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[ 短編集(分類不能) ]
雨女
旧題『ぼくたちの太陽』
泡坂妻夫 出版月: 1991年01月 平均: 6.25点 書評数: 4件

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光文社
1991年01月

光文社
1997年03月

No.4 6点 2020/05/25 04:24
 昭和63(1988)年10月から平成2(1990)年11月にかけて、雑誌「小説宝石」「EQ」に発表された六本を収めた短編集。長編の方だと『斜光』や『黒き舞楽』に取り掛かっていたころ。第103回直木賞受賞の『蔭桔梗』や、ショートショート集『泡坂妻夫の怖い話』『泡亭の一夜』等の収録作とも時期は被る。しっとり系に力を注いだ分この前後の作品は、「奇跡の男」「妖異蛸男」など、雑誌「EQ」掲載のものにミステリの力作が多い。二部構成の本書もその例に洩れない。
 抜きん出ているのはやはり「ぼくたちの太陽」。〈三人以上の複数人物が同姓同名〉という趣向は鮎川哲也「王を探せ」位しか思い付かないが、本編の場合もう少し捻っていて、登場人物たちの緩めの行動や不可能興味と組み合わせる事で良い味を出している。『亜愛一郎の逃亡』所収「双頭の蛸」の舞台である、釧路の霧昇湖近辺が殺人現場に設定されている。
 これに続くのはトリの「凶手の影」で、行動は同じく緩めでも、こちらはややホラー風味。パーツ挿げ替えトリックだが、解決がやや雑で鮮やかに感じられないのが難か。暴力的ではないが、うま鮨の若旦那の行動はかなり怖い。この辺同時期に執筆されたショートショートの影響があるような。
 短編「煙の殺意」の望月警部&斧技官が再登場する「危険なステーキ」は少々期待外れ。ハイジャックに食中毒と派手な題材の割に、悪い意味で解決が常識的。小さく纏まってしまっている。
 流石にこの時期になると目を瞠るような短編は少ないが、本書は結構踏ん張っている。過去作とクロスする要素もあり、初期のトリッキーさを感じさせる最後の作品集だと思う。

No.3 5点 虫暮部 2014/09/22 10:56
 久々に読み返したけれど、なんだか物足りなかったな~。泡坂妻夫は大好きな作家だが、このひとの描く愛の情念は濃過ぎ。一方で、「凶手の影」は事件の謎よりも主人公の“仕事”ぶりが面白かった。

No.2 6点 kanamori 2010/08/19 17:40
ミステリ短編集。単行本「ぼくたちの太陽」が文庫化に際しタイトル変更となったもの。
収録前半3編の「女」シリーズはホラー・奇妙な味風のミステリ、後半3編が本格編で、「ぼくたちの太陽」が突出して面白い。ドタバタ調の物語の中にトリックと伏線が張られているところは、亜シリーズを彷彿させました。

No.1 8点 Tetchy 2007/11/06 19:37
泡坂版「奇妙な味」短編集。
表題作、「繭の女」、「三人目の女」の何ともいえない読後感はもとより、青春小説から幻想小説へ、そして最後は論理的着地を見せる「ぼくらの太陽」がすばらしいと思いました。


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