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[ 本格/新本格 ]
猿島館の殺人~モンキー・パズル~
黒星警部シリーズ
折原一 出版月: 1990年06月 平均: 5.08点 書評数: 13件

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光文社
1990年06月

光文社
1995年02月

No.13 5点 まさむね 2020/08/15 23:07
 黒星警部シリーズの第2弾。
 うーん、どうなのだろう。読中は、オーソドックスかと思っていたのですがねぇ。「○○じゃが仕方がねえな」を楽しめるか(許せるか?)否か。ちなみに密室の真相は、正直いただけない。
 個人的には、脱力感の後に「たまにはコッチ系もいいか…」という気になったので、この採点で。

No.12 5点 ミステリ初心者 2020/01/26 02:51
ネタバレをしています。

 前作に引き続き、黒星警部と虹子のコンビが最高に読みやすいシリーズです。ユーモアと古典のパロディ?がたくさんあり、よかったです。

 大きな謎としては、第一の藤吉郎殺し(?)の密室。
 自分は、美奈子を襲おうとした藤吉郎が失敗して、書斎へ急いで逃げかえる途中に煙突から落下死したと考えました。しかし、”猿がやった”というダイイングメッセージに頭を悩ませました(笑)。美奈子の証言は、寝ぼけていて藤吉郎と猿を勘違いしたとか考えていました。
 大輔犯人説も考えましたが、まあそれだとあからさまにアレと同じになってしまうので考えから外しました(結果的に、第三の事件が部分的にソレだったのですが)。

 以下、好みではなかった部分。
・第一の事件については事故死に近く、このパターンの密室はちょいちょいみますが好みではありません。
・第一~第三の事件はそれぞれ犯人が違っており、やはり単独犯であるほうが好きです。
・犯人?に有利な偶然や証言や協力者がおおすぎ、論理的に真相を当てることができません。私だけかもしれませんが。
・ネタバレになるといけないので詳しくは言えませんが、前作とかぶっている部分があります。
・他の作品のネタが割れるのはやめてほしいです。どのパロディなのかは、小説の始めに明記してほしいです(涙)。私は偶然にもパロディと思われる部分は知っていたのですが…

No.11 4点 ボナンザ 2019/01/24 22:11
相変わらずのバカミス具合だが、オチが前作とほぼ同じなのはいかがなものか。

No.10 4点 Tetchy 2017/10/25 23:42
折原一氏と云えば叙述トリックの雄として知られているが、翻ってこの黒星警部シリーズは密室物ミステリを扱う、本格ミステリど真ん中の設定である。上に書いたように本書もまた密室ミステリであるが、以前より作者は新しい密室ミステリは生まれず、これからは過去のトリックをアレンジした物でしかないと公言しており、密室物を売りにしたこのシリーズではいわゆる過去の名作ミステリの本歌取りが大きな特徴となっている。

本書ではまずポオの「モルグ街の殺人」がメインモチーフになっているが、その後もドイルの「まだらの紐」をモチーフにした密室殺人が起きるなど、複合的に過去のミステリのトリックがアレンジされて導入されている。
しかしさすがに3作目ともなると作者もこの設定自体にミスディレクションを仕掛けており、上に掲げたミステリをモチーフにしながら、実はもう1つクイーンの名作の本歌取りでもあったことが最終章で明かされる。1作目はクイーンの中編「神の灯」であったことを考えるとやはりこの作者は根っからのクイーン好きらしい。

しかしこの過去の名作ミステリから本歌取りすることを明言し、そこから新たなミステリを生み出すことに対しては異論はないのだが、黒星警部シリーズの一番困ったところは本歌取りした原典のトリックや犯人を明らさまにばらしていることだ。
本書でもいきなり「モルグ街の殺人」の犯人を明かし、更に「まだらの紐」のトリックも躊躇いもなく明かしているし、更には上に書いたクイーンの原典についても伏字ではあるが、伏字の意味がないほど明確に書かれている。
これらは恐らくあまりにも有名過ぎて本書の読むミステリ読者ならば既知の物だろうと作者自身が判断した上の記述だろうが、やはりどんな判断に基づこうがミステリのネタバレは厳禁である。特に他のミステリのネタバレを公然とすることに大いに抵抗を感じるのだ。

現代のミステリ読者は島田荘司氏の作品や新本格と呼ばれる綾辻氏の作品以降のミステリから触れることが多く、過去の名作、特に黄金期の海外ミステリを読まない傾向にあると云われて久しい。そんな背景も考慮して折原氏は今の読者が読まないであろう過去のミステリのネタバレをしているのかもしれないが、それでもやはりそれはミステリを書く者が読者に対して決して犯してはいけない不文律であると私は強く思うのである。特にこの黒星警部シリーズはカッパノベルスから刊行されたサラリーマンがキオスクで気軽に出張中に読むような類いのものであるから、そんな一般読者にさえネタバレをしているのである。

本歌取りをすることに是非はない。しかしその内容に問題がある。ネタバレをするのであれば、まずはその断りを書くべきだし、いやもしくはネタ元を明かす必要もないのではないかと思う。解る人には解ればいいのであって、別に明確にネタ元を示す必要もないだと思う。

あとそもそも埼玉県白岡署の黒星警部が神奈川県の江の島動物園から逃げたチンパンジーを探す担当になることが実におかしい。神奈川県警の所轄なのになぜ埼玉県の警部が担当するのか?書中では白岡には東武動物公園があるからと理由になっていない理由で駆り出されているが。この辺の非現実的な設定も気になった。現在のミステリならば必ず突っ込まれるところだろう。

さて本書の舞台となった猿島は実は実際に存在し、刊行時は無人島で大蔵省(刊行当時)関東財務局の管理地であり、立入禁止で渡し船もないと書かれているが、実は今では猿島公園として開放されている。
最近は昔の軍の要所の史跡としてよりもジブリ作品の『天空の城ラピュタ』を彷彿とさせる風景として人気のスポットとなっており、案外今回の葉山虹子の取材は時代を先駆けた現実味のある話だったようだ。また本書に書かれている猿島の由来となった日蓮に纏わる伝説も実際に伝えられており、元宮司の一族だった猿谷家のような血筋もどこかにいるかもしれないと、案外荒唐無稽な話でないところが面白い。

但し次回からはネタバレ無しでお願いしたいものだ。

No.9 4点 メルカトル 2017/03/01 22:05
再読です。
最近面白そうな新刊がないなあと思いながら、何気なく本棚から引っ張り出してしまった一冊です。しかし、読み返す価値はなかったと言うしかありませんでした。
内容は全く忘れていたので、初読と変わらないにもかかわらず、あまりにも面白くなかった、折原一、こんな作家だったのか?残念です。
一応体裁は本格ミステリ、或いはユーモアミステリの形を取っていますが、正直バカミス以下の取るに足らない作品にしか、私には感じられません。連続殺人事件には違いありませんが、まあ何と言いますか、つぎはぎだらけでストーリーの流れというものが全く見受けられませんし。
「どくしゃへの挑戦」や古の海外ミステリなどのガジェットは、お遊び程度にしか思えず、また大して重要なポイントになっているわけでもありません。黒星警部は動物園から脱走したチンパンジーが犯人だと、本気で信じている様子だし、当然のごとく解決を担うのは一人しかいないことになります。その辺りの完全予定調和感もやや辟易してしまいます。


【ネタバレ】


やはり連続殺人事件というのは、単独犯に限りますね。4人もの死者を出しながら、いずれも違う人物による、殺意のない事故のようなものという真相は脱力ものですね。

No.8 5点 nukkam 2016/07/03 06:33
(ネタバレなしです) 1990年発表の黒星警部シリーズ第2作の本格派推理小説でシリーズ前作の「鬼面村の殺人」(1989年)と同じく古今のミステリーのパロディーを意識した作品です。パロディーにされた作品を読んでいなくても十分に楽しめる内容だった「鬼面村の殺人」と比べると本書は謎もトリックも魅力に欠け、パロディーとユーモアへの依存度が高くなってしまったのがやや苦しいです。パロディーであっても謎と謎解きはしっかりしたものであってほしいところで、「どくしゃへの挑戦」も空回り気味に感じました。

No.7 5点 蟷螂の斧 2013/10/04 19:12
黒星警部と葉山虹子のコンビによるシリーズ。ちょっぴりお色気混じりのユーモアもので、結構好きなタイプで楽しめます。パロディなので、トリック自体にそれほど期待はしませんが・・・(笑)。「オリエント急行の殺人」が頻繁に出てきていたので、ラストはまさかとは思いましたが、違いました。(ホッ・・・)

No.6 6点 測量ボ-イ 2013/08/10 09:45
孤島で起こる殺人と「どくしゃへの挑戦」・・・いいですねえ。
トリックや真相はやや脱力系なるも、このシリ-ズを知ってる
方ならまず許容範囲なのでは。

No.5 6点 こう 2012/02/25 00:52
 「モルグ街」などのパロディですが黒星警部シリーズらしい作品です。動機もこのシリーズならありだと思います。他の作家の作品なら何だ、と思うでしょうが。
 「〇〇じゃが仕方ない」なんて横溝作品のパロディの部分もあります。
 パロディに合わない方はこのシリーズ全体が合わないと思いますが個人的には結構好きです。

No.4 6点 E-BANKER 2011/11/19 14:26
「鬼面村の殺人」に続く黒星警部シリーズの長編2作目。
黒星と虹子のコンビが、パロディに次ぐパロディに彩られた事件に挑む!

~東京湾の孤島・猿島で、ひっそりと暮らす猿谷家の人々。その館にフリーライターの葉山虹子が迷い込んだ。ところが主人の藤吉郎が、密室の書斎で不可解な死を遂げるや、次々と起こる変死事件。現場の状況が示す犯人は、なんと『猿』! 折しも、脱獄犯を追ってきた黒星警部と虹子が推理をするが・・・~

久し振りに再読したけど、いやぁなかなかの「怪作」って感じです。
よく言えば「遊びごころたっぷり」ですけど、逆にいえば「悪ふざけ」。
それでも、途中まではまずまずの面白さ。
「モルグ街の怪事件」(当然「猿」つながりね)と「Yの悲劇」を思いっきりパロってるとはいえ、デビュー作「七つの棺」で思いっきりパロデイ作品を連発した作者ですから、これくらいならむしろかわいい方。
ただねぇ・・・真相は相当脱力感がある。
なんだ、この「動機」と「密室トリック」は!!
(折原ファン以外なら、怒り出すレベルかも・・・)

というわけで、遊びこころを理解できる方にしかお勧めできません。
「どくしゃへの挑戦」のヤツもなぁ・・・ (小学生が、○○を△△とを間違えないだろ!)

No.3 4点 spam-musubi 2010/07/19 10:18
パロディ部分を楽しめるかどうか、でしょうね。

そこが肝の作品。

No.2 6点 vivi 2008/02/20 01:30
海外の作品たちのパロディですね。
しかし、ポーの『モルグ街の殺人』のネタバラシしてるし、
クイーンの有名作(書名は書いて無いけど)のネタも出てます。
そのあたりは、ちょっと賛同しかねる作品でしたね。

「どくしゃへの挑戦」の使い方が面白かったです。
終わり方はくどい気もしたけど。

No.1 6点 ギザじゅう 2005/03/22 13:53
単なるモルグ街のパロディかと思いきや、他の多くの古典のパロディ。(ただしクイーンの某名作のネタをばらし気味なので注意)解決も推理小説そのものをパロディにしたような解決で、何とも珍妙な作品。ただし、あまりカタルシスは得られなかった。鬼面村よりやや落ちる。


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