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黒い画集
松本清張 出版月: 1959年01月 平均: 7.43点 書評数: 14件

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光文社
1959年01月

光文社
1960年01月

文藝春秋
1971年01月

新潮社
1971年10月

No.14 5点 雪の日 2022/11/16 19:25
①「遭難」8点
②「証言」5点
③「天城越え」5点
④「寒流」3点
⑤「凶器」7点
⑥「紐」 8点
⑦「坂道の家」3点
平均5.5点
④と⑦は個人的に嫌いなだけかも

No.13 5点 ボナンザ 2021/09/29 23:55
清張はこれくらいの長さの方がちょうどよいと思う。読みやすいしひねった展開もあって面白い。

No.12 6点 メルカトル 2021/03/13 22:42
安全と出世を願って平凡に生きる男の生活に影がさしはじめる。“密通”ともいうべき、後ろ暗く絶対に知られてはならない女関係。どこにでもあり、誰もが容易に経験しうる日常生活の中にひそむ深淵の恐ろしさを描いて絶讃された連作短篇集。部下のOLとの情事をかくしおおすために、殺人容疑を受けた知人のアリバイを否定し続けた男の破局を描いた「証言」など7篇を収める。
Amazon内容紹介より。

私は松本清張だけは読むまいと心に誓っていました。何故なら氏は社会派を台頭させ、本格ミステリを衰退させたA級戦犯だから。しかし何年か前本サイトの国内ベスト5に顔を出し、しかも平均点が8点という高得点だったため、これは禁を冒してでも読まなければならないと決心しました。そしてその結果次第では、他の作品にも手を出してみようかと思うに至りました。
確かに、『天城越え』の何とも言えない郷愁を誘う情景描写と心理描写や『凶器』の意外なオチ、『遭難』の心理戦など注目すべき点はあります。しかし、その他はむしろ文章は凡庸でプロットやストーリー特筆すべきものは見当たらないと思いました。新味も感じません、古い作品なので当たり前ですけれど。しかし温故知新という言葉があるように、昔の名作から学べることもある気がしていた訳で、その意味ではいささか残念ではあります。みなさんの評価が高い『紐』は早い段階で仕掛けが読めてしまいましたしね。

長かったせいもあり疲れました。もう清張は良いかなと、お腹一杯です。まあ私の書評は参考にしないでください。他の方の評点の高さを鑑みるに、私の肌に合わなかったとか云うのは言い訳であり、己の審美眼のなさのなせる業だと考えます。

No.11 7点 まさむね 2020/07/18 22:24
 読みごたえのある、松本清張らしい中短編集。
①「遭難」 緊迫感のある良作。(9点)
②「証言」 「人間の嘘には~」のラスト1行がイイ。(6点)
③「天城越え」 老刑事の執念をもってしても動機は…(8点)
④「寒流」 こんな上司は嫌だ。でも最後はちょっとすっきりしたかも。(6点)
⑤「凶器」 ネタは早めに判ってしまうけれど、ラスト1行は印象的。(6点)
⑥「紐」 個人的にはこの中短編集のベスト。最後まで繰り返す反転が心憎い。(9点)
⑦「坂道の家」 堕ちていく男って哀しいなぁ。「一応ミステリーにしてみました」という、やっつけ感も残るかな。(5点)

No.10 8点 蟷螂の斧 2020/01/26 10:42
①「遭難」10点 プロット、ロジック、心理描写、ラストと申し分なし。
②「証言」6点「嘘には嘘が復讐する」には思わずニヤリ。
③「天城越え」9点 30年前を思い起こすシーン。その余韻は味わい深い。
④「寒流」7点 上司に愛人を取られ、そのうえ左遷までさせられた男、さてどうする?。笑えます。
⑤「凶器」6点 ロアルド・ダール氏の「おとなしい凶器」のオマージュなんでしょう。
⑥「紐」9点 二転三転する真相。一捻りがにくい。
⑦「坂道の家」6点 キャバ嬢に貢いだ中年男の悲哀。ミステリー的には弱いが、男心はわかる、わかる(笑)。

No.9 8点 take5 2019/12/31 07:28
人間は脆くて危うい存在ですね。
市井の人が落ちていく様は、
単にその人物だけでなく読み手自身をも
振り返らせて寒気がします。
遭難の心理戦、紐の謎解き、
見所満載です。

No.8 7点 いいちこ 2017/04/14 21:00
乾いた、淡々とした筆致でありながら、各作品に暗然たる雰囲気を濃厚に漂わせる筆力の高さはさすが。
舞台設定や人物造形にリアリティがあり、プロットの完成度が高く、真相判明時の鮮やかな反転も印象的。
ミステリとしてはロジック・フィージビリティに甘さが見られるが、すべての作品が水準以上というアベレージの高さも含め、一読の価値のある佳作

No.7 8点 ALFA 2017/03/08 15:18
「遭難」「天城越え」という重量級の名作を含む7編からなる短編集。
評点は「遭難」10、「証言」6、天城越え」10、「寒流」6、「凶器」7、「紐」8、「坂道の家」6。
上位2作はオールタイム級の傑作だろう。
「遭難」は後半の文字通り命がけの心理戦が見事。
「天城越え」はシンプルな構造のミステリだが、30年の時を隔てた回想によって主人公の半生を俯瞰するような奥行きが出ている。突然の回想で動揺しても足元の安定は時効によって担保されている。
「凶器」も構造はシンプルだが、犯人がせっせと「凶器」を隠滅してる情景を思い浮かべるとおかしくなる。思わず証拠不十分による迷宮入りを願ってしまう。

No.6 8点 tider-tiger 2017/02/24 21:29
代表作(だと思っていた)点線がいまいち楽しめなかったので清張は長らく敬遠していましたが、三十過ぎてから小倉日記や本作を読んで認識を改めました。

以下寸評。ややネタバレあり

『遭難』筋運びが巧みで本当に面白かった。真相はけっこう早めに気付きましたが、勝負の行方は最後の最後まで読めず、緊張感を維持したまま読み終えることができました。読者がどちらかに感情移入し過ぎないよううまく調節されているように感じました。実は伝説の登山家は……などと推測しておりましたが、大ハズレでした。偶然に頼り過ぎな犯行計画ではありますが、どの段階にあっても怪しまれることなく計画を中止できるという利点はでかい。確実性には不安あるも安全性は高く意外と実用的なプランかもしれません。
『証言』最初に読んだときは感心しましたが、再読して平凡な作品だと感じました。
『天城越』これも時系列に沿って普通に書いたら平凡な作品になったと思うのです。見せ方、構成によっては凡作も良作となり得る良い見本だと思います。味わい深く、とても面白かった。
『寒流』読んでいてなんとも息苦しくなるような話。ラストは実現可能性を考えると? てか、バカミスすれすれでしょう。ですが、この馬鹿馬鹿しい発想はけっこう好きです。このおバカなトリック、類例があったような気がしますが、なんだったっけか?
『凶器』初読時は酷いパクリ(下手なパクリ)だと思ったのですが、二度読みすると読み味がかなり異なっているように思われました。やはり清張。先行作品はユーモア色が濃く(ミステリ的な価値はおまけだと思っています)、こちらは紛うことなくミステリって感じがします。
『紐』ミステリとしてはこれが一番面白いと思いました。
『坂道の家』寒流以上にリアルでなんとも嫌な話だなあ。
全体的には7点。遭難と紐を評価しての8点とします。

No.5 8点 パメル 2016/06/15 01:06
七編からなる中短編集
結末があっさりしすぎているとか途中で真相に気付いてしまったという作品もあるが
全体的には完成度は高い
その中でも傑作と思った作品を紹介
「遭難」・・・お互い落ち着いた口調でありながら腹の探り合いの心理戦が
楽しめる 追及する者とされる者とのやり取りからスケールの大きな犯罪計画
の輪郭が少しづつ明らかになっていく
結末も素晴らしい
「紐」・・・事件の構図が二転三転し最後の一ページで思いがけない人物の
悪意が浮上する凝った本格ミステリ

No.4 9点 斎藤警部 2015/09/28 22:23
ずっしり重い、清張渾身の巨大な中・短篇集。 政界官界財界等社会の大きな構成要素よりも、社会の元になる個人個人という小さな構成要素の中の悪(意)に怜悧なメスを入れ、そういった個々の小悪が最後は社会の巨悪を築き上げているんだ、なんて事を諭されるような、俺を単純左翼だと思ったら大間違いだぞ、なんて太声の呟きが行間から零れて来るような、そんな気がする魅力のミステリ文芸作品群に、あなたも是非圧倒されたし。

遭難/証言/天城越え/寒流/凶器/紐/坂道の家
(新潮文庫)

No.3 8点 2011/12/27 21:27
週刊朝日に昭和33~35年連載された中短編9編から選んだ6編に、同じ頃別に発表された作者自身お気に入りの『天城越え』を加えて1冊にまとめたのが、現在新潮文庫で読める版です。清張の古い全集等では、他の作品を入れたものもあります。
評判のいい最初の『遭難』のサスペンスはさすがで、終り方の薄気味悪さも格別です。短い『証言』は、最後がちょっとあっさりしすぎかなといったところ。『紐』は最初の方でしつこいアリバイ確認があるので、これは当然…と思っていると、最後にひねりがあります。『凶器』については、作者自身ダールを意識したと語っていますが、ダールより謎解き興味が強くなっています。最後の『坂道の家』は最も長い作品ですが、不倫話の果てにミステリ的なオチをつけたもの。
いずれも政治や企業悪をテーマにしたという意味での社会派ではありません。せいぜい『寒流』で銀行内の派閥争いが絡むぐらいですが、それでさえむしろ私的な話で、当時の登山愛好者、都会の会社員、農村生活者等がリアルに描かれた作品群です。

No.2 8点 kanamori 2010/06/12 20:24
ミステリ中短編集(新潮文庫版)。
清張の初期短編は非ミステリを含めてハズレがないですが、一冊選ぶとなると完成度が高い本書が最右翼でしょうか。
「遭難」は二人の人物の心理的闘争が非常にサスペンスに溢れていて読み応えは編中随一。「坂道の家」は典型的な清張節で男の転落を描く。「天城越え」は抒情的情景描写と意外な真相が印象に残る。
ほか、意外な凶器消失トリックの「凶器」、「証言」「寒流」「紐」の計7編が収録されています。

No.1 9点 2009/04/15 09:50
清張の中短編を所収。もちろん全てがミステリだが、サスペンスの色合いが濃い。いや、そんなカタカナ表現は似合わない。心理恐怖小説のほうがピッタリだ。
おそらく阿刀田高は影響を受けたのだろうが、清張の作品がとにかくリアリティの点で数段上、というか私の好みである。
『遭難』は、山岳ミステリで、登山者の一人が遭難して死亡する話。犯行までの展開、その後の犯人を追い詰めるまでの展開がともに良い。緊張感の連続である。そして結末がまた凄い。中編だが、内容は長編なみにずっしりと重い。完成度はきわめて高い。
少ない登場人物の役割分担もよくできていて、プロット、ストーリーについても申し分のない作品であった。
その他『天城越え』『凶器』も負けず劣らず、よかった。なんどでも読み返したい作品群である。

なお、遭難は映画化もされています。なんと若かりし日の児玉清が準主演で出ていますよ。

(空さんの書評を見てひとこと)2012年3月
終わり方について、ちょっと思い出したのですが(実ははっきりとは思い出せないのですが)、原作と映画では終わり方が反対だったように記憶しています(記憶違いだったらごめんなさい)。
でも、どちらのラストでも、怖いんですよね。
記憶が間違っていたら、ほんとうにごめんなさい。


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松本清張
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