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改訂新版 真夜中のミステリー読本 藤原宰太郎&藤原遊子 |
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事典・ガイド | 出版月: 2019年12月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
論創社 2019年12月 |
No.1 | 6点 | 人並由真 | 2022/04/07 07:11 |
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(ネタバレなし)
1990年9月にKKベストセラーズワニ文庫から刊行された旧版をベースに、著者の藤原宰太郎がほぼ30年ぶりに改訂。しかしこの新版の刊行の少し前、2019年5月に藤原宰太郎が逝去したため(ご冥福をお祈りいたします)、セミプロ文筆家である娘の藤原遊子さんが補遺執筆・編集して発刊された一冊だそうである。 ちなみに評者は旧版は持ってないし読んだこともないが、Amazonでのこの改訂版でのレビューで、新旧版の内容の詳しい比較をされている方がいるので、とても参考になる。 内容はいつもおなじみの藤原宰太郎の著作っぽい、ミステリ雑学コラム集&トリックの類別分類本。 ただしネタバレについてのクレームがうるさくなった21世紀の本らしく、トリックの概要を先に本文中で語る場合でも、文中ではなるべく具体名を出さずに作者の名前までに控えて、それぞれに註としてつけた索引ナンバーから、興味がある人のみ自己責任で該当作品のタイトルを、ずっと後のまとめたページで、リファレンスできるようになっている。この編集・配慮はとてもいい。 (ただしこういう工夫をしながらも、ごく一部の記事で、いきなりネタバレをしてしまう記述があるのは、なんだかな、だが。) 雑学コラムはテーマそのものはベーシックなものを並べた感じだが、具体例として紹介される作品のタイトル(とりあえずネタバレなしを主体に)が幅広い感じで、未読のミステリへの見識や関心が広がっていくようで楽しい。一方で浅く広く、そしてその広さについても中途半端な印象もあるが、まあそれは個人(親子にせよ)の読者・研究家の視座によるものとしての限界であろう。それを考えるなら、確かに豊富な作品タイトルの羅列で楽しませてくれる。 なお後半のトリックカタログの記事は、直接具体的な作品名のネタバレに直結しなくても、未読の作品のいろんなトリックそのものを先に教えられてしまう怖さがあるのでスルー。 いや、読んでみれば「そんなスゴイ着想の作品があるのか!? 読みてっ~!」となるパターンも十分に想像できるし、実際の自分はそういう経路を実践して現在のようなミステリファンの末席に着いたのだが、とにもかくにも今回は読むのはヤメにした(汗)。そういう意味では、本レビューは真部分的に中途半端な感想であることをお断りしてお詫びしたい。 (基本的には、書籍のレビューって一冊全部、ちゃんと読まなきゃダメだと思うけどね。) 事前に予期していたよりは浅い薄い感じもしないでもないが、おおむねは期待通りに楽しい一冊ではあった。 ただひとつ重箱の隅を楊枝でほじくるようだが、P57「大統領はミステリーがお好き」の項目。ここで例のルーズベルト原案『大統領のミステリ』に触れて「(そのルーズベルトは)有名な推理作家ヴァン・ダインやE・S・ガードナーなど六人の作家にストーリーを話して代作してもらった(原文ママ)」とあるが、これはもちろんマチガイ。 周知の通り『大統領のミステリ』の終盤部にガードナーが執筆参加したのは、元版の1935年の時点ではなく、後年の1967年に改訂新版が刊行された際の書き足し追加での形なので、「(1945年に死んだ)ルーズベルトが、(60年代の)ガードナーにストーリーを話して」というのは絶対にありえない。 論創の編集部もさながら、巻末を見ると飯城だの北原だの錚々たる? メンバーが本書の協力者として名を連ねているが、みんな校正に参加しなかったり、あるいは見落としたりしたのだろうか? この辺はいささか素人臭いケアレスミスで、ちょっと残念であった。 (いや、あのガードナーの追加部分は、あれでメイスンチームとヴァンスが同じ世界にいることになったという意味でウレシクて、印象深いのよ・笑。) もし本書の文庫化とかの機会でもあったら、ご確認の上で改修の検討をお願いします。 |