼の異常心理というよりは、彼と少女を巡る人々の人間関係が主なテーマとなっている。
人間の孤独、それゆえ愛を求めずにいられないが満たされることの少ない人間のありようが描かれ、やりきれないほど重苦しい。 |
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| No.406 | 9点 | ナイン・テイラーズ- ドロシー・L・セイヤーズ | 2026/03/15 21:36 |
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| 全編にわたって厳粛な響きを渡らせる八つの鐘は、主人公ピーター・ウィムジイ卿を凌ぐほどに圧倒的で、不気味な存在感を帯びている。
前半は鳴鐘術に関する難解な記述が多く、多少のとっつきにくさはある。それでも物語が進むにつれ、いつの間にか英国の寒村に広がる古色蒼然とした世界へ引き込まれていく。謎解きばかりでなく、重厚な雰囲気や美しい描写もあわせて楽しめる。 |
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| No.405 | 6点 | 愚か者の祈り- ヒラリー・ウォー | 2026/03/15 21:31 |
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| ニューイングランドの地方都市で、若い女性が顔を潰され、胴体を切り裂かれて公園に打ち捨てられる事件が発生。被害者の身元を探るために、刑事マロイは上司ダナハーを説き伏せ、頭蓋骨に蠟を盛り付けることで復顔を試みる。
まるで捉えどころのなかった事件を仮説、推論、検証を繰り返して、徐々にその輪郭を明らかにしていく過程が読みどころ。抑制の利いたテンポとは裏腹にサスペンスフルに展開するストーリーに目が離せなくなった。 |
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| No.404 | 8点 | 罪なき血- P・D・ジェイムズ | 2026/02/23 21:14 |
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| 前半においての謎は、他家の養女となった主人公が実の両親を探し、自分の出世の秘密を探るという形で描かれる。そしてその謎がいったん解決した後、後半は形を変えたもう一つの謎、前半の即物的な謎と違って汎人間的な謎が自然に呈出され、犯行者側の視点からこれを描くクライム・ストーリーもの形式の手法も交えたストーリーがサスペンスたっぷりに展開される。その骨子となる復讐譚はハードボイルドものなら往々に見受けられる類の性質のものである。 | |||
| No.403 | 7点 | 殺人者は21番地に住む- S=A・ステーマン | 2026/02/23 21:08 |
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| 一九三×年の晩秋から冬にかけてロンドンで頻発する強盗殺人事件。被害者は大部分が男性で手口も撲殺、射殺、刺殺とさまざま。そして犯人はスミスなる名刺を必ず現場に残していく。
短い場面転換の歯切れの良さ、洒落た文章、簡潔でセンスのいい会話などに彩られた極めて上質の推理がサスペンスたっぷりに展開され満足。ラストで思いがけない犯人を明快に指摘するが、その指摘の根拠もユニークかつ納得性に富んでいる。 |
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| No.402 | 7点 | 推定相続人- ヘンリー・ウエイド | 2026/02/08 21:12 |
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| ユースタス・ヘンデルの遠縁にあたるバラディアス男爵家の相続人ハワード・ヘンデルとその息子が水難事故で死亡し、相続権はハワードの弟の退役大尉デヴィッドと病弱な息子デスモンドに移った。彼等も死ねば爵位と莫大な財産が手に入ると認識したユースタスは、殺害計画を練り始める。
犯行動機の形成と実行の過程、その後の状況への対処の模様が全編を通じてユースタスの視点からじっくりと語られる。事態が推移する中で次第に追い詰められていく彼の焦燥不安が強いサスペンスを生み、最後まで緊張の糸を途切れさせない。 |
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| No.401 | 9点 | レベッカ- ダフネ・デュ・モーリア | 2026/02/08 21:06 |
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| この作品は典型的なミステリではない。物語の大半はロマンスで、ゴシック小説のあらゆる要素が詰まっている。美しい若妻、陰気な年老いた夫、卑しい使用人。そして秘密を閉じ込めた館マンダレイは、荒れ狂う海辺にその姿を見せている。
謎は小説の3/4ほどのところで解明されるが、作者の力はもともとの犯罪の因果関係が明らかになるところで発揮される。殺人が正当化されることはあるのか、という問いや疑問が、この作品の魅力のひとつだろう。 |
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