皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 冷たい密室と博士たち S&Mシリーズ |
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森博嗣 | 出版月: 1996年07月 | 平均: 5.82点 | 書評数: 57件 |
講談社 1996年07月 |
講談社 1999年03月 |
No.57 | 5点 | ボナンザ | 2021/10/10 20:00 |
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前作に比べると凝った場面ながら真相はかなり地味。 |
No.56 | 9点 | mediocrity | 2020/08/15 05:01 |
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『すべてがFになる』に続く2作目の作品。
<ネタバレあり> またまた妙な研究施設を舞台にして、予想もできないビックリなトリックを使うのかと思ったら、ほとんどがハリボテで、実はものすごく古典的な地味な作品だったというのが最大の驚き。完全に騙された。冒頭の数学の問題のくだりはそういうことだったのね。 あの特殊な氷を何かに利用するんじゃなかろうかとか、パソコンと室温を連動させて何らかの温度変化の条件で非常ドアを開くようにしたんじゃないかとか、読み終わってみれば荒唐無稽なことばっかり考えていた。 地味だと書いたが、理詰めで色々な可能性がどんどん否定されて物事が単純化していくのは圧巻だった。 |
No.55 | 10点 | 羊太郎次郎吉 | 2016/12/01 07:12 |
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パソコンで暖をとるのは無理があるんじゃないか?90年代のパソコンはすぐに暖を取れるほど熱くなるような危険な代物だったっけ。
喜多先生のお前のゼミにこんな可愛い子いたっけ?な台詞は今ならセクハラだね。 |
No.54 | 5点 | 青い車 | 2016/02/16 22:33 |
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以前、法月さんの『雪密室』の書評で書いたのと似た感想が第一に浮かびます。密室トリックが破綻はないものの面白みに欠け、あまり惹かれるものではありません。また、作者独特の文体やユーモアはけして嫌いではないのですが、プロットに間延びしているのが目立ちます。200頁の中篇をさして必要でない萌絵のピンチなどを挟むことで倍の分量に薄めたかのような印象。本作は連続ドラマのシナリオに採用されましたが、どちらかといえば次作の『笑わない数学者』のほうが観たかったです。 |
No.53 | 3点 | 風桜青紫 | 2015/12/20 03:55 |
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「これが最も安全なやりかたです」ってなクイーンみたいな謎解き部分は悪くないんだが、地味な印象がぬぐえない。プロットが単調でつまらないんだもの。『すべてがFになる』はいちいち大袈裟で萎えたが、なんだかんだで読ませる力はあったのよね。こっちは犯人の心理を予測していくって推理のシステムはよくできてるんだが、推理の基盤になってる部分が、「そんなことあったっけ?」レベルに印象に残らなかったから、該当部分を読み返さなくちゃいけなかったし、その後の推理もぼんやり聞くに終わってしまった。まあ、一作目だし、森も執筆に慣れてなかったんだろう。そのくせ、犯人の動機が金田一少年レベルに胡散臭いから完全に置いてきぼりをくらってしまった。後に森自身が養老氏との対談で「あの動機は書いてて『ないな』と思っていた」と語っていたのを見て、「ああ、作者自身もそう思ってたんだ」と妙に納得してしまった。長い目で作品を読むタイプの人は結構楽しめるかも。 |
No.52 | 8点 | 斎藤警部 | 2015/08/26 12:24 |
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カーの「三つの棺」に挑む様な気概を感じる、複雑で腑に落ちる密室の真相には胸を打たれます。 やはり胸を打つ動機、一連の事件の背景にも納得。
「全F」が密室トリックに於いて「三つの棺」の壁を内側から突き破った悪魔的作品だとすると、こちらの方は同じく「三つの棺」を外側から飛び越えようとして越えられなかったが、それなりに際どい高さまで迫った人間臭い作品ではないかと思えます。 「全F」が見せた強力無比な衝撃は無いけれど、読了してみると物語の厚みと読み応えは充分。 ただ「萌絵」をどうしても「もええ」と読んでしまい、TRICKの秋葉刑事を連想してしまう。 結果、彼女のルックスとして俳優の池田鉄洋氏的なものを思い浮かべてしまう癖だけは、これから是非なんとかしたい。 (服部さんの件は、詰めが甘いと感じる。) |
No.51 | 7点 | Tetchy | 2014/09/23 23:20 |
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一種特殊な建物の中での殺人ということで、いわゆる館物に属するが、森氏の作品に出てくる建物は大学の特殊な実験のために建てられたという点で現実的であることだ。1作目の感想にも述べたが、森氏自身が建築学科の教授でもあるため、出てくる建物が特異であっても奇抜さは感じない。建築基準法に則した建物であり、更には犀川の視点を通じて意匠についてのコメントもあり、リアルさを感じる。
前作でも見られたが森ミステリの特徴としてコンピュータの電脳世界が事件解決の一助になっているところが挙げられるが、本作でもオンラインを活用した犯人のある行動が事件解決の手掛かりとなっている。借りたフロッピーにウィルスが組み込まれており、それが犀川のメールを外部から読むことが出来るようになるというものだ。今では全く目新しくもなく、ウィルスと表現されるプログラムも今で云えばスパイウェアだし、フロッピーディスクやMOが主流となっているデータのやり取りや電話回線でしかないオンラインへの接続も時代を感じさせるのだが、この現実世界と仮想空間の2つの世界をミステリに導入することで、通常不可能と思われたアリバイ、つまり事件が起きた時の不在証明が全く意味を成さなくなることは当時画期的だったのではないだろうか。そしてこの発想は大学生活で日常的にコンピュータのオンラインで業務をしていた森氏にしてみれば至極当たり前のことであり、これを本格ミステリに積極的に導入し、トリックに活かしたことが森氏がもたらした「明日のミステリ」なのだろう。 犀川のドライさ、西之園萌絵のお嬢様ゆえの他者のテリトリーに土足に上がり込むだけでなく、警察の本部長を務める叔父へ強引に協力を求めて捜査記録を拝借する厚顔無恥さは今の私にはなんとも常識知らずとしか思えない。しかし交換数多溢れる本格ミステリの探偵とは元々そんな存在ではないかと一方で思う私もいる。 このドライな感覚、つまり事件の渦中にいながらもどこか他人事のように冷めた視線で物事を見つめる視線は確かに名探偵の必要な要素ではあるが、大学教授である犀川はあまりにリアルすぎて探偵役としてなかなか素直に受け入れられないきらいがある。やはり本格ミステリの名探偵は浮世離れしたエキセントリックさが必要ということか。 S&Mシリーズ全10作を読み終えた時にこのシリーズの真価が解るのかもしれない。犀川と西之園萌絵にこれからどんなことが起き、そして彼らにどんな変化が訪れるのか、根気よく付き合っていこう。 |
No.50 | 7点 | ∠渉 | 2014/09/23 19:46 |
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シリーズ10作品のなかではある意味最も異色な作品。他の森作品でもあんまりないくらいのオーソドックスな本格であるゆえ異色に感じてしまう。前作からの寒暖差もたっぷり。『F』同様、実験(研究)用施設内での密室殺人というそそるシチュエーションながら、動機をのぞけば実に論理的で、構造的な問題がほとんどない型どおりな出来。前後の作品群と比べると温度差を感じてしまう。じゃあこの作品ってなんなんじゃろなぁって感じで再読し始めましたが、この犯人像を描くことが必要だったのかなぁと思いました。動機の不透明さはありますが、プライドや他人の干渉が研究や実験に対する純粋な気持ちを阻害してしまう人間像、そしてその不安をとりのぞくことが犯人にとっての「安定性」であり、ゆえに「不安定」になってしまうという人間像。つまりは僕らみたいなフツーな人間です。少なくとも真賀田四季はこんなことしないな、という対比が描かれているのかなぁと思いました。『F』のアンサーのひとつ、という印象です。
あと、萌絵じゃないけど喜多先生かっこいい。あ、これだけでも読む意味あるな笑。 |
No.49 | 6点 | バード | 2014/03/25 08:19 |
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2冊目のS&Mシリーズ、今回は舞台がN大学ということで前回よりも登場キャラや設定が自分に身近だったのでけっこう引き込まれた。前回が大掛かりなトリックによるある種のびっくり箱型の内容だったのに対し今回はかなり作中内のヒントから殺害方法や犯人を推理させるいわゆる本格であった。
正直共犯による殺害方法も犯人もそこまで難易度は高くない、だから物足りないと感じる方もいると思う。しかしこの話は第1作目の「すべてがFになる」とはかなり方向性を変えてきているので前作が合わなかったと感じた方もこちらは楽しめるかもしれない。 |
No.48 | 6点 | yoneppi | 2012/02/01 21:27 |
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本格パズルを楽しめる作品。このダブル殺人トリックをやりたかったのだから動機が弱いのはしかたがない。キャラが後半の作品と微妙に違うのがおもしろい。 |
No.47 | 7点 | E-BANKER | 2011/12/17 15:21 |
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「すべてがFになる」に続くS&Mシリーズの長編2作目。
今回は犀川が所属するN大が事件の舞台に。 ~同僚・喜多准教授の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川准教授とお嬢様学生の西之園萌絵。だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女2名の大学院生が死体となって発見された。被害者は、そして犯人はどうやって現場の部屋に入ったのか。人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが・・・~ 本格好きなら単純に楽しめる作品だと思う。 前作もそうだが、本作もとにかく「密室」に拘った作品。 ただし、前作ではアクロバティックな解法であった密室が、本作では非常に「ミステリーらしい」解法が成されるのが特徴。 これは好みが分かれるのかもしれませんが、こと「密室」に関しては、個人的には前作よりも好感を持った。 犀川の推理過程はまさしく『困難は分割せよ』を地でいくものだし、ロジックはたいへんしっかりしている。 「低温室」に纏わる小道具(例の宇宙服ね)も実に効いていて良い。 まぁ、難をいうなら、多くの方が指摘しているとおり「動機」や事件の背景についての面。 他の方の書評を見るまで気が付かなかったけど、確かに「服部さん」を殺す動機は超薄いよなぁ・・・ いずれにせよ、十分に楽しめる作品には間違いないという評価。 (萌絵みたいなキャラってやっぱり人気あるんだろうなぁ・・・こういうのが売れる1つの要素かも) |
No.46 | 5点 | まさむね | 2011/07/24 13:19 |
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「オーソドックスな密室もの」という印象。本格作品としてきっちりしているのですが,特筆すべき点も見当たらないというか・・・。
それと,多くの方が指摘していますが,某女性が殺される理由の説明には,確かに納得し難いですねぇ。プロットの本筋はいじらずに工夫できたような気がします。 でも,読後に損したと思わせる作品ではないです。いたって平均的。 |
No.45 | 2点 | ムラ | 2010/12/16 03:01 |
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無難な密室トリックという感じでした。
前作ほどのインパクトもあまり無いです。 キャラ性も今回ちょっと弱かった気が。 |
No.44 | 7点 | りゅう | 2010/12/10 18:42 |
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このサイトでの評価はあまり高くないですね。作者らしい派手な展開がなく、森ファンが求めているものと合致していないことが原因なのでしょう。個人的には高く評価できる作品だと思います。犀川の真相説明は理路整然としており、なるほどと思いました。密室のトリックは地味ながらも私好みのものです。このトリックは途中である程度推測できたのですが(犯人は全くわかりませんでしたが)、真相はさらにその上を行くものでした。確かに、事件が起こった実験時における各登場人物の動きがわかりにくいのが難点ですね。動機が納得出来ないのは作者の作品に共通して言えることで、この作品はましな方だと思います。 |
No.43 | 5点 | KOOL | 2010/03/21 19:21 |
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<多少ネタバレあり!>
S&Mシリーズはやっぱり犀川と萌絵のキャラクター性に魅かれていくなあと思った一作でした。 トリックは前作より現実的で親しみやすかった。 人間関係や犯人の殺人の動機がイマイチ私は腑に落ちなかったです。この人まで殺す必要があるのかなということと、自殺の理由が納得できなかった。 |
No.42 | 5点 | 測量ボ-イ | 2009/08/11 15:12 |
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及第点という評価と、いまひとつ何かが足りないという評価
が入り混じって微妙な感じです。 ただ、殺人があっ時間帯の関係者の動きを表にしてもらえれ ば有難いんですけどね(親切にそれをやると、読者に真相を 看破され易いのでわざとやらない?)。 男女1名づつが殺害されますが、他の方も指摘されるように 女性の方を殺してしまう理由はやはり僕も納得いきませんで した。細かな話しですが。 氏の作品をはじめて読みましたが、この作品は評判ではかな りオ-ソドックスな部類とか。もう1~2作読んでから、自 分に合う、合わないを判断しようかと思います。 |
No.41 | 5点 | 白い風 | 2009/07/18 22:13 |
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個人的にはこのパターンのトリックが好きでないもので。
作品的には可も無く、不可もなくってかんじですね。 |
No.40 | 6点 | 臣 | 2009/06/08 12:26 |
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ごく普通の本格ミステリという感じです。トリックの派手さはありませんが、全体的にバランスのとれた良作品だと思います。また、今まで読んだ森作品は、犀川がニヒルなだけで、探偵としてのやる気が感じられませんでしたが、今回はやる気が出ているのがいいですね。好印象です。
動機については概ね良いのですが、なぜ服部珠子を殺さなければならなかったか、という点だけは気になります。それと、ムダというかアソビというか、ダラダラした感じが本作でもありますね。森氏の遊び心なのでしょうか。 ところで、森氏もこのような典型的な本格作品を書けるのですね。氏は多くのミステリを読んできた結果、奇をてらった理系ミステリしか書けなくなったのではと想像していましたが、これだけ普通の本格を書ければ十分です。真っ向勝負をしてもいいのでは、と感じました。 本作は理系らしくないとの評価ですが、本作のトリックは広い意味で物理的といえます。そもそも、密室殺人なんてものは、ほとんどが物理的、機械的な理系トリックを必要とするわけですから、一風変わった、多くの読者がわからないような(例えば化学)理系トリックを使ったからといって理系ミステリと騒ぐのはおかしいと思います。(そういうことで注目を集めようとする出版社の意図には理解できるのですが。) とにかく、理系でない読者が理解できない理系知識は、薀蓄等のミステリツールとして利用するだけで十分で、トリックには本作程度の誰もが理解できるものを使うほうが小説として楽しめるように思います。 以上、氏について結論めいたことを書きましたが、まだ3作目なので、えらそうなことはいえませんね。『F』、『笑わない数学者』などを読んでみないといけません。 |
No.39 | 6点 | nukkam | 2009/05/19 12:38 |
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(ネタバレなしです) 1996年発表のS&Mシリーズ第2作の本格派推理小説で、太田忠司が「『すべてがFになる』(1996年)が口に合わなかった読者でも、この作品は飲み下すことができるだろう」と評価していますが私も賛同します。理系要素はありますが前作に比べれば控え目になっており、謎も謎解き説明も理系が苦手な(私のような)読者にもわかりやすいです。評論家やマニア読者は本書よりも(こだわりの強い)前作の方を支持するのでしょうけど。密室トリックは山村美紗の某作品を連想しました。 |
No.38 | 9点 | りんちゃみ先輩 | 2009/01/24 19:47 |
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「すべてがFになる」よりの登場人物が人間的に感じるのがこの作品だと思う。派手さはないけど犀川と萌絵の人柄がわかり、愛おしい。解決も納得。いいと思う。おもしろい。 |