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[ クライム/倒叙 ]
殺人者はへまをする
フレンチシリーズ
F・W・クロフツ 出版月: 1960年12月 平均: 4.83点 書評数: 6件

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東京創元社
1960年12月

東京創元社
1960年12月

No.6 5点 斎藤警部 2022/04/01 15:05
MMM ... Murderers Make Mistakes .. 殺人者はへまをする .. ま、俺は例外だけどね。今まで一度たりとも捕まっちゃいねえや。

フリーマン・ウィルズ・クロフツ先輩が往年のラジオ番組用に書いたショート・ショート・ミステリーズ23篇。溢れる古趣。難事件をじっくり解決する長篇のフレンチと異なり、簡単なヤマなら容赦無く秒殺でホシを挙げてしまう掌篇のフレンチ。

出来上がってるクイズを小説の枠にねじ込み直したブツとは似て非なる、クイズ要素を織り上げて小説の形にまで仕立てた、ちょっとしたオードブルたち。一篇読んだら気の合う仲間とうっかりリッツパーティーでも開きたくなること請け合いです。

新しい出発(たびだち)の春、これから殺人にでも手を染めようかという方は、本書をじっくり研究して、殺人者がどんな時に失敗を犯すものなのかよく理解しておくのがよいでしょう。 先輩面してごめん。 ではまた。

No.5 5点 ボナンザ 2018/10/14 12:47
完全犯罪を目指した犯人たちの失敗を集めた短編集。
とはいえ一気に読むとややワンパターンかも。

No.4 5点 nukkam 2016/07/27 16:42
(ネタバレなしです) 1943年から1945年にかけて放送されたラジオの脚本から小説化されたものをまとめて1947年に発表された、実質上の第一短編集です(「クロフツ短編集1」(1955年)よりも早く出版されています)。前半の12作は犯人の正体や犯行状況場面を最初から読者に明かしてその後でフレンチ警視の推理によって謎を解くという倒叙型ミステリー、後半の11作は最初から最後までフレンチ警視の視点で謎解きを行うスタイルをとっています。後者にしても登場人物が非常に限られているので犯人当てとしては他愛もなく、どの作品も犯人がどこで失敗したのかが謎の中心になっています。1つ1つは大変短くて読みやすいのですが長編作品以上に物語の要素がなくて推理クイズ的な作品なので、連続して一気に読むとその味気なさにだんだん嫌気がさすかもしれません。トリックに頼った作品も多く、特に「熱心な羊飼い」で使われたトリックとフレンチがつかんだ手掛かりはあまりにも古典的で有名です。また「盗まれた手榴弾」のように書かれた時代ならではの戦時色濃厚な作品が読めるのも特徴です。

No.3 5点 2015/07/12 13:29
「犯罪」と「フレンチの解決」の2つの部分からなる、いわゆる倒叙形式の《二重の物語》12編と、フレンチ警視の一人称のみの《単独の物語》11編が収められています。総体的には倒叙による前半分の方が、殺人の動機や計画などが一応は描かれてそれなりに小説らしくなっているためでしょうか、楽しめました。
ミステリは小説なのですから、そのパズル性は、小説としてのリアリティを踏まえていなければならないでしょう。その意味で、本書の特に《単独の物語》のかなりの作品に不自然さを感じました。犯人の証言の中にそれが嘘であることを証明する言説があることを、フレンチが見破るというパターンが半分以上を占めるのですが、犯人がなぜそんなばれるような嘘をつくのか、釈然としない作品が多いのです。このタイプで意外性と説得力を兼ね備えていたのは、最後の『待っていた自動車』だけと言っていいでしょう。

No.2 4点 mini 2013/09/25 09:57
今年も創元社の復刊フェアが始まったようだ、毎年恒例の行事で創元はやってくれるなぁ、と言えれば良いが、毎年のように復刊要望の期待を見事に裏切るセレクトなのも恒例になっている(笑)
数年前に増刷したやつとか、古書市場でも全くレア感の無い入手容易な作ばかりよく選んだなと思える悉くニーズを外したラインナップには悪意さえ感じさせる(笑)

さて今年のリストの1冊がこれ、クロフツを復刊するなら「フローテ公園」「海の秘密」「英仏海峡」とか他に優先すべきものは有るだろうに
それにしてもクロフツは本国英国でも今や忘れ去られた作家だろうに日本では未訳作は殆ど残っていない状況でどう考えても優遇され過ぎだと思う
こういう作家を全作翻訳する労力がもったいない、アリンガムやマーシュには冷遇なのに

ただそうは言うもののクロフツがつまらないと言ってるわけじゃない、こういう地道な捜査小説は好き
だがしかしこの「殺人者はへまをする」は私には合わない
そもそもミステリー小説とは読者挑戦の為のパズルだなどと思った事が無い読者なので、クロフツにこういうの求めてないんだよなぁ
やはりクロフツは地道な捜査の長編を読みたいな

No.1 5点 kanamori 2010/07/15 17:47
倒叙ミステリ短編集。
ショート・ミステリに近い23作が収録されていて、比較的後期の作品のため、フレンチの職制は警視になっています。
犯人視点の犯行描写の後フレンチが解決する構成のものと、フレンチが犯行と解決を語る構成のものがありますが、いずれも犯人(真相)を特定した決め手は何か?という気付きをテーマにした推理ゲーム風で、まずまず楽しめました。


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