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[ SF/ファンタジー ]
四季 冬
森博嗣 出版月: 2004年03月 平均: 5.25点 書評数: 4件

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講談社
2004年03月

講談社
2006年12月

No.4 5点 E-BANKER 2021/06/08 20:20
「四季」四部作もついに最終作。タイトルは当然に「冬」。
真賀田四季をめぐる物語は一体どんな結末を迎えるのか? それは果たして私の理解の範疇なのか?
2004年の発表。

~「それでも、人は、類型の中に夢を見ることが可能です」四季はそう言った。生も死も、時間という概念をも自らの中で解体し再構築し、新たな価値を与える彼女。超然とありつづけながら、成熟する天才の内側を、ある殺人事件を通して描く。作者のひとつの到達点であり新たな作品世界の入口ともなる四部作完結編~

うーん。『よく分からん』 以上!
てな具合で書評を終えてもいいくらいの作品だった。

これは真賀田四季の頭の中なのか、内面なのか、はたまた作者自身の頭の中の光景なのか?
平々凡々たる私の頭では、なんとも曖昧模糊とした感覚でしかない。
終章の四季と犀川の場面。
これは時間軸としては一体どうなっているのか? 「今」なのか、「100年後(?)」なのか、単に四季の想像の産物なのか・・・
それでも実に教唆に富む言葉を四季は放っていく。
『そもそも、生きていることの方が異常なのです。死んでいることが本来で、生きているというのは、そうですね、機械が故障しているような状態。生命なんて、バグです・・・』
だそうです。でも、何となく頷けるような気もしたりして・・・

これで一応、彼女をめぐる物語には一応のピリオドが打たれる。そして、紹介文にもあるとおり、新しい作品世界が始まることとなる。
我々読者は、作者の大きな手のひらのなかで弄ばれる存在のよう。いや、次々と作者が制作したフィルムを見せられる「ゲスト」というべきか。
いずれにしても次のステージへ進むことにしようか・・・
(よく分からん書評でスミマセン)

No.3 3点 Tetchy 2021/02/17 23:58
四季シリーズ最終作。遥かな未来に向けての物語か。

本書のストーリーはよく解らない。時代もいつの頃を描いているのかもよく解らない。物語の構成はそれぞれのエピソードが断片的に語られ、シリーズ1作目の『春』同様、四季と其志雄の対話、四季の思弁的な述懐が続く。

本書は一旦『秋』でそれまでのシリーズとの結び付きを語ったことでリセットされ、これからの物語のための序章というべき作品として位置づけられるようだ。
従って今まで本書までに刊行されてきた森作品を読んだ私でさえ、本書に描かれている内容は曖昧模糊としか理解できていない。本書が刊行されて16年経った今だからこそ上に書いたシリーズへと繋がっていくことが解るのだが、刊行当初は読者は全く何を書いているのか戸惑いを覚えたことだろう、今の私のように。

真賀田四季が望んだ犀川創平との再会。
チーム・リーダR・R、スタッフJ・P、そして四季のウォーカロン道流と接触してさらわれたG・Aが所属する謎の組織のシンク・ユニットの登場。
サエバ・ミチルを生み出した100歳を超える天才科学者久慈昌山。
これらが今後のシリーズのファクターとなり、徐々にまたその詳細が明らかになってくるのだろう。

冬は眠りの季節。ほとんどの動物が冬眠に入り、春の訪れを待つ。
本書もまた新たなシリーズの幕開けを待つ前の休憩といったことか。英題「Black Winter」は眠るための消灯を意味しているように私は思えた。

そして真賀田四季。
『四季 春』で生を受けたこの天才はしかし以前のような無機質な天才ではなくなっている。いっぱいやらなくてはならないことがあるために人への関与・興味をほとんど持たなかった天才少女は娘を生み、外の世界に飛び出して自分で生活をしたことで感受性、母性が備わり、慈愛に満ちた表情を見せるようになっている。

頭の中の演算処理が上手く行っている時にしか笑わなかった彼女が人の死に可哀想と思い、花を見て綺麗と感じ、空を見て色が美しいと思うようになっている。

そして真賀田四季研究所で娘が死んだ時に腕を切断した際のことを語る四季は突然涙を流す。彼女にとって死んだ人はもはや物でしかないはずなのに、やはり心の奥底では娘の死を悼んでいたのだ。

物語の最後、犀川は四季に問う。「人間がお好きですか」と。そして四季は「ええ……」と答える。綺麗な矛盾を備えているからと。論理的であることを常に好む彼女が行き着いたのは愛すべき矛盾の存在。それこそが人だったのだ。

真賀田四季はまだその生命を、いや存在を残してまだまだ色々とやることがあるようだ。但しその彼女は今までの彼女ではなく、人への興味を持ち、そして自らにその人格を取り込んで生きている。もはや時間を、空間をも超越し、終わりなき思弁を重ねる1人の類稀なる天才が神へとなるプロセスを描いたのがこのシリーズなのだ。そしてそれはまだ途上に過ぎない。

但し解るのはそこまでだ。それは仕様がない。なぜなら私のような凡人には天才の考えることは解らないのだから。

今後のシリーズで本書で生れた数々の疑問が解かれていくのだろう。その時またこの作品に戻り、意味を理解する。
ある意味本書が全ての森作品が行き着く先なのかもしれない。

No.2 6点 メルカトル 2021/01/09 22:35
  四季  <冬>

「それでも、人は、類型の中に夢を見ることが可能です」四季はそう言った。生も死も、時間という概念をも自らの中で解体し再構築し、新たな価値を与える彼女。超然とありつづけながら、成熟する天才の内面を、ある殺人事件を通して描く。作者の一つの到達点であり新たな作品世界の入口ともなる、四部作完結編。
『BOOK』データベースより。

今回は完結編とあって真賀田四季を前面に押し出しています。それだけに難解で、私としてはある意味四季の思考が何となく解る部分もあるような気もしましたが、それはおそらく単なる勘違いで、凡人というかダメ人間である私と四季の思考回路の間には一億光年くらいの距離があるだろうと思います。
ミステリよりもSFの領域まで幅を広げ、その辺りは面白く読めました。が結局訳分かりません。ただ、真の天才であるが故の、或いは欠けるものがなくパーフェクトであるが故の四季の絶望感や虚無感は伝わってきます。

そして、あの時孤島の事件の裏で何が起こっていたのかが、四季の口から語られます。それでも、私は本シリーズの全容が把握しているとは到底言い難く、これで完結してしまったのかという儚さが残りましたね。少なくともこれだけは言えます。これを読む前に、まずは『すべてがFになる』を読めと。

No.1 7点 なりね 2004/03/21 20:16
最後の「冬」です。
まず、時間軸がばらばらで理解するのが疲れる。
森哲学の総集編という感じ。完全に哲学書です。

まぁだからミステリのページに書き込むのは変かな・・・と思ったり。


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