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[ 本格/新本格 ]
乱れからくり
泡坂妻夫 出版月: 1977年12月 平均: 7.54点 書評数: 37件

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幻影城
1977年12月

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1979年04月

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1988年02月

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1993年09月

角川書店
1996年10月

双葉社
1997年11月

No.37 9点 じきる 2021/08/15 22:11
大胆なプロットが素晴らしく、散りばめられた奇想・伏線・トリックの遊び心が兎に角楽しい。傑作です。

No.36 8点 クリスティ再読 2020/03/06 07:41
前作の「11枚のトランプ」が小粋なテーブルマジックの連鎖、といった作品だったとすると、本作は馬鹿馬鹿しいくらいの大掛かりな、それこそデヴィッド・カッパーフィールドみたいなド派手イリュージョンだと思うんだよ。そういうマジック上の対比を誰も指摘してないみたいだ。
評者かなり前に読んだのの再読で、一部内容を憶えていたが、トリックとか忘れてた...そういう評者がこう言うのフェアじゃないかもしれないが、それでも読んでてこれ、犯人わかるんじゃないかな(初読の時も見当がついたような...)。どっちかいうと「推測がついても、いい」というくらいの見切りで作者は書いていると思うんだ。隕石とか物理トリックとかを、「リアリティとかフィージビリティがない!」とかお怒りになるのは、大人気のない話。大ぼらがどんどん形になって「壮大なイリュージョン」を形成していくさまを見守る、そういう面白さを感じながら読むのがいいように思うんだよ。
ただ文章とかキャラ造形とか、やや上滑ってる印象がある。それでもね、

芸術家から見れば、からくり人形師たちは、いかにもうさん臭く見えるでしょう。最高のからくり人形でも、彼等は絶対に芸術だとは認めませんね。―反対に、純粋な科学者たちからは、自動人形などは児戯に等しく見えるでしょう。(中略)だが、からくり師の目からは、芸術も科学もまるで駄目、であるんです。判りますか?

うん、この宗児の問いかけが、作者の「ミステリ論」なんだよ。判りますか?

No.35 6点 レッドキング 2018/06/21 17:45
殺人トリックと庭の迷路と隠し通路・・・とびきりってわけでないが「うん、そろってる」て感じのミステリ。興信所女所長と助手青年の探偵コンビキャラがよい。 

No.34 3点 ねここねこ男爵 2017/12/13 02:09
素晴らしい部分も多いのだけれど、明確なトリックの瑕の数々、この作者特有の異常なテンポの悪さ、登場人物の異様な行動がちょっと…。この人は小説の都合上(手掛かりのためとか犯人絞り込みのためとか)異様に不可解な行動を登場人物にとらせることが多く、出来の悪いコントを観させられているようで白ける。
またかなり早い段階で大まかな構成が露見するのもマイナス(隕石から第一の殺人までで全体像とメイントリックを見破れてしまう)。メインのネタを優先するあまりに歪みが生じている。本サイトではかなりの高評価のようだが、自分の感想はこんなものだった。


以下ネタバレ含みます。
①万華鏡が偶然流されるってのは酷い。本来なら死体のそばに転がってたはずで、それが決定的証拠で帰国即犯人逮捕。破綻している。なぜ皆これを指摘しないのか。作者さん的に万華鏡の処理に知恵をしぼったけどどうしようもないので偶然でごまかしたんでしょうね。涸れ井戸はそのエクスキューズかつごまかしかと。
②ワトソン役の行動が意味不明。隕石落下で大惨事の中他には目もくれず人妻だけ病院に連れて行ったり、事件の真っ最中に人妻さらって逃亡したり。しかも全くお咎めなし。惚れてる描写&手掛かりゲットのためだろうが、かなりの違和感。
③プラスチックのカプセルは面白いし素晴らしいのだけれど、出処を調べられたらやはり一発アウトで破綻している。「わざわざ調べない」警察が調べないわけない。
④作者が魂込めてるのは分かるが、手品ウンチクは本筋と全然全く微塵も関係なく、残念ながらテンポを悪くしているだけ。
⑤『犯人の死後に発動する連続遠隔殺人』という作者が強調したいメインネタと『ただの遠隔殺人じゃインパクトがないからできるだけトリッキーで斬新な殺し方を』が衝突して歪んでいる。殺し方に凝り過ぎな割に不確定な部分が多く、犯人は頭はいいがアタマが足りないというか、作者にとって都合の良い人物すぎるというか。

つまり、犯人の計画(つーか作者の構成)は穴だらけで完全犯罪からは程遠かった。それが幸運と不運とご都合でこうなったわけで、恐るべき計画でも何でもない。
確かに高得点でもおかしくないほど素晴らしい部分も多い。が、瑕も多い。「素晴らしいプロットなんだから細かいとこにケチつけんなよ」とするか、「アイデアはすごいけど、苦しい部分を誤魔化しまくってるじゃん」とするか。

No.33 10点 虫暮部 2017/11/21 11:47
 何度読んでも腑に落ちないことがある。ネタバレありで書いてしまうが、毒のカプセルのトリック。あれは犯人にとってどういうメリットがあるのか(薬の中に毒を一錠混ぜるのと何が違うのか)。出処を探られたら自分に直結する証拠品のカプセルが警察の手に渡るのはやはりリスキーでは。薬瓶の中身が掏り替えられたのは被害者が死ぬ前一日以内、と誤認させられるのでアリバイ工作になる、と言うこと?作中で明確な説明が欲しかった。
 という不満はあるが、とても大好きな作品。全編を貫く騙しの美意識がなんとも愛おしい。

No.32 9点 sophia 2016/05/27 18:08
玩具の解説や玩具の歴史的な部分は飛ばし読みしていかないとなかなかきついことになります。しかし宇内さんは有能すぎです。警察は惜しい人材を失いましたね。

No.31 9点 青い車 2016/02/21 18:09
泡坂流の独創的なアイディアが満載です。犯人の特殊な設定もさることながら、それを支える意外にロジカルな推理に驚かされます。この作品に限らず、あまりガチガチのパズラーのようには見えないのに、自然に伏線を張り巡らしてみせる手腕は作者ならではです。他にも複雑な迷路がちゃんと意味を持ってトリックのひとつになっているなど、見どころが多く『11枚のとらんぷ』と双璧をなす傑作長篇です。

No.30 9点 ロマン 2015/10/20 20:39
冒頭の隕石の落下という出来事から引きこまれ、からくり人形やネジ屋敷などガジェットも非常に魅力的。それらを無駄なく活かした事件の構図が素晴らしい。一つ一つのトリックも良くてきているが、それら支えるための張り巡らせている伏線が秀逸で、ここまで無駄のない構成は凄い。個人的に一番感心したのは、隕石の活かし方。まさかこのように活かしてくるとは思ってもおらず素直に脱帽した。ミステリだけじゃなく、泡坂妻夫らしい物語や登場人物もよかったし、最後まで゛からくり゛に拘ったオチも見事。本格ミステリ好きにはぜひ読んで欲しい傑作。

No.29 8点 斎藤警部 2015/06/04 18:41
眞犯人と大まかな全体像は最初のほうでピンと来てしまいましたが、、 それでも物語の力と文章の技、何より作者の愛情が滲み出る「からくり」の臨場感溢れる描写と流れ出る様な薀蓄で、たいへん面白く読みました。

No.28 7点 アイス・コーヒー 2014/12/13 12:24
日本推理作家協会賞受賞作。「玩具」や「からくり」をテーマに玩具メーカーの一族に起こった惨劇を描く本格ミステリになっている。
前にも後にも例がある真相ではあったが、それでも尚結末の驚きは凄まじかった。著者らしい騙しのテクニックが存分に活かされていて極めて完成度も高い一冊になっている。冒頭で隕石が降ってきて人が死ぬあたりから相当荒唐無稽な話ではあるが、一応筋が通っているので安心して読める。唯一気になったのはアレとアレの誤認というトリックで、これだけは納得がいかなかった。
また、からくり尽くしの「ねじ屋敷」に仕掛けられた庭園迷路の謎も面白かった。まさかあの図面を使って…。真相に直接かかわってくる謎ではないと思うが、細かいところにこれだけのこだわりが出来るのも著者の強みだろう。玩具のペンダンチズムもそれなりに楽しんで読んだので自分は最初から最後まで退屈しなかったが、この手の薀蓄が嫌いな人は一字一句いやいや読むくらいなら適当に読み流した方がいいだろう。
これら様々なネタを詰め込んだうえで、一つの結末に向けて作動する壮大なからくりを作ってしまうのは凡人には出来ない仕事だ。感心した。

No.27 5点 まさむね 2014/11/30 21:52
 泡坂ファンのみならすとも,「言わずもがな」な有名作品。ベスト100モノでは常連(?)といってよいでしょう。
 玩具を絡めた発想,それぞれのトリック,終盤での伏線の回収と転換,そして何よりも「騙し」へのこだわり…等々,自分なりに評価の高さの理由を理解しつつ,しかしながら,緊張感やスピード感は…とか,こういう設定(ネタバレを避けて詳細は書きませんが)だったら何でもアリでは…といった,おそらくは素人的であろう感想を持ったのも事実。初期作品なら,個人的にはアノ短編集の方が好み。
 勿論,楽しめたのですが,敢えてこの点数にしましょう。

No.26 6点 ミステリ初心者 2014/11/27 09:39
ネタバレがあります。

 設定がおもしろいなと思いました。海外の有名作品をひとつ思い出しました。

 細かい不満点(偶然性など)はあるものの、毒殺のトリックは非常に好きです。あれって、ハズレカプセルがウンコででますよね? 健康のために、自分のウンコをみるっていう人、いるんじゃないかな? わたしはみませんが。

 タイトル、設定から、おおまかにふわっと、犯人が予想出来てしまうのはちょっとマイナスだったかも。

No.25 8点 初老人 2014/04/27 20:08
(ネタバレあります) 本書には殺人トリックが四つ出てくるが、その中でも透一殺害と鉄馬殺害のトリックは流石の出来。からくりが本人がいなくても成立する性質のものである事から○○による殺人である事の見当はついたものの、それなら作蔵や作蔵の子にも可能ではないかと考えてしまい、犯人特定に時間がかかったのは良い思い出。

No.24 6点 ボナンザ 2014/04/07 15:56
初期三部作ではやや地味な印象がある。それでも盛り込まれたアイディアはとてつもなく、本格好きなら一度は読んで置くべき名作である。

No.23 8点 TON2 2013/02/18 18:56
角川文庫
 再読ですが内容は全く忘れていました。ミステリを読む楽しみは、トリックの意外性、トリックを見破った時のあるいは見破れなかったとしてもうまくだまされたという快感だと思いますが、この作品は最後のパターンでした。
 古今東西のからくり人形や仕掛けに関する薀蓄が盛りだくさんで、これだけでも楽しめますが、これがトリックの伏線でした。
 いつも手の込んだ仕掛けをするこの作者だから、最初の隕石落下による事故はトリックだとずっと思っていましたが、無駄な深読みでした。

No.22 7点 あびびび 2012/08/23 09:22
からくりによる殺人の為、からくりの蘊蓄を披露せねばならず、その部分が長すぎ、退屈な面もあったが、さすが奇術師作家。これが書けるのはこの作家しかいない…という個性を感じた。
 
大正、昭和初期のころの作品かと思えば意外と新しく昭和50年代で、そのあたり錯覚してしまったが、泡坂作品の原点であることはまちがいなさそうだ。

No.21 8点 蟷螂の斧 2012/02/09 15:03
連続殺人の割には、緊迫感がやや不足しているのが残念ですが、意外性の面では、かなりの高得点に値すると思います。最後の章「笑い布袋」の天保銭のオチには、思わずニヤッとしてしまいました。

No.20 5点 いいちこ 2011/12/23 19:45
トリックは素晴らしいしプロットもよく練られている。
しかし、からくりのウンチクが長すぎてスピード感に欠ける、ねじ屋敷の設定が特異すぎて何が出て来ても素直に驚けない点でこの評価

No.19 8点 2011/09/21 22:04
最初から最後まで(目次も含め)、まさにからくり尽くし。
この薀蓄披露は再読してみると、記憶にあったあいまいな印象よりもかなり楽しめました。第6章では、機械人形に関して「ジョン・ファンリー卿殺害事件」なんて言葉もさりげなく出てきたりして。これはカーを読んでいないと、何のことだかわかりませんが。それだけでなく、再読で全体的に前回より評価の上がった作品です。
発端の隕石が車を直撃する事故は、嘘っぽい偶然の介入を嫌う人は否定するでしょうが、最後まで読んでみると、なかなか意味深です。泡坂妻夫らしく、いたるところに暗示的な伏線が張り巡らされているところにも、感心させられます。事件関係者のほとんどが死んでしまって、それでも犯人がなかなかわからないだけでなく、終盤になって読者に考え込ませる余地を与えないスピーディーな展開にするという技も、見事なものです。
それにしてもこんな凝った作りのパズラーが直木賞候補になったというのも、珍しいでしょう。

No.18 7点 りゅう 2011/01/16 21:42
 登場人物が次々と死んでゆき、真棹に容疑が向けられた時、まさかこのままで終わるわけないよねとは思いましたが、どういう結末を迎えるのか全く予測できませんでした。この犯人の設定は斬新ですね。伏線はあちこちに張られていますが、さりげなさすぎてその意味に気付きにくいです。4つの殺人いずれにも「からくり」が使われていますが、その手法を推測することは難しい。特に最後の殺人の手法は引っかけみたいなもので、わかるわけがありません。作品のテーマである「からくり」が、うまく真相に結びついているのはお見事です。


泡坂妻夫
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