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[ 本格/新本格 ]
亜愛一郎の逃亡
亜愛一郎シリーズ
泡坂妻夫 出版月: 1984年12月 平均: 7.24点 書評数: 17件

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1984年12月

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1989年06月

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1997年07月

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2002年06月

No.17 7点 みりん 2023/08/13 05:59
徹夜で読んでしまった。亜愛一郎と出会ってからわずか2日でお別れの時が来たようだ…
亜愛一郎、名探偵ランキングを作るなら間違いなく上位の逸材である。(当然1位は京極堂w)

今作『逃亡』は"何を推理するのか"を推理する所から始まるお話が多い。難易度激高です。
狼狽の『DL2号機事件』と転倒の『藁の猫』のような"超次元ロジック"は今回も『歯痛の思い出』にて健在。一見関係のないように見える出来事も論理の飛躍のためには重要な要素となってくるのが気持ち良い。この超次元ロジック作品(?)は泡坂センセーの他に書いてる人いないのか??って思うくらい楽しかった。
表題作『亜愛一郎の逃亡』ではシリーズ最大の謎、亜愛一郎が何者であるのかが明かされるわけだが、読み終わった後、不覚にも寂寥感を覚えた。これはズルい。
ラスト1行の完璧さ。最後まで作者の遊び心満載のシリーズだった。

※ミステリとしては『転倒』を1番に推していきたい

No.16 6点 クリスティ再読 2022/04/15 19:59
亜愛一郎も最後の短編集。
やはり息切れを感じる。逆説にこだわったこのシリーズなんだけども、逆説をそれ単体で提示してしまうと、奇妙なくらいに効果が薄いものなのだ。「トリックのためのトリック」という言い方もされるけども、「逆説のための逆説」というのも、興ざめなものだ。手品同様に、逆説も不意打ちをするからこそ、効いてくるわけで、「逆説が、来るぞ~」と待ち構えてしまうと、意外なくらいに貧相さが見透かされるものなのかもしれない。
本書だと「火事酒屋」がベストだと思う。人間消失に必然性がない弱点はあるけども、これは「奇想」という表現に値する仕掛けだし、意外なロジックも含まれている。思わず吹き出すような絵じゃないかしら。

いや、絵面のよさ、というのは作者の長所かも。最後の「亜愛一郎の逃亡」でも、雪に閉ざされた旅館の火の玉騒動の、絵になる面白さ、というものを感じる。やはり3冊の短編集を順に読んでいって、この結末だと、なかなか「うるっ」とするものがある。同窓会効果、といえばそうなんだけどもね。

ある結末につまづける亜

なるほど。これならシリーズの結末にふさわしいね。

No.15 8点 mediocrity 2021/02/08 01:17
第3巻も質は落ちていないと思った。特に『球形の楽園』『飯鉢山山腹』が好き。
亜の正体よりも、こんな使い勝手が良さそうなキャラクターのシリーズを3冊で終わらせてしまうということに、より驚いた。

No.14 8点 虫暮部 2018/02/13 09:44
 「赤島砂上」で某メフィスト賞受賞作を思い出したり、「球形の楽園」で赤川次郎の某長編を思い出したり。
 「火事酒屋」だけは納得出来ないなぁ。犯人はあんなトリックを弄さずに犯行後さっさと逃げれば良いじゃないか。救助者が2人来る保証もないし。

No.13 8点 sophia 2014/07/26 19:04
「転倒」と同じくらいのレベル。
やはり「狼狽」が一歩抜きん出ているか。
「火事酒屋」が好き。

No.12 6点 ボナンザ 2014/04/07 15:58
狼狽、転倒に比べるとやや完成度が劣る。最終話は絶対に読んでほしい。

No.11 8点 アイス・コーヒー 2013/11/12 18:43
カメラマンにして名探偵、亜愛一郎最後の短編集。ついにあの人物の正体も明らかになり、大団円を迎える。
個人的には「火事酒屋」がベスト。心理トリックや論理などのあれやこれを詰め込んだ傑作だ。なかなかあれは気付かないもの。逆説的な「赤島砂上」や、軽快な展開と解決にいたるまでの道筋が楽しい「球形の楽園」も面白かった。「歯痛の思い出」はいつ事件が起きたのかもわからない異色作だが、鮮やかな解決を見た。すべてが伏線である。
そして「亜愛一郎の逃亡」は、まず意外な裏設定に驚く。あの人物はいつも登場するから大体その目的は分かるが、良く出てくる○○○○氏が○○だったとは…本筋のトリックが肩すかしだったのはわざとか?最後に愛一郎のルーツである、あれが出てきたときは感動した。

No.10 6点 spam-musubi 2011/02/27 12:10
なにも知らずにこの本で初めて亜愛一郎を知った><
これから遡らねば。

ここまでとぼけたというか、情けない名探偵というのも珍しいですね。

No.9 8点 makomako 2011/01/10 09:46
 なんとなく違和感を感じていたこのシリーズもここまで読み進むと愛着のようなものも感じられるようになった。 
 作者独特のユーモアとサービス精神は立派なもので、そのうえ奇抜なアイデアにあふれている。当初はこんなユニークなトリックの長編が読みたいと思っていたが、作者は多分マジックの一発芸のような趣でこの連作を書いたんだろうと一人で納得している。 
 単純ななテーブルマジックはあっと驚くが何度もやると種がわかってしまうように、これらの話も長編として色々な角度から推理するなんてことをすると傷が目立ってくるのだろう。
 それにしても最後の「逃亡」は出場人物のカーテンコールのようでとても愉快だった。

No.8 7点 E-BANKER 2010/10/17 22:26
憎めない迷(?)探偵、亜愛一郎シリーズのラストを飾る作品集第3弾。
①「赤島砂上」=裸体主義者の団体ということは、愛一郎も真っ裸だったということでしょうか?
②「球形の楽園」=短編ではよくお目にかかる趣向、トリック。やや安易すぎる気が・・・
③「歯痛の思い出」=ストーリーとしてかなり面白い。ギャグを織り交ぜたつまらない描写にも「こんな意味があったのか!」と思わされます。
④「双頭の蛸」=正直、トリックの仕組みがよく分かりませんでした。ただ、登場人物のやり取りは秀逸。
⑤「飯鉢山山腹」=トリックそのものは面白いけど、かなり偶然性に頼った無茶な計画のような印象。
⑥「赤の賛歌」=真相の看破は割合容易。作者らしい作品。
⑦「火事酒屋」=ロジックが鮮やかな一作。短編らしい切れ味が光ります。
⑧「亜愛一郎の逃亡」=シリーズの締めくくり。ついに愛一郎と三角形顔の老婦人の正体が明かされます。
以上8編。
作者らしい「稚気あふれた」作品が多く好感が持てますが、前2作以上に”お笑い系”要素が強く、ロジックやトリックという面ではややネタ切れを感じさせます。
個人的な好みでいえば、やはり、「狼狽」>「転倒」>「逃亡」という順番になっちゃいますね。

No.7 7点 E 2010/06/26 23:21
あぁ・・終わってしまいました、亜愛一郎シリーズ。
残念ですねぇ・・もっと続いてほしかったなぁ。
でも最後は自分にとって「驚くべきスッキリ☆とした結末」だったのでよかったです。
あの婦人の正体や、亜のヒミツなど興味深かった。ミステリーも質の高いものと感じました。亜愛一郎・・そして泡坂氏、有難う御座いました!!

No.6 6点 kanamori 2010/06/06 16:02
亜愛一郎シリーズの第3短編集。
前2作と比べて、ロジックの切れに物足りない感じを受ける作品が多く、連作物の物語性を楽しむ短編集かもしれません。
それでも、「飯鉢山山腹」や「火事酒屋」の逆説的ロジックは初期作を彷彿とさせる出来だと思います。

No.5 7点 vivi 2010/04/30 19:06
この愛一郎のとぼけっぷりが、癖になりそうで、
最初は馴染めなかった泡坂流ユーモアも、
思わず待ちわびてしまうほどです(笑)
個人的には「歯痛の思い出」や「赤の讃歌」が好きですね。

シリーズが終わるのは寂しい感じもしますが、
三角の顔の老婦人の正体も分かったし、
キレイな幕引きだったのではないでしょうか。

ミステリは「おとぎの国のお話だよ」って言われてる感じで、
ミステリの夢の部分を思い出させてくれた感じがします(^^)

No.4 8点 VOLKS 2008/12/23 21:02
登場人物のネーミングなど遊び心満載なのは、この作者ならでは。
で、三角顔の老婦人の謎がここでやっと・・・!(笑)

No.3 7点 マニア 2008/07/20 00:11
前作『亜愛一郎の転倒』に比べると、各短編の全体的な質はやや落ちる。しかし、「双頭の蛸」では鋭いロジックが展開されていて面白い。「歯痛の思い出」も、何気ない人間観察から凶悪事件の真相を看破する流れは秀逸。

でも、何よりこの小説の価値は『亜愛一郎シリーズ』の完結編という点にあると思う。名探偵亜愛一郎と、シリーズ各話に必ず登場する小柄な洋装の老婦人の正体は・・・!!

No.2 8点 あやりんこ 2008/06/17 20:09
全篇を通してつながっているストーリーが楽しいです。
名前の付け方も絶妙。

No.1 8点 Tetchy 2007/10/30 19:15
この巻ではもはや論理の楽しさよりも大人の読み物としての楽しさが目立つ。
これが亜愛一郎との別れを盛り立てている。
ロジックよりもストーリーを愉しむ最終巻。


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