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[ 本格/新本格 ]
解体諸因
匠千暁シリーズを含む短編集
西澤保彦 出版月: 1995年01月 平均: 5.88点 書評数: 24件

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講談社
1995年01月

講談社
1997年12月

No.24 6点 虫暮部 2021/10/26 13:03
 この頃はまだ登場人物の名前が普通だ。なんだか西澤保彦を読んでいる気がしないなぁ。
 おかしなコンセプトは評価するが、テーマが共通だから出来のバラツキが目立つのかも。「解体昇降」のエレベーターの真相には驚いた。

No.23 7点 パメル 2021/10/04 08:50
バラバラ死体がキーワードの9編からなる連作短編集で作者のデビュー作。
「解体迅速」全裸女性が両手両足を手錠されて、バラバラにされるというこの事件に納得いかない千暁はヤスヒコとともに推理することに。オーソドックスだが、構図がユニーク。
「解体信条」バラバラ殺人事件の被害者は、34個のパーツに分かれていた。なぜ犯人は手足の指まで切断する必要があったのか。驚くべき真相。切断理由も納得出来る。
「解体昇降」マンションの8階から1階までエレベーターに乗っている間に、全裸のバラバラ死体になった女性。中腰警部が推理。不可能状況を作り出すための発想がユニーク。真相は今ひとつ。
「解体譲渡」年配女性の奇妙な行動と、マンションゴミ収集所で見つかったバラバラ死体の関連性は。心理トリックが秀逸。
「解体守護」幼稚園児のノリくんが大切にしていたクマのぬいぐるみの左腕が切断され、そこに由江が宝物にしていたハンカチが血まみれで巻かれていた。子供の気持ちが分からないと難しい。
「解体出途」沢田直子は千暁に娘の結婚を阻止するように依頼する。しかし、これがバラバラ殺人事件に発展してしまう。ユニークな誤認トリック。
「解体肖像」あるポスターのモデルの顔部分だけが丸く切り抜かれていた。そしてその裏にあった出来事とは。真相はやや物足りない。
「解体照応」推理劇「スライド殺人事件」。最初の被害者は体のみが発見され、その頭部は第二の被害者の体と共に、第二の被害者の頭部は、第三者の被害者の体と共に...とスライド式に発見されていく。被害者の髪を短く切るトリックが秀逸。
「解体順路」千暁は二つの死体の首が切断され、すげ替えられるという事件に意見を求められる。そして今までの事件がここに収束する。あまりにも意外な首切りの理由がお見事。
匠千暁を中心にさまざまな人物が探偵として登場し活躍する。それぞれの短編は、お互いにリンクし最終的に一つに収束されていく。「解体」をモチーフにアイデアがぎっしり詰め込んであり読み応え十分。
人を殺す動機には納得がいかなくても、人を解体した理由には思わず納得してしまう作品が多いかと思う。少し甘いかもしれないが、「解体」に特化したという難しいテーマに挑戦された意欲に敬意を表しこの点数。

No.22 5点 ボナンザ 2019/07/21 21:00
ユーモア系ホワイダニットに終始してしまったのがやや残念。
最初の二作は中々よかった。

No.21 6点 あのろん 2014/03/04 15:22
バラバラ殺人の寄せ集めでグロいか!?と思ったら、ハウダニットがメインの、パズルような感じで軽く楽しめました。
かなり強引なところがあるので、そこそこの点。

No.20 6点 メルカトル 2013/03/28 22:19
再読です。
全体の感想としては、比較的簡単なマジックを見せられて、種明かしをされ、なるほどと納得する反面、なんだかなあというあまり感心しない感情がないまぜになった感じ。
バラバラ死体や首なし死体は私の好みのジャンルだが、この作品はあまりにからりとして陰惨な雰囲気がないため、逆に面白味を覚えなかった。
あくまでパズラーに徹しているので、タイトルから想像されるような陰湿な作風を期待すると裏切られるので注意が必要である。
死体を解体する理由については、どちらかと言うと変化球でかわされた感じで、もう少し直球勝負をして欲しかった気がする。
その為、カタルシスを味わえることなく、最後まで読み終えてしまった感じで、やや消化不良気味ではあった。
特に最終話は、話が込み入っていて、若干分かり難かったきらいがあるのが残念である。

No.19 6点 E-BANKER 2010/12/08 22:58
シリーズ探偵もあちこちで登場する短編集。
タイトルどおり全編でバラバラ殺人や首切り殺人が登場する猟奇的なストーリーでありながら、オドロオドロしさはいっさいなく、フーダニット&ホワイダニットに特化した作品集。
①「解体迅速」=匠千暁が新聞&雑誌記事を頼りにバラバラ殺人を解決する。ただ、こんな理由でバラバラにする?
②「解体信条」=これも割りとトンデモない理由でバラバラにしちゃう。指まで切ってる時点でだいたい真相は分かりますが・・・
③「解体昇降」=これは斬新!特に動機が! そこまでするか、普通? VHSとベータという単語も久しぶりに聞いた。
④「解体譲渡」=エロ雑誌100冊の使い途がこれか?
⑤「解体守護」=どうでもいいような話。
⑥「解体出途」=この中では割合普通。死体の使い途もよくあるやつ。
⑦「解体肖像」=確かにこんな商売する奴いたなぁ・・・
⑧「解体照応」=戯曲形式の連続首切り殺人事件。登場人物が次々登場し分かりづらいし、動機もどうかねぇ?(まぁあまり動機は考えなくてもいいんでしょうけど)
⑨「解体順路」=これまでの①~⑧の事件や登場人物を絡ませ、事件の背景を再構築したもの。面白い試みですが、なんか無理矢理感は残りますし、「こいつ誰だっけ?」と思ってしまう。
以上9編。
いろいろなアイデアを詰め込んでいて、作者の才能やサービス精神を感じることができます。推理クイズ的に捉えれば「面白い」という評価ですが、ちょっと薄っぺら感が気になったんでこのような評点としました。

No.18 7点 白い風 2010/11/09 21:49
9話の短編小説ですが、ラストの最終因でその関係者の多くが出てきます。
ちょっとややこしい面もありますが、小説のまとめとしては”良し”としました。
特に何故、首を差し替える必要があったのか?はこの小説の主眼だから、その点は前”第八因”と絡ませて面白いと思いました。

No.17 7点 E 2010/02/11 18:35
表題通り「解体」ばかりの短編集。
あまりにバラバラばかりなので「うぅ・・」と呻いてしまいましたが、其々の作品がしっかり構成されバリエーション豊かだったので面白かったです。

No.16 9点 kowai 2009/01/02 17:04
いや~、面白かったですよ。安楽椅子探偵たちの推理のむちゃぶりも楽しめましたよ。最後の章の集約とサプライズも満足。こういうエンタメ的な要素をこれでもか!と、詰め込んでいた頃のこの人はよかった。。。

No.15 8点 Tetchy 2008/11/09 00:23
ありゃ、けっこうみなさん、点数が低い。
私は案外楽しめました。
というのも各短編が昔の推理クイズ『私だけが知っている』を思い起こさせるような作りになっており、読者でも謎が解けるようになっているからです。
そして私は1編1編作者の謎解きに挑戦しました。
結果、ほとんど犯人は解りましたが、バラバラにする動機が2編しか解りませんでした。でも、この動機がちょっと不十分かなと思いましたね。

だから最後の1編で各編が繋がっていくときはけっこう驚きました。
上述のように力入れて読んでたので、登場人物も頭に入っていたし。

しかし、けっこうこの作者、エロが好きですね♪

No.14 4点 spam-musubi 2008/04/07 09:04
基本的にそれぞれの話に繋がりがあるとは思わず読み進めていったので、
最終話になって、人物名だけ見てもどんな人だったか思い出せず、
イチイチ前のページをめくらなければなりませんでした
(単に頭が悪いという話もありますが)。

09.11.26再読
初読のときは、この本がシリーズものだなどとは露知らず、全く気付かなかった。
シリーズをほぼ読んでから再読して思ったのだが、タック、タカチ、ボアン先輩などの
人物描写や背景説明がまるっきりない。
これじゃあわかるわけないなぁ…。読む順番を間違えましたね。

No.13 5点 ぷねうま 2007/09/29 07:06
一つ一つの短編は普通かそれ以下。連作短編としても失敗している気がする。

No.12 6点 vivi 2007/09/11 01:27
よくもまあ、これだけ「バラバラ」を集めたな~と思いました。
ただ、これだけ解体しているのに、全然生々しさが無いのはスゴイ。
何故かと考えたとき・・・それはこの作品がロジックのパズルだからだと思い至りました。
記号化された登場人物、記号化された事件&死体、それを数式を解くように解明する。
HOWだけが問題なのであってWHYはあんまり関係ないのです。
だから、解いた後事件がどうなるのかにも無責任でいられる。

極端だけど、ミステリとしては1つの姿かな~とも思いました。
「物語」としては面白くなかったけど。

No.11 6点 dei 2007/08/27 21:06
テーマがテーマだけに盛り上げるのは難しいと感じた。
デビュー作だけに巧く作品を客観視できていないように感じた。

No.10 6点 なの 2004/09/05 21:01
それぞれ様々な理由での『バラバラ』が描かれていて、中々楽しめました。
でも、舞台劇方式は正直読み辛い・・・普段その手のはあんまり読んでませんし。
あとは、各話同士の因縁を無理に作り過ぎの感あり。

No.9 6点 ギザじゅう 2003/11/13 13:38
バラバラ殺人だけでこれだけのパターンを作ったのは見事
ただし、題材が難しいだけに設定に無理があったり、力押しだったり・・・。それが気にならなければ楽しめるかな。
超傑作短編「赤い密室」を超えるようなものは無かった。

No.8 6点 玉椿 2003/05/18 23:25
安楽椅子探偵モノはどれも好きなのでコレも好き。
そんなノリで僕の場合はオーケーでした。

No.7 4点 しゃん 2002/11/25 13:37
 バラバラ殺人事件ばかりを集めた連作短編集。西澤氏のデビュー作。
 それぞれの短編で起こる事件はどれも魅力的で不思議。真相歯なんだろうと好奇心を刺激される。推理の展開と明らかになる真相は面白い。意外で、そのくせふに落ちるものばかり。お気に入りは「解体守護」「解体肖像」の二つ。
 ただ、ラストは複雑すぎて、私には理解しづらかった。第一話で登場してそれきりラストまで登場してこない登場人物が、ラストに登場したりするが思い出すのが難しかった。私の記憶力が悪いのだけど。

No.6 5点 KANNO 2002/04/14 22:26
そうですね。最後の人間関係は、何度か前に戻らないと完全に把握するのは難しいかも。劇は…はっきり言って読み辛かった感が拭えません。

No.5 5点 tenkyu 2001/07/06 00:28
西澤作品初体験にしてこれ。
素晴らしい、素晴らしいほどにふざけてる!
冒頭の「赤い密室はいかに改装されたのか」って、頼むから鮎川哲也の名を汚さないでくれ!
些細な理由でバラバラにするのはいいから、これだけは勘弁してくれ!


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