海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ クライム/倒叙 ]
二重の悲劇
フレンチシリーズ
F・W・クロフツ 出版月: 1965年01月 平均: 4.00点 書評数: 5件

書評を見る | 採点するジャンル投票


東京創元新社
1965年01月

東京創元社
1965年02月

No.5 3点 レッドキング 2023/11/27 22:21
クロフツ第二十八作。狷介な資産家の遺産相続に絡んだ、身代りアリバイトリック付き連続殺人。序盤1/3は倒叙ノワール、中盤にフレンチ「正」叙本格に転回し、終盤は交互カットバックサスペンス。安定のオモシロ(つまらな)さは流石。

No.4 5点 E-BANKER 2022/10/02 13:43
フレンチ警部シリーズ二十四作目となる本作(だいぶ後半になってきた)。
今回は倒叙形式ということで、「クロイドン発12時30分」という倒叙の名作を持つ作者だからこその作品なのか?
原題は“The Affair at Little Wokeham”。1943年の発表。

~リトル・ウオーカムの小村に引退した富裕な老人を殺害し、その遺産を手に入れるために綿密周到な計画を立てて、ついに成功した犯人を追及するフレンチ警部の卓抜な推理力に脱帽! あらゆる仮説を克明に実験し、追及の輪を次第に狭めていくフレンチの努力が実り、まさに逮捕寸前犯人は国外に逃亡してフレンチは地団駄を踏む。それは果たして失敗だっただろうか?~

倒叙形式であることを除けば、いつものフレンチ警部ものである。
いや、倒叙形式だからこそ、いつもよりも更に丁寧になっているともとれる。だからこそ、「いつもよりも冗長で退屈」という評価も出てくるのだろうと推察する。
殺人事件そのものは実に単純で、それほど工夫のあるプロットとは言い難い。他の方が書かれているとおり、こんな古臭いアリバイトリック!って感じだし、それにまずまず翻弄されるフレンチ警部もどうかとは思う。
でも、クロフツ好きの身としては、「そこそこの満足感」を感じられた作品ではあった。

当然倒叙なんだから、フレンチというよりは真犯人の心の動きや猜疑心、バレるかもという強烈な不安心、徐々に追い込まれていく恐怖etcが十分に堪能できた。
本作は「真犯人」視点だけでなく、事件関係者や「やむなく真犯人に協力せざるを得なくなった人物」視点なども織り交ぜることで、単純でない物語に膨らみを与える工夫もなされている。
特に、事件に巻き込まれることとなる村の医師などの小市民的感情や”恋する中年独身男性の悲哀”などは、なかなか身につまされる(ように思えた)。

今回、割と目についたのは、フレンチ警部のユーモア感覚(死語?)
部下の警官たちのやり取りのなかで、まるで「ノリツッコミ」のような会話を披露している。ここら辺も、長くシリーズを続けてきた作者の余裕というか、変化・工夫の跡かもしれない。
まぁ、でも「アイデアの枯渇」というのは確かにその通りだとは感じる。長く続けすぎることのデメリットも当然あるわけで、晩年の作品はどうしても苦しくなってくるね。
決して高い評価はできないんだけど、安定した面白さはあるという評価にしておきたい。

No.3 4点 斎藤警部 2015/08/28 18:03
中学の頃、母または父からもらった創元推理文庫で読んだ何冊かの中の一つ。
どう面白いのか理解出来ませんでした。。大人の倒叙ミステリの雰囲気はなんとなく味わえたが。。
今読んでもあまり面白くないと踏んで、この点数。 ごめんねフリーマン。

No.2 3点 nukkam 2011/09/25 16:41
(ネタバレなしです) 1943年発表のフレンチシリーズ第24作の本書は久方ぶりの倒叙推理小説でしたが出来栄えは芳しくないように感じました。kanamoriさんのご講評の通り、犯人のアリバイトリックが非常に稚拙で古臭さを感じさせます。(倒叙なので)早い段階でトリックを紹介されたため、前半からして凡作の予感がします(笑)。誉めるとすれば犯人の予想もしない事後共犯者を登場させたのがプロット上の工夫になっていることでしょうか。フレンチもこの事件に関しては成功したとはいえないと思います(最後はめでたしめでたしなんですが)。

No.1 5点 kanamori 2010/07/16 21:51
これも作者お得意の倒叙型ミステリで、アリバイ崩しを扱っていますが、犯人の構築したアリバイトリックは(おそらく当時でも)陳腐なもので、40年代以降に書かれたクロフツ作品全般に言えますが、アイデアの枯渇が明白に覗えます。
フレンチ主任警部にも精彩がないように思います。


キーワードから探す
F・W・クロフツ
2010年03月
フレンチ警部と毒蛇の謎
平均:5.00 / 書評数:4
2007年03月
少年探偵ロビンの冒険
平均:3.50 / 書評数:2
2004年12月
フレンチ警部と漂う死体
平均:4.80 / 書評数:5
1985年02月
シグニット号の死
平均:5.67 / 書評数:3
1984年12月
サウサンプトンの殺人
平均:5.67 / 書評数:6
1983年11月
死の鉄路
平均:7.12 / 書評数:8
1983年05月
ホッグズ・バックの怪事件
平均:6.00 / 書評数:8
1982年07月
船から消えた男
平均:5.40 / 書評数:5
1972年01月
フレンチ警部と紫色の鎌
平均:5.00 / 書評数:7
1969年01月
ポンスン事件
平均:6.25 / 書評数:12
1965年12月
クロフツ短編集1
平均:5.33 / 書評数:6
1965年02月
クロフツ短編集2
平均:5.00 / 書評数:2
1965年01月
二重の悲劇
平均:4.00 / 書評数:5
1964年12月
海の秘密
平均:5.71 / 書評数:7
1963年01月
フレンチ警部とチェインの謎
平均:4.86 / 書評数:7
1962年06月
蜘蛛と蠅
平均:5.33 / 書評数:3
1962年01月
フレンチ警視最初の事件
平均:5.75 / 書評数:4
チョールフォント荘の恐怖
平均:5.17 / 書評数:6
山師タラント
平均:5.00 / 書評数:3
1961年01月
ギルフォードの犯罪
平均:5.60 / 書評数:5
二つの密室
平均:6.12 / 書評数:8
1960年12月
英仏海峡の謎
平均:5.80 / 書評数:10
殺人者はへまをする
平均:4.83 / 書評数:6
1960年07月
見えない敵
平均:3.33 / 書評数:3
1960年01月
フレンチ油田を掘りあてる
平均:4.67 / 書評数:3
黄金の灰
平均:5.00 / 書評数:4
フレンチ警部の多忙な休暇
平均:5.00 / 書評数:5
1959年01月
フローテ公園の殺人
平均:6.91 / 書評数:11
1958年01月
関税品はありませんか?
平均:5.67 / 書評数:3
1957年01月
列車の死
平均:4.00 / 書評数:3
ヴォスパー号の遭難
平均:3.50 / 書評数:2
製材所の秘密
平均:5.22 / 書評数:9
フレンチ警部最大の事件
平均:6.20 / 書評数:10
1956年10月
クロイドン発12時30分
平均:5.77 / 書評数:13
1954年05月
スターヴェルの悲劇
平均:7.17 / 書評数:12
1951年01月
マギル卿最後の旅
平均:6.25 / 書評数:8
1950年01月
平均:7.36 / 書評数:25