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クライム・クラブへようこそ 植草甚一スクラップ・ブック18 |
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事典・ガイド | 出版月: 1978年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
晶文社 1978年01月 |
晶文社 1997年01月 |
晶文社 2005年05月 |
晶文社 2017年06月 |
No.1 | 6点 | kanamori | 2014/09/20 11:54 |
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映画、ジャズ、海外ミステリなど、粋で多彩な趣味を持ち、”歩くサブカルチャー”と称された植草甚一氏の評論・エッセイをまとめた「植草甚一スクラップブック」の18巻目。
植草氏は、江戸川乱歩の肝いりでスタートした早川ポケミス”世界ミステリシリーズ”の最初期の作品選定に関わり、早川の編集と喧嘩別れするや、今度は東京創元社で創元推理文庫発刊の礎となった「世界推理小説全集(全80巻)」の監修を担当している。いわば、現在の2大翻訳ミステリ出版社である早川と創元の黎明期の影の功労者といっても過言ではないでしょう。 本書は、その後’50年代末に監修した東京創元社の二つの叢書「現代推理小説全集(全15巻)」と「クライム・クラブ(全29巻)」の全作品に付された自らの解説をそのまま収録したものです。 「クライム・クラブ」などの、”幻のミステリー叢書”については、雑誌「ミステリーズ!」に連載の評論家・川出正樹氏の「ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション」でも全作品取り上げられ、作品紹介・解題も今ではそちらのほうが詳細で正確ですが、植草氏の功績はやはり作品選定の斬新さ、先取性にあります。 これまでの名探偵が登場するトリック重視の型にはまったミステリではなく、斬新で変化球型のプロットを用いた新人作家や、日本では無名の作家の旬な作品を多く入れた点は評価すべきでしょう。 両叢書の収録作では、「二人の妻を持つ男」「藁(わら)の女」「殺人交叉点」など、文庫化されて評価が定まった名作がある一方で、埋もれてしまって簡単に読めなくなった作品も多い。個人的には「飛ばなかった男」「殺人の朝」「消えた犠牲」「名探偵ナポレオン」などは復刊・文庫化してもらいたいものです。 |