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[ サスペンス ]
潜伏者
折原一 出版月: 2012年12月 平均: 5.75点 書評数: 4件

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文藝春秋
2012年12月

文藝春秋
2015年08月

No.4 4点 haruka 2016/03/01 02:46
「凝りに凝ったプロット」というよりは「悪戯に複雑すぎて読んでいて苦痛だった」というのが正直な感想。余計なエピソードが多く本編に集中できなかった。過去作は「余計なエピソード」にも読ませる筆力があったのだが。

No.3 7点 E-BANKER 2015/10/12 18:07
「~者」シリーズも重ねてもう・・・第何作目だ!?
正直なとこ、何作目か分からないほど続いている本シリーズ。大いなるワンパターンなのか、はたまた作者のライフワークと言えるシリーズに育ったのか?(どちらか分からん??)
2012年発表。今回は1979年から90年にかけ北関東で発生した四件の幼女誘拐殺人事件がモチーフとなっている。

~若手のルポライター・笹尾時彦は、新人賞の下読みのバイトで奇妙な原稿に遭遇した。「堀田守男氏の手」と題された原稿は、どうやら北関東でつぎつぎに起きた少女失踪事件を題材にしているようなのだ。興味をそそられた笹尾は、パートナーの百合子とともに調査に乗り出した。容疑者、被害者家族、そして謎の小説家の思惑が交錯するとき、新たな悲劇の幕が開く!~

今回は感心した!
いきなりこう書くと、「いったい何だ!?」と思われそうだが、読了後そう思ってしまった。
ノンフィクションライターの主人公が事件を追っていくうちに、登場人物たちの泥沼の人間関係に翻弄され、いつの間にか叙述トリックの術中に嵌っている・・・
「~者」シリーズを超簡単に説明するとこんな基本プロットなのだが、ここまでシリーズが続いていく中で、読者を飽きさせない新機軸というか、新たな“見せ方”を提供している。
(ではどこが新機軸かと問われると困るのだが・・・)

しかしまぁ、このシリーズの登場人物たちは・・・
特に本作では、途中からもう、『勝手にひとりひとりが動き出して、しっちゃかめっちゃかに暴れだす・・・』という表現がピッタリ。
ここまで複雑に入り組んだプロットもそうないだろう。
(一人二役ではなく、○人○役なのが本作の白眉か?)
「潜伏者」の正体が実は・・・というプロットもさすがに旨い!

今回拘ったであろうフーダニットについては「どうかなぁ??」という気がしないでもないが(確かに分かりやすいしね)、全般的には作者の円熟した“腕前”が十分に味わえる良作だと感じた。
縛りのあるプロットのなかで、何とか工夫していこうとする作者の「拘り」に今後も期待したい。
どうも判官びいきのような評価になってしまったけど、やっぱり「折原好き」なんだなと感じた次第。
きっと次作も北関東で事件は起こるんだろうな・・・

No.2 6点 蟷螂の斧 2014/10/20 19:04
「BOOKデータベース」より~『ノンフィクション作家の笹尾は、容疑者の視点で生々しく綴られた小説『堀田守男氏の手2』をきっかけに、北関東で起きた少女連続失踪事件を追いかけることに。被害者家族との接触を続ける中、冤罪の疑いが晴れぬまま服役を終えた容疑者が出所し、事件は大きく動き出す。小説家は誰なのか?容疑者は無実なのか?そして、真犯人は誰なのか。』~      相変わらずの折原ワールド(叙述)ですが、やや趣が今回は変わっているとの印象。犯人は誰?がメインに打ち出されています。ただ、その点だけを見ると犯人は目星がつきやすいかも?。サスペンスものなので、ファンとしてはその点は許す?(笑)。もし、殺人事件が絡まなかったら、テーマ(冤罪・DV)がテーマだけに、かなり良い作品になったような気がしてなりません。長いけれど一気読みはできました。

No.1 6点 kanamori 2012/12/22 18:44
サブタイトルが”The Hands of Mr.Hotta Morio”(=「堀田守男氏の手」)ということで、トマス・バークの傑作短編「オッターモール氏の手」(『世界短編傑作集④』収録)に倣ったサイコサスペンスかと思っていたのですが、”アパートの一室に潜む謎の人物の正体は意外にも・・・”といった倒錯シリーズその他で何度も読まされたいつもの折原ワールドの作品でした。
「追悼者」のノンフィクション作家男女コンビが再登場するのですが、探偵役としての役割が中途半端で十分に活かされているとはいえず、謎の核心である行方不明の少女たちの真相も分かりやすく、出来としてはやや期待はずれという印象です。なによりも長すぎますね、もう少しコンパクトにできるはず。


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