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[ 社会派 ]
砂の器
松本清張 出版月: 1961年01月 平均: 5.50点 書評数: 16件

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光文社
1961年01月

光文社
1961年07月

文藝春秋
1971年09月

新潮社
1973年03月

新潮社
1973年03月

No.16 4点 ボナンザ 2021/09/11 19:54
これと犬神家は明らかに映画によって面白くなった作品だと思う。原作は淡々としているので、私には歴史的名作と呼べるほど心に残らない。

No.15 4点 ぷちレコード 2021/03/01 22:49
刑事たちの捜査に偶然の要素が多く、ミステリとして弱い。社会派としてはどうかというと、犯人の過去については、むしろ映画の方がしっかり描かれている。

No.14 7点 青い車 2019/08/18 11:49
 初めて読んだときは例のトリックが引っかかってモヤモヤした気持ちでいたのですが、その後、父親から映像化作品では感動のオリジナルシーンがあったと聞いて「そっちの方がずっといいじゃん」と思ったのを覚えています。しかもあの変なトリックも省かれたと知り、『砂の器』は映画が原作を超えてしまった珍しい作品と認識しました。清張は社会派一本に絞って書くべきで、殺害トリックへの未練が捨てきれなかったためにギクシャクした小説になってしまったのではないでしょうか。犯人を主役として書き上げた点は素晴らしかったので。

No.13 5点 モンケ 2019/03/30 23:29
野村芳太郎監督映画の名場面、癩病の父親とその子の巡礼シーンが情緒的に描かれているのかと思ったのに、原作では変な音響殺人トリックが出てきたりで少し期待外れだった。
(そういえば同じ清張の「鬼畜」ってのもこの監督が映画化してて、名画座で併映してるの見た。「砂の器」の警官が「鬼畜」では犯人で、「砂の器」の癩病患者が「鬼畜」では医者だった。「砂の器」の犯人は江戸の大奉行で、刑事コンビは、その後、天界の教祖と県知事に大出世した。)

No.12 1点 クリスティ再読 2018/12/16 09:37
今年は山口勝弘も亡くなって、実験工房も遠くなりにけり...と感慨もあるので年内にやりたくて本作。電子音楽をいろいろ試みた作曲家は割といるけど、芸風から見て、ヌーボー・グループ=実験工房、和賀英良=湯浅譲二でいいじゃないかと思うんだ...評者この時期の人だとこの人好きでね。「若い日本の会」ってあれ60年安保の政治団体みたいなものだしね。名家の娘オノ・ヨーコと結婚した一柳慧がモデルに入ってるかな?
先に映画の話をしちゃっておくけど、夕日バックに台の上に乗った「砂の器」に、バーンとタイトルがカブるセンスのベタさに、評者はそもそも互換性がないよ。で現代音楽をクラシックに改変して、過去の悲惨な放浪生活とカットバックして...との有名なシーンが皆さんお気に入りだが、昔ってさ、あれを「交響曲『宿命』」とか呼んでた記憶があるよ。評者そこらへんも強烈な違和感があってか当時からダメだったな。そりゃ宣伝上の問題があるからワカるし、今はさすがに恥ずかしいのかピアノ協奏曲ってシレっと変えているね。というわけで、このベタさは松竹大船の伝統芸なので、今更批判しようとかは思わないが、原作とはほぼ無関係なアレンジである。これに感動したからって「ミステリの祭典」で高評価するのは筋違いだと思うよ。それこそ佐村河内騒動のモデルみたいなものだと思うと、なおさらシラケるものがある....
気を取り直して原作側も...ごめんシラケる要素が多々ある。まずは主人公の今西刑事の周辺で都合よく事件がおきて、手がかりが上げ膳据え膳で手に入りすぎる。ホント今西刑事は、推理推測が百発百中な名探偵だと思うんだ。「えなんでそんな想像ができるの?」と呆れるくらいの薄い暗合に気がついて、それが本線だったりする...
まあだから実は本作長いように見えて、内容が「ご都合」の一本道で結構ペラペラなんだよね。リアルな警察小説って、「ノイズ」でしかない偶然的な線を追って行き止まりになって..を繰り返すのが醍醐味なんだと評者は思うんだよ。ふう。それを刑事の日常生活描写(まあこれは清張お得意でうまい)で膨らましたような小説である。「算盤の掌にひえびえと秋の村」とかね、こういうのは上手いもんだな。
で問題の「音楽殺人」なんだけど、実はね評者、ジャパノイズ界隈とは少々ご縁もあって、本作あまり他人事じゃないんだな。本作だといくつか関川重雄による和賀の作品評が載ってるが、あまり鋭いことを言えているようにも思えない....ジャーナリスティックな感想レベルのもののように思うよ。清張が実験工房の活動や初期の電子音楽、ミュージック・コンクレートに深い理解を持っていたようには感じないや。ただ風俗的なネタとして採用しただけのように思うんだが、ミステリなんでね、これを安易に殺人と絡めちゃうと、結果的にサブカルに喧嘩を売ってることになるわけなんだよ。「奇怪な電子音楽によって精神を惑乱され」ってね。
まあミステリ作家も商売なので、社会的・風俗的なネタを軽い気持ちで取り上げて、「理解不能」を押して小説にしちゃって、その責任がちゃんと取れないこともあるわけである。なので評者とかには僭越ながら、そういう清張の先見の明のなさを嘲笑する権利もあろうというものだ。ちなみにね、本作でも今西刑事が出張して調査する浪速区役所の真ん前に、今はジャパノイズの拠点ライブハウスの一つの「難波ベアーズ」があったりするんだよ(苦笑)。

No.11 3点 レッドキング 2018/06/22 18:01
むかーし読んだが、あまり面白くなかった。

(2021/4/12 追記)清張が変に現代音楽の理論に詳しいのにチト驚いた記憶がある。「芥川賞作家」てことは知ってたが、共産党びいきの「通俗作家」のイメージがあったので意外だった・・まあ、編集者出版社からの受売り知識だったのかもしれんが・・。

No.10 6点 風桜青紫 2016/01/27 18:53
1974年の映画版は、間違いなく邦画史に残る名作。「オラ、そんな人知らね〜」が泣かせてくれる。というわけで、原作もけっこう期待して読んだのだけど、映画版で感動した部分がことごとく削られていて(というかもとも存在してなくて)ショック。千代吉死んじゃってるじゃん。しかも犯人がめちゃくちゃ冷酷だし。そんなさくさく人殺しちゃうなよ。こんなん死刑やん。トリックもねえ……。さすがは大インテリの清張、とは思わせるけど、なんかなんでもあり感があって釈然としない。というわけで、映画版のほうがはるかに面白かったです。といっても、まあ、清張は細部描写が妙にうまいので、読んでる間は普通に楽しめました。今西さんの日常が、ごはんに味噌汁かけたり、奥さんと祭りにいったり、なんとも親近感があります。まあ、それは清張のどの作品にも言えることなんだけど。そういうわけで、映画版だったら9点。原作は6点といったところ。

No.9 8点 斎藤警部 2016/01/27 18:27
‘蒲田’と言やぁむかし乗換え駅でよく途中下車したもんです。どこぞの呑み屋行ったんだろ、例の二人は。ひょっとして「鳥万」かな?と思って原典確認したら”トリスバー”だった! しかし蒲田如きでもう場末と呼ばれるとは、時代を感じますねえ。

構築美に少しく皹(ひび)が見られるのは承知ですが、破綻する程の破格でもなく、適宜の余裕を湛えた準大河小説として併せ呑む許容内ではないでしょうか。そんな人間臭い蟠(わだかま)りの萌芽も含め素晴らしい味わいを端から端まで並べ尽くした作品と思います。日本列島を股に掛ける遠望ゆたかな旅情は目鼻に眩しく、人情と社会の歪ませ合いがひりひり痛い。謎伏せの深さがいつにも増して雄大な渾身の力作だ。躊躇無く「社会派推理小説」と呼びたい。生前の祖父と、本作について少しでも語り合いたかったなァ。

例の音楽ですが、例のバカトリックですが、、いいんですよ小説の場合はアレで。逆に映画版の様な佐村河内さんもかくやの絢爛悶絶恩讐交響詩を清張文章で表現された日にゃ、ちょいと違うものに捩れてしまいまさあねえ。そういうのはまぁ中山七里さんに託したい所で。

No.8 5点 いいちこ 2015/09/02 13:37
個々のアイデアは決して悪くないのだが、うまく連結させられておらず、本格ミステリとしての完成度やバランスは大いに疑問と言わざるを得ない。
犯人が残した手掛かりが少なすぎる一方、ある登場人物が不可解極まる大胆な行動を取るなど、偶然に偶然が重なるご都合主義で小さな手掛かりが積み重ねられていく。
トリックはリアリティを補強する工夫に乏しく、無理筋の印象を禁じ得ない。
世上評価される社会差別への斬り込みは十分な深度とは言えず、抒情性あふれるリーダビリティは悪くないが、中盤以降の中だるみも見られるところ。
「映画は素晴らしいデキ」「映画が原作を越えた希有な例」と評価されるが、一方で原作のデキがいま一つなのも間違いない

No.7 8点 蟷螂の斧 2012/12/07 20:23
(東西ベスト100・既読分)事件そのものより、背景にある差別を見事に描いていて、社会派たる所以か。映画では、加藤剛、加藤嘉(父親役)、テレビでは、田村正和ならびに中居正弘が印象に残っています。(敬称略)

No.6 8点 seiryuu 2010/11/07 15:21
中居君のドラマはつまらなくて見るのをやめた記憶が・・・
やはり原作のほうが雰囲気がよくて面白かった。
読みやすくて展開がおもしろくて、古さも気にならずに一気読み。
今西刑事の地道さ・東北訛り・人との出会い・俳句など
日本人の心と渋さもたまらなく好き。

No.5 8点 kanamori 2010/07/31 22:40
野村芳太郎監督の映画より前に、最初に読んだ清張の長編で思い入れが強い。
ミステリとして色々突っ込みどころもありますが、最初の被害者が残した「カメダ」に関する捜査陣の推理の変転が面白かった。
ネタバレ気味だが、大学時代の知り合いにこの地方出身者がいて、なんでズーズー弁なんだろうとずっと思っていたので、この真相には非常に腑に落ちる実感があった。

No.4 3点 江守森江 2009/05/22 16:28
社会派だが本格ミステリになっている。
関係者が読んでトリックにガッカリしたからか映像化された作品には登場しない。
もし、軽いノリの作家が「このトリック」で本格ミステリを書いたならバカミスと評されただろう!
中居君主演のドラマを含め映像作品は、まるで別物。

No.3 5点 2009/04/04 11:59
実は第2の殺人に使われたようなタイプのトリックが、目新しいものをあまりにも直接的に使っていて好きになれない上、重厚なテーマとの相性がよくないように感じました。そのため、後半は無理やり引き伸ばしたような印象を受けます。その後で映画を見た時にはうまくアレンジしたなと感心するとともに、まさに映画ならではの音楽(「宿命」)の扱いに感動しました。ちなみに小説と映画とでは、音楽の種類が違います。
前半は小説もおもしろいですし、方言の考察など小説だからこその謎解きの緻密さもあるのですが、個人的にはやはり長すぎると思います。

No.2 7点 makomako 2008/08/30 18:30
ずいぶん昔のことだが、映画で感動してその後読んだのでちょっと印象が薄い。映画のほうがよかった数少ない作品かもしれない。

No.1 6点 深夜 2008/01/29 01:00
大分前に読んだので、あまり記憶にないが、個人的には映像化されたものの方が出来が良いと思う。もちろん、あの良くできた映像化作品の原作と考えれば、偉大な作品であることは間違いないだろうが。


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松本清張
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