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[ 本格 ]
英仏海峡の謎
フレンチシリーズ
F・W・クロフツ 出版月: 1960年12月 平均: 5.80点 書評数: 10件

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東京創元社
1960年12月

東京創元社
1960年12月

No.10 6点 文生 2022/09/24 14:29
クロフツ十八番のアリバイ崩しもの。
英仏海峡を巡るアリバイトリックは専門知識を有するものであり、本格ミステリとしては優れた仕掛けとはいえないかもしれません。しかし、クロフツ作品は本格ミステリとしてではなく、警察小説の萌芽がみられる捜査小説として読むべきではないかと個人的には考えています。
そういう観点から読めば、足を使った地道な捜査によって真相に近づいていくプロセスはなかなかの面白さですし、アリバイ工作を解明するくだりも素直に楽しむことができます。

No.9 4点 レッドキング 2022/09/21 21:40
クロフツ第十一作。英仏海峡に漂うヨットには屍体が二体。大証券会社の倒産と役員達の逃亡劇が殺人事件へ変貌し、殺人者の時間アリバイ不可能トリックが、シンプルかつリアルに解明。※タイトル、「小指の曲った男」てのどお?

No.8 5点 ボナンザ 2018/09/29 20:01
相変わらずフレンチの地道な推理を楽しむ一作。トリックは何の変哲もないが、新たな手掛かりが明らかになるたびに飽きさせず読ませるのは中々だと思う。

No.7 6点 nukkam 2016/08/12 11:24
(ネタバレなしです) 1931年発表のフレンチ警部シリーズ第7作はクロフツの特色がよく出た作品で入門編としてお勧めです。犯罪が企業利益に影響を与えるという当時としては社会派ミステリー風な要素、フレンチ警部の足を使った地道な捜査、アリバイ崩し、トラベル・ミステリー要素などが織り込まれています。同時代のクリスティーやカーに比べれば晦渋で読みにくいですが、最後にはシンプルで印象的なトリックとサスペンス溢れる捕り物劇で盛り上がります。まあこのトリックはもはや古典的に過ぎて現代の捜査なら真っ先に可能性として検証されそうなトリックではあるのですが。

No.6 8点 斎藤警部 2016/06/28 18:28
こんなご時勢、海峡を挟んで英仏両警察の友情物語をじっくり味わうのも乙だ。
滑り出しから最高品質の抑制あるスリル。早くも胃の辺りがゾワゾワするあからさまな疑いと、目を疑うキラメキへの期待。仮にヒネリの浅い結末でもそれなりに満足させてもらえそうな予感さえ溢れ出る。
ウェールズはスウォンジーのハウエル署長、最高だ。彼の描写に続くノールズの知識持ちぶり暴露も最高にリフレッシング!クェイル船長も素敵さ、アイウィルキッシュー! 最終コースに至って俄然切実さが屹立する証人達の描写の全てがジャスト・ヴィヴィッド!!鮎川さんは実際やはり最高の手本にしたんだろうなあと腹落ち実感。そして最初に来た逮捕のタイミングのキラメキ!くっそう、誰が本命本ボシなのやら終盤よいとこまで来てさっぱり五里霧中の四面楚歌のビーフカレーメンチカツやなぃか、まして真相ザ・ホール・バディなど見えん、楽し過ぎるぜ人生のくせにこの野郎!フリーマンが如何にしてスリルや心臓直撃と言った光沢あるポイントでエラリーやジョンはもとよりアガサまでばっさり凌駕してやろうと意気込んだか、そのアイディア結着の脳髄を探る思いだ。土壇場前に来て容疑者レイモンドの的確精妙な、冷静保身を射程に賭けたかの推理絵巻。それから更にまだ幾悶着越えて。。。リアリティ有るどんでん返しの閃きが、そこにはあった! 或る単純な幾何学計算の魅惑! 今度こそ犯人をこいつと絞って良いのか、まだもう一段来るのか。。ラストラップ前から、会話も地の文も徹底した逆説表現にガッチリ掴まれた信頼と友情の暖色タペストリーを繕い始めた。まるで夕陽だぜ。。。。最後の一文が某ハードボイルド著名作そっくりなのは笑った。
海洋活劇でも経済サスペンスでもないが、その二つを背後に匂わせた甲斐は充分にある本格推理「アリバイ破り<<<犯人捜し」警察小説。鮎川好きには悪くない。 そうそう、本作には「ポンスン事件」のタナー警部も結構な役どころ(フレンチの同僚)で登場しますよ!

No.5 5点 了然和尚 2015/05/04 13:11
今までに何冊か読んだクロフツのパターンそのままで、ちょっとスケールが小さい気がするので−1点です。クロフツのパターンは、(1)最初の方に登場したアリバイのある人物が、実はアリバイ工作していた (2)消去法で有力な容疑者を追いかけるが、捕まえてみると無実だった (3)真犯人をおびき出して逮捕しようとするが乱戦(活劇展開)になるって感じです。 ま、このパターンはわかっていても、ちゃんと考える余地があり、飽きずに読み進められるところはクロフツの偉大なところでしょう。
本作のトリックはイマイチな感じですが、船舶知識がないので、最初に計画されたヨットの失踪トリックを含めて実感が薄いところが残念です。当時のイギリスの読者はこのへんがピンとくるほど皆さん船舶知識があったんでしょうね。

No.4 6点 2014/10/27 22:05
タイトルどおり海上で起こった殺人事件ですが、今回のトリックは、明かされてみると斉藤栄並の強引さです。したがってそのトリック(どんな種類のものかを書けば、それだけでかなりネタバレになってしまいますが)だけ見れば、つまらないという人もいると思います。ところが、実際に読んでみるとなかなかおもしろく感じられるのは、やはりフレンチ警部のていねいな捜査過程を描いたプロットゆえでしょう。クロフツの作品がおおむね、トリック小説ではなく捜査小説であるところです。
海上に漂うヨットの中での死体発見に始まり、殺人事件の背景となった証券会社倒産の顛末が明らかにされ、会社重役たち一人一人についての調査を、フレンチ警部がていねいに進めていきます。
最後の方、ある重要手がかりとなる品物の存在が明らかにされる部分でのミスディレクションが巧みにできています。

No.3 6点 kanamori 2010/07/16 20:47
フレンチ警部シリーズの第7作。
ドーヴァー海峡を漂うヨット内の2つの死体の謎は不可能興味もあり魅力的で、フレンチの捜査もファンであれば楽しめますが、アリバイ偽装の手段が(当時はともかく)現在では意外性を持たないのが残念。

No.2 6点 E-BANKER 2009/10/17 16:18
個人的に、翻訳物の名探偵ではポワロよりもF・ヴァンスよりもフレンチ警部が好きなのですが(「名」探偵ではありませんけど・・・)、そのきっかけとなった作品のひとつ。
ストーリー的には特に目立つ部分はなく、作者得意のアリバイ崩しをフレンチがコツコツと積み上げ、ふとしたきっかけで真相に行き着く、という展開。
ただ、それまでは翻訳物といえば名探偵が最終章で容疑者の中なら鮮やかに真犯人を指摘する・・・という物ばかりを読んでいたので、ある意味新鮮でした。

No.1 6点 測量ボ-イ 2009/06/03 20:00
クロフツの作品の中では比較的良いという評判を聞いて読ん
でみましたが、思いのほか平凡でした。
これなら「樽」の方が良かったです。


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F・W・クロフツ
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