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[ 本格/新本格 ]
亜愛一郎の狼狽
亜愛一郎シリーズ
泡坂妻夫 出版月: 1978年05月 平均: 7.26点 書評数: 39件

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幻影城
1978年05月

角川書店
1981年11月

角川書店
1985年03月

東京創元社
1994年08月

No.39 6点 ALFA 2024/04/14 16:04
キッチュで楽しい、作り物感に満ちた短編集。と思ったら、そういえば作者はマジシャンでもあった。たしかにマジックショーのような作品が並ぶ。
お気に入りは本格風味の「曲がった部屋」と設定がユニークな「掌上の黄金仮面」。

ただ、どの作品も構成はモッサリと単調。冗長な展開部と名探偵亜による急転直下の謎解き。「DL2号機事件」などチェスタートンばりの逆説なのに構成で興が削がれる。
どの作品も本筋と関係ない部分が妙に可笑しい。

No.38 7点 みりん 2023/08/11 14:18
泡坂妻夫の中では世間的に1番評価の高い作品かな?というだけあってどれも無難に面白い。しかし『しあわせの書』で作者の変態ぶりに衝撃を受け、『乱れからくり』の美しさに感銘を受けた私としてはいささか物足りない。上記と違って短編だから仕方ない部分もあるけど、こう何か一発ガツンと来るものがなかった。

1番面白かったのは『掌上の黄金仮面』でこの反転は流石に見事でした。「あ、この作者そういえば変態だったなあ」と再確認したのは私史上最高難度の暗号が登場する『掘り出された童話』ですかねぇ。でもね〜とある人間の心理を深く突いたロジックのマジック(?)『DL2号機事件』とこれぞザ・本格『曲がった部屋』も捨てがたい。
いや、やっぱり世評通りのすげえ濃密な短編集な気がしてきたぞ。

連城とか泡坂とか幻影城出身の方って連載形式だから短編が人気になりがち?

No.37 6点 じきる 2021/06/17 13:09
アイディアは面白いが、ドタバタ劇に振り回され、個人的には楽しみがやや削がれてしまった感があります。
「曲がった部屋」と「ホロボの神」は良かったです。

No.36 9点 クリスティ再読 2020/12/30 09:00
泡坂妻夫デビュー作である。そういえば評者何回もこの本買ってる(が何回も売ってる)。そういうあたりでも懐かしいし、創元の解説が権田萬治による「泡坂妻夫と雑誌『幻影城』」で、幻影城を作った島崎博氏の思い出話が載っていて、これも懐かしい。幻影城って潰れたせいで一時ゾッキ本によく流れてたなあ...
いうまでもなく、亜愛一郎初登場。確か当時の推理小説年鑑で本書所収の「曲がった部屋」を読んで、とても印象深かったのが評者の泡坂妻夫初遭遇。いや特にこの「狼狽」の最初の4作くらいは、本当に凄い。
評者のパズラーの判断基準というと、「奇妙な謎」→「奇抜な論理による推理」で終わるんじゃなくて、さらにその真相が「ヘンテコでポエジーやアイロニーが漂ってオモムキ深い」、となればサイコー、と思っているんだ。いや「DL2号機事件」も「右腕山上空」も「曲がった部屋」も「掌上の黄金仮面」も、この最高の基準を満たしている。真相の奇妙さが童話のごときである。いや理に落ちてたら、ツマラないでしょう? 
そうしてみると後半4作は、やはり落ちる。「G線上の鼬」は「DL2号機事件」のやり直しみたいなものだし、「掘り出された童話」は暗号なのは当然だけど、解読法が複雑になればなるほど、解読内容の真実味が薄れてしまうよ。暗号=暗合、という洒落なんだろうか?「ホロボの神」は犯人推測はムリ筋、「黒い霧」はあれ、ローレル&ハーディの「世紀の戦闘」の日本版だね(苦笑)。ケーキ屋主人がケーキを投げたくてたまらなくて...だったら面白かったんだがww

No.35 7点 レッドキング 2020/04/21 00:44
・「DL2号機事件」 奇妙奇天烈にして不思議と説得力あるホワイダニット。5点
・「右腕山上空」 自殺偽装の殺人を見破るロジック。読み返すとフー・ハウ伏線叙述もさり気なくあった。「スネーク菓子」「ヒップ大石」いい商品いい芸人と思うがなあ。7点
・「曲がった部屋」 左右のロジックからの犯人特定。「死出虫」なんてグロテスクな虫いるのか・・見たくねえ。7点
・「掌上の黄金仮面」 前後のロジックからの不可能犯罪解決。昔「欽ちゃんの仮装大賞」で、女子大生がこのトリックで「ゾンビ」演じてた。6~7点
・「G線上の鼬」 車を利用した場所錯視トリックによる犯人消失トリック。6点
・「掘出された童話」 解読されても感心させられるだけで、とても共感感銘できない暗号解読物。あれ理解できる人、極めて限られるじゃないか。こしらえた作者の労力に賛辞は惜しまないけれど。7点
・「ホロボの神」 太平洋戦争中の未開民族の小屋で起きた「不可能殺人」の時を経た解決。7~8点
・「黒い霧」 ユニークな殺人アリバイトリックにパイ(もっと恐ろしい物も・・)投げドタバタ喜劇付き。5~6点

※眉目秀麗長身で文武両道秀でながらズッコケ気味の名探偵と、三角顔(△、▽どっちだ?)の謎の老婆がレギュラーの短編集。駄作なく文字通り「粒ぞろい」全体で7点

No.34 9点 mediocrity 2019/11/26 06:12
①『DL2号機事件』
亜愛なんて姓、五十音順は絶対に1番だなと思ってたら・・・。
犯人の奇妙な行動に関して言えば「そんな奴おらんやろ」って感じだが、それを見抜く奴の存在は更にありえないな。
②『右腕山上空』
これはある意味密室だ。真相はコロンブスの卵的な感じ。この作品は周りのキャラが濃すぎて探偵の影が薄い。
③『曲った部屋』
名作だと思う。この手の造りの社宅に住んだことがあるので(曲がってはいませんでしたが)懐かしさを覚えた。本当に、向かいの家が世の中で一番奇妙で落ち着かない場所なんです。
④『掌上の黄金仮面』
トリック云々より、こんな変わったセッティングをよく考え付くものだと感じた。
⑤『G線上の鼬』
今までの4作に比べると普通の設定か。ところで、警察側も仕事中に飲んで飲酒運転と相殺したということなのだろうか。
⑥『掘出された童話』
暗号物。この作品にしても次の作品にしても、完成度の高い短編は長編を読んだような錯覚を覚える。
⑦『ホロボの神』
これが一番好き。素晴らしい小説。トリックも全く思いつかなかった。読み終わった後ちょっと放心状態に。
⑧『黒い霧』
公害を扱った社会派ミステリみたいな題名なのに、ものすごく緩い。
終盤まで、どこに謎が存在しているのかすらよくわからない、読み終わって、なるほどと納得するパターン。

バラエティー豊かな上、ハズレもない。③⑥⑦あたりは文句なしの短編。この愛すべき探偵の能力は、今までに読んだ推理小説の中では頭一つ秀でていると感じた。これ以上となるとそれはもう超能力で、推理小説でなくなってしまう気がする。

No.33 5点 蟷螂の斧 2019/03/02 20:31
(東西ミステリーベストの16位)
①DL2号機事件(4点)・・・奇妙な論理
②右腕山上空(5点)・・・マジックショー的
③曲った部屋(8点)・・・本格的
④掌上の黄金仮面(4点)・・・勘違いされた男
⑤G線上の鼬(7点)・・・雪密室
⑥掘り出された童話(4点)・・・暗号
⑦ホロボの神(5点)・・・文明の差
⑧黒い霧(5点)・・・アリバイ
 バラエティに富んでいますが、これは!というような突出したものはなかった。著者の作品では幻想的な長編の方が好みですね。

No.32 8点 ボナンザ 2018/09/02 20:06
久しぶりに再読。やはりDL2号機事件を筆頭に、凄まじい内容。

No.31 9点 虫暮部 2018/02/01 11:15
 亜愛一郎シリーズの瑕疵は、まさにその“シリーズである”点だと思うのだ。作者が如何に手を変え品を変え亜の抜け作っぷりや怪しげな行動を描写しても、読者は“このひとが探偵役”という先入観からついつい別枠扱いしてしまう。まっさらな状態で読めたらギャップが更に映えてどんなに面白いことか。
 しかし一方、シリーズゆえにこの愛すべきキャラクターがじっくり育まれたのもまた確かなわけで、痛し痒しなのである。

No.30 8点 青い車 2016/01/24 21:28
どの作品もユニークなアイディアが盛り込まれた佳品なのですが、やはり『DL2号機事件』がシリーズ最初の作品という意味で特別な位置づけといえます。不可思議な謎、どこに向かうかわからないストーリー。それらが人間の心理を読み解く異形のロジックにより急転直下に解決するさまに驚嘆しました。次点は『G線上の鼬』あたりでしょうか。冒頭の何気ない描写が伏線として機能している絶品です。

No.29 5点 パメル 2016/01/24 01:06
読み手が思いもよらなかったところから
ロジックを展開して驚きをもたらすスタイル
迷探偵でありながら名探偵のオトボケな感じが
今一つあわなかった

No.28 5点 斎藤警部 2015/07/07 23:56
詰まらないと言うのは違うが、ぬるいね! スリルが無いよ!!
主人公が、変人は変人でも愛され変人というか、実生活で近くにいても全然オッケーなキャラクターってのがね、言わばゆるキャラみたいでね、それがストーリー全体に伝わって、緊張感を消してしまうのかな。
でもまあこういうのもあってこその泡坂さんなのでしょう。 推理クイズ集だと思えば、ちょっと悪くない。 

ただ「ホロボの神」の真相は、ちょっと胸に来るね。

No.27 6点 いいちこ 2015/04/21 20:12
多くの投稿者が評価されているように、一見すると推理の論理性は低く飛躍が散見。
しかし、これは人間性を逆説的に捉えた奇妙な論理に徹したことの副作用であり、これを著者のオリジナリティや稚気と解することができれば高評価。
無駄のないミステリパズルのようなプロットと、遊び心あふれるストーリーテリングには好感

No.26 9点 sophia 2014/04/14 21:06
ミステリーのエッセンスが詰まった短編集。
筆致も軽妙で何度読んでも面白い。
「掌上の黄金仮面」「G線上の鼬」「ホロボの神」が特に好き。

No.25 9点 アイス・コーヒー 2013/09/29 13:19
雲や虫ばかり写すカメラマンの亜 愛一郎、グズでドジながらもひとたび事件が起これば名探偵ぶりを発揮する。シリーズ第一弾。
「DL2号機事件」を最初に読んだときは、その犯行動機の馬鹿馬鹿しさに感心した。確かにそれは人間が誰しも考える事で、狂人の論理的思考を鋭く分析したものだ。
個人的には「曲がった部屋」が気にいっている。これも心理トリックでありながらも、物理トリックを応用した名作。他にも「黒い霧」で犯行理由を追及したり、「掘出された童話」で暗号を解読したり、と盛りだくさんでとても楽しめる。手品の様でありながら、種を明かされるとなおさら興味をひかれる。

No.24 7点 mohicant 2013/08/05 01:14
 バラエティーに富んでいて面白い短編集だった。

No.23 6点 測量ボ-イ 2013/07/06 20:00
東西ミステリ-旧版、新版ともに上位にランクインされて
いて、固定的支持を得ている短編集。
なるほどその評価を得ている片鱗は伺えますが、読者が
推理困難なものも多く、皆さんほど高い評価はできなかっ
たです。個人的に良かったのは「右腕山上空」かな。謎の
設定と解決がわかりやすく、空中密室の名作でしょう。

(余談)
各作品に出てくる共通のキャラクタ-判りましたよ(笑)。
この人が何者か別のシリ-ズで明かされるそうですが楽し
みです。

No.22 4点 ムラ 2011/11/07 21:17
どれもスムーズに進んで面白かった。
亜の少し抜けてる性格も読みやすくていい。
ちょっと飛躍しすぎな所もあるかなと思ったが。
しかしこの人はおばさんと子供に何か恨みでもあるのかと言いたくなるくらい性格が悪いな。

No.21 8点 まさむね 2011/06/07 22:20
 様々なトリックが堪能できる,本格短編のお手本となるべき作品。
 確かに,証拠に比して推理が飛躍しすぎている(特に,「DL2号機事件」には驚いた)面もありますが,純粋にトリックを楽しもうと割り切れば,かなり楽しめると思います。
 個人的には「ホロボの神」が印象に残ってますね。

No.20 5点 haruka 2011/04/24 22:36
「曲がった部屋」は面白かった。それ以外の作品は、謎解きの論理が飛躍しすぎていて、納得感がなかった。


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