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[ 社会派 ]
眼の壁
松本清張 出版月: 1958年01月 平均: 7.00点 書評数: 9件

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光文社
1958年01月

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1959年01月

光文社
1960年01月

光文社
1960年05月

文藝春秋
1971年01月

新潮社
1971年03月

No.9 5点 ボナンザ 2021/09/23 11:57
ゼロの焦点同様、素人探偵が事件に立ち向かっていくというある意味リアリティのない話を事件のテンポや設定で上手く社会派に仕立て上げているのは流石だと思う。

No.8 6点 蟷螂の斧 2019/10/17 20:28
(再読)手形のパクリ事件は2年後(1960年)に発表された「白昼の死角」(高木彬光氏)の方が印象に残っています。本作の印象はやはり死体トリック!!(笑)。この作品が経済犯罪ものの走りであったようですね。「点と線」と本作で著者の人気が不動のものとなり、この作品の背景が以後に発表された「砂の器」に発展していったものと思います。

No.7 6点 クリスティ再読 2019/01/27 23:10
社会派、ということにはなるんだけどね....どっちか言えばスリラーとして上出来、という雰囲気の作品だと思うよ。手形詐欺とか右翼とか、そこらへんのいわゆる「社会派」ネタは単なる「設定」みたいなもののように感じるな。本当はこの主犯の右翼に、アンブラーがディミトリオスに託したような「歴史の闇」が出てれば良かったのかもしれないんだけど、全然そういうわけでもない。まあそこらは「けものみち」あたりを待つべきか。
それでもこういう「社会派」ネタによって、リアリティを醸しているのはもちろん清張の功績だ。しかしそれよりも、グループ犯だし、犯行も行き当たりばったりだし、殺人が全然目的でなくてタダの手段、とこういうあたりに実録風のテイストを与えていることの方が画期的な気もするんだよ。「ありそうで、ない」ような犯罪のあり方、みたいなミステリの範囲を広げるような狙いの上手さみたいなものだろうか。例の有名な死体の始末法だって、即物的なのがいいんだよ。だから意外かもしれないけど、スパイ小説に近い作品なんだと思う。
トータルでは、エンタメとしての達者さは窺われるけどもの、まだ清張じゃない、という印象、かな。

No.6 6点 いいちこ 2018/10/11 20:34
サスペンスとしては佳作以上と評価できるのだが、この長尺を締めくくる肝心の結末、黒幕の呆気なさすぎる最期が大きな難。
ミステリとしては、犯人の目立ちすぎる行動が大量の目撃者を生み出し、捜査を攪乱するためのあざとすぎる小細工等で、少なくない減点。
以上を相殺して6点の上位

No.5 8点 パメル 2016/09/02 12:21
実際にあった事件を元に描かれたのではないかと思わせるようなリアリティさがあり
引き込まれていく
主人公は背後にある悪の組織に危険を感じながら友人の新聞記者と共に詐欺の首謀者を追う
物語は東京・名古屋・美濃路へと急転していく
巧みな心理描写が冴えるサスペンスでリーダビリティも高くスラスラ読める
個人情報がダダ漏れしている点が現代では通用しないが古臭さは感じさせない
社会派小説が好きな方は是非読んで頂きたい一冊

No.4 8点 斎藤警部 2015/06/08 13:00
詐欺、暴力、差別、謀略と残酷なトリックの渦中を疾走するサスペンス、サスペンス、怖いほど強烈なサスペンス、、、にがっちりと抱き留められた本格推理の力作! 人間社会に棲み付く、事件を産み出した諸々の暗黒要素があまりに生々しく息づいているため、人それを社会派と呼ぶのもごもっともで異論無し!! 壮年期とは言え駆け出し時代の筆に拠るせいか、時折蒼い草の匂いが漂うのも素敵だ。

No.3 7点 E-BANKER 2013/12/23 21:21
1958年、作者の代表作ともいえる「点と線」と同時期に雑誌連載、そして刊行されたのが本作。
『社会派』と称される作者らしい作品。

~白昼の銀行を舞台に、巧妙に仕組まれた三千万円の手形詐欺。責任を一身に背負って自殺した会計課長の厚い信任を得ていた萩崎は、学生時代の友人である新聞記者の応援を得て必死に手掛かりを探る。二人は事件の背後にうごめく巨大な組織悪に徒手空拳で立ち向かうが、せっかくの手掛かりは次々に消え去ってしまう・・・。複雑怪奇な現代社会の悪の実態を暴き、鬼気迫る追及が展開する~

謎解きとサスペンスが程良く混ざり合った良質なミステリー。
そんな読後感。
紹介文のとおり、物語の始まりは銀行を舞台とした詐欺事件・・・って書くと、まるで「池井戸潤」辺りを先取りしたようにも思える。
主人公が詐欺事件を探るうちに、背後にある巨悪に巻き込まれていくという展開もまさにそんな感じだ。
脇筋の話が徐々に本筋に収斂されていくプロットも現代的でリーダビリティも十分。

「謎解き」の部分でいうと、黒幕については序盤からほぼ察しがつくものの、ラストで真犯人の正体にサプライズが仕掛けられているところがミステリー作家としての真骨頂。
(事件の背景がいかにも戦後の傷跡残る日本っていう感じだ)
死体消失についても味のあるひと捻りが加えられていて、好感が持てる。
サスペンス感については、もう少し盛り上がりがあってもいいような気はしたが、時代性を考えれば仕方ないかなというレベル。

ただし、本作ではそれほど社会派としての動機面での掘り下げは感じられなかった。
どちらかというと、エンターテイメントに徹した作品ということでいいのだろう。
そういう意味では清張らしい重厚な作品を期待する方にはやや肩透かしに思えるかもしれない。
(ラスト前のシーンは残酷っていうか、ライダーマンの腕を思い出した・・・って古いね)

個人的には同時期に発表された「点と線」に引けを取らない作品という評価。
決して古臭くない良作だと思う。
(もちろんミステリーとしてのアラはいろいろあるのだが・・・)

No.2 8点 2009/08/09 10:38
手形詐欺事件から始まり、突発的殺人、誘拐へと次々発展していく展開がテンポよく、おもしろく読ませてくれます。
犯人が右翼のボスを中心とした組織であることは、すでに序盤で推測されます。しかしはっきりしたことがわからないまま、事件は積み重なっていきます。愛知県、長野県を中心舞台にして、探偵役の設定も含め、非常にリアリティーを感じさせるプロットです。最大のトリックが死体処理の方法であるというのも、凝った偽アリバイ等より自然な感じがします。ラストは書き方によっては江戸川乱歩風にもなりそうな残酷さですが。
書かれた当時のミステリ界の状況では、このような話の進め方は、並行して連載されていた『点と線』より画期的な作品だったのではないかと思えます。

No.1 9点 2008/11/09 07:26
社会派社会派と言いますが、エンターテイメントとして十分に楽しめる。かなり昔の作品だけど、古さを感じさせない。
あと終盤のあのシーンにはぞっとした。


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