皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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読み出したら止まらない! 海外ミステリー マストリード100 杉江松恋 |
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事典・ガイド | 出版月: 2013年10月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 6件 |
日本経済新聞出版社 2013年10月 |
No.6 | 6点 | 臣 | 2016/11/24 10:55 |
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絶版作品を入れていないというのはいい。
1作あたりの書評ページ数が限られたガイドブックであるとはいえ、その1作から派生させて同じ作家の他の作品が少しだけ紹介してあるのもよい。 ひとりの書評家(杉江松恋氏)が選んだベスト100なので、絶版になっていないがこれは名作と思われる作品が掲載されていないと、プロの書評家でさえ評価がそれぞれなのだと安心もするが、なんでこれがないのかと残念な気にもなる。 もちろん、個人的に面白くないと思っていた作品も選ばれていた。本サイトで、評価は人それぞれということがわかっていたから、特段の驚きはなかった。 海外作品を数多く読んでいないので、書評を読みながら、よしつぎはこれを読もうという気持ちになることはもちろんある。でも、最近では特定の書評をあてにしたくないという気持ちもあるから、むしろ既読作品について、そのとおりだとか、それはちがうだろうとか、そんなふうに思いながら読むことで楽しめた。 |
No.5 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2014/09/08 17:49 |
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紹介中(作品100冊、著者100名)、既読は作品20、別の作品を読んだことのある著者は35名でした。マストリードとありますが、本格とサスペンスを中心に読んでいますので、少ないのはやむを得ないところがありますね(苦笑)。東西ミステリーベスト100のうち、19作品はかぶっていましたが、代表作品の紹介だけでないところが良いと思います。代表作品は、「さらに興味を持った読者へ」でも紹介されています。「古本屋で探してでも読んでもらいたい作家たち」でマーガレット・ミラー、リチャード・ニーリイが取り上げられていますが、完全に意見一致しました(笑)。
なお、一番に参考とさせてもらっている本サイトでも、やはり海外作品の書評数は少ないのでは?との印象。ちなみに、採点者数ランクではベスト100のうち海外作品は「そして誰もいなくなった」(30位74名)、「Yの悲劇」(90位42名)の2作品だけです。評価順ベスト100(高評価順~10件以上書評)では21作品が海外作品と健闘しています。また、書評数上位50人(125件以上書評)の方が10点満点をつけた作品(2人以上)は45作品ありますが、そのうち海外作品は10作品でした。「そして誰もいなくなった」(12名)「アクロイド殺し」(7名)「Xの悲劇」(6名)「オリエント急行の殺人」(5名)「Yの悲劇」(4名)「幻の女」(3名)「ビッグ・ボウの殺人」(2名)「ナイルに死す」(2名)「薔薇の名前」(2名)「ケインとアビル」(2名)。結果、海外作品は国内作品よりかなり書評数は少ないのですが、評価は相対的に高いということが覗えます。 |
No.4 | 8点 | Tetchy | 2014/08/20 00:12 |
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みなさんおっしゃられているように、本書は今までの海外ミステリのガイドブックに挙げられている名作とは異なり、絶版の多い海外ミステリの中でも今読者が手に入れることのできる作品を選出しているのが特徴的だ。
またさらに選者は配慮して海外ミステリに疎い、または抵抗のある読者に対して比較的読みやすい作品を選んでいる。そのため、作家のいわゆる代表作が挙げられているわけではない。それが本書の功罪であるのだが、私のように海外ミステリを長い間読んできた者にとっては逆に典型的に陥らず、実に新鮮であった。 しかし惜しむらくは各作品紹介における選者の“熱”が希薄であることだ。恐らく杉江氏はもっと語りたかったのであろう。それは歴戦の読者であり評論家である作者の素性を知っていれば当然の理解だ。しかし敢えて各作品について深く語ることをしなかった。これは海外ミステリ初心者に対する配慮ゆえだろうが、逆に海外ミステリ好きにとっては浅薄な印象を受けた。8点はこれに起因する。 恐らく杉江氏自身もその辺のさじ加減にフラストレーションを感じていたのでだろう。このようなガイドブックでは異色の第2部と称して、挙げられなかった、もしくは敢えて挙げなかった作品や作家についてかなりの筆を費やして語っている。しかしそれは逆に想いが強すぎてよく評論家が陥る作品と作家の列記に陥っているのは否めない。 しかし本書の意義は非常に深い。かつて海外ミステリに追いつけ、追い越せとばかりに日本のミステリ作家は切磋琢磨してきた。そして海外ミステリの新作がハードカバーで出版され、それらが売れていた時代があったのだ。しかし昨今は日本の読みやすいミステリのみを読んで育ってきたミステリ読者が非常に多く、海外ミステリを読んだことのないミステリ読者が蔓延しており、もはや海外ミステリの新作は文庫版でしかも1冊1,000円以上は当たり前と云った状況が続いている。この単価の高さは即ち海外ミステリの売れ行きの低さの表れなのだ。そんな絶望的な状況を打破すべく、前述のサイトを立ち上げ、さらに海外ミステリの読者層を拡げんがための本書なのだ。 ここでは敢えて本書に挙げられた作品については触れない。海外ミステリを長く読んできた者にとってはあまり目新しさを感じないガイドブックであることも正直にここに宣言しよう。しかし本書を読むことで海外ミステリに手を出してみようかなと1人でも思えば幸いである。 |
No.3 | 8点 | HORNET | 2013/12/28 12:05 |
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書評家・杉江松恋が、一九〇〇年代から現代までの海外ミステリおいて必読の一〇〇冊を挙げ、「あらすじ」「鑑賞術」「さらに興味をもった読者へ」といった項目で一冊ずつ紹介していくガイド本。
必読といってもそこはさすが書評家、「この人と言えばこの作品」というような、スタンダードな作品の羅列ではない、玄人らしい作品の選出である。 一言でいえば、「玄人好みの作品を、初心者向けに紹介した本」といえるだろうか。 だから、例えば海外古典に興味をもち始め、クリスティでいえば「そして誰も…」や「アクロイド」、ヴァン・ダインなら「僧正…」「グリーン」、クイーンなら国名シリーズなど、一般的に有名な作品(いわゆるベタなところ)から手を付けはじめた人で、「次はどんなものを…」と思う人には非常に有用なものになるのではないかと思う。 巻末30ページほどにまとめられている第二部「さらに楽しい読書のすすめ」も、その趣旨は百冊に取り上げなかった名作の紹介だが、ポーから始まるミステリの系譜が簡単におさらいできて、そういう意味でも上記のような人に向いていると思う(まぁ自分がそうなのだが)。 カバンか何かに携帯していて、時間のある時にチョイチョイ読んでは楽しめる、お買い得な文庫本。 |
No.2 | 7点 | kanamori | 2013/11/22 22:39 |
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書評家・杉江松恋氏選定による”今読める”をコンセプトにした必読海外ミステリの読書ガイド。
「読書は好きだけど翻訳ミステリはあまり読んでいない」という初心者や、「本格だけでなく色々なジャンルのミステリを読んでみたい」人に適した作品選定のガイドブックになっているように思う。 100選には絶版・品切れ作品を除いているが、作品ごとに「さらに興味を持った読者へ」として、同じサブジャンルの作品や類似テーマの作品などの紹介があり、結果として多数の作品名が挙げられている。いわば100選はとっかかりで、自然と読書の幅が広がる仕組みになっているのがいい。 さらに個人的に嬉しかったのは、第2部の後半部で「読めなくなった名作たち」と題して、絶版で忘れられた名作が少ないページ数に怒涛のごとく紹介されていること。できればこのパートを大きく膨らませ、第2弾として絶版本名作ガイド「海外ミステリー・フラッシュバック」なるものを出してもらいたいものだ。 |
No.1 | 7点 | mini | 2013/11/18 09:58 |
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”日経”というと一般的にはビジネス書か経済学関連の出版社というイメージだろうが、たまに”おぉっ!”っていうものを出す時がある
日経には”日経文芸文庫”という文庫叢書があり、名前の通りで決して経済関連だけの専門出版社ではないのだ その日経文芸文庫から先日に海外ミステリーのガイド本が刊行された、私は発売日に即買いした 筆者は名blog”翻訳ミステリー大賞シンジケート”の主催である杉江松恋氏である マストリードっていうくらいだから、必読書100選ってことか 内容はまさにマツコイ・デラックス 杉江氏らしく例えばコージー派もきちんと拾いバランスを取るなど、本格から冒険小説系まであらゆるジャンルに渡って選択している、入門書はこうでなきゃね とここまで持ち上げておいて申し訳ないが、私はすごく疑問に感じる点があるので、採点で8点以上は付けられなかったのだ このガイド本には大きな特徴的縛りが2つ有る 1つの縛りはここ100年間に刊行されたものという限定である 一番古いのがで黄金時代のバークリー以降、ポーやドイルの古典時代は全てカットである これはこれで良いと思う、ポーやドイルは本来は時代を遡っての研究対象であって、入門書向きでないのは私も前から思っていた さてもう1つの縛りが、現時点で新刊で読めないものは厳密に省くという徹底ぶりである、なるべく省くとかじゃなくて全てカットなのだ 例えば入門書向きか迷うJ・F・バーディンも100冊に入れているが、どうやらマーガレット・ミラーの代用品っぽいんだよな という事はミラー作品が全て新刊で入手不可らしいのだよな、マジかよ(愕然) これも一応意義は認める、長らく絶版で古書価格の馬鹿高いのなんか入門書に挙げる方が非常識だしね、初心者がガイド本で見て読もうと思ったら入手困難じゃあ悶々とするだけだし(笑) しかしだ、ポイントは新刊で入手可能かどうかが分岐点として適切なのかが問題なのである Amazonには現在は絶版ではあるが、中古でのタマ数が充分に有り1円しか値の付かない本など有り余っている 一方で比較的に最近刊行されたものは、たしかに新刊現役本だが中古価格がこなれてなくて中にはかえって割高なのさえある つまり古本でも格安で入手容易なものを省く意味があるかどうかなのだ 新刊で入手可能かで一律に仕分け∞するのが果たして適当かどうかいささか疑問を感じるのである |