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[ 本格/新本格 ]
涙流れるままに
吉敷竹史シリーズ
島田荘司 出版月: 1999年06月 平均: 7.55点 書評数: 22件

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光文社
1999年06月

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2002年01月

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2023年03月

No.22 8点 みりん 2023/09/03 19:39
吉敷竹史シリーズ第15弾
15作品も読んでられねーよって方は『北の夕鶴2/3の殺人』→『羽衣伝説の記憶』→『飛鳥のガラスの靴』と読んでから『涙流れるままに』を読むと満足度が上がると思います。
あと読んでないの自分だけかもだが、横溝正史の『八つ墓村』も読んでおくと良いかも。横溝代表5作(?)のうち唯一未読だったので近々読むのが楽しみになった。

No.21 6点 ボナンザ 2020/09/12 21:49
通子の半生を振り返りつつようやく吉敷が報われたシリーズ集大成。
ではあるが、これを集大成にするには肝心の恩田事件が・・・という気もする。もちろん警察官である吉敷にとってはこれを手掛けることそのものが大事件ということはさておき。
・・・この期に及んでまだ同居していないところに一抹の不安がありますが、恩田夫人の感謝を受けてこれで十分と思った吉敷ならこの先更なる絶望があっても大丈夫・・・とはいかないでしょうから穏便に元のさやに戻ってほしいもの。

No.20 7点 あびびび 2017/11/15 01:09
今まで3冊しか読んでいないが、この作者との相性はあまり良くない。自分が醒めた人間だからかもしれないが、序盤の通子の生い立ちの部分の件の長さには辟易した。言いたいことはすぐに分かったが、あまりに饒舌である。それで、50ページくらいは飛ばし読みした。

それから途中、色々な部分でもかなりページを飛ばした。自分は本を読む資格ないなと思いながら、後半に入った。吉敷刑事は好きである。しかし、他の部分の描写がくどすぎる…。

それでも、上司との殴り合い、冤罪解決かどうかの部分には力が入った。そして、最後には涙を貯める自分がいた。う~ん、これは力作だ。ぜひ、他の作品も読まなければ…。

No.19 6点 いいちこ 2015/09/11 19:14
(以下ネタバレを含みます)
ヒロイン通子の半生を丹念に描きたい、冤罪事件の惨禍を描き出すことで持論である死刑制度廃止を広く世間に訴えたい、吉敷と通子に幸せになってもらいたい、という想いありきの作品で、本格部分のコアは極めて小さく添え物程度。
シリーズ集大成の位置付けから、ハッピーエンドが半ば既定路線として推測されるなか、本格ミステリとしての伏線が予定調和的に回収される様は、エンターテインメントとして面白みや緊迫感に欠けると言わざるを得ない。
以下は個人的な好みの問題ではあるが、通子の半生はあまりにもショッキングで悲劇的ではあるものの、本人が長年にわたって真実に向き合わず常に逃げ回ってきた、どうしようもない意思の弱さが招いた、文字どおり自業自得とも言えるもので、自らの職を賭して冤罪事件の解決に挑み、通子の問題を悩み抜きながらも、これさえも解決に向けて手を差し伸べた吉敷の高潔さ・意思の強さ・責任感を考えると、2人が何事もなかったかのように結ばれる結末には違和感。
また、警察の吉敷に対する処遇も、気持ちはわかるがあまりにも荒唐無稽で、警察に懲戒解雇されながらも民衆のヒーローとして、親子3人天橋立でひっそりと暮らす結末が相応しいように思う。
作者のほとばしるような想いと筆力を鑑みてこの評価

No.18 7点 take5 2015/01/10 12:42
吉敷竹史シリーズ集大成、上下巻全1000ページ、
読破はし易いと思います。きっと登場人物や出来事が前作の復習だったり伏線の回収だったりするので。
社会派としては冤罪がテーマです。失礼な表現ですがまあまあよく書けていると思います。
推理小説としてはページの割に密度が薄い(千頁じゃあしょうがない!)です。
最後、吉敷にも警察機構にも救いを書いたのは、島田荘司さんからのエールなのだ、そして読者へのエールでもあるのだと思いました。
シリーズには思い入れの点数が入るものです。

No.17 7点 TON2 2012/11/05 21:23
吉敷シリーズは全く読んでいないで、この本を読みましたが、それでも十分楽しめました。
取り扱っているテーマが、吉敷刑事の元妻加納通子が背負っている業と冤罪という重いもので、なかなか読み進めるのに時間がかかりました。

No.16 8点 seiryuu 2010/08/16 00:38
道子ものが好きなので面白かったです。
道子についてはいろいろ言いたいこともありますが
落ち着いてよかったと思いました。
吉敷刑事 今回もアツかったです。
惚れました。

No.15 4点 simo10 2010/04/19 22:56
-ネタばれ含みます-

吉敷シリーズの総決算的位置づけとも言える本作。
というのも過去に関わった事件に大なり小なり触れながら話が進んでいくので、それまでの作品に触れている人ならば、もう一度読んでみようかなという気持ちにさせられます。
本編は吉敷刑事がまたも逆転不可能的冤罪事件に挑んでいく話と、加納通子が自らの過去の秘密を探り当てる話が並行しながら進んでいきます。
しかしその内容たるや、かなり辛い気持ちにさせられます。つまらないという意味ではなく、ただただ通子の人生が酷すぎて読むのが辛くなります。
事件を追ううちに、図らずもそんな通子の過去に関わってしまう吉敷刑事が可哀相になる。なんとも重い話です。
ミステリ的な要素としては通子の幻の正体にかなり興味をそそられたのですが、真相はちょっとがっかりです。いや、辛い話を読み進めたのも、この謎を解き明かすキーワードを探すことに主眼をおけたからでもあるため、その苦労を振り返るとかなりがっかりでした。
ラストの吉敷刑事と主任との決着はなかなか見ごたえがありました。
また、吉敷と通子の決着も見納めることができてほっとしました。

No.14 5点 E 2010/02/11 18:31
加納通子完結作(?)の「涙流れるままに」
冤罪事件の悲劇、嘆き、憤りの中から敏腕刑事吉敷が奮闘して最後は心がじんわりとする作品。
冤罪とは本当に許しがたく、覆し難くい悲劇だと痛感させられました。そして苦しみ満身創痍になるつつも捜査の手を緩めなかった吉敷刑事を尊敬しました。
しかし、点数が中間とは・・・ただ「酷い」という理由からです。
加納通子の生涯が酷すぎる・・・ここまですることないだろうという位酷いし惨い・・思わず読み飛ばしてしまった。
不愉快極まりない半生で読むのが本当に辛かった。
正直感じたのは・・・加納通子も哀れであるけれど一番哀れなのは吉敷刑事だったという事。
最後があの結末で本当に良かった・・・
その結末を見たとでも「酷い」と思ったのでこの点数ですね;

No.13 10点 E-BANKER 2009/08/27 22:48
吉敷刑事シリーズ。
吉敷&通子の壮大なラブストーリーが決着するファン必読の作品。
~警視庁捜査1課刑事・吉敷竹史は、夫の冤罪を主張する老婦人に出会う。その「恩田事件」とは、昭和33年に盛岡で起きた一家惨殺事件だった。吉敷は単身、再捜査を開始。ところが、盛岡・釧路で対面した関係者はなぜか別れた妻・通子と関係の深い人ばかりだった・・・日本の冤罪事件に職を賭した1人の刑事と、元妻の壮絶な過去、そして感動のラスト・・・~

素直に脱帽! ラスト、子供を抱き上げるシーンでは、読んでて涙が止まりませんでした。(まさにタイトルどおり!)
「北の夕鶴」から始まり、「羽衣伝説」、そして「飛鳥のガラスの靴」と続いてきた、吉敷=通子の壮大な物語がこんな形で完結してくれて、作者には本当にありがとうと言いたい気分です。
さて、本作のキーワードは、作者のライフワークともなっている「冤罪事件」。
この高くて厚い壁を破るためには、「吉敷」はまさにうってつけのキャラクターです。
御手洗ほどの明晰な頭脳はありませんが、何事にも怯むことなく、どんな苦難にあっても立ち向かっていくその姿は、まさに現代に甦った「等身大のヒーロー」とさえ呼びたくなる・・・(実際、カッコいいですよ)
真相に関しては、いつもの「大技」が炸裂するわけですが、それはそれで十分読み応えありです。
まぁ、通子の過去がここまで壮絶でありえないほどの不幸に満ちていたなんて、これ最初から構想してたんでしょうか?
とにかく、本作は決してこれ単独では読まないでください。
(これ単独で読んじゃうと、「荒唐無稽」のように思えてしまうかもしれませんので・・・)

No.12 9点 itokin 2009/01/25 18:04
島田荘司渾身の力作としかいいようのない作品。重くてやるせない物語だが終盤まで引きつける、最期の号泣は特筆もの、砂塚刑事部長有り難う。

No.11 10点 mozart 2008/08/30 18:25
最後でここまで泣けるのは、自分も愛する子供を持って、歯を食いしばって毎日を生きていると思うからなのでしょうね。ほんッと~に泣けました。途中、あまりの暗さに(そして「厚さ」に)心が折れそうになったけど、感動のラストを用意してくれた作者に心より感謝します。

No.10 7点 sasami 2008/07/07 20:15
他の通子ものを読んでいない人には結構つらいかもしれませんね。
もうすこし短くまとめてほしかったなぁ。

No.9 7点 レイ・ブラッドベリへ 2008/04/01 23:38
 主人公が幼い女の子を抱きしめる場面で
思わずオイオイと
呼びかけたのでもなく ツッこんだのでもなく
泣いてしまったのは 父性を掻き立てられたためか。
 庇護してくれる存在がいるべきことも知らず
ただひたむきに健気に生きていく幼子を見て
胸を揺さぶられない男はいないだろう。

 自分の人生が 堪らなくみすぼらしいものに思えたとき
このような存在を知ってひとしきり泣いたあと
なおまた己が生きていく力を与えられたことに気づいて
これを護るため 犯罪に手を染める男が現れても
それは充分理解できる。

 だがまあ主人公も 女の子だから抱きしめたのであり
これが男の子だったなら 「人生 けっこうハードだぜ。
くじけずに生きろよな」位ですませたのかもしれない。
と あわてて冷淡さを装ってみる。

No.8 8点 あさがお 2008/03/30 15:33
吉敷シリーズを読まずに、はじめて読みました。最初は、読みづらい感じでしたが、徐々にストーリに引き込まれ、長編でしたが、飽きずに読めました。吉敷の正義感がうらやましいです。ラストのシーンは、タイトル通り涙ものでした。

No.7 8点 yoshi 2008/03/22 00:48
みなさんの採点の通りで、本格としては物足りないけれど、物語としては秀逸です。確かに官能小説のような記述も多くありましたけど、人間を描くのに、きれいごとばかりでは描ききれないという島田氏の意思が伝わってきます。普通、登場人物には感情移入せずに読む方なのですが、途中で早く吉敷に自分の子供と会わせてあげたくなりました。

No.6 4点 サボリーマン 2008/01/04 11:24
非常に得点が高かったので読みました。
少しカラいかも知れませんが4点です。
確かに冤罪事件の追及と道子の記憶を辿る構成には引き込まれます。しかし随所に挿入される官能小説っぽい描写の印象が強く、それが強烈な不快感を与えます。さらに本格色が薄い点も自分の中ではマイナスかと。
吉敷シリーズをある程度読んでから本書を読んだほうが、より作品の深みや楽しさを感じることが出来ると思います。

No.5 9点 Tetchy 2005/08/29 23:20
加納通子物語ここに終結です!!
通子の物語は駅のキオスクで売られているような三文官能小説っぽくって正直辟易しましたが、今までの吉敷シリーズに跨っていた通子の全貌があらわになり、また吉敷の刑事人生についても島田氏なりの結論をつけたようで、あたかも吉敷・通子の人生讃歌のような様相を呈してます。
これで吉敷シリーズはやっぱり打ち止めでしょうか?

No.4 9点 北浦透 2005/01/14 14:00
マイナス一点は、本格色がこれまでの島田氏と比べると薄いかなと思えるのと、所々で「客観的に見て」、安っぽいかなという場面があったので。
しかし、この小説を客観的に見えるわけもない。なんという物語だろう。小説の力強さが、規格外。ものすごい。冤罪事件と加納通子の半生を描くが、グングン引き込まれていった。
吉敷の戦い、通子の凛とした強さ。そして、救い。胸を揺さぶられるミステリー巨編。

No.3 9点 ウエストウッド 2004/05/09 21:01
吉敷シリーズを読んでる人間にとってはこんな良い小説はない。島田莊司のストーリーの着地の巧みさ!!!!


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