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[ クライム/倒叙 ]
妖盗S79号
泡坂妻夫 出版月: 1987年07月 平均: 5.70点 書評数: 10件

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文藝春秋
1987年07月

文藝春秋
1990年06月

河出書房新社
2018年01月

No.10 6点 八二一 2024/08/02 20:53
妖盗S79号が関与した事件を描いた連作短編で、基本的にはユーモア路線を取りつつ、次第にシリアスに傾き、遂には妖盗S79号の正体が明かされて驚くという、連作通しての仕掛けがお見事。

No.9 6点 E-BANKER 2019/08/24 10:35
1979年から1987年にかけて「オール讀物」誌に断続的に発表された作品をまとめた連作短篇集。
読み方は“Sななじゅうきゅうごう”ではなく、“Sしちじゅうくごう”なのでお間違えなく。(間違えたら東郷警部に怒られるよ!)
単行本の発表は1987年。

①「ルビーは火」=まずは冒頭の一編。東郷警部と二宮刑事の迷(?)コンビも最初から登場。房総半島の海辺で宝石(ルビー)が忽然と消え失せる事件が発生。現場には美女と美男が・・・
②「生きていた化石」=化石専門家とアナウンサーのやり取りが秀逸(本筋には全然関係ありませんが・・・)。展示場の厳重な警備を掻い潜り、またしても貴重な貝が忽然と消え失せる。
③「サファイアの空」=ここまでが第一期といった趣向。こういうトリックだと何だかルパン三世か最近のアニメのやつ(コナンのライバル・・・って名前が思い出せない!)を思わせる。
④「庚申丸異聞」=ここから雰囲気がやや変わる。一風変わった劇団が演ずる舞台。当然劇場は密室。舞台もフィナーレを迎えるなか、東郷警部がS79号の出現を指摘するが・・・
⑤「黄色いヤグルマソウ」=この辺から東郷警部の妄想がエスカレート。自分で勝手にS79号の登場を煽っていく。そして、いつものように最後は鮮やかに盗まれる・・・
⑥「メビウス美術館」=一番鮮やかなのがコレかな。途中で美術館が「メビウス」になっていることに二宮刑事は気付くのだが、S79号の手口は更にその先を行っていた。
⑦「癸酉組一二九五三七番」=タイトルは宝くじの当選番号。これもなかなか鮮やか。S79号が侵入したにもかかわらず盗まれたものはルーペ1つ。でもそこには深い理由が・・・
⑧「黒鷺の茶碗」=二宮刑事の父親の葬儀の日。旧家で数々の骨董品を収めた蔵のある二宮刑事の実家が本編の舞台。ここら辺から、S79号の正体はだんだん自明に・・・
⑨「南畝の幽霊」=浮気を重ねる大物政治家の息子。多くの美術品を所有する男の元へS79号の影が・・・。ラストは「女って怖い!」的オチなのだが、いくら修復できるといってもここまでのものができるのか?
⑩「檜毛寺の観音像」=これは・・・やすやすと盗まれたなぁー。
⑪「S79号の逮捕」=舞台はついにフランスはパリ。ここでもS79号が暗躍と思いきや、なんと逮捕!って思いきや・・・
⑫「東郷警視の花道」=読み終わって気付いたよ。「警部」じゃなくって「警視」になっていたことを。最後の場面は巻末解説でも触れられてるとおり、「亜愛一郎の逃亡」のラストとかぶるね。

以上、全12編。
いやぁー、さすがにお腹いっぱいだけど、こんな作品、泡坂にしか書けないだろうね(もしくは書かない)。
確かに切岡の件はもうちょっと本筋と絡むと思ってたんだけど、そこは残念。
でも楽しめたのは間違いなし。

No.8 6点 名探偵ジャパン 2018/05/20 21:06
神出鬼没の怪盗S79号の華麗な盗みの手口と、それを追う二人の刑事の活躍(?)を描いた怪盗ものミステリです。
折しも今年(2018年)の日曜朝の戦隊が「怪盗(快盗)VS警察」という縁もあって読んでみました。
うーん、ちょっと思っていたのと違ったというか。いえ、中身は意外なくらい「怪盗VS警察」しているのですが、そうであることがかえって肩透かしを食らったと言いましょうか。あの泡坂妻夫が、このまま終わらせるはずがない。と思っていたら、本当にそのまま終わってしまってびっくり。怪盗事件の裏で別件の連続殺人事件も同時進行しているのですが、これも、最後にどのように本筋と絡んでくるのか? と期待していたのですが、普通に終わってしまいました。
おそらく私が勝手に異様にハードルを上げすぎただけなのだと思います。楽しめるか楽しめないかと訊かれたら、楽しめる、と答えられることは間違いないです。

No.7 5点 ボナンザ 2017/10/29 14:14
泡坂らしい小技が冴える短編集。最後はなんだか微妙なオチですが。
やっぱり美男美女は強いってことですかね。

No.6 6点 虫暮部 2015/01/05 12:19
 「庚申丸異聞」「南畝の幽霊」「檜毛寺の観音像」が面白かった。見て判らないほど細かく裂いてセーターに編みこんだ日本画を復元って、理屈はともかく現実に可能なんだろうか。「癸酉組一二九五三七番」だけは現金を頂戴しているわけで、最後に語られるS79号の行動原理とちょっとずれているのでは。

No.5 6点 kanamori 2010/08/15 21:20
正体不明の怪盗を主人公にした連作短編集。
最初の数編はハウダニット趣向の魅力もあって、ニック・ヴェルベットを思わせる好みの内容でしたが、徐々にミステリ的にゆるめの内容になってしまったのはちょっと残念。
収録作のなかでは、「生きていた化石」が好みの一編です。

No.4 5点 isurrender 2009/07/21 13:22
普通の作品ですね
深夜枠でドラマ化しそうな話

No.3 5点 こう 2008/05/26 00:34
 まあ無難な短編集だと思います。短編では特にチェスタトン風の直感的ロジックで真相が説明され個人的には真相がほとんどわからないことが多かったですが泡坂作品独特の雰囲気が好きでその一連の構成も含め個人的には是です。
 この作品もそういう泡坂作品の雰囲気にあふれた作品で中にはそもそもミステリと呼べない短編もありますが全体として無難にまとまっています。
 登場する警察官がおかしみにあふれているのもお約束どおりです。

No.2 6点 なの 2007/11/14 17:38
ちょっとこじんまりとした短編連作。
イマイチ読後に何も残らない感が・・・正体もアレですし。

No.1 6点 Tetchy 2007/10/17 17:10
ちょっと期待していたのと違いました。
目の前にいるのに容疑者に気付かないという作品があったのにひいてしまった。


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