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[ SF/ファンタジー ]
ナ・バ・テア
スカイ・クロラシリーズ
森博嗣 出版月: 2004年06月 平均: 6.00点 書評数: 4件

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中央公論新社
2004年06月

中央公論新社
2005年11月

No.4 7点 Tetchy 2018/08/03 23:50
この『スカイ・クロラシリーズ』、前作同様、端的な描写と独特の浮遊感を湛えた文章で紡がれる。それはクサナギの一人称を通じた戦闘機乗りの、そしてキルドレという特殊な人間の思いだ。その思いは断片的で、実に恣意的だ。つまりこのシリーズはミステリではなく、ジャンル的には純文学に近い。

中心となって描かれるのはクサナギが任務に就いている時の戦闘シーン。短文と改行を多用し、極力無駄を配したリズミカルな文章で紡がれるそれは、数ページに亘り、ページの上部のみに文字が集約され、そして短文であるがために下部が白紙であることで、さながら文章自体が空の雲と空を飛ぶ様子を表しているような感覚を与え、読者が実際に空を飛び、そしてクサナギの感じるGすらも体感するように思える。

また戦闘機乗りの独特の死生観も実に興味深い。
彼らは相手と戦うために飛ぶ。そして実際に相手を撃墜して還ってくる。そのまた逆も然り。
しかしそれが彼らの仕事であり、人生であると悟っている。命を賭けた仕事という重い職責を負いながらも死と生とは切り離し、純粋に飛行機に乗って戦うことをゲームのように楽しんでいる。ゲームに敗れて死ぬことは任務を、与えられた人生を全うしたことであり、だから飛行機に乗らない人たちになぜ死ぬかもしれないのに戦闘機に乗るのか、怖くないのか、なぜ戦うのか、相手を撃墜することに躊躇いはないのかと、いわゆる一般的な生殺与奪の観点で職務について問い質されること、そして撃墜した死んだことに対して可哀想だと同情されることを嫌う。
自分たちはやるべきことをやって死んだのだからこれほど幸せなことはないと誇りを持っているのだ。唯一残る悔いは相手よりも自分が未熟であったという事実を突きつけられること。命を賭けた勝負の世界に生きる戦闘機乗りの心情とは本当にこのような物なのだろう。

時間軸で云えば2作目の本書は過去へと向かっている。ミステリが既に起きてしまった事柄の謎を探る、つまり過去に遡る物語であることを考えれば、第1作は序章だ。

私は文庫版で読んだがその橙一色に染め上げられた表紙は恐らく黄昏時の空を示しているのかもしれない。恐らく草薙水素が絶望に暮れる夜に至る前の物語だという意味が込められての色なのか。
夕暮れ時はどこか切なく哀しい思いにさせられるが、本書の中の草薙水素はまだ元気だ。None but Air。空以外何もない。今日も草薙水素は空を飛ぶ。絶望に明け暮れるその日が来るまで。

No.3 5点 vivi 2009/02/03 01:15
スカイ・クロラって最初からシリーズにするつもりだったのだろうか。
それとも、書いてる途中で過去を書きたくなった?
スカイ・クロラの結末を知っているから、
ちょっと切ない感じですね。
それとも、シリーズ全部を読み終わったら、
あの「死」の意味が変わるのだろうか?

ハテナだらけの、でもミステリとは違う小説です。

No.2 3点 ルルファー 2005/08/27 21:55
飛行描写は相変わらず良いよ。けど主人公の女の性格が前作の男よりも更に悪いし、女なのに喋り方がオヤジ臭いっていうね。
せっかくの浮遊感が一気に興ざめ。

No.1 9点 SD 2005/07/16 05:46
ミステリではないが・・・「スカイクロラ」より時間的には前の話
前作同様 世界観が独特で良いです


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