海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ クライム/倒叙 ]
クロフツ短編集2
フレンチシリーズ ほか
F・W・クロフツ 出版月: 1965年02月 平均: 5.00点 書評数: 2件

書評を見る | 採点するジャンル投票


東京創元社
1965年02月

東京創元新社
1965年02月

東京創元社
1965年02月

No.2 5点 弾十六 2020/03/07 19:33
1956年出版のThe Mystery of the Sleeping Car Express and Other Stories(Hodder and Stoughton)が原著。創元文庫は『クロフツ短編集2』の表記だが『1』と『2』に関連性は無く、それぞれ独立した短篇集。(昔の創元文庫には良くある話。今なら洒落た題がつく筈) 原著タイトル作品The Mystery of the Sleeping Car Expressは『世界推理短編傑作集2』に収録されているので文庫では省略。
FictionMags Indexによる初出順に読んでゆきます。カッコ付き数字は文庫収録順。もしかしたら原著の並びは初出順なのかも。

⑵グルーズの絵 The Greuze (Pearson’s Magazine 1921-12 挿絵Oakdale): 評価6点
どこに詐術があるのか色々想像したが、なるほどね、というアイディア。語り口が非常に良い。
p35 一万五千ドル: 米国消費者物価指数基準1921/2020(14.41倍)で$1=1583円。$15000=2374万円。絵画の値段。
p37 三千ポンド、つまり一万五千ドル: 英国消費者物価指数基準1921/2020(49.27倍)で£1=6990円。£3000=2097万円。金基準(1921)だと£1=$3.84、為替レート(1920)は£1=$3.92だった。
p41 札はイングランド銀行の紙幣で… 額面は百ポンドだった: £100紙幣は約70万円、Bank of England発行のWhite Note(白地に黒文字、絵なし。裏は白紙)、サイズ211x133mm。
p44 四千ポンドを上手に投資すれば、年収二百五十ポンドくらいになる: 年6.25%が見込めるなんて今となっては夢のような運用益ですね。
p54 映画の科白(せりふ): サイレント時代の話なので字幕のこと。
(2020-3-7記載)

⑶踏切り The Level Crossing (Cornhill Magazine 1933-11): 評価6点
一種の鉄道もの。倒叙的な犯罪小説。感情の綾の表現が心憎い。嵐がゴーって吹く感じ。ちょっと不思議なんですが女は何を期待してたんでしょうか。
以下、現在価値は英国消費者物価指数基準1933/2020(72.04倍)、£1=10221円で換算。
Cornhill Magazineは伝統ある文芸誌、当時はJohn Murray出版、1シリング6ペンス(=767円)128ページ。
p 73 シリアス… シンガー(Singer)… ダイムラー(Daimler)… リンカーン(Lincoln)… ロールス・ロイス: 夫人のイメージする高級車。オースチン(Austin)はダメらしい。シリアスは架空ブランドかな?
(2020-3-8記載)

⑷東の風 East Wind (Cornhill Magazine 1934-2)

⑴ペンバートン氏の頼まれごと Mr. Pemberton's Commission (初出不明 1935以前): 評価5点
フレンチ警部もの。ということは1925年以降の作品か。H. Douglas Thomson編のThe Great Book of Thrillers(Odhams Press 1935)に選ばれている。1952年4月にはBBCラジオドラマとして放送された。(警部役はRoger Delgado) 一喜一憂する主人公の感慨がなかなか楽しい話。普通人の人情をさらりと表現するのがクロフツさんの良いところ。(文章に言わずもがな、なところがあるので1920年代の初期作品のような気がする)
p8 肌があさ黒く: 多分dark。「黒髪の」まさか井上勇先生まで浅黒党だとは…
p12 電報のルール: ところどころの空白は濁点を一文字として数えるところから来ているが、この印刷文だと、知らない若者には意図不明だろう。
(2020-3-7記載)

⑸小包 The Parcel (単行本Six Against the Yard, Selwyn & Blount 1936)
デテクション・クラブ企画本のクロフツ担当部分。6人の作家が完全犯罪を企て、C.I.Dの元警視Cornishがその出来栄えを批評する、という趣向。元警視による解説は「動機は犯人を教える(The Motive Shows the Man)」としてp160以降に収録されています。

⑹ソルトバー・プライオリ事件 The Affair at Saltover Priory (1945?)

⑻レーンコート The Raincoat (MacKill’s Mystery Magazine 1954-6)

⑺上陸切符 The Landing Ticket (初出不明)

No.1 5点 ボナンザ 2019/05/01 15:25
1に比べると多彩な作品が収められている。〇〇トリックっぽいのも・・・。


キーワードから探す
F・W・クロフツ
2010年03月
フレンチ警部と毒蛇の謎
平均:5.00 / 書評数:4
2007年03月
少年探偵ロビンの冒険
平均:3.50 / 書評数:2
2004年12月
フレンチ警部と漂う死体
平均:4.80 / 書評数:5
1985年02月
シグニット号の死
平均:5.67 / 書評数:3
1984年12月
サウサンプトンの殺人
平均:5.67 / 書評数:6
1983年11月
死の鉄路
平均:7.12 / 書評数:8
1983年05月
ホッグズ・バックの怪事件
平均:6.00 / 書評数:8
1982年07月
船から消えた男
平均:5.40 / 書評数:5
1972年01月
フレンチ警部と紫色の鎌
平均:5.00 / 書評数:7
1969年01月
ポンスン事件
平均:6.25 / 書評数:12
1965年12月
クロフツ短編集1
平均:5.33 / 書評数:6
1965年02月
クロフツ短編集2
平均:5.00 / 書評数:2
1965年01月
二重の悲劇
平均:4.00 / 書評数:5
1964年12月
海の秘密
平均:5.71 / 書評数:7
1963年01月
フレンチ警部とチェインの謎
平均:4.86 / 書評数:7
1962年06月
蜘蛛と蠅
平均:5.33 / 書評数:3
1962年01月
フレンチ警視最初の事件
平均:5.75 / 書評数:4
チョールフォント荘の恐怖
平均:5.17 / 書評数:6
山師タラント
平均:5.00 / 書評数:3
1961年01月
ギルフォードの犯罪
平均:5.60 / 書評数:5
二つの密室
平均:6.12 / 書評数:8
1960年12月
英仏海峡の謎
平均:5.80 / 書評数:10
殺人者はへまをする
平均:4.83 / 書評数:6
1960年07月
見えない敵
平均:3.33 / 書評数:3
1960年01月
フレンチ油田を掘りあてる
平均:4.67 / 書評数:3
黄金の灰
平均:5.00 / 書評数:4
フレンチ警部の多忙な休暇
平均:5.00 / 書評数:5
1959年01月
フローテ公園の殺人
平均:6.91 / 書評数:11
1958年01月
関税品はありませんか?
平均:5.67 / 書評数:3
1957年01月
列車の死
平均:4.00 / 書評数:3
ヴォスパー号の遭難
平均:3.50 / 書評数:2
製材所の秘密
平均:5.22 / 書評数:9
フレンチ警部最大の事件
平均:6.20 / 書評数:10
1956年10月
クロイドン発12時30分
平均:5.77 / 書評数:13
1954年05月
スターヴェルの悲劇
平均:7.17 / 書評数:12
1951年01月
マギル卿最後の旅
平均:6.25 / 書評数:8
1950年01月
平均:7.36 / 書評数:25