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[ SF/ファンタジー ] ZOKUDAM Zシリーズ |
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森博嗣 | 出版月: 2007年07月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 2件 |
光文社 2007年07月 |
光文社 2008年07月 |
光文社 2010年01月 |
No.2 | 7点 | Tetchy | 2024/09/22 14:11 |
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あのお騒がせ集団ZOKUが還ってきた。しかしどうも時制は前作よりも遡るらしい。なぜなら前作のメンバー、ロミ・品川とケン・十河、そしてバーブ・斉藤が初対面であるからだ。
いやしかしどうも読み進めると同じ設定と人物を使った別の世界の作品のようにも思えてくる。これは即ち3人組の悪党たちと2人組の男女の正義の味方という設定だけを踏襲したタツノコプロアニメと同様、人物設定だけを同一にした全く別の話だと思うのが正しいようだ。 そして組織の名前はZOKUではなく今回はZOKUDAM。そう、あの国民的巨大ロボットアニメを彷彿させるように本書では巨大ロボットが登場する。 巨大ロボットと怪獣が戦う設定のロボット物と思わせながら、実は怪獣との戦闘シーンはおろか、TAIGONとZOKUDAMそれぞれの巨大ロボット同士の戦いも出てこない。描かれるのは巨大ロボットに乗って操縦することを任命された2人のサラリーマンが出くわす不満と日常風景である。つまり本書は巨大ロボット物の設定の下で描かれる日常小説なのだ。 そしてそんな特殊状況下にある2人が直面する問題や日常風景が妙にリアルで面白い。 そして最終話に至っていよいよ決戦の火蓋が落とされる。それまで状況に翻弄され、何が悲しくてOLをしていた自分が巨大ロボットに乗って敵と戦わなければならないのかと環境の犠牲者とばかりに嘆いていたロミ・品川も決戦の日が近づくにつれ、訓練の充実度が増し、そしてケン・十河に抱いていた悶々とした欲望やバーブ・斉藤たちに抱いていた嫌悪感などが次第に雲散霧消していき、敵と戦うちいう1つの目標に心身が純化していくところは実に清々しい。 もはや悟りの境地にまで達した2人にとって戦いの結果などはもうどうでもいいのだろう。したがって 最後の連載打ち切り感的な結末も敢えて狙ったものだろう。私はこの結末に対して残念感や嫌悪感を抱かなかった。寧ろこれでよかったと純粋に納得してしまった。 最後まで読むと本書は結婚適齢期を逃し、会社の人事に翻弄されたロミ・品川という女性の物語だったことに気付く。だからこそ彼女がそれまで抱え込んでいた人生の鬱屈や煩悩が消え去り、純化されたことでこの物語は終わりなのだ。 案外私は森作品の中でもこのシリーズが一番好きなのかもしれない。 次の『ZOKURANGER』も愉しみだ。もうタイトルからして今度はアレのパロディなのだろうから、またもや世代ど真ん中なのである。 |
No.1 | 6点 | ∠渉 | 2014/03/13 20:49 |
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悔しいくらいにロミ・品川に萌えながら読んでました。
頑張ったら疲れるし、真面目にやったって無駄は出てくるし、真面目にやんなかったらもっと無駄が出てくるし、楽しく生きたいし、好きな人もいれば嫌いな奴もいるし、男だし女だし、人生ってキリがないくらいソフト的な問題があるけれども、知らず知らず明日も明後日も生きようとすることが出来る「人間」ってのは、ハード的問題をなんだかんだ乗り越えてるんだから大したもんです。 |