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海外ミステリ名作100選 ~ポオからP・D・ジェイムズまで H・R・F・キーティング編 |
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事典・ガイド | 出版月: 1992年10月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1992年10月 |
No.1 | 7点 | mini | 2009/09/29 10:33 |
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この手のベスト100やガイドと言うと、ジュリアン・シモンズ選サンデー・タイムズ紙ベスト99やクイーン&ハワード・ヘイクラフト選のものなどが有名だが、キーティングのベスト100はその線を狙ったものだろう
私はこの種のベストものは海外評論家によって選ばれたものが好き たしかに日本人編集者選定の方が翻訳出版事情に準拠しているので実際に本を探す際には便利ではある 海外選定のものは未訳作品が含まれていたりで現実問題として本を読むのに参考にならないこともある しかし少なくとも海外での作家の位置付けというものが分かる 何が言いたいのかと言うと、日本だけで人気のある作家と、日本では人気薄だが海外では評価が高い作家の違いを感じることができるのだ 例えばロジャー・スカーレットやフィルポッツなんて海外での名作表では滅多にお目にかかれない忘れられた作家で、日本での妙な人気が異常だと言える 乱歩の弊害だな クロフツなども本国英国より日本での方が人気で翻訳にも恵まれ過ぎな印象がある むしろ密室好きな日本人受けと思われがちなカーは、案外と海外でも普通に人気作家だったりするし、アリンガムなどは完全に海外での評価の方が高い で、作家としても有名なキーティング編のベスト100だが、ジャンル別には分類せず純粋に年代順なので、シモンズ選のよりもミステリーの歴史が概観し易い ただキーティングの論評は仔細に読むと結構類型的であまり目新しさは感じられず、その割には作品選択にちょっと奇を衒い過ぎな印象も一部に見受けられた 本格以外の分野で言うと、キーティングが英国人だからなのか、ハードボイルド私立探偵小説系よりも、サスペンス小説の選択に特色があって参考になった |