海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ サスペンス ]
誘拐者
折原一 出版月: 1995年08月 平均: 6.38点 書評数: 8件

書評を見る | 採点するジャンル投票


東京創元社
1995年08月

文藝春秋
2002年11月

No.8 8点 測量ボ-イ 2023/03/07 21:22
叙述トリックの名手である氏の意欲作であり、力作です。
単なるありきたりの誘拐ものとは異なる趣向があります。
章によって時制が変わったり語り手が変わったりでいろんな
人物や事実が錯綜し、読者を混乱させます。
そしてスッキリと騙されます 笑
そこが良いところでもあり、人によっては向かないかも。
筆者の場合も、話しの最後に事実が時系列で書いた表があっ
たので把握できましたが、これがなかったらいまだにわかっ
てなかったかもです。
難点は他の方も指摘のように、ちょっと無駄に人が殺されて
る感がありますが、敢えて減点にはしませんでした。

No.7 7点 ぷちレコード 2023/01/15 22:54
様々な夫婦関係が錯綜している。一人の男に妻と内縁の妻がおり、その内縁の妻が失踪した後で別の内縁の妻が出来て、しかもそのうちの一人には離婚歴があるから、当然「前夫」なるものが存在する。夫婦関係の重複は複雑で、「夫」とか「妻」という表現では、いったい誰を指すのか曖昧になる。そして玉突き事故のように起きた二つの新生児誘拐に続いて、似通った名前の子供たちを巡る誘拐事件が描かれる。夫婦関係、親子関係、犯人、被害者関係などなど、「関係の相似性」は見事な計算の上に錯綜してゆく。
複雑すぎて理解に苦労する。それほどに作者の策略は手が込んでいる。叙述トリックを背景に、被害者・加害者の逆転というモチーフが潜在しているために、真相のインパクトが大きい。

No.6 7点 蟷螂の斧 2012/07/11 19:01
長編ですが、だらけることもなく謎とサスペンス感を保ちながら物語は進行しています。普通の誘拐物と違って、事件(誘拐)の20年後から物語が始まります。中年の女性(元妻、元同棲者、現同棲者、元囚人、元妻と名乗る者、記者の恋人)が入り乱れ混乱(いい意味で)させられますが、最後は時系列でスッキリさせてくれています。中年の看護婦が男性主人公(偽名を使っている)を本名で呼ぶシーン(看護婦は本名を知らないはず)があり、これは犯人が看護婦であったという伏線?と思いましたが、関係ありませんでした。ただの誤記???。

No.5 7点 E-BANKER 2009/09/23 20:53
「~者」シリーズの第1段。(番外編ともいえますが)
新生児誘拐事件に端を発して、狂気に支配された2人の女の鬼気迫る姿がストーリーに何とも言えない緊張感をもたらしています。
話の視点(語り手)が次々変わっていくのは折原氏の十八番的展開ですし、最後の「やっぱりな」という感想もいつもどおりですが、本作は特に殺し屋・佐久間玉枝の描写が秀逸です。最後の年表(?)も分かりやすくて良いと思いました。

No.4 7点 三流亭読手 2009/07/25 22:56
はじめての折原作品でした。後半はかなり良かったです。
ただ、無意味に人が殺されすぎます。情景描写を省略すれば
もっと簡潔になり、緊迫感が出るような部分も感じました。
平均点以上の作品だと思います。

No.3 7点 ざき 2004/07/10 22:07
上手く騙されました。なかなかすっきりしてるし、登場人物の異常性もこれぐらいなら余裕で許します。ちゃんと記述にうそを書かなかったので、この作品好きです。

No.2 3点 ごんべ 2003/09/19 17:34
先に採点された方も書かれていますが、何度も挫折しそうになりながら(理由は登場人物の異常性が第一ですね)も何とか一気に読みきりました。
もう折原作品の叙述ミステリはお腹一杯状態ですね(とは言っても数作品しか読んでませんが)。
何か、無理矢理異常性のある設定を造り上げた感じがしましたしね。
『…者』の中ではやはり『冤罪者』が一番良かったですね。最初に読んだ作品だったと言う事もありますが…

No.1 5点 BJ 2003/04/14 20:52
 怨念と狂気に当てられ、一度挫折したものの何とか読みきった。
 話が叙述トリックを仕掛けるがための2次的なものになっている気が強くする。
 折原好きの私にとっても辛い一編だった。


キーワードから探す
折原一
2022年11月
グッドナイト
平均:6.00 / 書評数:3
2020年11月
傍聴者
平均:5.00 / 書評数:2
2018年06月
ポストカプセル
平均:4.50 / 書評数:2
2017年10月
双生児
平均:5.00 / 書評数:2
2016年04月
死仮面
平均:5.33 / 書評数:3
2014年09月
侵入者 自称小説家
平均:4.80 / 書評数:5
2013年05月
グランドマンション
平均:5.71 / 書評数:7
2012年12月
潜伏者
平均:5.75 / 書評数:4
2011年11月
帝王、死すべし
平均:4.67 / 書評数:6
2010年11月
追悼者
平均:6.40 / 書評数:10
2010年04月
赤い森
平均:5.50 / 書評数:2
2010年02月
放火魔
2009年08月
逃亡者
平均:6.14 / 書評数:7
2008年07月
クラスルーム
平均:4.67 / 書評数:3
2007年11月
黒い森
平均:3.43 / 書評数:7
2007年06月
疑惑
平均:6.00 / 書評数:9
2007年03月
タイムカプセル
平均:4.40 / 書評数:5
2006年08月
行方不明者
平均:4.50 / 書評数:6
2005年11月
グッドバイ 叔父殺人事件
平均:5.25 / 書評数:4
2005年04月
黙の部屋
平均:6.33 / 書評数:3
2004年09月
叔母殺人事件 偽りの館
平均:4.83 / 書評数:6
2004年03月
チェーンレター
平均:5.00 / 書評数:3
2003年12月
鬼頭家の惨劇
平均:2.67 / 書評数:3
2003年09月
被告A
平均:5.00 / 書評数:3
2003年05月
模倣密室
平均:5.00 / 書評数:5
2002年10月
倒錯のオブジェ 天井男の奇想 
平均:6.14 / 書評数:7
2002年06月
樹海伝説―騙しの森へ
平均:5.00 / 書評数:1
2001年11月
沈黙者
平均:4.67 / 書評数:3
2000年10月
倒錯の帰結
平均:4.54 / 書評数:13
2000年02月
耳すます部屋
平均:4.00 / 書評数:4
1999年09月
暗闇の教室
平均:5.00 / 書評数:2
1998年11月
失踪者
平均:5.17 / 書評数:6
1998年03月
黄色館の秘密
平均:4.50 / 書評数:6
1997年11月
冤罪者
平均:7.53 / 書評数:17
1997年05月
遭難者
平均:4.20 / 書評数:10
1997年02月
101号室の女
平均:5.00 / 書評数:4
1996年10月
二重生活
平均:6.00 / 書評数:4
1996年09月
漂流者
平均:6.50 / 書評数:6
1996年01月
ファンレター
平均:5.86 / 書評数:7
1995年10月
幸福荘の秘密―新・天井裏の散歩者
平均:6.75 / 書評数:4
1995年08月
黒衣の女
平均:4.67 / 書評数:6
誘拐者
平均:6.38 / 書評数:8
1994年08月
望湖荘の殺人
平均:4.17 / 書評数:6
1994年04月
沈黙の教室
平均:6.94 / 書評数:18
1994年02月
「白鳥」の殺人
平均:4.17 / 書評数:6
1993年12月
天井裏の散歩者 幸福荘殺人日記
平均:6.17 / 書評数:12
1993年08月
水底の殺意
平均:6.14 / 書評数:7
1993年01月
異人たちの館
平均:6.27 / 書評数:11
1992年11月
蜃気楼の殺人
平均:4.50 / 書評数:4
1992年02月
仮面劇
平均:4.71 / 書評数:7
1991年10月
覆面作家
平均:5.67 / 書評数:6
1991年03月
丹波家の殺人
平均:5.12 / 書評数:8
1990年08月
灰色の仮面
平均:6.14 / 書評数:7
1990年06月
猿島館の殺人~モンキー・パズル~
平均:5.08 / 書評数:13
1990年01月
螺旋館の殺人
平均:5.91 / 書評数:11
1989年07月
倒錯のロンド
平均:6.31 / 書評数:51
1989年03月
鬼面村の殺人
平均:6.29 / 書評数:17
1988年10月
倒錯の死角−201号室の女−
平均:6.25 / 書評数:24
1988年05月
七つの棺
平均:6.21 / 書評数:14