皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ パスティッシュ/パロディ/ユーモア ] ファンレター 改題『愛読者 ファンレター』 |
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折原一 | 出版月: 1996年01月 | 平均: 5.86点 | 書評数: 7件 |
講談社 1996年01月 |
講談社 1999年02月 |
文藝春秋 2007年11月 |
No.7 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2021/12/07 16:40 |
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覆面作家の西村香を主人公としたユーモア系の連作短編
①覆面作家 7点 ファンの「みなみ」はついに西村に会うことに成功。西村は覆面をしたまま彼女をホテルに誘う。やがて結婚を申し込まれた彼女は・・・ ②講演会の秘密 6点 図書館の司書・井上茂から西村に設立二十周年記念の講演依頼があった。断ったが覆面の女性が現れ西村香と名乗り講演を始めた・・・ ③ファンレター 6点 西村香と同じマンションに住む西林薫。誤配されたファンレターを読んだ。送り主はミステリ作家を目指している女性で、その後も作品を送ってきた。西林は西村の名前で返事を出し酷評した。原稿は燃やしてしまったが彼女はそれを知り殺してやると・・・ ④傾いた密室 5点 崖の上の傾いた屋敷で密室殺人。部屋全体が湿気っていた・・・ ⑤二重誘拐 6点 西村を監禁し女は小説を書けという。女は誘拐犯のようだ・・・ ⑥その男、凶暴につき 6点 女性ライターと現地集合での温泉ルポ。覆面の男が彼女の部屋に現れた。逃亡中の銀行強盗が温泉地に入り込んで・・・ ⑦消失 7点 編集者が原稿を紛失。美女を付けるということでホテルで缶詰状態で書き直し。密室から西村が消えた・・・ ⑧授賞式の夜 6点 日本ミステリ大賞の受賞式で余興で覆面をかぶった審査員4人に暴行を受ける西村・・・ ⑨時の記憶 5点 記憶喪失の男は所持品から西村と思われるが・・・ ⑩エピローグ 5点 西村の部屋で発見された男は75歳の老人だった・・・ |
No.6 | 6点 | E-BANKER | 2011/01/21 22:10 |
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講談社版では「ファンレター」ですが、文春文庫版では「愛読者」と改題し、同社の「~者」シリーズの1つとして発売されてます。
今回は文春文庫で再読。 謎の覆面作家「西村香」をめぐって巻き起こる事件の数々が、連作短編形式で綴られます。 ①「覆面作家」=徐々に高まる人間の「狂気」。折原得意のプロットですね。 ②「講演会の秘密」=これも同様。オチは想定内。 ③「ファンレター」=これも同様。オチも想定内。 ④「傾いた密室」=「手紙」形式が最後に効いてくる。決して「密室物」ではありませんので・・・ ⑤「二重誘拐」=「だから何?」 ⑥「その男、凶暴につき」=北野武とは何の関係もありません。パクリでもありません。 ⑦「消失」=中西智明の作品とは何の関係もありません。パクリでもありません。 ⑧「授賞式の夜」=①~⑦のオチ的作品。 ⑨「時の記憶」=⑧で終わりでよかったんじゃない? 以上9編+αあり。 共通するプロットが何度も登場します。全体的にシャレのような作品なので、あまり目くじら立てずに軽~い気持ちで読みましょう。 (覆面作家・西村香とは、もちろん北村薫氏のことですが、ここまで下世話に書かれて、よく出版させたなぁーと思ってしまいます) |
No.5 | 6点 | こう | 2010/03/19 22:30 |
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元々パロディとして書かれていますので肩に力をいれずに読める作品だと思います。
本人はガイド本でボブランドールの「ファンレター」を挙げていましたがそこから手紙形式、狂人といった設定のアイデアを思いついたのかもしれません。 |
No.4 | 5点 | シュウ | 2008/11/25 22:58 |
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こんな後味が悪い日常の謎系の話というのは初めて読みました。
最初の2話くらいまではまともな人物が登場しない狂った展開が気持ち悪かったんですが、慣れてきたらこれはこれで面白いかもと思えてきました。 個人的に北村薫はなんか合わないのでほとんど未読状態なのでその辺のパロディはよく分からなかったのですが、 北村ファンならもっと高評価なのかな?むしろ怒るかw |
No.3 | 5点 | おしょわ | 2008/09/05 22:58 |
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まぁ、悪くない連作、という感じです。 |
No.2 | 6点 | シーマスター | 2007/06/17 23:57 |
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手紙形式の連作短編集。北村薫パロで遊びまくっている。
・「覆面作家」 意外性、インパクトにおいてこの本の中で一番。(第1話だったというのも大きいが) ・「ファンレター」 オチはあまりにもありきたり(ありきたり過ぎて見抜けなかった)が、そこに行くまでに結構読ませてくれる。 ・「二重誘拐」 映画『ミザリー』の設定を○○錯誤で捻ってくる。怖いね。 ・「授賞式の夜」 この辺(8話目)までくると、いい加減飽きてくるが「ここまで読んできて」のお楽しみがある。 ・「時の記憶」「エピローグ」 果たして西村香の正体は・・・ 折原ワールドへの入門書としてはいいかも。 (いきなりロンドなんぞを読むと「何じゃこりゃ」となりかねないもんね) |
No.1 | 7点 | 由良小三郎 | 2002/08/21 18:18 |
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覆面作家「西村香」という存在をめぐっての連作短編集です。折原さんと北村さんは近い存在なので、かなり内輪受けねらいかもしれない。ヒネリはそこそこという感じです。モデルがはっきりしてるので、西村作品の作品名や、作品の内容のパロっているあたりが、おまけだと思います。やや反則で、登場人物も類型的な作品ですが楽しめました。 |