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[ 短編集(分類不能) ] 黒の様式 |
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松本清張 | 出版月: 1967年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
光文社 1967年01月 |
文藝春秋 1971年12月 |
新潮社 1973年09月 |
中央公論社 1995年08月 |
No.1 | 6点 | クリスティ再読 | 2016/09/19 20:12 |
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オトナ専用の小説を評者が一番最初に読んだのが、多分コレだ。まあ評者マセてたから、小学生くらいで乱歩とか司馬遼太郎とか大人バージョンを平気で読んでたけど、乱歩はエログロでもホラー映画みたいなもんだし、歴史小説はエロないし...で、コレだよ。たまたま親が借りてきたカッパ・ノベルスが転がってて読んだんだよね。
まあもちろん最初の作品「歯止め」。結構鮮明に憶えてたね。思春期の男の子の性欲を処理するために母親が...というぶっちゃけオコチャマには相当ハードな作品。読んで困ったことを記憶している... ミステリとしては改めて読むとやや飛躍がおおく、あくまで主人公夫婦の憶測にすぎないわけで、あまり決定的なことはない。けど、夫婦の想像だけで話をちゃんとまとめてオチにできる清張の筆力が剛腕。ミステリらしい解決をちゃんとせずにうまく収めるのは、余韻とか余白美とかちょい伝統日本的な美意識が感じられるわけで、ミステリとしてはオチなくても小説としてはちゃんとオチでいる。読者がいろいろ想像することによる後味の悪さがいい。一体ヒロインの主婦今後どうするんだろうね...何か怖い考えになりそうでしょ? で2つ目の「犯罪広告」は全然記憶なし。田舎の漁村で起きたトラブル。ミステリって本質的に都会小説の側面が強いから、金田一岡山ものだって都会人から見た田舎、って視点で書かれるけど、さすがに清張で田舎の人間関係にリアリティがある。何となく連想したのは「本日休診」で、この作品の内容だとコメディタッチで書きなおすのができるんじゃないかなぁ。 3つめの「微笑の儀式」は何となく憶えてた。デスマスクとって痕跡がまったく残らないのは不自然だと思うよ。これはトリックにはあまり関らないから、デスマスクでしない方が良かったように思う。 所収の中編3本のうち、1本目の「歯止め」が内容的に一番ミステリらしくない話なんだけど、それでもこれがインパクトも内容面でも、一番ミステリっぽい満足感がある、全盛期の清張の底力、って気がするな。 |